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ジェンダー・ギャップ指数

経済・教育・健康・政治の4つで、ある国の男性に対する当該国女性の相対的数値を比較した指標 ウィキペディアから

ジェンダー・ギャップ指数
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ジェンダー・ギャップ指数ジェンダー・ギャップしすう英語: Gender Gap IndexGGIは、経済・教育・政治参加などの分野での世界各国の男女間の不均衡(ジェンダー・ギャップ)を示す指標である。2006年から非営利財団世界経済フォーラムが『世界ジェンダー・ギャップ報告書英語版』で公表している[1]

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『2008年度世界ジェンダー・ギャップ報告書英語版』表紙

類似指標として、国連開発計画が発表するジェンダー不平等指数ジェンダー開発指数などがある。

概要

指標は経済・教育・政治・保健の4分野の14の変数[注 1]を総合してつけられている[2]。そのうち13は、国際機関(国際労働機関国連開発計画世界保健機関など)が提供しているデータに基づいている。スコアは最大が1(平等)、最低が0(不平等)で小数点第3位までの値である。いくつかの国はデータが存在しない[3]

スコアの計算

比率の変換

計算式は女性÷男性の比率で計算される。例えば、国会議員のうち女性が20%、男性が80%の場合20÷80=0.25がスコアとなる[3]

上限の調整

1.00を超える値は1.00に切り捨てる。そのため1を上回る女性優位の状態は加点されない。また、健康などの指標では上限の基準値が異なる(出生時性比:0.944、健康寿命:1.06)[3]

サブインデックスの計算

サブインデックスを構成する指標の加重平均を計算。各指標の標準偏差から標準偏差の小さい指標(各国の差が小さい)ほど重みを大きくして計算を行う[3]

さらに見る サブインデックス, 指標 ...

総合スコアの計算

4つのサブインデックスの単純平均から総合スコアを算出[3]

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日本の順位とスコア

日本はG7の中では最下位であり、分野別には、「教育」と「健康」では評価が高かった一方で、「政治参加」と「経済」の分野でスコアが低い[4]

過去は、2020年度において、121位(153か国中)[5]。2021年度は、120位(156か国中)であった[5]。2022年度は、0.650で116位(146か国中)であった[6]

ジェンダー平等指数(2024)
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総合
経済
教育
健康
政治
0
0.25
0.5
0.75
1
(red) = 日本
(green) = 世界平均
(blue) = アイスランド(総合世界1位)
さらに見る 分野名(太字)・変数名, 順位(146か国中) ...
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各国・地域のスコアと順位

さらに見る 国, 総合 ...
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各国・地域の総合順位とスコア

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ジェンダーギャップ指数2020の順位
さらに見る 国, 地域 ...
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批判

要約
視点

報告書の執筆者のひとりであるロベルト・クロッティは、ランキング上位にルワンダニカラグアフィリピンナミビアなどが入っていることに触れ、「ある国の男性に対する女性の相対的なパフォーマンスを比較するもの」として、「男女間の相対評価であって絶対評価ではないため、上位であれば必ずしも良いわけではない」と述べている[7]。すなわちジェンダー・ギャップ指数が良いことは男女の差が小さいということに過ぎず、男女のどちらも好ましい状態である場合だけでなく、男女のどちらも劣悪な状態である場合でも、両者の差が小さければ指数としては良い値となる。例えば報道機関「Business Insider」の調査によると、ルワンダでは男性の失業率が高く、貧困な男性は女性が出産すると家族を捨てて逃亡するため、都市部の貧困層は働くシングルマザーの割合が多くなっている[8]。そのため「女性の社会進出が進んでいる」と評価するランキングとルワンダの実態は乖離していると同機関は報道している。また、社会学者の筒井淳也は、雇用経済よりも自営・農業中心のアフリカ諸国を念頭に、「自営セクター、『家』経済が健在の場合、…女性の労働力参加率は大きくなります。しかししばしばこれらのセクターでは女性の立場が脆弱であることも多いのです。このことはジェンダーギャップ指数には反映されません。」と指摘している[2]

ジェンダー・ギャップ指数の問題点として、誘拐婚の風習が行われているキルギスは2020年153か国中72位[9]エイズの発症者が「人口の40%」で世界一、10歳から19歳までの処女の女の子たちが国中から首都ムババーネに集まって上半身裸で踊り、少女の中から国王が新伴侶を選ぶ祭り「リードダンス」が毎年開催されているエスワティニ(旧スワジランド)[10][11]は83位[12]、これらの国より日本は121位と低い順位となっている[13]。国連の専門機関国連開発計画(UNDP)が毎年調査している『ジェンダー不平等指数』では、調査対象162カ国の中で日本は24位(1位スイス)で、アメリカ(46位)やイギリス(36位)などより順位は上であり、日本は世界的に男女の不平等が少ない国とは逆の結果となっている。日本のマスコミが、国連の専門機関が行う「ジェンダー不平等指数(調査対象156カ国)」の結果はあまり報じないのに、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」は公表ごとに必ず報道することへの批判の声がある[1]。世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」が乖離する理由でついて、ジェンダーギャップ指数は「大臣の男女比率」や「管理職の男女比率」など政治・経済分野が順位を決める際に比重が高くなっていることにある。逆に、国連開発計画の「ジェンダー不平等指数」では、安全に出産できる環境の国かを重視しているため、「健康の男女格差」項目に「妊産婦死亡率」や「未成年出生率」などの指標としている。一方、「ジェンダーギャップ指数」の同分野では「新生児の男女比率」と「健康寿命の男女差」という出産リスクや寿命の長さそのものを無視していると疑問の声がある。更には、日本は「新生児の男女比率」では世界1位なのに、「健康寿命の男女差」は72位(日本は、女性のが男性より健康寿命が7歳も長い[14])なことも「ジェンダーギャップ指数」のランキングを押し下げている[1]

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類似の男女格差国際指標

GGIの他には、世界各国における男女格差(ジェンダー・ギャップ)を測る主な国際的指数としては、国連開発計画(UNDP)が『人間開発報告書』で発表している下記の2指標がある[15]

さらに見る 指数, 順位 ...

ジェンダー不平等指数

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ジェンダー不平等指数を国ごとに色分けした図。(データは2019, published in 2020より。)が濃い程ジェンダー不平等、が濃い程ジェンダー平等な国であることを指す[16]

ジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index:GII)-国家の人間開発の達成が男女の不平等によってどの程度妨げられているかを明らかにするもの。妊産婦死亡率、国会議員の女性割合、中等教育以上の教育を受けた人の割合(男女別)等に基づく指標。2009年まではジェンダー・エンパワーメント指数(gender empowerment measure:GEM)であった[17]

日本の順位は2024年時点で193か国中22位(2024年3月13日発表)[15]

ジェンダー開発指数

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1-5にグループ分けされ、Group1が最も平等に近く、5は格差が最も大きい(2018年度データ)
  Group 1
  Group 2
  Group 3
  Group 4
  Group 5
  Data unavailable

ジェンダー開発指数(Gender-related Development Index:GDI)とは、健康、知識、生活水準における女性と男性の格差、の3指標を測定し、人間開発の成果におけるジェンダー不平等を比較[15]

日本の順位は2024年時点で193か国中92位(2024年3月13日発表)[15]

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関連項目

脚注

外部リンク

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