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タラ

タラ目の科、それに属する魚の総称 ウィキペディアから

タラ
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タラ(鱈、大口魚、鰔)は、タラ目タラ科のうちタラ亜科に所属する魚類の総称。北半球の寒冷な海に分布する肉食性底生魚で、重要な水産資源となる魚を多く含む[1]

概要 100 gあたりの栄養価, エネルギー ...

日本近海では北日本沿岸にマダラスケトウダラコマイの3属3種が分布する[1]。単に「タラ」と呼んだ場合はマダラGadus macrocephalus)を指すことが多い。

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生態

温帯に分布するものや汽水域に入るものもいるが、ほとんどの種類は寒帯亜寒帯の冷たい海に分布する海水魚である。

海底の近くで生活する底生魚で、水深200メートル以深で暮らすいわゆる深海魚が多いが、季節によって生息深度を変える種類もいる。大きな群れを形成し、大規模な回遊を行うものもある[2]。背中側の体色は灰色や褐色で、水底に紛れる保護色となる。

食性は肉食性で、多毛類貝類頭足類などの無脊椎動物や他の魚類を捕食する。

産卵は冬期から早春にかけて行われる。卵は沈性卵で、砂泥の海底に産卵される。タラ類の一度の産卵数は数十万から数百万個に及び、魚類の中でも多産の部類である。親魚による卵や仔魚の保護は見られず、生残率は非常に低いと考えられる。

形態

背鰭が3つ、臀鰭は2つに分かれることがタラ亜科の大きな特徴で、タラ目の他のグループ(チゴダラ科ソコダラ科メルルーサ科など)との鑑別点の一つとなっている[3]。口が大きく、下顎にヒゲをもつ種類が多い[3]。全長は数十センチメートルを超える中・大型種が多く、最大のタイセイヨウダラは全長2メートルに達することもある[2]

第1背鰭は頭部より後方に位置し、全てのは棘条を欠く[2]。腹鰭は胸鰭よりも前方にある[2]。尾鰭の後端は截形か、あるいはやや陥凹する[3]

人間との関わり

利用

鱈亜科はほとんどの種類が重要な水産資源として利用され、底引き網延縄釣りなどで漁獲される。

身は脂肪が少なく柔らかい白身で、鱈ちりなどの鍋料理や、棒鱈などの干物照り焼きムニエルなどの焼き魚フィッシュ・アンド・チップスのような揚げ物バカラオなどの塩蔵品かまぼこおよび魚肉ソーセージなどの練製品として利用される。肝臓からは肝油を採取するほか、オイル漬けにしたものはコッドレバーとして缶詰にされる。また、スケトウダラ卵巣たらこ)、マダラ精巣、舌なども食材として用いられる。

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チャンジャ

韓国では、タラの内臓(胃など)を唐辛子漬けにして塩辛にしたものがよく食され、日本では「チャンジャ(창자[注釈 1])」と呼ばれる。近年は日本でも手軽に手に入り、朝鮮料理屋だけでなく、居酒屋のメニューとして提供されるようになり、盛んに食されるようになっている。

肉は鮮度の落ちが早く脂肪が少ない上に、古くなると独特のにおいを発する。そのため刺身等の生食は昆布締めなど傷みを遅くする処理を施すか、水揚げされる漁港周辺ですぐ食べる[4]ヨーロッパの干し鱈(バカラオ)は同地や中南米でよく使われる食材で、水で戻して調理される。ノルウェーでは、タラの舌ノルウェー語版を食材とする[5]

文化

漢字では身が雪のように白いことから「鱈」と書くが、これは和製漢字である。日本では古くから、大きな口を開けて他の生物を捕食することから「大口魚」と呼ばれていた。この和製漢字(国字)は、中国でも一般的に用いられている。なお、福建省客家語では「大口魚」はバスを意味する。

江戸時代には、腹を割かずにと内臓を取り出した塩蔵品が「新鱈」と呼ばれて、切腹を避ける縁起物として正月料理に使われた。非常に貪欲なことから、腹いっぱい食べるという意味の副詞「たらふく(鱈腹)」の語源となったと言われている[6]。一方で、「たらふく」の語源は「足(た)らい脹(ふく)くるる」すなわち「満足して(腹が)脹れる」に由来し、「鱈腹」は当て字とする説もある。

分類

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ミナミダラ。タラ亜科で唯一南半球に分布する。
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シロイトダラ Pollachius virens大西洋北東部に分布。
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タイセイヨウダラ。タラ亜科中の最大種。
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マダラ塩焼き煮付けなど様々な調理法で利用される[1]

タラ亜科は11属23種を含む[7][2]。分布の中心は北大西洋だが、一部は北極海や日本近海を含む北太平洋に生息する[1][3]。タラ科にはタラ亜科の他にカワメンタイ亜科 3属5種、ヒゲダラ亜科 3属17種、Phycinaeが属する[7]

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系統

次のような系統樹が得られている[8][9]

タラ亜科

Gadiculus

Trisopterus

Microgadus +コマイ属

Merlangius merlangus

モンツキダラ

ミナミダラ属

Pollachius

ホッキョクダラ

コオリダラ

マダラ属

脚注

参考文献

関連項目

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