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台湾館

2010年上海国際博覧会のパビリオン ウィキペディアから

台湾館map
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台湾館(たいわんかん)は、2010年5月1日から同年10月31日にかけて、中華人民共和国上海市で開催された上海国際博覧会(以下、上海万博と略記)において、中華民国が出展したパビリオンである。

概要 台湾館, 情報 ...

出展の経緯

国際博覧会において、国別パビリオンを出展できるのは博覧会国際事務局(BIE)加盟国に限られる。中華民国は1971年に国際連合を脱退し、BIEにも非加盟になった。そのため、1970年の日本万国博覧会に「中華民国館」を出展した以降、国際博覧会へのパビリオン出展は行われず、2005年の愛・地球博でもレストラン「イラ・フォルモサ」を開設するのみであった。

「より良い都市、より良い生活」をテーマにする上海万博では、国別パビリオン、民間パビリオン、国連や国際赤十字・赤新月などの国際組織館に加えて、世界の主要都市を募り特色ある都市計画を紹介する「ベストシティ実践区」を設けた。台湾からは、ベストシティ実践区に台北市による「台北館」、震旦集団中国語版による民間パビリオンの「震旦館」、そして「台湾館」の3つのパビリオンが参加した。2008年に発足した馬英九政権により中台関係が融和の兆しを見せ、中国大陸側の庶民の間に台湾の人気が高まっていた時代であった[2]。台湾館の出展には、中華民国対外貿易発展協会中国語版(以下、外貿協会と略記[注釈 1])董事長の王志剛中国語版が中心となって交渉に当たり、中華人民共和国側から台湾に対し、2009年5月17日に正式に出展の招請があった。台湾にとっては重要事項であるため、馬英九総統が国家安全会議を招集して検討し、「台湾は必ず参加すること」「外貿協会が民間の立場で参加すること」「国格は決して矮小化されてはならないこと」、「民間の身分であるため中華民国政府は出資せず、建設と運営の費用はすべて外貿協会が調達すること」という四つの原則のもと、出展を決めた。2009年7月17日、外貿協会と上海万博事務局との間で署名を交わし、参加が正式決定した。全参加国の中で、最後の参加決定となった[3]

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建築

万博への参加決定と同時期より、台湾の著名建築家を招請してコンペを実施。その結果、李祖原の案が採用された。李は台北101のほか、北京市盤古大観中国語版を手掛けたことから中国でも知名度があり[3]、1970年の日本万国博覧会の中華民国館の設計チームの一員でもあった[4]。会場内では、主にアジア諸国のパビリオンが集まる、浦東地区のAゾーンに配置された。中国側は当初、マカオ (zh) 香港 (zh) のパビリオンと同様に中国館 (zh) と同一の区画に置いて中国統一のイメージを打ち出そうとしたが、台湾側は容認できるものではなかった。外貿協会の交渉の結果、高架歩道を挟んだ別区画に配置されることとなった[3]。国別パビリオンは6000m2の面積を占めるのに対し、台湾館は敷地面積1400、建築面積は658m2で、マカオ館・香港館を除くと最小規模であった。試算の結果、半年の会期中に最大でも総来場者の1%ほどの70万人しか収容できないことが見込まれたが、会場を南北に貫く幅110m[5]の万博軸 (en) に面した立地は良好で、多くの来場者が台湾館の横を歩く動線であった[1]

パビリオンはガラス張りの建屋に球体を収めた、天灯をイメージした外観を持つ。ガラスには調光フィルムが張られており、電圧の変化により透過性を変えて映像を映し出したり、透明に切り替えたりすることができる。球体スクリーンは直径16m、重量130トンで、opto tech社[注釈 2]製の100万個の発光ダイオードにより外側に映像を映し出す[6]。球体に映した蝶がガラスのスクリーンに飛び出すなどの視覚の演出を、館外からでも楽しむことができる[1]

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展示

テーマは「山水と心と灯火―自然・心・都市」[7]。観覧時間はおよそ30分のコースである[1]

球体の内部はイマーシブシアターとなっている。エレベーターで4階からシアターに入り、中央のブリッジから見渡すと上下左右全方向に映像が広がる。台湾のドキュメンタリー監督・頼豊奇による、「自然都市」を題材とした4分間の映像は、宇宙から眺める地球に始まり、玉山の雲海や阿里山の原生林、森のチョウや蘭の花、サンゴや熱帯魚の群れのいる海底を巡り、大都市の台北市高雄市を訪れ、天灯上げでエンディングを迎える。8チャンネル英語版の音響と、12台のプロジェクターを使用して8K解像度で上映し、森の香りや海でイルカが跳ねる水しぶきを体感できる4D技術が用いられた[1]

次の場面では、台湾の伝統行事である「天灯上げ (zh) 」を疑似体験することができる。太平洋の海水と日月潭の湖水を入れた円形の二重の池の中央の点灯水台で、40人ずつのグループに分かれ、タッチパネルで「国泰民安」「環遊世界」など12の祈りの言葉から選択すると、その文字が描かれたコンピュータグラフィックスの天灯がLEDの球体に現れ、ゆっくりと天に昇ってゆく[1]

最後のゾーンの「都市広場」では、南投県の工芸家が竹を編んで作った大樹の下で涼を取り、親善大使より阿里山の高山茶でもてなしを受ける。天灯をかたどった茶杯は記念に持ち帰ることができる[1]

閉幕後

万博の閉幕後、建物は台湾の新竹市に移築され、2013年2月21日にショッピングセンター「環球購物中心 新竹世博店」[8]として開店したが、2016年6月30日に閉店している[9]

3D劇場で上映された映像は、2011年秋より台北国際花の博覧会跡の花博公園中国語版で公開された[10]

関連項目

脚注

参考文献

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