ツンドラ・ユカギール語

ツンドラ・ユカギール語（Tundra Yukaghir languages）または北ユカギール語（Northern Yukaghir language） は、ユカギール語族の現存する2つの言語のうちの一つである。インディギルカ川とコリマ川の間の低地のツンドラで話される。かつては西はレナ川に至るより広い範囲で話されていた。

ツンドラ・ユカギール語 Вадул аруу
話される国	ロシア
地域	サハ共和国
民族	ツンドラ・ユカギール人
話者数	370 （ユカギール諸語の計　2010年）[1]
言語系統	ユカギール語族 ツンドラ・ユカギール語 Вадул аруу
表記体系	キリル文字
少数言語として 承認	サハ共和国
言語コード
ISO 639-3	ykg
Glottolog	nort2745[2]
消滅危険度評価
Critically endangered (Moseley 2010)

正書法

ツンドラ・ユカギール語の最初の入門書では、ヤクート語に近いアルファベットが使われた。^[3]

А а	Б б	В в	Г г	Ҕ ҕ	Д д	Дь дь	Е е	Ё ё	Ж ж
З з	И и	Й й	К к	Л л	Ль ль	М м	Н н	Нь нь	Ҥ ҥ
О о	Ө ө	П п	Р р	С с	Т т	У у	Ф ф	Х х	Ц ц
Ч ч	Ш ш	Щ щ	Ъ ъ	Ы ы	Ь ь	Э э	Ю ю	Я я

一部、Ԝ ԝという文字も使われる。 サンクトペテルブルクで出版された本では、ヤクート語と同様のアルファベットが使われているが、文字Ҕ ҕとҤ ҥの代わりに、それぞれӶ ӷとӇ ӈが使われている。^[4][5][6][7]

音韻

母音

	前舌	後舌
狭母音	i, iː	u, uː
中央母音	e, eː ø, øː	o, oː
広母音	a, aː

中長母音/eː øː oː/ は強勢になると二重母音となり、それぞれ[ie uø uo]になる。

子音

	両唇音		歯茎音		硬口蓋音		軟口蓋音		口蓋垂音
閉鎖音	p	b	t	d	tʲ	dʲ	k	ɡ	q
摩擦音			s							ʁ¹
鼻音	m		n		nʲ		ŋ
側面音			l		lʲ
ふるえ音			r
半母音	w				j

¹口蓋垂摩擦音 /ʁ/ は/ŋ/の後で閉鎖音[ɢ]となる。

音素配列論

音節構造はCVC構造である。つまり、単語の間に2つまでの子音が出現できる。