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学校運営協議会
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学校運営協議会(がっこううんえいきょうぎかい)とは、学校と地域との連携、協働の促進等のため、教育委員会が指定する対象公立学校ごとにおかれる機関である。根拠法は地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条の5第1項。 学校運営協議会は、対象学校の内部組織や付属機関ではなく、教育委員会に任命権、措置権限があるため、学校長の校務掌理権や所属職員への監督権のような権限は直接的には及ばない。
概要
学校運営協議会は、地域社会が学校の運営に関わる公立学校(コミュニティ・スクール、地域運営学校)において、中核をなす制度である。
日本の公立学校は明治時代以降、学校の運営は行政(戦後は行政委員会)によって統制され、被教育者に対し上から一方的に教育を授ける執行機関であった。学校運営協議会の制度はそのような学校運営のあり方を転換し、地域住民や保護者等が法的な権限を持って学校の運営に関与することで、その責任の一部を地域コミュニティに委ねようとするものである。 要は企業でいう社外取締役と顧問(相談役)、さらに支援のためのサプライヤーを兼ね備えた役割を地域が担う仕組みであると考えて差し支えない。
制度導入の背景として、価値観の多様化や社会の変化が著しくなり、学校がかかえる課題や諸問題を学校のみで解決するのには限界が生じていた事情がある。
2024年(令和6年)5月現在、公立学校において学校運営協議会のあるコミュニティ・スクールの数は次のとおりで、学区と地域社会との距離が近い小学校、中学校の導入率が高くなっている[1]。
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経緯
1990年代末ごろから、世界各国におけるコミュニティ・スクールや学校評議会・学校理事会(School Council / School Board)の取り組みが日本の教育界において注目されるようになった。
2000年(平成12年)12月22日には、「教育改革国民会議報告 -教育を変える17の提案-」が出され、それには「地域の信頼に応える学校づくりを進める」ことや「新しいタイプの学校(“コミュニティ・スクール”等)の設置を促進する」ことが含まれていた。これを受けて、新しい学校運営の制度も検討されていった。
2004年(平成16年)3月4日には、文部科学省の中央教育審議会から「今後の学校の管理運営の在り方について」という題名の答申が出された。そこでは、「保護者や地域住民が一定の権限を持って運営に参画する新しいタイプの公立学校」(地域運営学校)についても述べられ、そのような学校(地域運営学校)の運営について協議を行う組織(学校運営協議会)を設置することが必要と考えられることが記載されていた。この中央教育審議会の答申を具体化する形で、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(昭和31年法律第162号)の一部が改正され、学校運営協議会は、2004年(平成16年)9月9日から法定の制度となった。
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学校運営協議会の制度
学校運営協議会の設置、委員の任命、権限等は地方教育行政の組織及び運営に関する法律に定められている。
設置の努力義務
教育委員会は、教育委員会規則で定めるところにより、所管に属する学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)ごとに、学校の運営及び当該運営への必要な支援に関して協議する機関として、学校運営協議会を置くように努めなければならない(地方教育行政の組織及び運営に関する法律第47条の5第1項)。 ただし、二以上の学校の運営に関し相互に密接な連携を図る必要がある場合として文部科学省令で定める場合には、二以上の学校について一の学校運営協議会を置くことができる(同、但し書き)。
委員の任命
学校運営協議会の委員(構成者)は、次に掲げる者について、教育委員会が任命する(同条第2項)。
- 対象学校の所在する地域の住民
- 対象学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者
- 社会教育法に規定する地域学校協働活動推進員その他の対象学校の運営に資する活動を行う者
- その他当該教育委員会が必要と認める者
学校運営協議会の権限
学校運営協議会がおかれている学校の校長は、学校の運営に関して、教育課程の編成などの基本的な方針を作成し、学校運営協議会の承認を得なければならない(同条第4項)。
学校運営協議会は、当該学校の運営に関する事項について、教育委員会または校長に対し意見を述べることができる(同条第6項)。
当該学校の職員の採用その他の任用に関する事項については、職員の任命権者(任命する教育委員会)に対して意見を述べることができ、学校職員の任命権者は、当該職員の任用にあたっては、学校運営協議会から述べられた意見を尊重する(同条第7項、第8項)。
学校運営協議会の責任
学校運営協議会は、基本的な方針(同条第4項に関する)に基づく対象学校の運営及び当該運営への必要な支援に関し、対象学校の所在する地域の住民、対象学校に在籍する生徒、児童又は幼児の保護者その他の関係者の理解を深める(同条第5項)。
対象学校とこれらの者との連携及び協力の推進に資するため、対象学校の運営及び当該運営への必要な支援に関する協議の結果に関する情報を積極的に提供するよう努めるものとする(同)。
必要な措置
教育委員会は、学校運営協議会の運営が適正を欠くことにより、対象学校の運営に支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められる場合は、当該学校運営協議会の適正な運営を確保するために必要な措置を講じなければならない(同条第9項)。
実際の運営
学校運営協議会の実際の運営は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律を受け、各教育委員会が定める教育委員会規則(「学校運営協議会規則」と呼ばれる場合が多い)によって運営される。以下、東京都文京区の学校運営協議会(以下、文京区学校運営協議会規則を「規則」という)の例を挙げる[3]。
委員の範囲
教育委員会が任命する委員は、法律が定める者(保護者、地域住民、学校の運営に資する活動者)の他に、教育委員会規則により定められる者が追加されている場合が多く、例えば東京都文京区の場合は以下の者を追加で定めている(規則3条)。
- 学識経験者
- 対象学校の校長
- その他教育委員会が適当と認めた者
委員の中から互選により会長、副会長を選任する。ただし、対象学校の校長は会長及び副会長に選任できない(規則9条)。
会議の実施と承認事項
- 原則として協議会は、会長が開催日前の規定の日までに議案を示し招集する(規則10条)
- 利害を有する委員は、当該議決事項に関して議決権を有しない(規則10条4項)
- 毎年度、校長が作成した次の基本的な方針を承認する(規則7条)
- 教育課程の編成に関すること
- 学校経営計画に関すること
- 配分予算に関すること
- 学校施設の管理に関すること
会議公開の原則
- 協議会の会議は、次に掲げる場合を除き原則として公開される(規則11条)
- 対象学校の職員の採用その他の任用に関する事項について審議するとき
- 個人情報を扱う等特別の事情により協議会が必要と認めたとき
協議会の努力義務
- 協議会は、保護者、地域住民等の意見、要望等を把握しその運営に反映するよう努めなければならない(規則12条1項)
- 協議会は、保護者、地域住民等に対して、積極的に活動状況を公開する等情報提供に努めなければならない(同2項)
委員の報酬
- 委員は特別職の地方公務員としての報酬が定められる(規則6)
その他
その他、対象学校の運営全般、職員の任用に関する事項(分限及び懲戒に関する事項を除く)への意見を述べることなどについて、法律に定められた権限であるが、同じような規定を教育委員会規則にも定めている教育委員会が多い(規則8条1項、同2項など)。
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学校運営協議会のメリット、デメリット
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脚注
関連項目
外部リンク
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