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ロシアの共和国

ロシア民族以外の民族が郷土としているロシア領内の地域に建てられている共和国 ウィキペディアから

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ロシアの共和国(ロシアのきょうわこく)では、ロシア連邦下の構成共和国について説明する。

概要

ロシア連邦は89の連邦構成主体に分かれるが、そのうち24主体が共和国を称する。共和国は、ロシア民族以外の民族が郷土としている地域に建てられている。自民族の名を共和国の名にできる民族集団(нация, ナーツィヤ、国民国家を持てる規模の民族)のことをロシアでは「基幹民族」(титульная нация, Titular nation、名義上国民国家の主体となる民族)と呼ぶ。彼らはロシア連邦の枠内で自らの国土国語を持つことができ、名義上の国民国家を形成している。ただし国語はキリル文字で表記することが求められ、タタール語クリミア・タタール語といったラテン表記がある言語、縦書きのトド文字で表記しうるカルムイク語なども、共和国内の公文書ではキリル文字の使用を必要とする。 ソビエト連邦成立後の数十年、あるいはそれよりも何世紀も前からロシア人などが多数移住しているために、こうした先住民族・基幹民族はすでに共和国の多数派ではないことが多い。また、2014年ロシアによるクリミアの併合によりクリミア共和国はロシアに編入され、ロシアの共和国となったが、ロシア以外の国の多数はウクライナに属するとしており、ロシア領と認めていない。2022年にもロシア占領下のウクライナでの2022年の併合住民投票によりドネツク人民共和国ルガンスク人民共和国が編入されたが、同じく大多数の国はロシア領であると認めていない。

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共和国の憲法上の立場

要約
視点

「共和国」は、地方自治管区といった連邦構成主体とは持つ権利などが異なる。まず共和国は、独自の公用語ロシア連邦憲法第68条による)や独自の憲法を持つことができる。ただし公用語の正書法はキリル表記であることが求められる。

共和国という連邦構成主体に対して認められる実際の自治のレベルや範囲はそれぞれに異なっているが、一般的には非常に広範にわたる。各共和国は議会が立法権を持つが、共和国の作った法律は連邦の憲法としばしば衝突を起こしている。また各共和国の首長(大統領)も非常に強い権力を持つ。

ただし2000年代に入りウラジーミル・プーチン大統領を務めた時期に、連邦憲法の優位と中央集権を確立する目的で共和国の自治権は大きく削減されている。連邦大統領が地方を監督するために、プーチンは連邦を7つに区分して州や共和国の上に連邦管区を置き、連邦の法や憲法に違反しないかどうか共和国の活動を監督するようにした。さらにプーチンは各共和国の立法府の権限を強め、逆に首長(大統領)の権限を弱めた。共和国の首長(大統領)の選び方も、プーチンの時期に直接選挙が廃止されてロシア連邦大統領が指名するようになっているが、各共和国の議会の承認は必要である。

中央集権化の動きは、共和国首脳の呼称にも影響している。共和国の首脳は、知事ではなく大統領の称号を持っていた。ソビエト連邦の崩壊直後、タタールスタン共和国バシコルトスタン共和国などで、「ソビエト最高会議議長」などと呼ばれていた共和国首脳を「大統領」(ロシア語: Президент )と呼ぶ動きが起こったことから各共和国での大統領呼称が定着したが[1]2010年8月にチェチェン共和国ラムザン・カディロフ大統領が自らの呼称を「首長」(ロシア語: Глава)とする案を議会に提出し[1]、2010年9月2日に議会で改憲案が通ったことを皮切りに各共和国で同調の動きが起こり[2]、2011年1月にはドミートリー・メドヴェージェフ連邦大統領が各共和国首脳が大統領と名乗れなくする法律にサインしたことにより、大統領の称号は「首長」「代表」などと呼びかえられることになった[3]

各共和国には一定規模の分離主義者がいるが、一般的にその勢力はあまり強くない。しかしソ連崩壊直後の時期には、タタールスタン共和国バシコルトスタン共和国サハ共和国チェチェン共和国が分離独立を宣言して各共和国国民の支持を得た。チェチェンの場合はチェチェン戦争にまでつながっている。各共和国では、「基幹民族」となる主要民族以外にロシア人などの民族が多数住んでおり、分離主義に対しては一定の歯止めになっている。また各共和国の「基幹民族」となる民族はその共和国内にほとんどが住む場合が多いが、タタール人の場合はタタールスタン共和国の外に大多数が住んでおり、こうしたことも分離独立の歯止めになっている。

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ソ連時代の自治共和国あるいは自治州

旧ソ連時代のロシア・ソビエト連邦社会主義共和国(ロシアSFSR)では、ナーツィヤ(民族)、ナロードノスチ(亜民族)、プレーミャ(種族)という民族集団の規模や自立度の階層に応じて三段階の民族自治体があり、段階が下がるにつれて自治権は小さくなっていた[4]。国民国家を形成できる規模とまとまりの民族(ナーツィヤ)による自治共和国自治ソビエト社会主義共和国、ASSR)、国家を持つには至らないまとまった民族(ナロードノスチ)による自治州(AO)、そして先住の小さな民族(プレーミャ)による自治管区である。

ソ連崩壊後、ロシアSFSRの範囲に誕生したロシア連邦も、各自治共和国を同じ名前の「共和国」として引き継いだ(チェチェン・イングーシ自治共和国の場合は、チェチェン共和国イングーシ共和国という二つの共和国に分割されている)。

ソ連時代の自治州のうち、アディゲアルタイカラチャイ・チェルケスハカスはソ連崩壊前後に共和国となり、現在のロシア連邦ではユダヤ自治州しか自治州は残っていない。

「自治共和国」という表現はロシア連邦の共和国に対しても現在もなおしばしば用いられる。しかし、1993年制定のロシア連邦憲法および各共和国の憲法にある通り、公式名称は自治共和国ではなく単に「共和国」である。

一覧

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  1. アディゲ共和国の旗 アディゲ共和国
  2. アルタイ共和国の旗 アルタイ共和国
  3. バシコルトスタン共和国の旗 バシコルトスタン共和国
  4. ブリヤート共和国の旗 ブリヤート共和国
  5. ダゲスタン共和国の旗 ダゲスタン共和国
  6. イングーシ共和国の旗 イングーシ共和国
  7. カバルダ・バルカル共和国の旗 カバルダ・バルカル共和国

08. カルムイク共和国の旗 カルムイク共和国

09. カラチャイ・チェルケス共和国の旗 カラチャイ・チェルケス共和国

10. カレリア共和国の旗 カレリア共和国

11. コミ共和国の旗 コミ共和国

12. マリ・エル共和国の旗 マリ・エル共和国

13. モルドヴィア共和国の旗 モルドヴィア共和国

14. サハ共和国の旗 サハ共和国(ヤクート共和国)

15. 北オセチア共和国の旗 北オセチア共和国

16. タタールスタン共和国の旗 タタールスタン共和国

17. トゥヴァ共和国の旗 トゥヴァ共和国

18. ウドムルト共和国の旗 ウドムルト共和国

19. ハカス共和国の旗 ハカス共和国

20. チェチェン共和国の旗 チェチェン共和国

21. チュヴァシ共和国の旗 チュヴァシ共和国

22. クリミアの旗 クリミア共和国(ウクライナと帰属係争中)

以下は上掲の地図には書かれていない。

23. ドネツク人民共和国の旗 ドネツク人民共和国(ウクライナと帰属係争中)

24.  ルガンスク人民共和国(ウクライナと帰属係争中)

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人口動態

脚注

関連項目

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