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Amazonの歴史

会社のAmazonの歴史 ウィキペディアから

Amazonの歴史
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Amazonの歴史(アマゾンのれきし)では、アメリカ合衆国多国籍企業であるAmazonの歴史を記述する。

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2016年のジェフ・ベゾス。1994年にワシントン州ベルビューの自宅ガレージでAmazonを創業した

Amazonは、eコマースクラウドコンピューティングデジタルストリーミングを中心に事業を展開するアメリカの多国籍企業である。Amazonは「世界で最も影響力のある経済的・文化的勢力の一つ」と評され[1]、また世界で最も価値のあるブランドの一つともされている[2]

Amazonはジェフ・ベゾスによって、1994年7月5日にワシントン州ベルビューの自宅ガレージで創業された[3]。当初は書籍専用のオンラインマーケットプレイスであったが、その後多岐にわたる商品カテゴリへと拡大し、「すべてを揃える店」との異名を得た[4]

Amazonは複数の子会社を傘下に持ち、Amazon Web Services(クラウドコンピューティング)、Zoox自動運転車)、Kuiper Systems(衛星インターネット)、Amazon Lab126(コンピュータハードウェアの研究開発)などが含まれる。そのほかRingTwitchIMDbMGMホールディングスホールフーズ・マーケットといった事業も展開している。

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創業

Amazonは、ジェフ・ベゾスが提唱した「後悔最小化フレームワーク」に基づいて設立された。これは、自分が老後に「新興のインターネット業界に自らのスタートアップで挑戦しなかったことを後悔しないようにする」という考え方であった[5]。1994年、ベゾスはD. E. Shaw & Co.の副社長職を辞任し、ワシントン州シアトルへ移り、後にAmazon.comとなるビジネスプランの策定を始めた[6]

1994年7月5日、ベゾスは当初、会社をワシントン州で「Cadabra, Inc.」という名称で法人化した[7]。しかし数か月後、弁護士がその名称を「cadaver(死体)」と聞き間違えたことから、社名を「Amazon.com, Inc.」へと変更した[8]。ベゾスは辞書を調べて「Amazon」という名前を選び、それをインターネット事業の理念通り「エキゾチックで独特なもの」と考えた。また、アマゾン川は世界最大の河川であり、自らのストアも「世界最大の書店」にするという願望を込めた[9]。さらにアルファベット順で先頭付近に位置する「A」で始まる名前が望ましいと考えた[9]。彼はブランドの先行優位を重視しており、ある記者に「我々のビジネスモデルは時間が経てば模倣される。しかし、マクドナルドだって模倣されたが、それでも巨大な数十億ドル規模の企業を築き上げた。結局のところブランド名の力が大きい。ブランドの重要性はリアル世界以上にオンラインの方が大きい」と語っている[10]

創業当初、会社はベゾスのワシントン州ベルビュー28丁目北東通りにある自宅ガレージから運営されていた[11]

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オンライン書店と株式公開

インターネットの将来に関する報告書で「年間2300%の成長率で電子商取引が拡大する」との予測を読んだ後、ジェフ・ベゾスはオンライン販売に適した20の製品リストを作成した。その中からCD、コンピュータハードウェア、コンピュータソフト、ビデオ、書籍の5品目に絞り込み、最終的に世界的な文学需要の高さ、書籍単価の低さ、膨大な書籍タイトル数といった要因からオンライン書店を選んだ[12]。Amazonはベゾスが借りていたワシントン州ベルビューの自宅ガレージで創業された[9][13][14]。また、ベゾスの両親は創業にほぼ24万6000ドルを投資した[15][16]

1995年7月16日、Amazonはオンライン書店として開業し、世界最大の蔵書をインターネット利用者に販売した[17]。Amazon.comで最初に販売された書籍は、ダグラス・ホフスタッターの『Fluid Concepts and Creative Analogies: Computer Models of the Fundamental Mechanisms of Thought』であった[18]。営業開始から2か月間で、Amazonは全米50州と45か国以上に販売を行い、週あたりの売上は2万ドルに達した[19]。1995年10月には同社は一般向けに正式発表された[20]。1996年には、同社はデラウェア州会社法に基づいて再法人化された。1997年5月15日には普通株式を1株18ドルで公開し、NASDAQ市場に「AMZN」の銘柄コードで上場した[21]

1997年5月12日、バーンズ・アンド・ノーブルはAmazonを提訴し、Amazonが「世界最大の書店」と称したのは虚偽であり、「実際には書店ではなく書籍仲介業者に過ぎない」と主張した。この訴訟は後に法廷外で和解に至ったが、Amazonは同様の主張を続けた[22]。1998年10月16日にはウォルマートがAmazonを提訴し、同社の元役員を採用することで営業秘密を盗用したと主張した。この訴えも法廷外で解決したが、Amazonは社内規制を導入し、元ウォルマート幹部の異動を行うこととなった[22]

1999年には、Amazonは廃止されたインプリント「Weathervane」を買収し出版事業に参入しようとしたが、『ザ・ニューヨーカー』誌によれば「無計画に選ばれた」書籍を少数出版したのみで、すぐに消滅した。2014年時点のAmazonの関係者は、このインプリントについて「聞いたこともない」と述べている[23]。同年、『タイム』誌はAmazonがオンラインショッピングを普及させた功績を認め、ベゾスをパーソン・オブ・ザ・イヤーに選出した[24]

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21世紀

要約
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Amazonのトイチームの社員と黒いシャツを着たジェフ・ベゾスc.2000の夏のパーティー
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シアトルに建設された新本社ビルのDay 1ビル

2000年6月19日以降、Amazonのロゴタイプには「A」から「Z」へと伸びる曲線の矢印が採用されており、同社がAからZまであらゆる商品を扱うことを示すとともに、矢印は笑顔を象徴している[25]

当初、Amazonは4年から5年間は利益を出さないことを前提にしていた。この比較的緩やかな成長は株主から「投資を正当化するほど早く収益化できていない」「長期的に存続できないのではないか」との不満を招いた。2001年にはドットコムバブルが崩壊し多くの電子商取引企業が倒産したが、Amazonは生き残り、オンライン販売の大手へと成長を続けた。2001年第4四半期には初めて黒字を計上し、売上10億ドル超に対して1株当たり0.01ドルの利益を記録した。このわずかな利益幅は、ベゾスの型破りなビジネスモデルが成功し得ることを懐疑的な投資家に示した[26][27]

2011年、Amazonはアメリカ国内で3万人の正社員を抱えていたが、2016年末までに18万人に増加した[28]

2014年、AmazonはFire Phoneを発売。メディア配信機能を前面に出したが失敗し、1億7000万ドルの損失を計上。翌年には生産中止となった。同年8月には、ゲーム配信サービスのTwitchを9億7000万ドルで買収し、自社のゲーム事業部門に統合した。

2017年6月、Amazonは高級スーパーのホールフーズ・マーケットを134億ドルで買収すると発表した[29][30]。この買収はAmazonが店舗分野の地位を強化し、実店舗小売業界でのウォルマートの優位を脅かす動きと受け止められた。買収発表がウォルマートによるアパレル企業のBonobosの買収発表と重なったことで、さらに注目を集めた[31]。2017年8月23日にはホールフーズの株主と連邦取引委員会(FTC)が買収を承認した[32][33]

2016年9月、Amazonは人口100万人以上の都市部に第2本社(HQ2)を建設する計画を発表[34]。同年10月19日までに各都市は提案を提出する必要があり、この計画は「HQ2」と呼ばれた[35]。総投資額50億ドル、最終的には800万平方フィート規模に拡張され、最大5万人を雇用する計画であった[36]。さらに2017年には地元の慈善団体のメリーズ・プレイスに施設を寄贈し、2020年完成予定のシアトル新ビルに入居できるようにすると発表した[37]

2017年末時点で、Amazonの全世界従業員数は56万6000人を超えた[38][39]

2018年8月8日の『Bloomberg Businessweek』によれば、Amazonは同年、アメリカ小売支出の約5%(自動車・部品や外食を除く)と、アメリカオンライン支出の43.5%を占めた。さらに2018年末には米国内のオンライン支出の49%を占有すると予測され、収益の3分の2はアメリカからのものであった[40]

2018年9月、Amazonはラストマイル配送事業を開始し、メルセデス・ベンツ・スプリンターバン2万台を発注した[41][42]

2020年、Amazonのアメリカ国内小売EC売上高は3860億ドルとなり、前年から38%増加した。Amazonのマーケットプレイス売上は同社EC事業の中でも支配的な比重を占めるようになっていた。

2022年11月14日、Amazonは企業部門および技術部門を中心に1万人規模の人員削減を行うと発表した[43]。その後、2023年1月には1万8000人に拡大すると発表[44]。同年3月にはさらに9000人の削減を行うと発表し、2023年の累計削減数は2万7000人となった[45]

2023年9月25日、AmazonはAIスタートアップAnthropicと戦略的提携を発表し、最大40億ドルを投資することを明らかにした(うち即時投資は12億5000万ドル)。この契約に基づき、AnthropicはAmazon Web Services(AWS)を主要クラウドプロバイダとして利用し、AIモデルをAWS顧客に提供する[46][47]

2023年、世界各地の倉庫で100万人以上を雇用するAmazonは、業務の一部自動化を目的としたヒューマノイドロボットの実地テストを開始した。このロボットは空の箱を配置したり、新しい箱の保管場所を指し示すことが可能である[48][49]

HQ2

2018年11月、Amazonは新本社のHQ2ニューヨーククイーンズ区ロングアイランドシティ[50][51][52]およびバージニア州アーリントン郡クリスタルシティ地区に開設すると発表した[53]。しかし2019年2月14日、Amazonはクイーンズ区でのHQ2建設計画を進めないことを発表し[54]、アーリントンでのHQ2に専念することとなった。同社は2030年までに少なくとも2万5000人の従業員をHQ2に配置し、25億ドル以上を投資してクリスタルシティおよび隣接するペンタゴンシティ、ポトマックヤード(総称「ナショナルランディング」)に新本社を整備する計画である[55]。また、Amazonはバージニア工科大学と提携し、ナショナルランディングおよびその周辺におけるハイテク人材需要に対応するためのイノベーションキャンパスを設立する計画も発表した。

新型コロナウイルス

2020年3月末、スタテンアイランドの倉庫労働者が、新型コロナウイルス下における劣悪な職場環境に抗議してストライキ(ウォークアウト)を実施した。主催者の一人であるクリス・スモールズは、ほかの労働者が隔離されない中で一人だけ隔離処分となり、その後まもなく解雇された[56][57][58][59][60]

ウイルスによりオンラインショッピングが急増し、家庭用品を中心に一部の実店舗とオンラインで品不足が発生した。2020年3月17日[61]から4月10日まで[62]、Amazonの倉庫はサードパーティ販売者から必需品以外の商品を受け入れることを停止した。この需要急増に対応するため、同社は約17万5000人の倉庫労働者と配送業者を新規雇用し、臨時で時給を2ドル引き上げた[62]

MGMの買収

新型コロナウイルスの影響で映画業界全体が不振に陥り、MGMの業績悪化による買収観測が数か月にわたって続いた中、2021年5月17日、Amazonは推定90億ドルでMGMの買収交渉に入った[63]。5月26日には総額84億5000万ドルで合意に達し、規制当局の承認を条件とした買収契約が締結された。これにより、MGMの映像ライブラリーがAmazon Prime Videoに追加され、MGMはAmazon傘下でレーベルとして運営を継続することになった[64]

合併は2022年3月15日に欧州委員会が承認し、米国FTCの審査期限が切れた3月17日に正式に完了した[65][66][67][68][69][70][71][72]

同日、Amazon StudiosおよびPrime Videoの上級副社長マイク・ホプキンスは、Amazonが今後もユナイテッド・アーティスツ・リリーシング(MGMとアンナプルナ・ピクチャーズの共同配給事業)との提携を継続し、今後のMGM作品をケースバイケースで劇場公開すると発表した。また「全てのMGM従業員は自分の組織に加わる」と述べ、MGMの制作ラインナップや公開予定を変更する計画はなく、MGM作品をPrime Video専属にすることもないと明言した。これにより、007シリーズなどMGMの代表的フランチャイズの将来や制作陣には影響がないと見られた。翌3月18日には、MGMおよびAmazon Studios/Prime Videoの従業員向けに、合併後の将来像を説明するタウンホールミーティングが開催され、段階的な統合計画や臨時の報告体制が示された。ここではMGMのマイク・デ・ルカ、テレビ部門会長マーク・バーネット、COOのクリス・ブリートンがホプキンスに報告を行う体制が説明された[73][74]

しかし2022年4月27日、マイク・デ・ルカとパム・アブディの両名がMGMを退社することが発表された[75]

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Amazon Go

2018年1月22日、Amazon Goはシアトルで一般公開された[76][77]。この店舗はカメラやセンサーを用いて買い物客が棚から取った商品を検知し、自動的にAmazonアカウントに課金する仕組みを採用している。入店の際にはAmazon Goのアプリを起動し、Amazonアカウントと紐付けたスマートフォンをスキャンする必要がある[76]。この技術はレジや待機列を不要にすることを目的としている[78][79][80]

Amazon Goは2016年12月にまずAmazonの社員向けに開業した[81][82][83]。2018年末までに、Amazonはシアトル、シカゴサンフランシスコ、ニューヨークに合計8店舗を展開した[84]。2024年8月時点で、Amazon Goの店舗数はニューヨーク州、カリフォルニア州、ワシントン州、イリノイ州に23店舗となっている。

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Amazon 4-Star

Amazonは2018年9月27日、ニューヨーク市ソーホー地区のスプリング・ストリート(クロスビー通りとラファイエット通りの間)にAmazon 4-starを初出店すると発表した。この店舗ではニューヨーク周辺で評価4つ星以上を獲得した製品を取り扱っている[85]。Amazonのウェブサイト上で高評価・高需要・購入頻度が高い・ウィッシュリストで人気の高い商品が選ばれ、新店舗ではカテゴリー別に販売される。商品棚には紙の値札と併せて、購入前に閲覧できるオンラインレビューの紹介カードも掲示されている[86][87]

2021年後半にはAmazonはイギリスに2店舗の4-starストアを開業した。ケント州ブルーウォーター・ショッピングセンターに10月に1号店を、ウェストフィールド・ロンドンに11月に2号店をオープンした[88]

しかし2022年3月、Amazonはアメリカとイギリスに展開していた全ての4-starストアを閉鎖すると発表した。これは書店やポップアップストアとともに68店舗が対象であり、今後は食料品とファッション分野の店舗へ重点を移すとした[89]

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合併と買収

Amazonは数々の合併・買収を通じて成長してきた。また、同社はアメリカ国内外の成長企業にも投資を行っている[90][91]

2014年、Amazonはトップレベルドメイン「.buy」を競売で400万ドル以上で落札した[92][93]

同社は幅広いサービスや製品を提供するブランドへの投資も行っており、その中にはRuby on Railsを基盤としたPaaS企業のEngine Yard[94]や、地域特化型ディールサイトのLivingSocialが含まれる[95]

年表

概要

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詳細な年表

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脚注

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