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シロダモ
クスノキ科の常緑高木 ウィキペディアから
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シロダモ(白だも、学名: Neolitsea sericea)は、クスノキ科シロダモ属に分類される常緑高木の1種である。若葉は帯白色から黄褐色の毛で覆われ、下垂する。成葉の表面は濃緑色で光沢があり、裏面はロウ質に覆われて粉白色(図1)。雌雄異株(雌花と雄花が異なる個体につく)であり、小さな黄白色の花が密集して秋に咲く。果実は赤色の液果。本州(宮城・山形県以南)から南西諸島、台湾、朝鮮半島、中国南部に分布し、暖地の森林に生育する。「シロダモ」の名は、葉の裏が白いタモ(クスノキ科の樹木)の意味とされる[12]。
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特徴
常緑広葉樹の小高木から高木であり、樹高は5–15メートル (m) になる[5][6][13][12](図2a)。樹皮は緑色を帯びた紫褐色から暗褐色、平滑、小さな皮目が散生する[5][6](図2b)。小枝は緑色、黄褐色の絹毛が密生するが、のちに無毛[5][6][14]。冬芽のうち葉芽は長楕円形で先端はとがり、花芽が球形、芽鱗に光沢があって黄褐色の毛がある[5][13][6]。
2a. 樹形
2b. 樹皮
葉は互生、枝先に集まってつく[15][6]。葉柄は長さ2–3センチメートル (cm)、黄褐色の絹毛が密生するが、のちに無毛[6][14]。葉身は長楕円形から卵状長楕円形、8–18 × 4–8 cm、先端は尖り、全縁、3行脈が目立ち、側脈は4–5対、表面は無毛で光沢があり、裏面は絹毛が多少残りロウ質で覆われて粉白色[15][6][13][14](図1, 3, 4b)。葉をちぎるとわずかに芳香がある[16]。若葉は垂れ下がり、帯白色から黄褐色の絹毛で覆われている[15][6][13](図3)。
3. 枝葉: 若葉は白く垂れ下がっている(右側)。
花期は3–4月または9–11月(日本では秋)、雌雄異株[15][6][14][17]。花は小さく(雄花の方がやや大きい)、淡黄色、散形花序を形成し、葉腋につく[15][6][13](図4)。総苞片は数個、広楕円形、黄褐色の毛があ理、花柄には黄色い長毛が密生する[6][13][14]。花被片は4枚、広卵形、背面に毛があり、雄花では平開、雌花では立ち上がる[6][13]。雄花には雄しべが6–8個、3–4輪で内側の2個の基部には腺体があり、花糸は長く突出、葯は4室、中央に不稔の雌しべがある[6][13][14][12](図4a)。雌花には棒状の仮雄しべが6個と雌しべが1個(白い柱頭が目立つ)ある[6][13](図4b)。
4a. 枝葉と雄花序
4b. 枝葉と雌花序
果期は翌年の1–2月または10–11月、果実が赤色に熟し、日本では秋であり花と同時に鑑賞できる[15][6][5][14][12][17]。果実は液果、楕円状球形、長さ12–15ミリメートル (mm)、果柄は長さ 7–10 mm、緑色[6][13]。種子は球形[6]。
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分布
本州の山形県と宮城県以西、四国、九州、南西諸島から台湾、朝鮮半島南部、中国東南部に分布する[15][5][6][13][3]。山地や低地の比較的湿潤な森林に生育し、常緑広葉樹としては耐寒性が強い[15][6][14]。
保全状況評価
シロダモは、IUCNレッドリストカテゴリーでは低危険種 (LC) に指定されている[1]。日本では、秋田県と長野県で絶滅危惧I類とされている[18]。
種内分類群(下記参照)であるダイトウシロダモは、日本の環境省では絶滅危惧IB類 (EN) に、沖縄県では準絶滅危惧に指定されている[19]。また、キンショクダモは、鹿児島県で準絶滅危惧に指定されている[20]。
人間との関わり
庭木や防風林として植栽されるほか、器具材としても利用される[15][6]。種子から得られた油はツヅ油やオダクサ油とよばれ、シラミ防除に利用されたり、除虫用に水田にまかれたり、灯火用の油、石鹸や蝋燭の材料とされていた[15][6][12][21]。
下位分類
以下の種内分類群が認められることがある。
- ダイトウシロダモ Neolitsea sericea var. argentea Hatus. ex H.Ohba (2006)[3][22]
- 葉裏の毛が銀灰色で赤みがない[13]。果実は倒卵形、基準変種よりも大きく長さ 15–18 mm[23]。大東諸島に分布[13]。
- キンショクダモ(キンモウダモ)Neolitsea sericea var. aurata (Hayata) Hatus. (1969)[24]
- 葉裏の黄褐色の毛が、遅くまで残る[13]。花期は春ともされるが[13][16]、標本調査からはこの形質については疑問視されている[25]。伊豆諸島(利島)、小笠原諸島(これについては疑問視されている[25])、九州西部(福江島、甑島)、トカラ列島以南の南西諸島、台湾(蘭嶼、緑島)に分布[13]。
- キミノシロダモ Neolitsea sericea f. xanthocarpa (Nakai) Okuyama (1955)[3]
- 果実が黄色に熟す[26]。
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脚注
外部リンク
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