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主任の大臣
行政機関の長として行政事務を分担管理する大臣 ウィキペディアから
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概要
主任の大臣は行政事務を分担管理する内閣総理大臣及び国務大臣である(⇒ #定義)[1][2][注 1]。主任の大臣はある範囲の行政事務を分担管理し、その所掌に関連する法令に署名をおこなう役割を担う(⇒ #職責・権限)。一定の職権が付与されていることから、欠格時の代理に関する規定が整備されている(⇒ #代理)。
主任の大臣の対義語、すなわち「行政事務を分担管理しない大臣」は無任所大臣と呼ばれる。関連する語として主務大臣がある(⇒ #主務大臣)。
主任の大臣の地位は、内閣総理大臣及び各省大臣の職に当然に付随するため、通常の任官辞令・補職辞令とは別に「主任の大臣」に補する辞令が発令されたり「主任の大臣」に任命する旨の文が通常の辞令に付記されたりすることはない。
定義
各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する。—内閣法 第3条 第1項
すなわち主任の大臣は「行政事務を分担管理する大臣」である。内閣法における「大臣」は内閣総理大臣及び国務大臣を指しているため(内閣法第2条第1項)、主任の大臣は「行政事務を分担管理する内閣総理大臣及び国務大臣」と理解される[2]。これは日本国憲法第74条に定める「主任の国務大臣」と対応している[要出典]。
職責・権限
要約
視点
行政事務の分担管理
主任の大臣が行政事務を分担管理することは内閣法で規定されており、同時に、具体的な所掌(どの範囲を誰が担うか)は別の法律の定めるところによって決定されるとも規定されている[1][2]。主任の大臣を具体的に定めている法律は多数あり、以下はその一例である:
各省の長は、それぞれ各省大臣とし、内閣法 ... にいう主任の大臣として、それぞれ行政事務を分担管理する。—国家行政組織法 第5条 第1項
内閣総理大臣は、内閣府に係る事項についての内閣法にいう主任の大臣とし、第四条第三項に規定する事務を分担管理する。—内閣府設置法 第6条 第2項
内閣官房に係る事項については、この法律にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。—内閣法 第25条 第1項
宇宙開発戦略本部 ... 本部に係る事項については、内閣法 ... にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。—宇宙基本法 第33条
2025年9月時点では、各省の行政事務を分担管理する主任の大臣として(任意の国務大臣が)各省大臣となり、残りの全ての分野では内閣総理大臣が主任の大臣と規定されている。
主任の大臣は管理する機関(独任制の行政庁)の人事・経理・組織運営等にも全般的な職責を有している。
内閣法は、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」と定め、「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。」と定める。閣議の議題について、「内閣総理大臣は、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる。」と定め、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。 」と定める。この「各大臣」は、「主任の大臣」であると否とにかかわらず、すべての国務大臣である。すなわち、すべての国務大臣が、案件にかかわらず、閣議請議を行うことができる。
しかし、実務上、「主任の大臣が、その分担管理する事務に係る案件について閣議請議を行ってきて」おり、「これまで、このような案件について、当該主任の大臣以外の国務大臣が閣議請議を行った例はない。」とされる[4]。
法令への署名
主任の大臣は自らの分担管理する機関・行政事務に関連のある法令に署名し、内閣総理大臣が連署する。この署名は、その法律及び政令の執行責任を明確にするために行われるものである[注 2]。
法律・政令の末尾に付される署名は、次のような原則により行われる。
- その法律・政令に関係する主任の大臣が「総務大臣」のような各省大臣の肩書の下に署名し、内閣総理大臣が最後に連署をする。署名の順序はいわゆる建制順による。したがって、たとえばその法律・政令に関係する主任の大臣が1人である場合は、総理と2人だけが署名することになる。
- 内閣総理大臣自身が当該法律・政令に関係する主任の大臣に含まれる場合は、内閣総理大臣が署名順の最初となる。この場合は、最後の連署は省略される。したがって、その法律・政令に関係する主任の大臣が内閣総理大臣のみである場合は、総理1人の署名となる。
- 肩書として「主任の大臣」は用いられない。
- 臨時代理による署名の場合は、「内閣総理大臣臨時代理」「総務大臣臨時代理」などの肩書に続けて、内閣総理大臣による臨時代理の場合は「内閣総理大臣」を、それ以外の場合は「国務大臣」の肩書を用いて署名する。臨時代理への就任は「同じ閣内にある国務大臣として助ける」という内閣法上の趣旨があり、「内閣官房長官だから総理の臨時代理となる」という現実とは別の考え方によっているため、それらの職名は用いず、総理による代理以外は一律「国務大臣」を用いる。
代理
「主任の大臣」の不在時には、正式な「臨時代理」を立てることが必要とされる。内閣総理大臣の臨時代理は「内閣総理大臣臨時代理」、各省大臣の臨時代理は「○○大臣臨時代理」という職名で、他の国務大臣が職務を行う。この点、「主任の大臣」でない大臣の不在時には、臨時代理を立てることが定められておらず、慣例・内規等により「事務代理」という職名で、他の国務大臣が職務を行う。
主任の大臣の一覧
要約
視点
2025年5月現在の、国の行政機関の主任の大臣は以下の通り。府省庁等の他に、特定の法律に基づいて内閣に設置される政策本部、政策会議等にも主任の大臣が規定されることがある。
なお、人事院も国の行政機関ではあるが、内閣が所轄するものとされ、主任の大臣は規定されていない。
なお、内閣に設置され、「本部」という名称であっても、法律に設置根拠を持たないものには、「主任の大臣」は置かれない。例えば、2006年(平成18年)9月29日の閣議決定によって設置された拉致問題対策本部や、2006年(平成18年)10月27日の内閣総理大臣決裁によって設置されたアジア・ゲートウェイ戦略会議など。
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関連する概念
主務大臣
「主任の大臣」に類似した用語に「主務大臣」がある。主務大臣とは、主務官庁たる大臣を指し、当該行政事務の遂行について主管権限を持つ大臣のことである。「主任の大臣」が組織の面から、機関の長としての大臣を指すのに対して、「主務大臣」は事務の面から、行政事務の遂行について主管権限を持つ者としての大臣を指す。一つの機関には「主任の大臣」が一人しかいないのに対して、一つの行政事務には「主務大臣」が一人のことも複数のこともある。
脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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