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QGIS
オープンソースのデスクトップ地理情報システムソフトウェア ウィキペディアから
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QGIS(キュージーアイエス、旧称:Quantum GIS)は、地理空間情報データの閲覧、編集、分析機能を有するクロスプラットフォームのオープンソースソフトウェア・GISソフトである。
無料でありながら、有料・高額なGISソフト(代表的なものはArcGIS)に近い機能・操作性を備えており、機能の追加も無料のプラグインで行うことができる。
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バージョン
要約
視点
2.0での主な変更点
- 2.0はメジャーバージョンアップで、直近の旧バージョン1.8とは相違点が多くなっている。
- 古い部分(エンジン)部分を排除して、将来性のある新エンジンに変更した。
- PythonプラグインのAPIを大きく変更[2]した。
- 作業環境保存場所などを変更した。[3]
バージョン2.0から作業環境の保存場所[注釈 1]や設定ファイルの名称が変更された。(2.0から、作業環境に保存されるPythonプラグインのAPIが大きく変更されるなど、互換性が失われたことから、2.0と1.8を同時に実行出来るようにするため。)
3.0での主な変更点
QGIS 2.xでは、Qt4/PyQt4およびPython 2.7を利用していたが、2016年当時、これらは近々サポートが終了することが決定していたためQGIS 3.0へのメジャーバージョンアップが計画された[4]。
- APIが刷新され、QGIS 2.xと互換性が失われた[5]。
- APIの変更とともに、Python 2とPython 3間で一部文法等に互換性がないため、多くのプラグインに修正が必要となった。
バージョン・Release history
- 1.0以降の状態
リリースサイクルとサポート期間
バージョン2.0以降、偶数のバージョン番号(2.18、3.2等)はリリースバージョン、奇数のバージョン番号(2.99、3.1等)は開発バージョンを表している。新規バージョンの公開は4ヶ月ごとに予定されており、おおむね2月、6月、10月に実施されている。また毎月ポイントリリースが行われている[8]。
通常のサポート期間は次のバージョンが公開されるまでの約4ヶ月間である。ただし毎月10月頃に公開されるバージョンは、最初の4ヶ月は最新版として扱われるが、翌年2月頃に次のバージョンが公開されると同時に長期リリース版(LTR; Long Term Release)として扱われ、次のLTRが採用されるまでの1年間(合計1年4ヶ月間)サポートの対象になる[8]。
またバージョン3.20から、リリース番号が".0"のパッケージをリリース候補版として広くフィードバックを募る位置付けに変更された[9]。バージョン番号に対し、たとえば3.20.0 RCと表記されるほか、起動時に表示されるスプラッシュ画像に"release candidate"と付記される。
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インストール方法
要約
視点
Windows
公式サイトからWindows用のインストーラをダウンロードすることができるが、2種類のインストーラが用意されている[10]。
ネットワークインストーラ
ネットワークインストーラとは、QGISをはじめとした地理空間情報に関するFOSSツール(FOSS4G)を、Windows環境へ容易に導入することを目的としたプロジェクトであるOSGeo4Wのパッケージ管理ツールである。
ネットワークインストーラからQGIS本体やQGISが必要とするPython、GDALなどのライブラリを選択しインストールを行うことができるほか、インストール済みのパッケージをアップデートすることできる。ただし、必要なパッケージがインストールされていない場合やインストールされている各パッケージ間のバージョンの不整合により不具合が生じる可能性がある。
個別にインストールするパッケージを指定する方法のほか、"Express Install"としてQGIS最新版あるいはLTR版で必要な一連のパッケージをまとめてインストールすることもできる。
スタンドアロンインストーラ
一般的なソフトウェアと同様、インストーラをダウンロードし実行することで必要なファイルのインストールを行うことができるため、新規ユーザに推奨とされている[10]。またGRASS GISやSAGA GISのGUIプログラムも同梱され、同時にインストールされる。
バージョンによりインストールされるフォルダが異なるため、複数の異なるバージョンを使い分けることもできる。ただしPROJ 8などが含まれる[10][注釈 3]ためインストーラのファイル容量が肥大化しているが、都度ダウンロードを行う必要がある。
含まれているパッケージはOSGeo4Wプロジェクトによるものである。また同時にインストールされるOSGeo4Wのパッケージ管理ツール(Setup.exe)を用いて、任意のパッケージのアップデートや他のパッケージのインストールも可能である。
macOS
公式サイトからmacOS用のインストーラをダウンロードすることができる[10]。
かつては準公式インストーラとしてkyngchaos.comによるビルドが案内されていたが、QGIS 3.0.1 / QGIS 2.18.18 LTRから公式によるビルドが提供されるようになった[11]。
Linux / BSD
ソースからインストールすることも可能であるが、APTやDNF、Flatpakなどのパッケージ管理システムを利用してインストールすることができる[12]。
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製作言語
C++で書かれており、C++やPythonの拡張に対応している。Qtの拡張が使える他[13] 、Qtを用いているGEOSやSQLite、GDAL、GRASS GIS、PostGIS、PostgreSQLの連携にも対応している[14]。
macOS、Linux、UNIX、Microsoft WindowsのOSにて動作し、macOSでの動作はX Window Systemを使用せず、ユーザインタフェースがより華麗で速く動く。GRASS GISのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)も使用できる。他の商用GISソフトウェアに比べファイルサイズが少ないことから、RAMや使用電力を抑えられる[要出典]。
ボランティアによる開発グループにより定期的なアップデートやバグフィックスが行われており、2012年には48言語に翻訳され、世界各国の教育機関や職場にて利用されている。
ライセンス
GNU GPLで頒布されており、利用者が使用目的に合わせて自由に修正することができる。例えば、利用目的にあわせレイヤの作成、地物の追加・編集、属性情報の閲覧・編集に特化したインタフェースとすることも可能である。またQGISのソースを利用し、モバイル・タブレットで扱えるフィールドワーク用アプリも存在する[15]。
データフォーマット
要約
視点
地理空間情報データ
ラスタ形式およびベクタ形式の入出力や変換が可能なGDAL/OGRや、メッシュ形式[注釈 4]を扱うためのMDAL、点群データ形式を扱うためのPDALといったライブラリを内部で利用しているため、非常に多種多様なデータ形式を取り扱うことができる。
プロジェクトファイル
QGISでは、読み込んだレイヤのデータソースの場所(ファイルパス、URL)、地図としての表示・印刷の設定(地図の表示範囲、色付け・シンボルの形・大きさなどのレイヤの表示方法、レイヤの重ね合わせ順序、凡例、方位記号など)をまとめてプロジェクトと呼び、プロジェクトをファイルとして保存したものをプロジェクトファイル(拡張子 ".qgs"、".qgz")と呼ぶ。
QGS形式のプロジェクトファイルはXMLに準拠した形式であるため、テキストエディタで開き、中身を編集することも可能である。またQGS形式およびSVG形式のシンボル画像などの補助ファイルをZIP圧縮したQGZ形式がQGIS 3.0でサポートされ[16]、QGIS 3.2から新規保存時のデフォルトとなった[19]。
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座標参照系
地図投影法および測地系の変換を行うライブラリであるPROJを利用しており、多くの地理座標系に対応し、また相互変換が可能である。 このことにより、複数のレイヤの座標系が異なる場合でも重ね合わせを行うことができ、また主題図を任意の投影法で作成することができる。
測地系
日本において主に用いられる測地系として下記が存在する。
- 局所測地系
- 全地球的測地系(世界測地系)
- 世界測地系1984(WGS84):GPSで採用されている。
- 日本測地系2000(JGD2000):1997年時点の測地成果に基づき、2002年の測量法改定より使用された。
- 日本測地系2011(JGD2011):東北地方太平洋沖地震をうけ、東日本においては2011年5月24日時点の測量成果、北海道および西日本においては従来の1997年時点の測量成果を用いた測地系。
地震や地殻変動などにより時間の経過に伴い各地点で不均一に変化しているため、測地系変換を正確に行うためには各地点の変化量をまとめたパラメータファイルが必要となる。日本測地系に関するパラメータファイルはQGISやPROJには用意されていない[注釈 6]ため、たとえば旧日本測地系から日本測地系2000への変換は原点および基準楕円体の差による平均的な変換に留まる。
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機能
PostGISやGRASS GIS、MapServerを含む外部のオープンソースGIS拡張機能を統合することができる[13]。
プラグイン
- Python言語で書かれたプラグインにより拡張機能が使用できる。
- その中にはGoogle Geocoding APIを用いたジオコードやArcGISに標準採用された機能に似たジオプロセスツール、PostgreSQLやMySQLのインターフェース、Mapnikによる地図表示機能などがある。
QGISに類似するソフト、連携できるソフト
- MANDARA(無料GISソフト)
日本の人文地理学者谷謙二(埼玉大学教育学部准教授)が開発しているGISソフト。「地理情報分析支援システム」と説明。
- Google Earth(3D表示可能なGISソフト)
パソコンにソフトウェアをインストールしておく必要がある。
- Google Maps(衛星画像や地図など切り替えが可能な地図ソフト)
KMLを使いブラウザで見ることが出来る。QGISではプラグインを使って、1つのレイヤーとして取り扱える。このほか他社の地図データも同様に扱え、高価なArcGISよりも選択肢が広い。
QGIS プログラミング
開発関係
QGIS ユーザー情報、バグ報告
QGISはオープンソースソフトウェアであるため、他の有償ソフトと同様のサポートは存在しないが、コミュニティによる質問の場などが存在する。
- バグ報告、機能要望など
- 公式リポジトリのissues(英語)
- メーリングリスト
- QGIS User DiscussionList(英語)
- OSGeoJapan-discuss(日本語) - QGISを含めFOSS4Gツール全般に関する
- フォーラム
- QGIS初心者質問グループ(日本語) - 有志による質問掲示板
また有償で導入、研修、技術サポート、プラグイン開発などを請け負う企業も存在する[20]。
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脚注
関連項目
外部リンク
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