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上方絵

京大坂で製作された浮世絵 ウィキペディアから

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上方絵(かみがたえ)は、江戸時代から明治時代に描かれた浮世絵の様式のひとつである。主に京阪地方で製作された浮世絵版画を指す。

概要

江戸の浮世絵に対して、上方つまり京都大坂で作られた浮世絵を指す。作品の大半は役者絵である[1]。贔屓(ひいき)連中という熱心なファンが歌舞伎役者を盛り立て[2] [3]、人気役者の似顔絵が作られた。

元禄期の京都では、西川祐信肉筆浮世絵美人画絵本作画で活躍した。その後、寛政頃から文化期にかけて祇園井特が現れて艶麗でアクの強い個性的な京風肉筆美人画を描いたほか、円山派山口素絢らが肉筆画において活躍している。また、大坂においては、月岡雪鼎蔀関月らが肉筆美人画を描いている。

寛政45年(1792年1793年)頃になると、流光斎如圭によって勝川風を取り入れた多色摺りのものが描かれる[4]。また、大坂においては寛政ころに浅山芦国が現れ、#流光斎派とは別の一派が役者絵を描いて活躍している[疑問点]。なお、長谷川貞信の系統[5][6]のみ現代まで受け継がれている[疑問点]

合羽摺

上方にて錦絵が版行される以前に制作された版画の技法[7][8][9]。別称は合羽版(かっぱばん)[10]あるいは型紙摺(かたがみずり)で、現代のステンシル印刷に通じる孔版の一種[11]として、絵柄の枠線は木版で刷り、色付けに型紙を用いて刷毛で捺染(なっせん)する。型紙には雨合羽(あまがっぱ)の材料にもなった防水性があり強度の高い[11]厚手の紙を使った。

合羽摺は役者絵にとどまらず、絵本や挿絵本の彩色[12][13][14]にも見られ、一枚摺では風景画武者絵[15]相撲絵[16]などがある[疑問点]

主要な合羽摺の作家として、岡本昌房寺沢昌次堀田行長有楽斎長秀清谷茶楽斎括嚢日本斎不韻斎国花堂らが挙げられる[要出典]

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板元

商品として浮世絵や書籍を刷り、売ったり卸したりする書物問屋を板元といい、現代の書店と出版取次の機能を兼ねており、また著作権が確立するまで版画や版本の板木の所有者であった[17]

  • 石川屋和助(石和) 幕末から明治[18][19][20][21]。大坂平野町通5丁目。「浪花百景[22]などを出版。
  • 大左 寛政文化頃。大坂。#流光斎山下金作のやなぎさくら」(細判)など。
  • 天喜 幕末。大坂浪花。歌川広重張交絵「近江八景」など。
  • 本屋清七(本清) 文化4年-安政6年、心斎橋塩町角。または大坂、嘉永7年-慶應4年、摺物と番付[23]
  • 前田喜次郎(喜治郎[23]) 1879年(明治11年)に大坂塩町通4丁目4番組で、翌1880年(明治12年)に芝町通4丁目4番でそれぞれ営業。鈴木年基「文武高名伝」、山崎年信「大日本名優鏡」、後藤芳景「皇子御降誕之図」など。
  • 綿屋喜兵衛(綿喜、金随堂、前田喜兵衛、前田徳次郎) 大坂心斎橋塩町角。姓は前田[24]。芦雪「佐々木舟右衛門」、長谷川貞信「六十余州能登」など。
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参考文献

要約
視点

主な執筆者の姓の50音順。

  • 稲垣進一「終期(横浜開港から明治の終焉まで;五雲亭橋本貞秀ほか)」『新装図説浮世絵入門』(2版)河出書房新社〈ふくろうの本〉、2011年、143頁。 NCID BB05524724 初版単行本『図説浮世絵入門』(1990年)の改訂改版。
  • 大久保範子「相撲博物館所蔵 合羽摺りによる細判相撲絵に関する考察」『横浜美術大学教育・研究紀要. 論文篇』第3号、トキワ松学園横浜美術大学、2013年、171-187頁、NAID 40019738657
  • 加藤康子「上方絵本『繪本大江山』について」『叢』第30号、東京学芸大学、2009年2月、264-279頁、NAID 110008591597
  • 小林勇「佚題上方絵本について」『親和國文』第30号、神戸親和女子大学国語国文学会、1995年12月、50-65頁、ISSN 0287-9352NAID 110006606758
  • 髙木元「合羽摺草双紙『里見八犬傳』: 解題と翻刻」『千葉大学人文研究』第42号、千葉大学文学部、2013年、179-203頁、ISSN 0386-2097NAID 120005939547
  • 竹中健司「木版における合羽摺り技法(1)」『浮世絵芸術』第152号、国際浮世絵学会、2006年、69-77頁、図巻頭7、ISSN 0041-5979NAID 40007414440
  • 團夕紀子「元禄から享保期上方一枚摺絵尽しについて--上方役者絵成立前史の一端 (特集:上方絵)」『浮世絵芸術』第150巻、国際浮世絵学会、2005年、31-40頁、ISSN 0041-5979NAID 40006865951
  • 濱生快彦「資料紹介 関西大学所蔵長谷川貞信コレクションについて」『浮世絵芸術』第150号、国際浮世絵学会、2005年、58-63頁、ISSN 0041-5979NAID 40006865953
  • 原山詠子「明治初期における二代長谷川貞信作品 : 錦絵新聞を中心に」『人文論究』第65巻第4号、関西学院大学人文学会、2016年2月、47-65頁、ISSN 0286-6773NAID 120005704467
  • 福田博「和書蒐集夢現幻譚(わしょあつめ ゆめうつつ まぼろしものがたり) (87) 凄味ある大首絵 上方絵の魅力」『日本古書通信』第84巻4 (通号1077)、日本古書通信社、2019年4月、22-23頁、ISSN 0387-5938NAID 40021864019
  • 藤懸静也『増訂浮世絵』雄山閣、1924年、188-212頁。
  • 宮地哉恵子「国立国会図書館所蔵幕末・明治期綿絵・摺物等の版元・印刷所一覧(稿)」(pdf)『参考書誌研究』第47号、国立国会図書館、1997年3月31日、50-93頁、doi:10.11501/3051398ISSN 1884-9997
  • 矢崎いづみ「合羽摺の技術・表現方法の応用に関する研究」『日本デザイン学会研究発表大会概要集』第53巻、日本デザイン学会、2006年、229頁、doi:10.11247/jssd.53.0.229.0
  • 吉田漱『浮世絵の基礎知識』雄山閣、1987年、[要ページ番号]頁。
  • 楢崎宗重編 『日本の美術249 肉筆浮世絵Ⅱ(明和~寛政)』 至文堂、1987年

脚注

関連項目

関連文献

外部リンク

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