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森稚重子
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森 稚重子(もり ちえこ)は、日本の箏奏家・作曲家・編曲家・自由流家元。
来歴
慶應義塾大学卒業。高校~大学時代は沢井忠夫に師事し、卒業後はヨーロッパにて音楽活動を開始。ジョルジオ・アルマーニファッションEXPOの音楽作曲(映像 - YouTube)、デビッド・ベッカム邸ワールドカップパーティやヴェネツィア・ビエンナーレ2001での演奏、ロバート・ウィルソンの演劇音楽の作曲、米ハーバード大学ワークショップ、インド横断ツアー等、海外での演奏活動は計18ヶ国70都市以上に及ぶ。 2007年より自由流家元としてKOTO STUDIO自由流を主宰し、筝奏者の育成とともにソロ曲・合奏曲などの創作活動に注力[1]。その一方でレコーディングやライブ活動の拠点をヨーロッパに据え、コンテンポラリーダンス・演劇・映像作品のための楽曲を手がける。既存の流派に属さない独立した筝の演奏家は、邦楽界において希少な存在である。
略歴
要約
視点
3歳より箏(菊志賀 静香に師事 当道音楽会生田流)・ピアノ・書道・日本舞踊(花柳流)を始める。日本舞踊は16歳で花柳流の名取となる。名は花柳 富桜香(ふおうか)[2]。日本舞踊の道に進まなかった理由について、後に森はこう述べている。
「 | それは名取となったときに気付きました。この先、自分のスタイルで日本舞踊をやりたいと思っても、それは出来ないと。自由に展開するには、その都度、師匠の許可が必要となります。箏もそうですが、日本文化は上下関係で成り立っているのです。とくに日本舞踊の世界は厳しいので、ここに自分の居場所はないと思いました。 | 」 |
—森稚重子(SWR2|ベルリンの国営ラジオ放送|2012-06-26より) |
高校時代(大分県立別府鶴見丘高等学校)、2年生のときに箏曲部を結成。部長兼指導者として、邦楽新人大会 箏曲の部(県大会)に出場。結成から5カ月で初優勝、全国大会出場へと導く(部員は1年生3名、2年生4名のうち、経験者は森を含め2名だった)[3]。このとき出場曲に選んだヴィヴァルディの「四季(春)」を自ら習得するため、沢井箏曲院所属の箏曲家(県内在住)を訪ね、指導を受ける。これをきっかけに、沢井忠夫の弟子として直接指導を受けるようになる [4]。第1回高校生国際音楽コンクール箏部門入賞(群馬県 高崎市)[5]。周囲からは大学で筝曲を専門に学ぶよう勧められるも、「一日中技術に傾倒しているだけでは音楽的なインスピレーションが得られない、と考え音楽学部には進まず」[6]、慶應義塾大学に進学する。在学中も沢井忠夫の自宅にて指導を受け続けるが、2年生の頃に師が他界。その後は卒業まで沢井一恵に師事する[6]。NHK邦楽技能者育成会42期卒業。初リサイタルは3年生の頃、大分市能楽堂にて[7]。
大学卒業を目前に、レッスンを介してイタリア行きの話が舞い込む。ベネトンが行っているアーティスト・リサーチセンター、ファブリカ[8]からの誘い(音楽部門では日本人初の招聘)だった[9][10]。卒業と同時に沢井流を離れ[11]、1999年にイタリア・トレヴィーゾに渡り、さまざまな国籍を持つメンバーとの練習や曲作り、レコーディング、イタリアツアーなどをこなし、箏への自信と信念をより強いものにしていく[12]。
ファブリカでの1年の生活が終了し、拠点をイタリアからイギリスに移す。ロンドン大学の所属カレッジ・SOASに1年間在学[6]。その後も、ファブリカが主催する各プロジェクトから声がかかり、ファブリカには数ヶ月単位で滞在する。2002年には、巻上公一率いるPARADISE FROM VOCALBOXのメンバーとして、オーストリア(Klangspuren Festival)とイタリア(Trasart Festival)にてライブパフォーマンスを行う(スペシャルゲストとしてフィル・ミントンも共演)。また、ファブリカ音楽部門の元ディレクター・マイケル・ガラッソ(作曲家・ヴァイオリニスト)とは、2000年以降多くの作品をともに手がけ、その後の創作においても大きな影響を受ける[13]。
2002年に発売されたコンピレーションアルバム『East Asia Travelogue』(ロンドンのUnion Square Musicより発売)は、ロバート・ディメリー編纂の音楽批評書『死ぬ前に聴くべき1001枚のアルバム-1001 Albums You Must Hear Before You Die-』[14]に選出されている。楽曲「Irana’s Dream」(Track12)は、マイケル・ガラッソとの即興多重録音である。
ソロアルバムは、2005年にジョン・ゾーンのレーベル、TZADIK(ニューヨーク)から『Jumping Rabbit』を初リリース[15][16][17][18]。The Hit Factory(ニューヨーク)にて録音。
2006年には『Katyou Fuugetsu(花鳥風月)』をFelmay(トリノ)より発売[19]。
2016年には、電子音響音楽家オリバー・グリムとの共作『KOTOISTIC』をCanto Crudo(オーストリア)より発売。オーストリアの作曲家、ギュンター・ラブルの音響プログラミング・サウンドアカデミー「Electric Orpheus Academy」[20]には2012年に招聘される。ギュンター独自のプログラミング手法による音響表現にも、楽器のジャンルは異なるが意欲的に関わっている。
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主な作品
要約
視点
※2008年より楽譜の制作を開始。Lulu/Online Self-Publishing Book & Ebook Companyにて販売している[21]。
※箏のチューニング(調弦)は曲目により、常に異なる独自の方法で行っている。調弦用のアプリ「KotoTunings」(古典曲用の調弦)と「RedKoto」(森稚重子全作品の調弦)がApp Store(Apple)にて購入可能である。

ソロ曲
- Firebird -火の鳥-(2008年)
- Quiet Church(2008年)
- SANGO NO HANA -珊瑚の花-(2009年)
- Basic Skills and Advanced Methods(2010年)
- YOAKE -夜明け- (2011年)
- YUMEZORA -夢空-(2012年)
- Tension of direction(2012年)
- 響流 -Kouru-(2012年)
- 坤月夜 -Konzukiyo-(2015年)
- 虹遊び -NijiAsobi-(2015年)
- Ascension(2017年)
- 飛行機雲(2018年)
- 翔 -KAKERI-(2020年)
- Golden Delhi(2021年)
- 宙の旅(2022年)
- 間道 -Aimichi- (2022年)
- 昇弦 -Shogen- (2022年/17弦)
- 石畳 -Ishi Datami- (2022年/17弦)
- Dreams (2022年/17弦)
- SPRING GARDEN FOR PIANO (2022年 /ピアノ)
- Quartett (2001年)Quartet by Heiner Müllerの作品。Michael Galassoの音源制作に参加し、即興にて生み出した曲。Robert Wilson氏の演劇にて発表/2007年に再上映
- 花蝶 Kacyo(2023年)
- Treviso sky (2024年)
KOTO LIBRARY SERIES
- LIBRARY1 鳥の時間/黄音/キューバ調変舞曲(2009年)
- LIBRARY2 風の歌/福寿草/リスボンの夕べ(2010年)
- LIBRARY3 上海リキショー/沖縄調五段の調べ(2010年)
- LIBRARY4 輝蝶 -Kicyo-/万華鏡 -Mangekyo-(2015年)
- LIBRARY5 雨あがり -after the rain- /ケララの彩空 -colors in Kerala’s sky-(2017年)
- LIBRARY6 月虹 -Gekko-/滝雲 -Takigumo-(2020年)
- LIBRARY7 今紫 -Imamurasaki-/カノン変奏曲 -Kanon Variation by Koto-(2020年)
- LIBRARY8 BULBOUS/舞鼓 -maiko-(2022年)
- LIBRARY9 冬椿 -FUYU TSUBAKI-/アンダルシア幻想箏曲 -ANDALUSIA KOTO FANTASIA-(2024年)
合奏曲
- SPRING GARDEN(2009年/二重奏)
- ながれぼし(2009年/二重奏)
- 神代の春 -JINDAI NO HARU-(2010年/三重奏)
- KIMONO DANCE (2013年/二重奏)
- Tokyo Light (2013年/二重奏)
- 翼眼 -Tsubame-(2016年/四重奏)
- 草笛 -KUSABUE-(2018年/二重奏)
- 沖縄調五段の調べ 二重奏-Okinawacyo Godan no Shirabe /Duo-(2023年/二重奏)
独奏曲編曲
- Jupiter(2008年)
- FURUSATO -ふるさと-(2011年)
- HARU NO UMI -春の海-(2011年)
- RONDO ALLA TURCA(2019年)
- Pictures At an Exhibition -箏2面独奏による組曲 展覧会の絵- (2022年)
合奏曲編曲
- キラキラ星変奏曲 -12 Variation "Ah, vous dirai je maman" K.265-(2009年)
- 日本の童謡 世界の歌(2010年)
- 童謡二重奏 - ふるさと/紅葉-(2010年)
- 童謡春二重奏 -花/早春賦/朧月夜-(2018年)
- Dr. Zhivago Lara's Theme(2018年)
- Basic Sakura Sakura -さくらさくら-(2019年)
- Waltz No2. ワルツ第2番(2019年)
- Winter Collection (2024年)
- Winter Collection 2 (2024年)
- Vltava (The Moldau) モルダウ 箏二重奏 (2024年)
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ディスコグラフィー
※過去の作品における英語表記は、「Chieko Mori」「Mori Chieko」 のどちらも存在する。現在は「Chieko Mori」に統一されている。
ソロアルバム
- Jumping Rabbit(2005年、TZADIK)
- Katyou Fuugetsu 花鳥風月(2006年、Felmay)
コラボレーションアルバム
- Zeru Grisak -Gray Skies-(2001年)
- La Biennale Di Venezia(2001年、Michael Galasso、Frank Colon、Agostino Bertiと共作)映像 - YouTube
- KOTOISTIC(2016年、Oliver Grimmと共作 Canto Crudo)
コンピレーションアルバム
楽曲提供
- Vinzenz Schwab作品へ楽曲提供 音源[26]
- GAMMA Günther Rabl作品へ楽曲提供[27]
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舞台音楽
- Three Sisters(2001年、チェーホフの『三人姉妹』、Robert Wilsonプロダクションにレコーディング参加、スウェーデン)
- Dark Lady October Gallery(2002年、ロンドン)
- Hex Triplet #9900FF(2007年、Virpi Pahkinenダンス作品/スウェーデン)
- Morpho Z(2008年、Virpi Pahkinenダンス作品/スウェーデン)[28]
- SCARABE(2012年、Virpi Pahkinenダンス作品/スウェーデン)
- ICHOS(2016年、Virpi Pahkinenダンス作品/フィンランド、スウェーデン)
コンサート/フェスティバル
- 大分市能楽堂(1998年、大分市)[29]
- FABRICA MUSICA(1999年 - 2000年、イタリア)
- ハーバード大学(2000年、ボストン)
- ヴェネツィア・ビエンナーレ -Biennale di Venezia 2001-(2001年、ヴェネツィア)
- Royal Botanic Gardens(2001年、ロンドン)
- The Rondo Theatre(2001年、バース)
- 大英博物館(2002年、ロンドン)
- デビッド・ベッカム邸 The Japanese Garden Party(2002年)
- Hammond Museum(2001年、ニューヨーク)
- BAMcafé Live(2001年、ブルックリン)[30]
- クランスプレンフェスティバル(2002年、インスブルック)[31]
- トランサートフェスティバル -Transart Festival-(2002年、ブレッサノーネ)[31]
- インドツアー(ジャールカンド音楽祭)(2002年、チェンナイ/ケララ/ラーンチー/デリー)[32]
- リトアニア国際音楽祭(2005年、ヴィリニュス / カウナス)
- アルベック城(2006年、ケルンテン州)
- il Piacere Mio 音楽祭(2006年、ヴィットリオ・ヴェネト)
- Dansens hus(2008年、ストックホルム)
- Wien Modern (2015年、Alte Schmiede、ウィーン)[33]
- Savoy Theatre (2016年、ヘルシンキ)[34]
- ROXY Visby (2016年、ヴィスビュー)[35]
- Palladium(2016年、マルメ)映像 - YouTube
- 六本木ヒルズアリーナ ベルギービールウィークエンド2016にてDEZ MONAとの共演(2016年、東京・六本木)映像 - YouTube
- スパイラルガーデン(2019年、東京・青山)
- Electric Orpheus Academy(2012年・2017年・2021年、ラポテンシュタイン)[36]
- シアターΧ Solos - Virpi Pahkinen との共演(2022年、東京・両国)映像 - YouTube
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映画
- Echoes of the Invisible(2020年、アルバム『Jumping Rabbit』より「Dreams」が起用されている)[37]
- 雲 - 息子からの手紙 マリオン ヘンセル 監督(2001年 Michael Galasso氏との演奏参加)
- Secret Ballot Raye makhfi監督(2001年 Michael Galasso氏との演奏参加)映像 - YouTube
テレビ
ラジオ
脚注・出典
参考文献
外部リンク
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