トップQs
タイムライン
チャット
視点

宇賀克也

日本の法学者 ウィキペディアから

Remove ads

宇賀 克也(うが かつや、1955年7月21日 - )は、日本法学者。専門は行政法東京大学名誉教授。学位は、博士(法学)(東京大学)。最高裁判所判事を務めた後、弁護士登録(第一東京弁護士会)。長島・大野・常松法律事務所顧問。

概要 宇賀 克也 うが かつや, 生年月日 ...

経歴

要約
視点

東京都生まれ[1]。練馬区立大泉南小学校、練馬区立大泉第二中学校卒業[1]。小・中学校の1年先輩に、同じく最高裁判事を務めた深山卓也がいる[1]

兼職

  • 2001年10月 - 日本公法学会理事[1]
  • 2006年6月 - 総務省「統計法制度に関する研究会」委員[3]
  • 2009年4月 - 内閣府統計委員会臨時委員[4](「東京大学法学部白書2009・2010」東京大学出版会98頁)
  • 2010年2月 - 内閣府統計委員会匿名データ部会委員[4](「東京大学法学部白書2009・2010」東京大学出版会98頁)
  • 2011年10月 - 東アジア行政法学会理事[1]
  • 2014年1月 - IT総合戦略本部「パーソナルデータに関する検討会」座長[1]
  • 2014年2月 - 内閣府独占禁止審査手続懇談会座長[1]
  • 2014年3月 - 東京都情報公開・個人情報保護審議会会長[1]
  • 2014年4月 - 神奈川県情報公開・個人情報保護審議会会長[1]
  • 2016年2月 - 人事院交流審査会会長[1]
  • 2016年4月 - 国会図書館資料利用制限審査会会長[1]
  • 2016年10月 - 消費者庁消費者安全調査委員会委員長[1]
  • 2018年7月 - 内閣府公文書管理委員会委員長[1]

そのほか、国、地方公共団体などの役職を歴任した。

Remove ads

業績

要約
視点

最高裁判事として関与した主な裁判

6年4か月務めた最高裁判事の任期中に関与した裁判において、その判決や決定の基礎となった考え方(多数意見)とは別に個別意見を示すことが多く、他の判事と比べてその件数が突出していた[5]

出席停止処分取消等請求事件
平成30年(行ヒ)第417号(2020年11月25日 大法廷判決)[6]
宮城県岩沼市の市議が、議会で発言した内容を理由に議会への出席停止処分と議員報酬の減額を受けたことに対し、処分の取消しと減額分の支払いを求めた裁判の上告審判決で、宇賀が裁判官を務める大法廷は、報酬減額を伴う出席停止処分については司法(裁判所)判断の対象となるとした一審判決を裁判官の全員一致で支持し、上告人である岩沼市の訴えを棄却して一審の仙台地方裁判所に審理を差し戻した。これにより、地方議会議員に対する出席停止処分の適否は司法審査の対象とならないとしていた1960年の大法廷判断が60年ぶりに覆されることとなった[7]。宇賀自身も、本判決は「自分の個性・信念が最も体現した裁判」であると述べている[8]
再審開始決定に対する即時抗告の決定に対する特別抗告事件
平成30年(し)第332号(2020年12月22日 第三小法廷決定)[9]
袴田事件で死刑が確定した袴田巌再審を申し立てた裁判で、宇賀が裁判官を務める第三小法廷は、再審を認めないとした東京高等裁判所の決定を取り消し、審理を東京高裁に差し戻したが、宇賀は「さらに時間をかけて審理するのではなく直ちに再審を開始すべき」との反対意見を付した[10]
市町村長処分不服申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和2年(ク)第102号(2021年6月23日 大法廷決定)[11]
夫婦がそれぞれ別の姓を名乗る旨を記載した婚姻届が不受理とされたことを不服として訴えが起こされた裁判の抗告審において、宇賀が裁判官を務める大法廷は、夫婦は夫または妻の氏を称することを定めた民法750条の規定は憲法に違反するものではないとして、15名の裁判官中11名の多数意見により抗告を棄却したが、宇賀は「夫婦同姓を婚姻の要件とすることは自由かつ平等な意思決定を妨げるものであり憲法24条の趣旨に反する」として違憲であるとの判断を示し、宮崎裕子とともに反対意見を付した[12]。なお、夫婦別姓を認めることを訴える他の裁判においても、宇賀は同様の判断を示している[13]
性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
令和2年(ク)第638号(2021年11月30日 第三小法廷決定)[14]
戸籍上の性別を男性から女性に変更することを希望するトランスジェンダーの女性が、未成年の子がいないことを変更の要件とする性同一性障害者特例法3条の規定のため変更が認められなかったことを不服として訴えた裁判で、宇賀が裁判官を務める第三小法廷は、過去の最高裁判例に照らせば当該規定は憲法に違反するものではないとして訴えを棄却したが、宇賀は「当該規定は自己同一性を保持する権利を侵害するもので憲法13条に違反する」として反対意見を付した。宇賀はまた、トランスジェンダーを巡る他の裁判においても同法の規定が憲法13条に反するとの意見を示したことがある[15]
選挙無効請求事件
令和4年(行ツ)第130号(2023年1月25日 大法廷判決)[16]
2021年10月に施行された第49回衆議院議員総選挙において一票の格差が最大2.079倍であったことに対し、一票の価値が選挙区によって異なるのは違憲であるとして選挙の無効を求める訴えが各地で起こされた。各高裁の判断は、合憲であるとするものが9件、違憲状態とのものが7件であった[17]。宇賀が裁判官を務める大法廷は、衆議院小選挙区の区割りが2022年に改正され格差が是正されることが予定されているとの理由で、当該選挙の格差は違憲状態とまではいえないとして訴えを棄却した[18]が、宇賀は「過去の大法廷判決で違憲状態とされた区割りを基準として配分された定数が、当該選挙においても変更されていないままの都道府県が複数存在する」と指摘し、15名の裁判官の中で唯一反対意見を付した。
生活保護基準引下げ処分取消等請求事件
令和5年(行ヒ)第397号、第398号(2025年6月27日 第三小法廷判決)[19]
国が2013年 - 2015年に生活保護費を段階的に引き下げたことが、健康で文化的な生活を保障した生活保護法に違反するかが争われた訴訟(いわゆるいのちのとりで裁判)の上告審判決で、宇賀が裁判長裁判官を務める第三小法廷は、減額の判断基準となる指標を物価変動のみとしたことが裁量権の乱用に当たり違法とした[20]。全国29都道府県で1,000人超が起こした同種訴訟では、違法か適法かで司法判断が割れており、本判決が初の統一判断となった[21]。なお判決は5名の裁判官の全員一致で減額の取消しを認めたものの、損害賠償請求については4名の裁判官の多数意見により棄却したが、宇賀は損害賠償請求も認められるべきとの反対意見を付した[22]

著書

行政法一般
  • 『行政法概説I』(第8版)(有斐閣、2023年)
  • 『行政法概説II』(第7版)(有斐閣、2021年)
  • 『行政法概説III』(第6版)(有斐閣、2024年)
  • 『行政法』(第3版)(有斐閣、2023年)
  • 『判例で学ぶ行政法』(第一法規、2015年)
  • 『対話で学ぶ行政法』(共編著)(有斐閣、2003年)
  • 『アメリカ行政法(第2版)』(弘文堂、2000年)
  • 『ブリッジブック行政法(第3版)』(編著)(信山社、2017年)
  • 『行政法評論』(有斐閣、2015年)
  • 『行政法の争点』[第3版](共編)(有斐閣、2004年)
  • 『行政法の争点』(共編)(有斐閣、2014年)
  • 『行政判例百選I・II』(第4 - 7版)(共編)(有斐閣、1999-2017年)
  • 『行政法の発展と変革(上)(下)』(塩野宏先生古稀記念論集)(共編)(有斐閣、2001年)
  • 『現代行政法の構造と展開』(小早川光郎先生古稀記念論集)(共編)(有斐閣、2016年)
  • 『行政法研究』(責任編集)第1巻 - 第30巻(信山社、2012年 - 2019年)
  • 『上級行政法』(共著)(有斐閣、2004年 - 2018年)
  • 『行政の実効性確保:行政代執行を中心として』(勁草書房、2024年)
行政手続関係
  • 『行政手続三法の解説』〔第3次改訂版〕(学陽書房、2022年)
  • 『行政手続と行政情報化』(有斐閣、2006年)
  • 『行政手続法制定資料』(11) - (16)(共編著)(信山社、2013年 - 2014年)
  • 『行政手続法の解説』[第6次改訂版](学陽書房、2013年)
  • 『行政手続オンライン化3法』(第一法規、2003年)
  • 『自治体行政手続の改革』(ぎょうせい、1996年)
  • 『行政手続法の理論』(東京大学出版会、1995年)
  • 『行政サービス・手続の電子化』(編著)(地域科学研究会、2002年)
  • 『行政手続・情報公開』(弘文堂、1999年)
  • 『行政手続と監査制度』(編著)(地域科学研究会、1998年)
  • 『明解行政手続の手引』(編著)(新日本法規、加除式)
  • 『税務行政手続改革の課題』(監修)(第一法規、1996年)
  • 『行政手続の実務』(共編著)(第一法規、加除式)
行政組織法関係
  • 『行政組織法の理論と実務』(有斐閣、2021年)
地方自治関係
  • 『地方自治法概説』〔第11版〕(有斐閣、2025年)
  • 『2017年地方自治法改正 -実務への影響と対応のポイント-』(編著)(第一法規、2017年)
  • 『環境対策条例の立法と運用』(編著)(地域科学研究会、2013年)
  • 『地方分権』(編著)(新日本法規、2000年)
  • 『自治体の政府間関係』(共著)(学陽書房、1989年)
行政争訟関係
  • 『改正行政事件訴訟法』〔補訂版〕(青林書院、2006年)
  • 『行政不服審査法の逐条解説』〔第2版〕(有斐閣、2017年)
  • 『解説行政不服審査法関連三法』(弘文堂、2015年)
  • 『Q&A 新しい行政不服審査法の解説』(新日本法規、2014年)
  • 『行政不服審査の実務』(共編著)(第一法規、加除式)
  • 『現代行政法大系4 行政争訟I』(共著)(有斐閣、1983年)』
行政の実効性確保関係
  • 『行政の実効性確保ー行政代執行を中心として』(勁草書房、2024年)
政策評価関係
  • 『政策評価の法制度』(有斐閣、2002年)
国家補償関係
  • 『条解国家賠償法』(共編著)(信山社、2019年)
  • 『国家賠償法制定資料』(信山社、2015年)
  • 『国家補償法』(有斐閣、1997年)
  • 『国家補償法』(肖軍上海社会科学院法学研究所副研究員訳)(中国政法大学出版社、2014年)
  • 『国家責任法の分析』(有斐閣、1998年)
  • 『行政法の新構想III 行政救済法』(共著)有斐閣(2008年)
  • 『国家補償法体系1 国家補償法の課題』(共著)(日本評論社、1987年)
  • 『安全配慮義務法理の形成と展開』(共著)(日本評論社、1988年)
  • 『行政法演習II 行政救済法』(共著)(成文堂、1995年)
公文書管理関係
  • 『情報公開・オープンデータ・公文書管理』(有斐閣、2019年)
  • 『逐条解説 公文書等の管理に関する法律』(第3版)(第一法規、2015年)
  • 『情報公開と公文書管理』(有斐閣、2010年)
マイナンバー関係
  • 『マイナンバー法の逐条解説』(有斐閣、2022年)
  • 『マイナンバー法と情報セキュリティ』(有斐閣、2020年)
  • 『番号法の逐条解説』(第2版)(有斐閣、2016年)
  • 『論点解説マイナンバー法と企業実務』(共著)(日本法令、2015年)
  • 『完全対応 自治体職員のための番号法解説[実例編]』(監修)(第一法規、2015年)
  • 『完全対応 特定個人情報保護評価のための番号法解説』(監修)(第一法規、2015年)
  • 『施行令完全対応 自治体職員のための番号法解説[制度編]』(共著)(第一法規、2014年)
  • 『施行令完全対応 自治体職員のための番号法解説[実務編]』(共著)(第一法規、2014年)
  • 『自治体職員のための番号法解説』(共著)(第一法規、2014年)
  • 『マイナンバー(共通番号制度)と自治体クラウド』(共著)(地域科学研究会、2012年)
個人情報保護関係
  • 『自治体のための解説個人情報保護制度 個人情報保護法から各分野の特別法まで―2021年改正対応』(改訂版)(第一法規、2023年) 
  • 『新・個人情報保護法の逐条解説』(有斐閣、2021年)
  • 『自治体職員のための個人情報保護法解説』(編著)(第一法規、2021年)
  • 『個人情報の保護と利用』(有斐閣、2019年)
  • 『個人情報保護法制』(有斐閣、2019年)
  • 『個人情報保護法の逐条解説』〔第6版〕(有斐閣、2018年)
  • 『論点解説 個人情報保護法と取扱実務』(共著)(日本法令、2017年)
  • 『情報公開・個人情報保護』(有斐閣、2013年)
  • 『個人情報保護の理論と実務』(有斐閣、2009年)
  • 『解説個人情報の保護に関する法律』(第一法規、2003年)
  • 『個人情報保護の実務』I・II巻(編著)(第一法規、2003年)
  • 『日本個人情報保護法に関する研究』(『個人情報保護法の逐条解説』〔第5版〕(有斐閣、2016年)の楊琴貴州大学教授ほかによる共訳)(貴州大学出版社、2019年)
  • 『地理空間情報の活用とプライバシー保護』(共編著)(地域科学研究会、2009年)
  • 『災害弱者支援マニュアルとプライバシー保護』(共編著)(地域科学研究会、2007年)
  • 『大量閲覧防止の情報セキュリティ』(編著)(地域科学研究会、2006年)
  • 『プライバシーの保護とセキュリティ』(編著)(地域科学研究会、2004年)
情報公開関係
  • 『情報公開法制定資料』(1) - (14)(共編著)(信山社、2020年~2022年)
  • 『情報公開・オープンデータ・公文書管理』(有斐閣、2019年)
  • 『新・情報公開法の逐条解説』〔第8版〕(有斐閣、2018年)
  • 『情報公開・個人情報保護』(有斐閣、2013年)
  • 『新・情報公開法の逐条解説』〔第5版〕(ソ・ジョンボム国立警察大学教授訳)(韓国セチャン出版社、2012年)
  • 『情報公開と公文書管理』(有斐閣、2010年)
  • 『情報公開の理論と実務』(有斐閣、2005年)
  • 『情報公開法ーアメリカの制度と運用』(日本評論社、2004年)
  • 『ケースブック情報公開法』(有斐閣、2002年)
  • 『情報公開法・情報公開条例』(有斐閣、2001年)
  • 『情報公開法の理論』〔新版〕(有斐閣、2000年)
  • 『行政手続・情報公開』(弘文堂、1999年)
  • 『情報公開の実務』I・II・III巻(編著)(第一法規、1998年)
  • 『諸外国の情報公開法』(編著)(行政管理研究センター、2005年)
  • 『アメリカの情報公開』(良書普及会、1998年)
  • 『情報公開法ーその理念と構造』(共著)(ぎょうせい、1999年)
情報法全般
  • 『情報公開・個人情報保護』(有斐閣、2013年)
  • 『情報法』(共編著)(有斐閣、2012年)
  • 『情報法』〔改訂版〕(共編著)(放送大学教育振興会、2006年)
法人法関係
  • 『Q&A 新しい社団・財団法人制度のポイント』(共著)(新日本法規、2006年)
  • 『Q&A 新しい社団・財団法人の設立・運営の要点』(共著)(新日本法規、2015年)
医事法関係
  • 次世代医療基盤法の逐条解説』〔有斐閣、2019年)
宇宙法関係
  • 『逐条解説 宇宙二法』(弘文堂、2019年)
その他
  • 『アメリカから見た日本法』(共著)(有斐閣、2019年)
  • 『日本法のトレンド』(共著)(有斐閣、1993年)
  • 『比較インフラ法研究』(共著)(良書普及会、1997年)
Remove ads

脚注

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads