向

会意。「宀」（家屋）+「口」から構成され、屋内で音声が反響するさまを象る。「ひびく」を意味する漢語｛響 /*hangʔ/｝を表す字。のち仮借して「むかう」を意味する漢語｛向 /*hlangs/｝に用いる。^{[字源 1]}
- 「説文」以来定説とされてきた、北に出た窓を象り、その派生義で「方向」を表すという説は信頼できない。^{[字源 2]}
- もと、「卿」あるいは「郷」を仮借して｛向｝を表していた。
- 「卿」の構成要素である「𠨍」（卯とは異なる）が｛向｝の本字であるという説が近年有力視されている。

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[字 1]
裘錫圭『文字学概要』商務印書館、1988年、148-149頁、日本語訳『中国漢字学講義』（稲畑耕一郎・崎川隆・荻野友範訳）東方学術翻訳叢書、東方書店、2022年、第7章第2節264-265頁。
季旭昇撰『説文新証』芸文印書館、2014年、590-591頁
徐超『古漢字通解500例』中華書局、2022年、208-209頁。
[字 2]
裘錫圭、同上。

甲骨文字	金文	簡帛文字	小篆	流伝の古文字

殷	西周	戦国時代	《説文》（漢）	《六書通》（明）

音	呉音: コウ表内[カウ] 漢音: キョウ[キャウ]
訓	訓読み: む-かう/むか-う表内、む-こう/むこ-う表内、む-く表内、む-ける表内

-	Unicode: U+5411
日	JIS X 0213/0208: 1面24区94点 [第1水準] (`Shift_JIS=0x8CFC`, `EUC-JP=0xB8FE`, `ISO-2022-JP=0x387E`) MJ文字図形: MJ008074
中	GB18030: `0xCFF2`
台	Big5: `0xA656` CNS 11643: 1面 `0x4757`
韓	KS X 1001: `0x7A3E`

漢字