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ベニバナセンブリ

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ベニバナセンブリ
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ベニバナセンブリまたはセンタウリウムソウ[4]センタウリー[5](学名: Centaurium erythraea)は、リンドウ科ケンタウリウム属草本である。元々ユーラシア北アフリカにおいて広く自生していたが、他の地域にも帰化している(参照: #分布)。特徴の一つは茎基部のロゼット状に広がる葉である(参照: #特徴)。ヨーロッパでは全草を苦味健胃薬として利用する[4](参照: #薬用)。

概要 ベニバナセンブリ, 保全状況評価 ...
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分類

リンネ1753年の『植物の種』(ラテン語: Species Plantarum)においてベニバナセンブリを Gentiana centaurium として記載している。現行の学名 Centaurium erythraeaカール・ゴットロープ・ラフンにより1800年に記載されたものである[3][注 1]

ケンタウリウム属Centaurium)は The Plant List (2013) では31種、Hassler (2019) では30種が認められており、ベニバナセンブリ以外にはハナハマセンブリC. tenuiflorum)やケンタウリウム・プルケルムC. pulchellum)およびその変種コゴメセンブリC. p. var. altaicum; 中国語: 百金花)といったものが属している。属名はディオスコリデスがベニバナセンブリに対して用いたギリシア語 κενταύριον に基づくが、これは#民俗で触れる逸話によるものと思われる[7]。邑田 (2003) などのように「シマセンブリ属」としている資料も存在するが、そのシマセンブリは2004年発表の Taxon 53: 725 により Centaurium japonicum から Schenkia japonica に分類が変更されており[2][8]伊藤 & 井鷺 (2018:xvii) のようにSchenkia属を指して「シマセンブリ属」と呼ぶ例が見られるようになっている。

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分布

ヨーロッパからコーカサス中央アジアに広く分布する[7]。Lansdown (2013) によると

ヨーロッパ:

アジア:

アフリカ:

に自生し、さらに

ヨーロッパ:

南北アメリカ:

オセアニア:

にも帰化して定着している。

久内 (1960) によれば日本にも大正時代中期に園芸植物として導入され、広島県呉市で盛んに繁殖していた[9]

乾いた草地、開けた森林地、休閑地に生える[10]

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特徴

一年草あるいは多年草[9]。茎は直立して高さ60センチメートルになり4稜、中空で[9]単生または分枝し[11]、枝はほぼ直立か斜上する[9]

葉は対生し無柄[9]、茎の基部のもの(根生葉)は卵状楕円形で[10]大きく長さ3-5センチメートル、幅1-2センチメートルでロゼット状に広がる一方、茎上葉はより小さく[9]狭くなりほぼ線形[10]、基部はわずかに茎を抱く[9]

花序は盛んに分枝し、茎葉より小型の苞葉があり、密な集散花序をなす[9]。花は花序枝の先端に1個ずつつき、ほぼ無柄[9]花冠は淡紅色または白色、基部の約3分の2は筒となり、長さ8-10ミリメートル、裂片は5つ、楕円形で長さ約6ミリメートル、平開する[9]は花冠の半分より長い。雄蕊(おしべ)は先熟、5本で花冠中部に合着、花冠口部から超出し、は黄色で花柱を囲み、裂開時に強くねじれる[9]雌蕊(めしべ)は1本、子房上位で1室、花柱は長く、柱頭は平らで2岐するが、成熟前には内向きに合わさって頭状となる[9]

利用

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全草が薬用となる。

薬用

全草が非常に苦く[4]、同じリンドウ科のゲンチアナGentiana lutea)にも含まれるセコイリドイド類の複数種の苦味成分を有し[5]加水分解によりエリスロセンタウリン(erythrocentaurine)を生ずる苦味配糖体アルカロイドゲンチアニン(gentianine)を含む[4][注 2]。含有成分は3,500倍希釈でも検出することが可能である[5]

欧州医薬品庁薬草医薬品委員会: Committee on Herbal Medicinal Products)はベニバナセンブリが消化胃腸の不調、一時的な食欲不振に有効であるとしており、乾燥させて細かくしたものや地上部を粉末にしたものが用いられる[13]。具体的には胃液の分泌を促進させ食物を分解しやすくする、食欲を刺激し、胆汁の産生を増加させるという効果があるが数週間以上服用を続ける必要があり、含有成分が消化器上部に反射作用を刺激するよう、ゆっくりすすって服用する[5]

園芸

ベニバナセンブリは園芸用に栽培もされている。排水性のよい砂質の土壌に植えるのが適切である[7][11]。肥えた土地では草丈が高くなり、猛烈な勢いで繁茂するとされる[4]。花期は6-10月である[4]

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民俗

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アプレイウス (Pseudo-Apuleius) により描かれたベニバナセンブリ(6世紀)

ギリシア神話では半人半馬の種族ケンタウロスの賢者であるケイローンが弟子のヘラクレスに誤って射られた毒矢による致命傷を薬草で治癒しようとした[14]が、この逸話がギリシア語κενταύριον や属名の Centaurium[7]、英名 common centaury の由来とされる[4]

諸言語における呼称

脚注

参考文献

関連文献

関連項目

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