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クルロタルシ類(Crurotarsi)あるいは腿跗類(たいふるい[3])は、主竜形類に属する爬虫類の一群。現生のワニに繋がる祖先群を含む[2]。
定義が複数あり、おもに主竜類(主竜区)の亜区に位置付ける説と[4]、植竜類と主竜類の2群を含むグループとする説がある[3]。
クルロタルシ類という名称はラテン語で「下腿」を意味する crus と足首を意味するギリシア語 tarsos に由来する。これは下腿(特に腓骨)と足首(特に踵骨)との間の特殊化した関節を反映したものである。この関節は植竜類や、偽鰐類のうちのワニ類 (en) といった爬虫類で見ることができる。これらの足首の関節では、踵骨に存在する半円柱形の顆がそれを被覆する腓骨の領域と関節する[1][5]。この距踵関節による足部の底背屈は、鳥中足骨類に見られる近位足根骨(踵骨・距骨)と遠位足根骨との足根中央関節による底背屈と対照的である[6]。
Crurotarsiという名前はSereno & Arcucci (1990)により節[注 1]ベースの分岐群として命名された。この時古い語であった偽鰐類に取って代わることとなったが、両者の定義は異なっていた[1]。もっとも広く公表された定義として、クルロタルシ類は現生ワニ・オルニトスクス科・鷲竜類・植竜類の共通祖先の全ての子孫を含む。Nesbitt (2011)はより短い定義を与えており、クルロタルシ類を「Rutiodon carolinensis Emmons, 1856 と Crocodylus niloticus Laurenti, 1768 を含む最も包括的でない分岐群」といして定義した[7]。2011年にNesbittと共同研究者が公表した2つの研究によれば、植竜類が基盤的な系統位置にある可能性があることから、これらの定義のいずれを採用しようとも真の主竜類がクルロタルシ類に含まれることに帰結する。これは、植竜類とワニを1つの分岐群に纏めながら鳥中足骨類(翼竜・恐竜・鳥類)を除外してしまえば、この分類群が側系統群になることを意味する。一方で偽鰐類は鳥類よりもワニに近い全ての主竜類として定義されており、伝統的なクルロタルシ類の内容とある程度合致する点でより決定的な分類群である[7][8]。
Sereno & Arcucci (1990)はクルロタルシ類を「Parasuchia(植竜類)・オルニトスクス科・プレストスクス・Suchiaおよびそれらの共通祖先の全ての子孫」として定義した[1]。クルロタルシ類が設立される以前、ワニ系統の主竜類には2つの名前が提唱されていた。1つは1985年にステムベースの分岐群として設立された偽鰐類(Pseudosuchia)で[9]、ワニと、鳥類よりもワニに近縁な全ての主竜類が内包された。もう1つは1988年に命名されたCrocodylotarsiで、これは偽鰐類を置き換える可能性があった[10]。偽鰐類(偽物のワニ)という名称は100年以上に亘って用いられていたが、分岐群として正鰐類(真のワニ)を内包した。Crocodylotarsiという名称はこの混乱を解消する可能性があったが、ステムベースのクレードとして偽鰐類の同義語(シノニム)であった。偽鰐類の方が先に命名されていたため、偽鰐類の名称が優先される。従来的なクルロタルシ類は偽鰐類と同一の主竜類を含むものの、節ベースの分岐群であるためシノニムに該当しない[11]。
以下はNesbitt & Norell (2006) と Nesbitt (2007) に基づく、クルロタルシ類の系統関係を示すクラドグラム。ここでクルロタルシ類は従来的にワニ系統の主竜類として取り扱われている[12][13]。
主竜型類 |
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以下はBrusatte, Benton, Desojo and Langer (2010)に基づくクラドグラム[14]。
主竜型類 |
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Nesbitt (2011)は植竜類を主竜類の姉妹群とし、ワニ系統の主竜類から除外した。植竜類がクルロタルシ類の定義に含まれているため、この系統的位置の変化によってクルロタルシ類の範囲は拡大され、植竜類・ワニ・翼竜・恐竜がクルロタルシ類に包含されることとなった。しかし、偽鰐類は依然としてワニ系統の主竜類である。
以下はNesbitt (2011)に基づくクラドグラム[7]。
主竜型類 |
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しかしEzcurra (2016) はNesbitt (2011) の定義を認めず、植竜類を偽鰐類の基盤的系統として主竜類の下位に戻したうえでクルロタルシ類を偽鰐類と同義とみなしている[15]。
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