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ムスリム

イスラム教の信者 ウィキペディアから

ムスリム
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ムスリムアラビア語: مسلم英語: Muslim)とは、「(に)帰依する者」を意味するアラビア語で、イスラーム教を信仰する人びとを指す。

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カアバタワーフをするムスリム
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カイロでのムスリムの祈り

概要

キリスト教圏ではムハンマド教徒(: Mohammedan 等)とも呼ばれ、日本でもかつては一部でこの語を用いた。女性形ムスリマアラビア語: مسلمة)だが、アラビア語社会[要出典]以外では基本的には区別しない。また、中世キリスト教世界では、イシュマエル人カルデア人モーロ人サラセン人などあたかも民族集団であるかのような名称でも呼ばれた。

ムスリムになるためには、証人となるムスリムの前で信仰告白(シャハーダ)の手続きを取ることが必要である。ムスリムは、神(アッラーフ)を常に身近に感じるように、五行を実践することが建前である。父親がムスリムであるものは自動的にムスリムとなるとされている。

分布

かつて、イスラム教はキリスト教よりはるかに多様な民族の間で信仰されていた。しかし、近代以降になって西方のキリスト教会が世界中に布教を行いその分布を広げたため、イスラム教を信仰する民族は限られるようになった。しかし、イスラム教優勢の民族の人口が増加傾向にあるため、今もその勢力を拡大させている。

サハラ砂漠以北の世界に限って言うと、イスラム教を信仰する民族はかなり限定的で、アラブ系ペルシア系インド系テュルク系マライ系の五つの系統の民族でほぼ全ムスリムの95%以上を占めている。残りの数%に関しても、東ヨーロッパバルカン半島ボシュニャク人アルバニア人などのムスリム(かつてヨーロッパにおいては、イベリア半島スペインポルトガルで多くのムスリムが存在した)、コーカサスの諸民族、中国領内の中国系ムスリム、モンゴル系ムスリムなど、やはり限られた民族の間で信仰されている。

一方、それに対してサハラ以南のアフリカでは実に多様な民族の間でイスラムが信仰される。サハラ以南のアフリカの場合、民族でムスリムか、非ムスリムかを判定することは困難である。

日本国内においては、東京などの首都圏にイスラム教圏出身外国人の過半数が居住するが、明治以降の近代日本で最初にイスラム礼拝所ができたのは愛知県名古屋市だった。1931年3月に結成された「名古屋回教徒団」により日本初のモスクが設立されたという記録が残る。この戦前に建てられたモスクは一旦空襲により焼失するが、現在では名古屋市中村区に「名古屋モスク」が再建されている。戦前からイスラム教徒のコミュニティがあった流れを汲んで名古屋市岐阜市など東海地方諸都市には、今でもイスラム教徒の集住コミュニティがある。現代では移民によって、北米西ヨーロッパでムスリムが増加している。

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概念

ムスリムとは宗教的概念である。ところが、これは民族的概念だと意識されることが多い。

中国、ネパールスリランカブルガリア、旧ユーゴスラビア諸国などの非イスラム教国には現地の言語や文化、形質などに同化しているムスリムの集団が見られる。例えば、日本人のキリスト教徒や、アメリカ人の仏教徒が別の民族として扱われることが無い様に、本来は単なる「〜人のイスラム教徒」として扱われるはずである。

ところが上記の国ではそれぞれ回族ムスリム人ムーア人ポマク人などと別の民族として扱われたり、別の統計に表れたりする。

この意識は内外双方に見られ、ムスリムの側も外部と自分たちは別の民族だと言う意識を持ち、外部の民族もムスリムを自分たちとは、たとえ同じ言語を用い、同じ形質的な人種であっても、同じ民族だとはみなさない場合が多い。

言語

要約
視点

ムスリムの使用する言語で最も使用人口が多いのはアラビア語で、約2億8,000万人ほどの話者人口がある。ただし、これには互いに通じない多様な方言を含んでいる(標準アラビア語公用語として使用するものと考えた場合である)。

次に使用人口が多いのはインドネシア語の約2億人である。ただし、インドネシア語の使用人口の大半は公用語としての使用人口であり、母語者のみに限定した場合は2,000万人ほどである。マレーシア語とはほとんど同じ言語であり、両者を同じ言語であるムラユ語(マレー語)と規定した場合、使用人口は2億2,000万人ほどとなる。

3番目に使用人口が多いのがウルドゥー語の約1億8,000万人である。これもインドネシア語同様、第2言語としての使用人口であり、母語話者はやはり2,000万人ほどだと言われている。インドにはヒンディー語を母語とするムスリムも5,000万人以上存在すると見られる。ウルドゥー語とヒンディー語を同じ言語であるヒンドゥスターニー語と規定した場合、この言語を使用するムスリム人口は2億3,000万人ほどとなり、ムラユ語とほぼ同規模となる。

4番目にムスリムの使用人口が多い言語はベンガル語である。ベンガル語を使用するムスリムの人口は1億6,000万人ほどである。(ただしベンガル語にはヒンドゥー教徒などの話者も多く、総話者人口は2億2,000万人ほどである。)

ジャワ語パンジャーブ語のムスリム話者がそれぞれ8,000万人ほどである。ただし両者は同時に、インドネシア語、ウルドゥー語の話者でもある。パンジャーブ語には他に、シーク教徒やヒンドゥー教徒の話者も多く、総話者人口は1億人を超える。

ペルシア語の話者が約7,500万人存在する(母語話者は4,000万人ほど)。これに実質同じ言語である、ダリー語タジク語の使用人口を加えると1億1,000万人ほどとなる。

トルコ語の話者が7,500万人存在する。

ヒンディー語の総使用人口は約5億人だが、そのうち5,000万人近くがムスリムである。ムスリムの使用するヒンディー語はアラビア語ペルシア語由来の外来語の占める割合が高く、ウルドゥー語との境界線が曖昧である。

パシュトー語の話者総数は約4,000万人である。ただし東西の方言差は大きい。

ハウサ語は話者総数約4,000万人、(うち母語話者数は2,500万人ほどである。)

そのほか、2,000万人以上のムスリムの話者人口を持つ言語が、アゼルバイジャン語ウズベク語クルド語ダリー語スンダ語スワヒリ語(話者は非イスラム教徒の方が多く、総話者人口は1億人に達する。話者の大半が第二言語としての使用である。)、ソマリ語などである。

1,000万人規模のムスリムの話者人口を持つのが、シンド語フラニ語カザフ語オロモ語(エチオピア正教徒などの話者も多い。総話者人口は2,500万人以上)、マドゥラ語マレーシア語(非イスラム教徒が多い、華人系やインド系のマレーシア人も公用語として使用する。総話者人口は2,000万人強)、ヨルバ語(ムスリムは30%ほど。総話者人口は3,000万人以上)、タジク語中国語(回族の話者)、ウイグル語などである。

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日本人とムスリム

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初めてメッカ巡礼をした日本人ムスリム山岡光太郎

日本では、文部科学省文化庁が宗教年鑑などの各宗教の人口統計を発表している。しかし、その統計は各宗教団体の自己申告の信者数を単純に合算したものに過ぎず、正確な統計とはいえない面がある。そのため、日本国内のムスリムの正確な人数を算出することは難しい。

文化庁が取りまとめた「宗務時報」によれば、歴史上のムスリム人口は、1931~1945年の戦中期の滞日ムスリム人口は500人から700としている。1953年に日本人ムスリムによって結成された日本ムスリム協会の創立時会員数は47名、1969年の外国人ムスリム人口は約1500人、1984年の滞日ムスリム人口は、約8000人という数字を上げている[1]。「宗務時報」では、2010年末の滞日ムスリム人口は約11万人としている[1]ピュー・リサーチ・センターの調査では、2010年の滞日ムスリム人口は、約18万5千としている[2]

国籍からみると、ムスリムが多数を占める国からの移民、定住者数は、比較的多いのがインドネシア人(約25000人)、マレーシア人(非イスラム教徒の中国系のマレーシア人の来日者も多いため、来日者に占めるムスリム比率は不明)、バングラデシュ人(約11000人)、パキスタン人(約9000人)、スリランカ人(スリランカ自体はイスラム教徒は少数派の国であるため、来日者に占めるムスリムの比率は不明)、イラン人(約5000人)、トルコ人(約2500人)、エジプト人(約1500人)、中国国籍回族(約3500人)、ウイグル人(約700人)である。

それ以外の国からの移民もおり、その出身国は、中東東アジア東南アジア南アジア中央アジアアフリカと多岐に渡る。イスラム教徒の比率が、80%前後以上の比率の国家からの来日者数を合計すると、約58000人となる。それ以外の国家からの来日者にもムスリムは存在するため、実際はそれ以上の人口となることが予想される。しかし、前述のとおり、日本では日本人、外国人を問わず、各宗教、宗派の人口統計が存在しないため、正確な数は不明である。

アジアの非イスラム教国の多くには自国民のムスリムの集団が存在する。中国新疆ウイグル自治区等や、タイ南部フィリピン南部、ミャンマー西部、モンゴル西部などには、隣接するイスラム圏から延長された、ムスリム民族の多数派地域が存在する。カンボジアベトナムにはムスリム民族の飛び地が存在し、中国や、南アジア諸国には現地の言語や文化、民族に同化したムスリムの集団が存在する。

日本の全ての都道府県モスク、もしくは何らかの礼拝所が存在し、イスラム教徒の専用の食品や肉、調味料を扱う店やレストランなどが併設されている所もある。

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世界のムスリム

さらに見る 国および地域, ムスリム人口(2009) ...
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脚注

関連項目

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