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クワ科

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クワ科
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クワ科学名:Moraceae)は、バラ目に属する被子植物の一つ。約40、1000以上(半分以上がイチジク属)あり、特に熱帯亜熱帯に多い。

概要 クワ科, 分類 ...
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形態

木本または一部草本で、よく知られる種ではクワイチジク、熱帯果樹のパンノキパラミツ(ジャックフルーツ)、観葉植物にされるインドゴムノキガジュマルなどがある。は小さい単性花で、穂状花序または頭状花序を作り、果実は集合果となるものが多い。特にイチジク属は特徴的な壷状の花序(隠頭花序)を作り、全体が1個の果実のように見える。

生態

人間との関わり

要約
視点

木材

熱帯アフリカ産のミリキア属の2種(特にミリキア・エクスケルサ Milicia excelsaシノニム: Chlorophora excelsa)はイロコの名で知られ、船舶・橋・車両・建築・床・つき板・桶といった様々な用途に用いられる耐久性の大きな材が得られる[1]。また中南米産のBrosimum属のスネークウッドBrosimum guianense、シノニム: Piratinera guianensis)は褐色の地に黒色の斑模様を持つことが特徴でステッキバイオリンといったものに用いられ[1]、同属のムイラピランガBrosimum rubescens、シノニム: B. paraense)は濃赤色の材でサティーネブラッドウッドの名でも知られ、象嵌細工等に用いられる[1][2]

食用

果実を食用として利用できる種が多い。日本で最も流通し有名なものはイチジクである。クワ属の実も一般に食用にでき、世界各地で食用にされる。日本でも養蚕地や山間地では子供のおやつなどとしてよく食べられていたという。ほかの種は熱帯のものが多く日本ではあまりなじみがない。

薬用・毒

クワは樹皮、葉、果実などがそれぞれ漢方の薬となっている。

東南アジアやアフリカに分布するウパスノキAntiaris toxicaria)の樹液は強心配糖体であるアンチアリンを含み、特に東南アジアでは矢毒に使うこともある。昔描かれた絵にはこの機の周りには草も生えないというものがある。矢毒の原料になる植物はキンポウゲ科キョウチクトウ科ツヅラフジ科マチン科トウダイグサ科などある程度地域によって決まっていることが知られており、特に東南アジアの民族はこの樹から作られた矢毒を使うことが毒矢文化における特徴とされることがある。

飼料

クワ属の葉はカイコBombyx mori)という蛾の幼虫の餌として利用される。カイコは家畜化された昆虫であり、脚の力が弱く自力で木に登り葉を食べることができないので、人が葉を毟って飼育場に敷き詰めてやる必要がある。このため養蚕地のクワの樹は人が葉を採取しやすいように台刈萌芽で低く仕立てられた独特の樹形になっていることが多い。カイコの幼虫はクワの葉を食べて成長すると、繭を作り変態する。糸を取る場合はここで繭を茹でてから糸を取り出す。極細い繭糸数十本をより合わせて生糸にし、さらに生糸をアルカリ処理などをしたものをと呼ぶ。繭の中のカイコの蛹は茹でられたときに死んでしまうので、魚や家畜の飼料としたり人が食べたりした。カイコの蛹を食べる文化は日本の長野県をはじめ、アジア各地でみられる。

繊維

本科のコウゾ属の繊維は和紙の原料の一つであり、樹皮から繊維を取って利用する。コウゾから取れる繊維は木綿 (ゆう)太布と呼ばれ布としても利用される。海外でも同じような製品があり、南太平洋のポリネシアなどで作られる布はタパ(tapa)と呼ばれる。

観賞

イチジク属ガジュマル、ゴムノキ類(ベンジャミン含む)、フィカス・プミラ観葉植物として[3]ドルステニア属Dorstenia)の数種は塊茎植物(コーデックス)として栽培され、流通する[4]

分類

要約
視点

かつてはアサ科アサホップ、カナムグラなど)も含めていたが、現在は別の科とすることが多い。クロンキスト体系ではイラクサ目とし、APG植物分類体系ではイラクサ科、アサ科などとともにバラ目に入れている。

下位分類

6に分類される[5]

パンノキ連 tribe Artocarpeae

  • パンノキ属 Artocarpus
50種から60種程度含み、パンノキなど果実を食用にできるものが多い。形態学的特徴によって2亜属~4亜属に分けられる。
  • Batocarpus
和名未定の属である。3~4種が中南米に知られる。
  • Clarisia
和名未定の属である。中南米に3種が知られる。
  • Hullettia
和名未定の属である。
  • Parartocarpus
和名未定の属である。南太平洋に2種が知られる。
  • Prainea - 4種
和名未定の属である。
  • Treculia - 3種
和名未定の属である。アフリカ大陸やマダガスカルに3種が知られる。T. africanaは「アフリカパンノキ」と呼ばれ、種子を食用とする。

クワ連 tribe Moreae

  • Bagassa - 1種
和名未定の属。南米の熱帯雨林に分布するBagassa guianensis(和名未定)一種だけが知られる単型の属である。B. guianensisは樹高45m、胸高直径2mに達する大型種で雌雄異株。ゴムが取れるという。
和名は学名をそのまま読んだもので仮称。アフリカに分布する2種からなる属。
  • Sorocea
和名未定の属。南米に15種程度が知られる。
  • Streblus
和名未定の属。インドからニュージーランドに至る地域に25種ほどが知られる。各地で多彩な名前を持ち親しまれている。
  • Trophis
和名未定の属。南米を中心に東南アジアやオーストラリアにも分布し合計10種程度が知られるつる植物。遺伝子解析の結果多系統群とされ今後分類が変わる可能性が大きい。

ハリグワ連 tribe Maclureae

ハリグワ属一属だけからなる単型の連である。

    • ハリグワ属 (学名 Maclura)(Cudrania属を含む)ハリグワ属 - ハリグワなど11種

tribe Dorstenieae

和名未定の連である。

  • クワクサ属Fatoua
クワ科では珍しい草本の属である。3種が知られる。
カジノキコウゾなど10-11種
メキシコから熱帯アメリカにかけて15種が分布する[6]
熱帯産の多年生草本(ただしソマリア以外では低木も見られる)120種からなる属[6]イチジク属を裏返したような独特の形状の花序を付ける。
  • Hijmania M.D.M.Vianna
2016年に Marcelo Dias Machado Vianna Filho が従来ドルステニア属であったアフリカ産の4種を新属としたもの(正確には2013年の段階で Maria という属名としたものの、それが既存の化石種と被っていて非合法名であることが判明したために分類名が再検討されたもの)[8]

イチジク連 tribe Ficeae

イチジク属一属だけからなる単型の連である。

イチジクインドゴムノキガジュマルイヌビワイタビカズラなど750種

tribe Castilleae

和名未定の連

和名未定の属。南インドスリランカ中国南部からマレー群島区系西部および中央部にかけて分布するウパスノキ[1] Antiaris toxicaria (J.F.Gmel.) Lesch. 1種だけが知られる単型の属である[6]。雌雄同株で樹高は25m-40mになるという。樹液は強心配糖体を含み矢毒に使われるほか、木材は合板、樹皮に含まれるタンニンは染料、繊維は衣服、果実は無毒で食用と幅広く使われる樹種である。このため各地で親しまれており多彩な現地名を持つ。
コスタリカから熱帯アメリカ南部にかけて分布する8種からなる属[6]

系統

次のような系統樹が得られている[5]

クワ科

パンノキ連

クワ連

ハリグワ連

Dorstenieae

イチジク連

Castilleae

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脚注

関連項目

外部リンク

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