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神奈川近代文学館

横浜市中区山手町にある神奈川県立の文学館 ウィキペディアから

神奈川近代文学館
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神奈川近代文学館(かながわきんだいぶんがくかん)は、神奈川県横浜市中区山手町にある神奈川県立の文学館。神奈川にゆかりのある文学者とその作品、および近代日本文学に関する資料を収集・保存・公開している[1]

概要 神奈川近代文学館 神奈川県立神奈川近代文学館, 施設情報 ...
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概要

1984年、神奈川県の文学資料を収集・保存・公開する目的で開館した[1]。神奈川県が設立し、管理・運営は公益財団法人神奈川文学振興会が行っている。横浜市の「港の見える丘公園」内に所在する[1]

大衆文学、児童文学、詩歌などジャンルごとの大規模展示をはじめ、夏目漱石芥川龍之介泉鏡花から有島三兄弟、武者小路実篤川端康成太宰治三島由紀夫吉川英治山本周五郎にいたる個人作家の展示など100回以上の企画展を開催してきた[1]。近年は講演会や講座、朗読会の開催などを通じ、文学の普及活動に力を入れている[6]

資料館として立地条件に恵まれ、資料保存を担当する専門職を擁する体制がとられている[1]。2021年度末の所蔵数は図書約51万冊、雑誌約55万冊、肉筆資料(特別資料)約24万点以上で、所蔵総数は約130万点に達する[1]。資料の約85%は研究者およびその遺族からの寄贈によるもので、寄贈資料のうち貴重な資料群は「○○文庫」として一括保存されている[1]。こうした保存環境が評価され、神奈川ゆかりの作家だけでなく、井上光晴野間宏など県外出身の作家からも資料の寄贈を受けている[7]尾崎一雄文庫、中島敦文庫、大岡昇平文庫、井上靖文庫、大岡信文庫など40を超える個人文庫のほか、神奈川ゆかりの多数の作家の肉筆資料、書籍、文芸雑誌を中心とする雑誌資料を所蔵しており、研究者などによる調査・研究に利用されている[1]

所蔵資料の電算処理率は95%以上で[1]、国内の同種機関として高い水準にある。電算化されたデータをもとにした所蔵情報の公開や資料保存処理の体系化を進めており、児童文学・大衆文学資料の収集も含めた近代日本文学専門の大規模資料館として機能している。

県が主催する神奈川文化賞の選考委員会の会場としても用いられている[7]。初代名誉館長は尾崎一雄。初代館長は小田切進、前館長は辻原登、現館長は荻野アンナ[3]

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歴代理事長

公益財団法人神奈川文学振興会(旧財団法人神奈川文学振興会)歴代理事長[2]

沿革

典拠:[8][2]

  • 1979年(昭和54年)11月 - 神奈川近代文学館第1回「建設準備懇談会」開催
  • 1980年(昭和55年)4月 - 神奈川県県民部文化室において神奈川近代文学館建設準備に着手
  • 1982年(昭和57年)1月 - 財団法人神奈川文学振興会設立発起人会開催
    • 4月 - 財団法人神奈川文学振興会設立許可、第1回理事会開催
    • 6月 - 第1回評議員会開催
    • 8月 - 神奈川近代文学館建築工事に着手
  • 1984年(昭和59年)
    • 3月 - 神奈川県立神奈川近代文学館条例制定公布、建築工事竣工、文学振興会事務局文学館へ移転
    • 4月 - 神奈川近代文学館事務局発足
    • 6月 - 貸会議室の使用開始
    • 10月 - 展示室、閲覧室の開設により全面開館
  • 1992年(平成4年)11月 - 増改築工事に着手
  • 1994年(平成6年)3月 - 増改築工事竣工、神奈川県立神奈川近代文学館条例一部改正(4月施行)、神奈川近代文学館事務局を解消
    • 4月 - 神奈川近代文学館の運営を神奈川文学振興会に全面委託
    • 10月 - 展示の一般公開により全面再開館
  • 2005年(平成17年)3月 - 指定管理者制度導入に伴う神奈川近代文学館条例改正4月施行
  • 2006年(平成18年)4月 - 財団法人神奈川文学振興会が指定管理者として神奈川近代文学館の運営開始
  • 2011年(平成23年)4月 - 神奈川文学振興会が公益財団法人に移行し、指定管理者として運営を継続

施設概要

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霧笛橋の上から眺めた文学館全景(手前が本館、奥が展示館)

建物は浦辺鎮太郎(浦辺設計)が設計し、清水建設が施工した鉄筋コンクリート造である。収蔵庫は六面空調システムを採用し、内壁と外壁の間に空気層を設けることで、資料保存に最適な常温常湿環境を維持している[7]。1984年度神奈川県建築コンクール最優秀賞、第1回公共建築賞優秀賞、第4回横浜まちなみ景観賞などを受賞した[9][10]

典拠:[11]

敷地面積
  • 7,788.74m2
建設期間
  • 当初建設:1982年7月 - 1984年3月
  • 増築:1992年10月 - 1994年3月
建設費等
  • 当初建設:2,488,367千円
  • 増築分:2,031,573千円
建物面積等
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展示館前から眺めた本館閲覧室入口付近
  • 構造:鉄筋コンクリート造
  • 建築面積:1,971.6m2
  • 延床面積:7,285.3m2
    本館:地上2階・地下3階 3,135.7m2
    展示館:地上2階・地下2階 2,271.7m2
    展示館(増築分):地上1階・地下2階 1,877.9m2
設計・施工

展示館

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本館閲覧室前から展示館を望む(左は霧笛橋)
  • 2階
    • ホール・会議室:420平方メートル
    • ホール(220席):239.7平方メートル(貸会議室)
    • 中会議室(60席):89.8平方メートル(貸会議室)
    • 和室(20人):14畳(55.4平方メートル)(貸会議室)
    • 小会議室(18席):36.2平方メートル(貸会議室)
  • 1階
    • 展示室・喫茶室:732.2平方メートル
    • 展示室(1):182.0平方メートル(固定常設展示、漱石山房書斎コーナー)
    • 展示室(2):300.6平方メートル(企画展示室)
    • 展示室(3):194.6平方メートル(企画展示室、ビデオコーナー)
    • 喫茶室(34席):55.0平方メートル(軽食等)
    • ミュージアムショップ
  • 地下1階
    • 特別資料室:250.9平方メートル
  • 地下1階(増築)
    • 記念室・収蔵庫・撮影室等:899.5平方メートル
    • 記念室・収蔵庫(地下2階を含む):765.7平方メートル
  • 地下2階(増築)
    • 収蔵庫等

本館

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霧笛橋から望む本館
  • 2階
    • 事務室:168.9平方メートル
  • 1階
    • ロビー・閲覧室・事務室等:372.5平方メートル
    • ロビー(6席):152.3平方メートル(OPAC等完備)
    • 閲覧室(16席):72.2平方メートル
  • 地下1階 - 地下3階
    • 収蔵庫等:1,238.4平方メートル
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展示室

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特別展「没後70年 坂口安吾展 あちらこちら命がけ」で再現された坂口安吾の書斎。来館者は安吾のポーズをまねて記念撮影できる(2025年)[12]
  • 第1展示室 ― 常設展1「神奈川の風光と文学」
    神奈川ゆかりの25人の文学者を、その作品を中心にビジュアルに紹介する展示。
    漱石山房書斎コーナー、文学散歩地図模型などを備える。
  • 第2・第3展示室(企画展示室兼用) ― 常設展2「文学の森へ 神奈川の作家たち」
    神奈川にゆかりの深い作家たちの生涯と代表作を3部構成で交換展示する(特別展開催時は企画展示室として使用)。
    第1部「夏目漱石から萩原朔太郎まで」
    第2部「芥川龍之介から中島敦まで」
    第3部「太宰治三島由紀夫から現代まで」

特別展・企画展

要約
視点

典拠:[13][14]

さらに見る 年度, 展覧会名 ...
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収蔵資料

典拠:[16]

収蔵資料総点数(概算)は約1,326,000冊(件)である(2024年3月31日現在)。

内訳図書資料512,208冊
雑誌555,607冊
特別資料(原稿類等)248,925件
未登録資料(整理中)約9,000冊(件)

電算入力済み点数は1,290,351冊(件)である。

内訳図書資料500,705冊登録資料の97.8%
雑誌547,404冊登録資料の98.5%/タイトル数22,909誌
特別資料(原稿類等)242,242件登録資料の97.3%

収蔵資料の内訳(登録資料総数 1,316,718冊(件))

内訳寄贈割合購入割合
図書資料433,772冊84.7%78,414冊15.3%
雑誌440,782冊79.3%114,825冊20.7%
特別資料(原稿類等)243,847件98.3%4,220件1.7%
複製資料ほか858件
  • 上記の資料数には整理中の資料は含まれない。
  • 主な寄贈資料の内容、雑誌所蔵タイトル、所蔵資料検索については外部リンクを参照。
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教育普及・連携事業

特別展や常設展に加え、作家・研究者による講演会やシンポジウム、朗読会、子ども向けの読書イベントなど、多様な活動を行っている[6][7][17]

かなぶんキッズクラブ

幼児や小学生とその保護者を対象とした子ども向け事業「かなぶんキッズクラブ」を継続的に実施している。絵本の読み聞かせや紙芝居、子ども映画会などを通して、子どもたちが物語や文学に親しみ、文字・活字文化への関心を育むことを目的としたプログラムで、夏休みや春休みを中心に開催されている[17][18]。これらの活動のイメージキャラクターとして、館名の略称「かなぶん」にちなむマスコット「かなぶん」が2000年代から用いられている[19][20]

ウィキペディアとの連携「Wikipediaブンガク」

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Wikipediaブンガク7「吉田健一」の会場風景(2022年)

2018年2月から、Wikipediaブンガク実行委員会と協働し、企画展や展示に合わせてウィキペディアの記事を編集するエディタソン「Wikipediaブンガク」を継続的に開催している[21][22]。第1回と第2回は同館のみを会場として実施されたが、文献調査の利便性を高めるため、第3回以降は神奈川県立図書館と協働する形に移行した[23][24]。イベントの基本的な流れは、午前中に神奈川近代文学館で学芸員による展示解説を聞いてから企画展・常設展示を観覧し、午後に神奈川県立図書館で図書館資料を用いた文献調査とウィキペディア記事の執筆を行うというものである[23][25]。これまでに山川方夫寺山修司松本清張中島敦大岡昇平吉田健一川端康成小津安二郎安部公房[26]坂口安吾[27]などの作家をテーマとする回のほか、雑誌『新青年』を取り上げた回が実施されている[23][28][29]。各回では、作家の人物記事だけでなく、作品や作家ゆかりの施設といった関連項目も新規作成・加筆の対象となっている[28][24][30]。この取り組みは、ウィキメディア財団の助成金プログラムを活用した文学館・図書館とウィキペディアの協働事例として紹介されており、ウィキペディア記事の充実や編集者の育成、文学館・図書館の資料活用を目的とするプロジェクトとして位置づけられている[30][22][28]

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利用案内・交通アクセス

所在地

〒231-0862 横浜市中区山手町110

開館時間
  • 開館時間:9時30分 - 17時(入場は16時30分まで)[5]
休館日

月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始[5]

アクセス

周辺施設

脚注

外部リンク

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