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ヒューゴの不思議な発明
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『ヒューゴの不思議な発明』(ヒューゴのふしぎなはつめい 原題: Hugo)は、2011年のアメリカ、イギリス、フランス合作によるファンタジー冒険映画。ブライアン・セルズニックの小説『ユゴーの不思議な発明』を原作とする、マーティン・スコセッシ初の3D映画である。第84回アカデミー賞では同年最多の11部門にノミネートされ、5部門で受賞を果たした。
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あらすじ
1930年代、雪のパリ。モンパルナス駅の時計台に隠れて暮らす孤児ヒューゴ・カブレは、亡き父親が遺した壊れた機械人形とその修復の手がかりとなる手帳を心の支えとしていた少年だった。彼は駅の構内を縦横無尽に行き来して、大時計のねじを巻き、時にはカフェからパンや牛乳を失敬し、駅の中の人間模様を観察する毎日を送っていた。
ある日ヒューゴは、駅構内の片隅にある玩具屋を通りかかる。彼が機械人形を修理するための部品をくすねようとした時、店の主人ジョルジュに捕まってしまい、あの手帳も取り上げられてしまう。ところがジョルジュは、手帳の一ページに描かれた機械人形のスケッチを見て言葉を失い、ヒューゴをけんもほろろに追い返す。さもなければ鉄道公安官につきだして施設送りにすると脅してくる始末だ。あきらめきれないヒューゴは、店じまいをしたジョルジュの後を尾行し、彼のアパルトマンにたどり着く。そこでヒューゴは、ジョルジュ夫妻の養女であるイザベルという少女と知り合う。彼の話に興味を持ったイザベルは、手帳を取り戻す協力をしてくれるという。
明くる日、再び玩具屋でジョルジュと対峙したヒューゴは、ある課題―壊れた玩具を元通りに修復すること―を与えられる。ヒューゴは学芸員だった父親仕込みの修理の腕前を披露し、それを認めたジョルジュも玩具屋の手伝いをしたら手帳を返してやると告げる。仕事の手伝いを続ける中で、彼はイザベルとも仲良くなり、本の虫で映画も見たことが無いという彼女を連れて、映画館に忍び込んだりする。
機械人形の方はいまやほとんど修理が済んでいたが、人形のぜんまいを巻くためのハート型の鍵が見つからなかった。ところがヒューゴはある日、鉄道公安官に追いかけられるドタバタのあとで、イザベルが身に着けていたペンダントにまさしくハート形の鍵がついているのを発見する。早速、機械人形に鍵を差し込みぜんまいを回してみると…人形はペンを片手にすらすらと絵を描きだした。出来上がった絵には、月にロケットが突っ込んでいる様子が描かれており、それはかつてヒューゴの父が語ってくれた“ある映画”のストーリーそのままであった。そして最後に機械人形は、絵の隅に“ジョルジュ・メリエス”とサインした。するとイザベルが「それ、パパ・ジョルジュの苗字だわ!」
玩具屋の主人ジョルジュの過去、孤児ヒューゴの運命、そして映画にまつわる知られざる歴史が、不思議な機械人形によって導きだされていく。
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キャスト
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製作
2007年2月、『ディパーテッド』のアカデミー作品賞受賞直前、同作を製作したワーナー・ブラザースとグレアム・キングはスコセッシの監督を想定して刊行されたばかりの『ユゴーの不思議な発明』の映画化権を購入し、『アビエイター』でスコセッシ、キングと組んだジョン・ローガンに脚本化を依頼した[5]。撮影はデジタルシネマカメラArri Alexaを用い[6]、2010年6月29日にロンドンで開始され、以降ロンドンとパリで行われた[7]。スコセッシ初の3D映画であり、また長年フィルムの撮影を貫いてきたスコセッシが初めてデジタルで撮影を行った作品である。本作では『映画への愛』が重要なテーマとなっているが、スコセッシ自身は「私がこの映画を作ろうと思ったのは『映画愛』とか『映画のありがたみ』を伝えるためではなく、単純に娘のために作るということが目的だった」と語っている[8]。
2011年3月、フランスの新聞『ル・パリジャン』が「ルーロー氏 (M. Rouleau) 役のジョニー・デップ」という付記とともに、くちひげを生やした男が写った映画のセット写真を掲載した[9]。しかしパラマウントは、写真の男はデップではなく、またデップは映画に一切出演していないとした[10]。デップはプロデューサーとして参加しており、彼の設立した映画制作会社「インフィニタム・ニヒル」もGKフィルムズと共に制作を行っている。
公開
映画は当初ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントによって2011年12月9日に公開される予定だったが、キング側が感謝祭の公開を強く望んだ結果、感謝祭に『アーサー・クリスマスの大冒険』を抱えるソニーは配給を退き、代わってパラマウントが2011年11月23日の公開を決めた[11]。映画は原作の原題『The Invention of Hugo Cabret』に反し単に『Hugo Cabret』と呼ばれていたが、のちに『Hugo』とさらに縮められた[12]。
2011年10月10日、本作はニューヨーク映画祭 (NYFF) において編集が中途段階の状態で上映された。NYFFにおける未完成の映画の上映は1991年の『美女と野獣』以来であった[13]。
評価
ジェームズ・キャメロンは2011年11月6日、全米監督協会がロサンゼルスで開いた試写の後で質疑に応え、本作を「傑作」("masterpiece")、「ようやくできた子供たちを連れて行けるスコセッシ映画」と称え[14]、また、3D技術を用いたことに関して、「今まで見た中で間違いなく最高の3D映像。それは君 (スコセッシ) の美術的表現に常に効果的に使われていて、決して邪魔になっていない」と述べた[15]。
本作は批評家から絶大な支持を集めている。映画のレビューを集積するウェブサイトRotten Tomatoesによると、集計されたレビュー98件のうち95件、97%が作品に対し好意的な評価を寄せており、評価の平均は8.4/10、批評家の総意は「『ヒューゴの不思議な発明』は、近頃の子供向け映画の多くが欠く純粋さをもつ、贅沢で洗練されたファンタジーであり、映画のマジックに対する大胆な愛を発するものでもある」であった[16]。有力媒体の批評から100点満点の加重平均値を導くMetacriticは36件の批評を基に85という「全面的支持」の値を示している[17]。
『シカゴ・サンタイムズ』のロジャー・イーバートは4個満点の星をつけ、「『ヒューゴの不思議な発明』はこれまでのどのマーティン・スコセッシの映画とも異なっており、しかもおそらく彼の心に最も近い。ビッグバジェット、家族向け、3Dの大作で、かつある意味においては彼自身の人生の鏡である。我々は偉大なアーティストが必要なツールとリソースの権限を与えられたと感じる—映画についての映画を作るために」と書いた[18]。
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興行収入
批評家から高い支持を集めた本作だが、制作費が1億8000万ドル以上という巨額を投じているのに対し興行収入は伸び悩んでいる。日本では興収10億円を超えるヒット作となったが、本国アメリカやその他世界規模では結果は芳しくなく、世界興行収入は1億8200万ドルに達したが、配給手数料などのコストが差し引かれるため、GKフィルムは8000万ドルほどの負債を抱える見込みだという[19]。
受賞とノミネート
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参考文献
関連項目
外部リンク
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