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OSC-DIS
THE MAD CAPSULE MARKETSのアルバム ウィキペディアから
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『OSC-DIS (OSCILLATOR IN DISTORTION)』(オーエスシー・ディーアイエス - オシレーター・イン・ディストーション)は、日本のロックバンドであるTHE MAD CAPSULE MARKETSの8枚目のアルバム。
前作『DIGIDOGHEADLOCK』(1997年)よりおよそ2年振りとなるアルバムであり、1999年8月25日にスピードスター・レコードよりリリースされた。作詞はKYONOとTAKESHI UEDA(上田剛士)によって単独あるいは共作にて行われ、作曲はほぼ全曲が上田が担当しており、一部の曲ではKYONOおよびTHE MAD CAPSULE MARKETSとしての共作となっている他、プロデューサーのクレジットはTHE MAD CAPSULE MARKETSとなっている。
レコーディングは同年に河口湖スタジオにて行われ、前作で一定の成果を収めた打ち込みによるデジタルサウンドと生演奏の同期をさらに追求しており、メンバーは本作を以って「また一つ違うバンドになった」(上田)、「これは完全に名作だよね」 (KYONO) と完成度の高さと革新性を自認する事となった。
先行シングルとしてリリースされた「MIDI SURF」はアレンジを変更して収録している他、同じく先行シングルであった「| ̄|_ (PULSE)」、後にシングルカットとしてリリースされた「GOOD GIRL〜Dedicated to bride 20 years after」、イギリスのみでシングルカットされた「TRIBE」を収録している。また、これらの曲のミュージック・ビデオを収めたビデオ『OSC-DIS VIDEO』が後にリリースされている。本作を受けてのライブツアーは同年には開催されず、翌2000年に「OSC-DIS 2000 TOUR」として26都市全32公演が開催された。
オリコンチャートでは最高位9位となった他、イギリスのロック専門誌である『ケラング!』にて最高得点である5点を獲得、さらにブックオフオンラインの「邦楽名盤100選」に選定された。
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背景
アルバム『DIGIDOGHEADLOCK』(1997年)リリース後、同年10月にはヘルメットの来日公演にて共演を果たし、10月2日より全国ツアー「DIGIDOGHEADLOCK TOUR」を開始、全17公演を実施する。11月21日には9枚目、10枚目のシングルとして「CRASH POW」と「CREATURE」を同時リリースする。
1998年に入り、全国ツアー「DIGIDOGHEADLOCK TOUR'98」を敢行し、7月26日には2回目となる主催イベント「MAD HOUSE」を実施、さらに 7月28日には3回目の「MAD HOUSE」を実施する。
8月28日にはアルバムを想定していない段階でのシングルとして「MIDI SURF」を単独でリリース、この作品には初回特典としてジャケットのポチカーを模したチョロQが付属しており、以後のシングルでも度々特典が付属されていくこととなった。
10月には前作『DIGIDOGHEADLOCK』をアメリカ合衆国にてインディーズレーベルからリリース、その後アメリカ西海岸にてショートツアーを全7公演実施する。10月8日にはクラブチッタ川崎にてピッチシフターの来日公演にゲスト参加する。また、この頃は「SYSTEMATIC.」や「CRASH POW」などの曲が企画物のコンピレーションアルバムに収録されている。
1999年に入り、2月12日には大阪ハートビートにてフィア・ファクトリーの来日公演にて共演し、7月28日には12枚目となるシングル「| ̄|_ (PULSE)」をリリースする。なお、同シングルよりバンド名の「THE MAD CAPSULE MARKET'S」の「'」(アポストロフィー)がなくなり、「THE MAD CAPSULE MARKETS」が正式名称となった。
7月31日には初の韓国公演となる「Triport Rock Festival」に参加する。当時の事を上田剛士は、「ウチらのアルバムって韓国で出てなかったじゃん。まだ日本語禁止の時代だったし。でも、そこにいる人達がすごく俺らを待ってくれてて。NHKか何かが来てて調査したら、半数が俺らを楽しみにしてるって言ってるって。だからみんな海賊盤を持ってたんだよね。みんな曲知ってるんだもん。『4 PLUGS』とか『DIGIDOGHEADLOCK』とかね」、「(ライブの出来としては)よかった。興奮度で言ったら今までで3本指に入るぐらいだった」と語っている[1]。その他にもメンバーは当日のライブでは警備が軍隊であった事などを語り、上田は「ちゃんとしたCDは出てないし、国としては距離を置こうとしてるんだけど、でもそんなもの俺らのレベルでは関係ない、やっぱりちゃんと伝わってるんだなって。うん、だからすごくいい思い出だな」と語っている[1]。
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録音
本作では初めてハードディスクレコーディングを導入している[2]。理由としては、普通のレコーディングでは時間が溢れてしまい、プロトゥールスに懐疑的であった上田だが、とりあえず使用してみたところ、レコーディングが自分達のものになったという[2]。上田は「それまでスタジオのエンジニアの人にしかわかんなかったものが、コンピュータの中でやれることによって、すごく自分らが使えるツールになった。俺、卓録で曲作ってたから、手元にそれがあるっていうのはものすごい重要なことだったんだよね」、「それまではやっぱり『所詮コンピュータでしょ?』みたいなのがあったんだけど、あの時初めてこれはちゃんとしたレベルで使えるって思った」と語り、宮上元克は「俺達にすごい合ってるレコーディング・システムだなって思った。最初はしょうがなくだったんだけど、やってみたらすごい俺達向きだなって思った」と語っている[2]。
音楽性
基本的には前作を踏襲しているが、よりデジタルな音色が前面に押し出され、それまでのパンク・メタル・テクノのミクスチャー的要素を元に、ハードコアテクノ+ロックといった趣向になっている。さらに、前作に比べ日本語詞の曲が増えている。
本作に関し上田は、「自分の中では『SYSTEMATIC.』を作ったことがすごく強いんだよね。あれで初めて自分ら、MAD CAPSULE MARKETSと機械(打ち込み)を同期させるっていう実験をしてみて、それですごい納得いくものができたから。で、あの時は1曲単位だったんだけど、それを今度はアルバム単位でやり出したのが『OSC-DIS』。そこでまた新しい自分達のスタイルを見つけられた時期だった。音圧とか気にし出したのもこの時期だよね」と語り、さらに「ある意味、今の俺らの1stだよね。あそこでまた一つ違うバンドになった」と語っている[2]。
宮上は、「自分的には同期ものっていうのはすごいチャレンジしがいがあるものだったから、単純に面白いなって思えたし。やってみたら全然機械的になっちゃうんじゃなくて、機械は機械のグルーヴ出して、俺は俺でそれに上手く絡めて。それですげえ達成感があった。音はパンチがあるし楽曲はいいし、だから俺はこれで『DIGIDOGHEADLOCK』のストレスが一気になくなった」と語っている[2]。
リリース
1999年8月25日にスピードスター・レコードよりリリースされた。初回限定版はデジパック仕様でリリースされた。
2000年1月21日にはCD盤と同曲が収録されたLP盤もリリースされている。
さらに、2001年にはアメリカ合衆国とヨーロッパでリリースされ、アメリカ版では「| ̄|_ (PULSE)」のミュージック・ビデオが収録されたDVDが付属されている。さらに、2002年にアメリカ合衆国でリリースされた際には、DVD『OSC-DIS VIDEO』(2001年)に収録されたミュージック・ビデオがすべて収録されたDVDが付属された。
プロモーション
本作収録曲の内、「TRIBE」、「| ̄|_ (PULSE)」、「ALL THE TIME IN SUNNY BEACH」、「GOOD GIRL〜Dedicated to bride 20 years after」、「MIDI SURF」の5曲のミュージック・ビデオが制作されている。これらの映像は2000年1月21日に『OSC-DIS VIDEO』としてVHSでリリースされた。また、2002年1月23日にDVDとして再リリースされ、その際に「SYSTEMATIC.」のミュージック・ビデオがボーナストラックとして追加された。
また、本作収録曲の内「GOOD GIRL〜Dedicated to bride 20 years after」がアサヒ飲料「SWITCH」のコマーシャルソングとして使用され、同バンドにとって初のCMタイアップとなった。
アートワーク
本作のアートワークは前作に続き土井宏明が担当している。デザインは和田亨、コンピュータグラフィックはオカモトケンジが担当している。
本作のジャケットはシングル「| ̄|_ (PULSE)」のミュージック・ビデオに登場していたメンバー3人が戦闘スーツを着用した姿となっており、歌詞カードにはミュージック・ビデオで使用された敵基地の通路のコンピュータグラフィックが描かれている他、内ジャケットでは敵となるデストロイダーの姿やメンバーが使用していた銃器が描かれている。
裏ジャケットはデストロイダーの3人が銃を構えている構図になっているが、これは後に日本国外でのみリリースされたシングル「TRIBE」(2002年)のジャケットとしても使用されている。
また、初回限定版のデジパック仕様では、ジャケットを開くと左から「M・A・D」と大きく文字が描かれたデザインとなっている。
ツアー
本作リリース後すぐにはツアーは行われず、1999年はイベントライブに数回参加するのみとなっている。
2000年に入り、1月21日のクラブチッタ川崎を皮切りに、6月25日の熊谷VOGUEまで、全国ツアー「OSC-DIS 2000 TOUR」が全26都市32公演実施されている。このツアーは、同バンドにとって最も長い期間のライブツアーとなった。
本ツアーの映像は、2000年3月25日のZEPP TOKYO公演での「神歌」のみが、DVD『020120』(2002年)のボーナストラックとして収録されている。
批評
- 音楽情報サイト『CDジャーナル』では、爆音によって理性が吹き飛ぶ程の衝撃があると述べた上で、「カラダはもっともっとと音を求め続ける」と肯定的に評価されている[4]。
- 音楽情報サイト『ローチケHMV』では、「99年リリースの最高傑作」と本作を位置付けており、「デジタル化されたミクスチャーサウンドと、奇跡の融合を果たした初期パンク/ハードコア・サウンド」と本作の革新性を高く評価、さらに「どこをとっても完璧にビルドアップと攻撃性を兼ね備えた強力アルバム」と完成度に関して肯定的に評価している[5]。
- ブックオフオンラインの「邦楽名盤100選」に選定された[6]。
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収録曲
一覧
曲解説
- TRIBE
- PVが制作されている。
- OUT/DEFINITION
- | ̄|_ (PULSE)
- 先行シングル。タイトルは記号になっており、矩形波を表している。また、全編CGによるPVも制作されている。
- MULTIPLIES
- MOB TRACK
- ALL THE TIME IN SUNNY BEACH
- ISLAND
- RESTART!
- JAG
- シングル「| ̄|_ (PULSE)」のカップリング曲。シングルとはバージョンが異なる。
- STEP INTO YOURSELF
- GOOD GIRL〜Dedicated to bride 20 years after
- MOTOKATSU(ドラムス)の娘が誕生した際にTAKESHI(ベース)が作って捧げた楽曲。元サッカー日本代表選手中田英寿が出演したアサヒ飲料「SWITCH(スウィッチ)」のCMに使用された。後にシングルカットもされ、PVも制作された(前後に出てくる小さい女の子が実際のMOTOKATSUの娘である)。シングルバージョンはアルバムとは異なり、イントロの少女のセリフがなくなり、また最後のセリフも削除された。
- MIDI SURF
- 前年にリリースされたシングル曲。スケートボードをモチーフにしたPVも制作されている。
スタッフ・クレジット
要約
視点
THE MAD CAPSULE MARKETS
- KYONO - ボーカル
- TAKESHI UEDA- ベース、プログラミング、ボーカル
- MOTOKATSU MIYAGAMI - ドラムス、プログラミング
参加ミュージシャン
- TORU××× - (THE STAR CLUB, L.O.T) - ギター、バッキング・ボーカル
- 草間敬 (KURID INT'L) - プログラミング
- HIROSUKE (BALZAC) - コーラス(6曲目)
- 遠藤憲昭 - コーラス(8曲目)
- YAMADA (GERONIMO) - コーラス(4曲目)
スタッフ
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リリース履歴
脚注
参考文献
外部リンク
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