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Shade (ソフトウェア)

3DCGソフトウェア ウィキペディアから

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Shade 3D(シェード スリーディー)は、フォーラムエイトが開発するmacOSおよびWindows用の統合型3DCGソフトウェア

かつてはエクス・ツールス(2003年まで)、イーフロンティア(2013年まで)、Shade3D社(2018年まで)で開発された。

特徴

要約
視点

1986年の製品化以来30年以上の歴史を持つ。特に専門分野は設定されていないオールインワンソフトウェアであるが、しばしば建築パース制作、イラストレーション制作、教育機関での導入事例が取り上げられる。2004年時点でユーザ数は30万人超であり、そのほとんどが日本市場におけるものであった[1]。2014年10月、イーフロンティアはアクティブユーザー数が19万人居ると発表した[2]

姉妹ソフトウェアとして3D住宅デザインソフト『Shade ドリームハウス』(Shade Home Designから改称)、ならびに『機動戦士ガンダム』を題材にした『ガンダムバーチャルモデラー プロ』(発売元はバンダイ)が存在する。Shade ドリームハウスはShadeのような統合型3DCGソフトウェアではなく、Windows版のみであるが、互換性のあるファイルをやりとりできる。バーチャルモデラーはデフォルトで用意されているメカニックモデルにポーズを付けて1枚のCGを作るもので、形状の変更や新規作成の機能は省略されていたが、データに互換性があるためShadeでも扱うことが可能であった。

モデリングの特徴

竹ひご細工のように3次元空間上で複数のベジェ曲線を接続してモデリングする「自由曲面」と呼ばれるモデリング方法が特徴的である。自由曲面は多様な曲率の滑らかな曲面を少ないコントロールポイントで作成できるため、機械や建築物といった幾何学的形状のモデリングに適しており、またベジェ曲線がベースであるため、Illustratorなどのドローソフトに慣れた人にとっては親しみやすい。その一方で、自由曲面はベジェ曲線への慣れが必要であり、多くのスプライン曲面と同様にメッシュ構造が格子状に限定され、また人体のような有機的形状のモデリングにおいて、ベジェ曲線の接線ハンドル同士が干渉してしわが発生しやすい短所がある。

過去にはこのような有機的形状での問題に対処する方法は少なかったが、バージョンを重ねるにつれ、メタボールポリゴンメッシュのサブディビジョンサーフェス(細分割曲面)や面の押し出しなどの機能が強化され、幾何学的形状には自由曲面、有機的形状にはポリゴンメッシュやメタボールといった使い分けができるようになっている。

また、Ver.17からはNURBSモデリング機能が搭載され、3DCADのようなモデリングが可能になっている。

レンダリングの特徴

グレードによってレンダリング可能な最大サイズが制限されているものの、廉価な下位グレードでもパストレーシングフォトンマッピングラジオシティといった写実的な照明計算を行う大域照明に対応している。開発元イーフロンティアの園田浩二によれば、Shadeは従来より静止画制作での利用が主であるため、標準設定で高品質なレンダリング結果を得られるよう調整されていた[3]。高画質志向の代償として時間がかかる傾向があったが、Shade 9以降では計算を間引いて高速化するイラディアンスキャッシュ機能を搭載、バージョンごとに最適化が重ねられている[4]

トゥーンレンダリング立体視ビューカメラのような光軸調整によるあおり補正といった特殊なレンダリングにも対応する。

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歴史

要約
視点

開発の歴史

Shadeシリーズが初めて製品化されたのは1986年に発売されたPC-9800シリーズ用の『Shade PRO』である。1990年に改めてMacintosh用のソフトウェアとして『Shade III』が発売された後、1997年の機能限定版『Shade debut(シェード・デビュ)』を皮切りにWindows版が発売され、現在ではMacintosh版・Windows版が同時リリースされている。一時期Linux版の開発も試験的に行われていたが、中止された。

2003年までは、福岡に本社があったエクス・ツールスが開発・販売を行っていたが、同社が経営破綻したため、権利を譲渡されたイーフロンティアが開発・販売を継いだ。[5]開発会社変更後の最初のメジャーバージョンアップとなったShade 7では、予定されていた新機能の搭載がいくつか見送られ、Shade 6に存在した機能が削減されたこともあった[3]。2003年にイーフロンティアは3D人体制作ソフトウェア『Poser』の開発・発売を手がける米Curious Labs Inc.(現e frontier America Inc.)を買収し、PoserとShadeとのソフトウェア上での連携(PoserFusion)を実現すると共に、Shadeの日本国外での発売元としたが、2007年にPoserの所有権は米Smith Micro Softwareに譲渡された[6]。また、2006年にイーフロンティアは仏Eovia Europeのモデリングソフトウェア『Amapi』を買収し、AmapiとShadeの連携を図ると発表したが、この計画は事実上頓挫した。2008年には建築CADメーカー10社と共同で、Shadeの技術を基にした部品データ向けのSPEEDフォーマットを発表。2009年には米Mirye Softwareから英語版Shadeの全世界販売を開始した。

初期の開発はほぼ時枝敏也1人によって行われた[7]。開発会社の変更や、チーム開発体制へ移行した後も、時枝はエグゼクティブチーフプログラマ、チーフエンジニアとしてShadeの開発や設計に携わっている。なお、時枝とイーフロンティア最高技術責任者サニー・ウォン(Sunny Wong)は米国で開発を行っているため、過去にしばしば言われた「Shadeは純日本製」という表現は(開発会社は日本にあり、日本でも開発が行われているものの)厳密には正確ではない[8]。また、「Shadeの神様」という異名を持つ人物として園田浩二がおり、Shadeでテレビコマーシャルなどの作品を制作し、イーフロンティアのチーフデザイナ、Shadeのエバンジェリストとしてデモンストレーションなどの広報に携わっている[9]。Shadeの開発コンセプトには「箸のようなソフト」「簡単きれい」などがあり、2006年にはこれらの設計思想を主張してShade 8.5がグッドデザイン賞(商品デザイン部門)を受賞した[10]

イーフロンティアは2010年代に入り経営が悪化し、Shadeの開発販売権は大手ビットコイン取引所マウントゴックスの経営者マルク・カルプレスが2013年に設立した株式会社Shade3Dに売却され[11][12]、主要開発者も移籍して開発を継続し、イーフロンティア・米Mirye共に販売代理店契約を結ぶ形となった[13]。その後2014年11月をもってイーフロンティア・米Miryeとの販売代理店契約は解除され、Shade3D社が直接販売する形になった[14][15]。この件により資金繰りの悪化したイーフロンティアは同年12月に民事再生法の適用を申請する[16]

関係会社のマウントゴックスがビットコイン消失事件を起こし、2014年4月に破産したことから、Shade3D社は約3億円の貸付金の返済要求を負い[17]、親会社ティバンは約8億円の貸付金を返済できず2015年1月に破産[18]、カルプレスはShade3D社の事業買収に充てた約3億円の貸付金ほかを顧客預かり金から流用した業務上横領容疑などで、2015年8月に逮捕[12][19]、翌月起訴された[20](2019年に横領容疑は無罪確定[21])。Shade3D社は一連の事件によって信用不安に見舞われたが、2015年9月に投資ファンド運営のニューホライズンキャピタルから再建計画が発表され、ティバンとマウントゴックス側からShade3D社関連のすべての債権と株式が買い取られた[22][23][24]

2018年8月にニューホライズンキャピタル社からフォーラムエイト社に全株式が譲渡され、フォーラムエイト社はShade3D社を完全子会社とした[25]。2019年1月にフォーラムエイトはShade3D社を吸収合併した[26]

ユーザの歴史

漫画家くつぎけんいちが美少女CGキャラクタ(いわゆるバーチャルアイドル)『テライユキ』の制作にShadeを使用した。テライユキはテレビコマーシャルに出演するなど一般メディアに露出し、Shadeの広告にも起用された。1990年代末頃に端を発するバーチャルアイドルブームにより、多くのバーチャルアイドルがShadeを使用して制作され、当時の開発元のエクス・ツールス自身も「デジタルビューティ」としてこれらのキャラクタを後押しし、ブルームーンスタジオ沖孝智によるCGキャラクタ『飛飛(FeiFei、フェイフェイ)』が日本サムスンの広告キャンペーンに起用されるなど、いくつかのキャラクタがコンピュータ・CG系の専門誌やテレビ・雑誌などの一般メディアに露出した[27]。ただし、Shadeは動画向きのソフトではなかったことから、テライユキや飛飛は、動画での活動を行う際に他のソフトへ移行している[28]。また、SFイラストレーターの加藤直之もShadeを使用しており、『宇宙の戦士』のパワードスーツの模型化の際は自らShadeで形状設計を行ったほか、作品『沈黙の美女』の形状データが一時期Shadeに同梱されていたことがある。また、漫画家では『コブラ』の寺沢武一[29]や『銃夢』の木城ゆきと、『GANTZ』の奥浩哉も制作の一部にShadeを導入している[30]

初期のShadeには有機的形状に適したモデリング方法が現在より少なく、自由曲面がもつ格子状の構造で有機的形状、特に人の頭部(顔面)をモデリングするノウハウがいくつか考案され、「地球儀型」「めがね型」「いちょう型」などの手法が書籍やコミュニティで受け伝われている。

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機能

要約
視点

Shadeは統合型3DCGソフトウェアであり、3DCG制作のモデリング、材質設定、照明、アニメーション、レンダリングの工程をカバーしている。ただし、素材となるテクスチャ画像の編集や、出力された映像の編集・合成には外部のソフトウェアを使う必要がある。

この節に記述された機能はバージョン15を参考にしており、一部はバージョンやグレードによっては未搭載または制限があり、また、この節の記述はすべての機能を網羅するものではないことに注意されたい。

モデリング

Shadeのモデリングにはベジェ曲線が採用されており、ベジェ曲線の「線形状」から平面/掃引体回転体自由曲面を派生的に作成できる。そのほかには円/球といったプリミティブや、ポリゴンメッシュ、メタボールプラグイン機能による特殊属性を持った形状がある。

  • 線形状 - 3次元の3次ベジェ曲線。終端を閉じると同一平面上に面を形成できるほか、他の線形状で形成された同一平面上の面に穴をあけられる
  • 円/球 - パラメータによる位置と寸法の指定が可能なプリミティブ
  • 掃引体/回転体 - 線形状および円に対して適用可能な非破壊式のもの
  • 自由曲面 - 双3次ベジェ曲面。曲線を線形状と同じように扱えて、出し入れできる
    • テキスト - テキストグリフのアウトライン化と立体化
  • ポリゴンメッシュ - 3角、4角および5角形以上のポリゴン(n-ゴン)に対応
    • 角の丸め(サブディビジョンサーフェス、細分割曲面) - ポリゴンメッシュを滑らかな曲面に細分割する非破壊式のもの。バージョン10.0.2以降では従来のドゥ・サビン(Doo-Sabin)法に加えてカトマル・クラーク(Catmull-Clark)法が使用可能[31]。バージョン15以降ではピクサーのOpenSubdivを採用し、稜線ごとにエッジの強さを設定可能
    • UVマップ - テクスチャUV座標の編集
    • マジカルスケッチ - フリーハンドの手描きにより有機的形状を作成する
    • スケッチモデラー - 2次元画像を元にして左右対称な形状を作成する。類似のものに六角大王がある
    • フォトモデラー - 複数角度から撮影された写真を元に形状を作成する
  • メタボール/メタキューブ/メタシリンダー/メタポリゴン/メタバイリニアサーフェス/メタバイキュービックサーフェス - 各形状をメタ方式またはブロブ方式により融合または反発させ、有機的な形状を作成する
    • メタパーティクルレンダラ - 特定のパートに含まれた球プリミティブをメタボールとして扱う
  • ヘアーサロン - ヘアー(曲面にテクスチャを張ったいわゆる短冊ヘアー)とファーの生成。T4社によって開発された[32]

ほぼすべての形状とコントロールポイント、ポリゴンメッシュの頂点に対して直線移動/拡大縮小/回転/せん断の基本操作を統一的に行えるほか、線形状(自由曲面)とポリゴンメッシュにはそれぞれ追加の形状編集機能が用意されている。

また、作成された形状は下の表のルールでほかの形状に変換できる。

さらに見る 線形状, 掃引体/回転体 ...

シーン内の全オブジェクトはブラウザによって一覧管理できる。また、オブジェクトは「パート」によって内包・階層化でき、またパートには座標変換のための行列情報を設定できる。シーンの最下層には常に「ルートパート」と呼ばれるパートが存在する。

また、そのほかのモデリング支援として次のような機能を備えている。

  • ブーリアンレンダリング - レンダリング時のみ適用される非破壊式の集合演算
  • ブーリアンモデリング - ポリゴンメッシュ形状として出力する集合演算
  • 3Dプリントアシスタント - 対話式で3Dプリント用データの修正・書き出しをするウィザード
  • マスターオブジェクト - オブジェクトの参照コピー
  • リプリケーター - 線や曲面に沿って形状を複製配置する
  • マグネット - 指定位置付近のコントロールポイント(頂点)を滑らかに追従変形させる
  • ラティス変形/自由曲面変形/ツイスト変形/ケージ変形

Shadeはサーフェスモデルを基本としつつ、部分的にソリッドモデルの概念を取り入れている。Shadeにおいて立体とは「形状表面の内側と外側が一意に定義できる形状[33]」とされており、空間を内包する閉じた形状が立体として扱われる。形状が立体として成立するのは暗黙であり何ら手順を要しないが、中身の詰まった形状(ソリッド)として扱うか否かはソリッド属性によって明示的に指定できる。

表面材質と光源

Shadeの表面材質は固定のシェーディングパラメータと任意数のマッピングレイヤーの複合である。表面材質はオブジェクトまたはパート、ポリゴンのフェイスグループに対して設定できる。特定部位に特徴的な表面材質を施す場合には、投影マッピングやブーリアンレンダリングによるステッカーマッピング(デカールマッピングとも呼ばれる)も行える。パートに設定された表面材質は下位階層に継承され、下位階層では任意のシェーディングパラメータを選択的に置き換えられる。

  • 拡散反射 - 光を拡散的に反射する、いわゆる表面色、物体色
  • 光沢 - 光源の鏡面反射をモデル化したつや(局所鏡面反射)。1次光沢および2次光沢がある。Shade 9以降ではブリン(Blinn)鏡面反射モデルが採用されている[34]
  • 反射 - 周辺の景色が映り込む鏡のような反射(大域鏡面反射)
  • 透明 - 透過率(透過色)を設定する
  • 屈折 - 屈折率(相対屈折率[35])を設定する
  • 荒さ - 梨地加工や磨りガラスのように反射と屈折を拡散させる
  • 異方性反射 - 繊維や金属のヘアライン加工でみられる異方性反射を表現する
  • フレネル - フレネル反射を表現する。光の入射角が浅くなるほど反射率が高くなり、屈折に伴い自然な反射と透過減衰が発生する
  • メタリック - 内蔵の環境マッピングによる擬似的な金属光沢表現
  • 発光 - 外部照明によらない自発的な発光
    • ソフトグロー - 発光の度合いを視線方向を向いている面ほど強くする
  • バックライト - 裏面の拡散反射を表面に反映させる
  • サブサーフェイス・スキャタリング - 肌や蝋、牛乳のような半透明な媒質内部での透過散乱を再現する
  • ボリュームレンダリング - 煙や色ガラスのような媒質の厚みで変化する透過を再現する
  • 疑似コースティクス - 大域照明によらない擬似的な集光模様(コースティクス)
  • 収差 - 波長を考慮した色収差と、RGB別に屈折率を変える擬似的な色収差
  • レイヤーによるマッピング - 拡散反射/光沢/反射/透明/発光/バックライトおよび、バンプ/法線/ディスプレイスメント/トリム/環境のマッピング、および上位レイヤーのマット
    • イメージマッピング - 画像またはムービー(QuickTimeAVI)によるテクスチャ
    • ソリッドテクスチャ - 内蔵のプロシージャによる投影または3次元のテクスチャ

Shadeの一部の光源には明るさや色、の濃度やソフトネス(ソフトシャドーに影響する)、ボリュームライトなどを設定できる。また、パストレーシング大域照明を使用している場合、表面材質の発光が放射輝度に影響するため、発光する形状および発光テクスチャを副次的な光源として利用できる。

  • 無限遠光源 - 平行光源とも呼ばれる、太陽光などの極めて遠距離(無限遠)の光源をモデル化した光源
    • 環境光 - 周辺環境からの一様な散乱光や照り返しをモデル化した、閉塞を考慮しない光源。Shadeでは無限遠光源に付随して設定する。照明効果が一様なため、写実性を求めるならIBLや天空光が適する
  • 点光源/スポットライト - 光源オブジェクトによる光源
  • 線光源/面光源 - 線形状による曲線または面による光源
  • 配光 - IES配光データによる光源
  • イメージ・ベースド・ライティング(IBL) - 背景画像による照明。ハイダイナミックレンジ画像(HDRI)に対応。パストレーシング大域照明に用いられる
  • 天空光 - 天球の上半球による照明。ラジオシティ大域照明に用いられる
  • フィジカルスカイ - 時刻や緯度・経度によって太陽方向や空の色合いを自動計算する

アニメーション

Shadeのアニメーション機能は、ジョイントおよびその応用であるボーンスキンによる変形と、それを時間軸に沿って制御するモーションシーケンス(モーション曲線およびキーフレーム補間)が基本となっている。カメラオブジェクトのモーション制御によるフライスルーウォークスルー)が行えるほか、音源オブジェクトによる3Dサウンド機能が備えられている。また、テクスチャおよび図形ウインドウのテンプレート(下絵)には、QuickTime/AVIムービーを使用できる。

  • ジョイント - 変形を行うパートの一種。ジョイント値と呼ばれるパラメータにより変形の度合いを調整する
    • 直線移動/回転/拡大縮小/均等拡大縮小ジョイント - 制限付きの平行移動/回転/拡大縮小
    • ボールジョイント - 無制限の平行移動と回転。単一のジョイント値では制御できず、もっぱらキーフレームアニメーションに用いる
    • パスジョイント - 線形状のパス(軌道)に沿った移動
      • パスコンストレインツ - 列車やキャタピラのような連結された形状の方向制御
    • 変形ジョイント - 複数形状間の形状と表面材質のモーフィング
    • スイッチジョイント - 複数形状の切り替え
    • 光源ジョイント - 光源の明るさの調整
  • ボーンスケルトン) - ジョイントの階層化による多関節構造の作成。バージョン13.1以降は他ソフトと互換性の高い新ボーン機能を採用
    • インバースキネマティクス(IK) - 子ジョイントの変形に親ジョイントを追従させる
      • スマートキネマティクス - 特定のジョイントの向きや関節角度を拘束する
      • エイムコンストレインツ - 形状の向きをターゲットオブジェクトやカメラに追従させる
  • スキン - コントロールポイント(頂点)単位でジョイントの変形を適用する。適用率(重み付け)の設定やウエイトペイントも可能
  • モーションシーケンス - タイムコードまたはフレーム数による時間軸に沿ったモーションシーケンスを扱う。モーションポイント(キーフレーム)の作成とモーション曲線の編集が行える
  • 3Dサウンド - シーン内に音源オブジェクトを配置して立体音響ドップラー効果を用いた音声を生成する

また、そのほかのアニメーション支援として次のような機能を備えている。

  • モーションエフェクト - 髪やアクセサリーなどの揺れを再現する
  • パーティクルフィジックス - 重力や風を考慮したパーティクルと衝突判定。T4社によって開発された[32]
  • PoserFusion - Poserのフィギュア形状とモーションの取り込み。ダイナミックヘアとクロスシミュレーションが再現される

レンダリング

Shadeは複数のレンダリング手法と大域照明の手法をサポートしている。レンダリングは各色32ビット(128ビットRGBA)のハイダイナミックレンジ画像を出力でき、レンダリングされた画像からはRGBカラーチャンネルおよび不透明度(αチャンネル)、深度(Z値)、法線、形状IDなどの多様な情報を取得できるマルチパスレンダリングに対応する。レンダリングされる画像は内蔵の色補正機能やエフェクタプラグインによる後処理が行える。

また、マルチスレッドによるマルチプロセッサマルチコア並列レンダリング、「ShadeGrid」と呼ばれる複数台のコンピュータグリッドによる並列レンダリングが可能である。

  • ワイヤーフレーム - 単純な線によるレンダリング
  • ドラフトレイトレーシング - レイトレーシングから屈折などを省いて高速化したもの
  • レイトレーシング - 反射や屈折などの表現が可能
  • パストレーシング - レイトレーシングより高度な面光源照明や光源のソフトネスによるソフトシャドー、表面材質の荒さ、被写界深度などの表現が可能
  • トゥーンレンダラ - 陰影付けや輪郭線をアニメ調に描き出す。ベクタ画像の書き出しが可能

大域照明は物体表面間での光の相互反射の照明効果を付け加える。

  • パストレーシング大域照明 - 拡散相互反射に加え、イメージ・ベースド・ライティング(IBL)などが可能
    • イラディアンスキャッシュ - パストレーシング大域照明の計算を一部省略し補間することで高速化する
  • フォトンマッピング大域照明 - 拡散相互反射に加え、集光模様(コースティクス)の表現が可能
  • パストレーシング+フォトンマッピング大域照明 - 上記を組み合わせて間接光の到達性能などを向上させたもの
  • ラジオシティ大域照明 - 境界積分法を用いた拡散相互反射シミュレーション[36]オプトグラフ社が開発したラジオシティライブラリを使用している[37]

また、そのほかのレンダリング支援として次のような機能を備えている。

  • シャドウマップ - パストレーシングなどのモンテカルロレイトレーシングを用いずにソフトシャドー(一様なぼかしによるもの)を高速に表現できる
  • モーションブラー - 前後のサブフレームを合成し、露出時間の長い撮影をシミュレートする
  • フィールドレンダリング - インターレース方式のレンダリング。偶数または奇数フィールドの優先を指定できる
  • 平行投影 - パースペクティブのない投影
  • あおり補正 - 二点透視のようなパースペクティブを可能にする
  • 魚眼レンズ
  • パノラマレンダリング - 円柱/球/ライトプローブ/キューブマップ/バーティカルクロス形式でのパノラマまたは全球のレンダリング
  • QuickTime VR - オブジェクト/パノラマ/キュービック形式でのQuickTime VRムービー出力
  • 立体視レンダリング - ステレオグラムおよび視差バリア方式の3D対応液晶用コンテンツのレンダリング

その他

ShadeはPython言語によってシーンやオブジェクトほかの動作を制御できる。また、カスタムプラグインをC++言語によって開発するソフトウェア開発キットがある。

  • Python - Python言語による制御
  • プラグインSDK - C++言語によるカスタムプラグインの開発キット
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エディション/リリース履歴

要約
視点

エディションは以下に分かれている。

  • Professional版
  • Standard版 (旧advance、Personal[38])
  • Basic版 (旧spirit、Debut[38])

かつては静止画のみのmyShade (Windows版)/iShade (Mac版)や、Unityゲームエンジン向けのShade 3D for Unity[39]も存在した。

バージョン製品ラインナッププラットフォーム発売日
-Shade ProNEC PC-9800シリーズ1986年
-ShadeMacintosh1990年
-Shade II Ver.1.4.2Macintosh1992年
-Shade III Ver.1.0Macintosh1994年
ShadeIII Ver.1.1.0Macintosh1994年
ShadeIII Light Ver.1.1.0Macintosh1994年
Shade III Ver.1.2Macintosh1996年
Shade III Light Ver.1.2Macintosh1996年
1
Shade Professional R1Macintosh1996年12月
Shade Personal R1Macintosh1996年12月
Shade debutWindows1997年6月
2
Shade Professional R2Macintosh1997年8月
Shade Personal R2Macintosh1997年8月
Shade Personal PlusMacintosh1998年4月
Shade debut PlusWindows1998年4月
Shade Professional R2Windows1998年8月
iShadeMacintosh1998年9月
myShadeWindows1998年11月
3
Shade Professional R3Macintosh1998年12月
Shade Personal R3Macintosh1998年12月
Shade Debut R3Macintosh1998年12月
Shade Professional R3Windows1999年3月
Shade Personal R3Windows1999年3月
Shade Debut R3Windows1999年3月
4
Shade Professional R4Macintosh/Windows1999年11月
Shade Personal R4Macintosh/Windows1999年11月
Shade Debut R4Macintosh/Windows1999年11月
iShade 2/myShade 2Macintosh/Windows1999年11月
5
Shade Professional R5Macintosh/Windows2001年6月
Shade Personal R5Macintosh/Windows2001年6月
Shade Debut R5Macintosh/Windows2001年6月
iShade 3/myShade 3Macintosh/Windows2001年7月
6
Shade 6 professionalMacintosh/Windows2002年9月
Shade 6 advanceMacintosh/Windows2002年9月
Shade 6 spiritMacintosh/Windows2002年6月
iShade 6/myShade 6Macintosh/Windows2002年12月
7
Shade 7 professionalMacintosh/Windows2004年3月
Shade 7 standardMacintosh/Windows2004年3月
Shade 7 basicMacintosh/Windows2003年12月
8
Shade 8 professionalMacintosh/Windows2005年7月
Shade 8 standardMacintosh/Windows2005年7月
Shade 8 basicMacintosh/Windows2005年7月
8.5
Shade 8.5 professionalMacintosh/Windows2006年3月
Shade 8.5 standardMacintosh/Windows2006年3月
Shade 8.5 basicMacintosh/Windows2006年3月
9
Shade 9 professionalMacintosh/Windows2006年12月
Shade 9 standardMacintosh/Windows2006年12月
Shade 9 basicMacintosh/Windows2006年12月
iShade 9Macintosh/Windows2007年5月
10
Shade 10 professionalMacintosh/Windows2008年3月
Shade 10 standardMacintosh/Windows2008年3月
Shade 10 basicMacintosh/Windows2008年3月
10.5
Shade 10.5 professionalMacintosh/Windows2009年3月
Shade 10.5 standardMacintosh/Windows2009年3月
Shade 10.5 basicMacintosh/Windows2009年3月
11
Shade 11 ProfessionalMacintosh/Windows2009年12月
Shade 11 StandardMacintosh/Windows2009年12月
Shade 11 BasicMacintosh/Windows2009年12月
12
Shade 12 ProfessionalMacintosh/Windows2010年12月
Shade 12 StandardMacintosh/Windows2010年12月
Shade 12 BasicMacintosh/Windows2010年12月
Shade 12 Basic feat. 巡音ルカMacintosh/Windows2011年7月
13
Shade 13 ProfessionalMacintosh/Windows2012年3月[40]
Shade 13 StandardMacintosh/Windows2012年3月
Shade 13 BasicMacintosh/Windows2012年3月
14
Shade 3D Professional Ver.14Macintosh/Windows2013年7月
Shade 3D Standard Ver.14Macintosh/Windows2013年7月
Shade 3D Basic Ver.14Macintosh/Windows2013年7月
15
Shade 3D Professional Ver.15Macintosh/Windows2015年1月(バージョンアップ版先行発売)
Shade 3D Standard Ver.15Macintosh/Windows2015年1月(バージョンアップ版先行発売)
Shade 3D Basic Ver.15Macintosh/Windows2015年1月(バージョンアップ版先行発売)
16
Shade 3D Professional Ver.16Macintosh/Windows2016年7月
Shade 3D Standard Ver.16Macintosh/Windows2016年7月
Shade 3D Basic Ver.16Macintosh/Windows2016年7月
17
Shade 3D Professional Ver.17Macintosh/Windows2017年7月
Shade 3D Standard Ver.17Macintosh/Windows2017年7月
Shade 3D Basic Ver.17Macintosh/Windows2017年7月
18
Shade 3D Professional Ver.18Macintosh/Windows2018年7月
Shade 3D Standard Ver.18Macintosh/Windows2018年7月
Shade 3D Basic Ver.18Macintosh/Windows2018年7月
19
Shade 3D Professional Ver.19Macintosh/Windows2018年11月
Shade 3D Standard Ver.19Macintosh/Windows2018年11月
Shade 3D Basic Ver.19Macintosh/Windows2018年11月
20
Shade 3D Professional Ver.20Macintosh/Windows2019年8月
Shade 3D Standard Ver.20Macintosh/Windows2019年8月
Shade 3D Basic Ver.20Macintosh/Windows2019年8月
21
Shade 3D Professional Ver.20Macintosh/Windows2020年7月
Shade 3D Standard Ver.20Macintosh/Windows2020年7月
Shade 3D Basic Ver.20Macintosh/Windows2020年7月
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搭載されているレンダラー

現行

Shade ラジオシティ
Shade Professional R4以降に搭載されている[41]OptGraphの技術を使用している[42]

以前のもの

Shade 6 パストレーサー
大垣真二 (Redqueen作者) が開発した[要出典]
LUXOR (ネロ・グラフィックス) / Callisto (イーフロンティア←ライア)
Shade 6~11のProfessional版に標準搭載されていた、フォトンマッピングを使用したGIレンダラー[43]。Standard版 (Advance版) 用にプラグインとして単体販売されていた。Maya版も存在した[44][45]
元々スタジオブルテリア子会社のネロ・グラフィックスがShade 6用のLUXORの開発・販売を行った[46][47]ものの、親会社が破産した[48]ため、ネロ・グラフィックスの代表取締役であった並木茂が2003年7月にライアを設立し、ライアがShade 7用のCallistoをリリースした。その後、イーフロンティアが開発元となってShade 8用のCALLISTO 2をリリースした[49]
NativeMeta レンダラプラグイン
作者・高畠秀樹の持ち込みプロジェクトであった為、GitHub - NativeMeta/LuxCoreRender_MetaShapeに引き継がれた。
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関連項目

  • artist side - かつてイーフロンティアの運営していた3DCG投稿SNSサイト。

脚注

外部リンク

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