番号 | 詠み人 | 歌 | 出典 | 備考 |
1 | 柿本人麻呂 | 大君は神にしませば天雲の雷の上に廬せるかも | 万葉集 | |
2 | 長奥麻呂 | 大宮の内まできこゆ網引すと網子ととのふる海人の呼び声 | 万葉集 | |
3 | 大伴旅人 | やすみししわが大君の食国は大和もここも同じとぞ念ふ | 万葉集 | |
4 | 高橋虫麻呂 | 千万の軍なりとも言挙げせずとりて来ぬべきをのことぞ思ふ | 万葉集 | |
5 | 山上憶良 | 士やも空しかるべき万代に語り続ぐべき名は立てずして | 万葉集 | |
6 | 笠金村 | 丈夫の弓上振り起し射つる矢を後見む人は語り継ぐがね | 万葉集 | |
7 | 山部赤人 | あしひきの山にも野にも御猟人さつ矢手挟みみだれたり見ゆ | 万葉集 | |
8 | 遣唐使使人母 | 旅人の宿りせむ野に霜降らば吾が子羽ぐくめ天の鶴群 | 万葉集 | |
9 | 安倍郎女 | わが背子はものな思ほし事しあらば火にも水にも吾なけなくに | 万葉集 | |
10 | 海犬養岡麿 | 御民われ生ける験あり天地の栄ゆる時に遇へらく思へば | 万葉集 | |
11 | 雪宅麻呂 | 大君の命かしこみ大船の行きのまにまに宿りするかも | 万葉集 | |
12 | 小野老 | あをによし奈良の京は咲く花のにほふがごとく今さかりなり | 万葉集 | |
13 | 橘諸兄 | 降る雪の白髪までに大君に仕へまつれば貴くもあるか | 万葉集 | |
14 | 紀清人 | 天の下すでに覆ひて降る雪の光を見れば貴くもあるか | 万葉集 | |
15 | 葛井諸会 | 新しき年のはじめに豊の年しるすとならし雪の降れるは | 万葉集 | |
16 | 多治比鷹主 | 唐国に往き足らはして帰り来むますら武雄に御酒たてまつる | 万葉集 | |
17 | 大伴家持 | 天皇の御代栄えむと東なるみちのく山に金花咲く | 万葉集 | |
18 | 丈部人麻呂 | 大君の命かしこみ磯に触り海原わたる父母をおきて | 万葉集 | 防人歌 |
19 | 坂田部麻呂 | 真木柱ほめて造れる殿のごといませ母刀自面変りせず | 万葉集 | 防人歌 |
20 | 大舎人部千文 | 霰降り鹿島の神を祈りつつ皇御軍に吾は来にしを | 万葉集 | 防人歌 |
21 | 今奉部與曾布 | 今日よりは顧みなくて大君のしこの御盾と出で立つ吾は | 万葉集 | 防人歌 |
22 | 大田部荒耳 | 天地の神を祈りてさつ矢ぬき筑紫の島をさしていく吾は | 万葉集 | 防人歌 |
23 | 神人部子忍男 | ちはやぶる神の御坂に幣奉り斎ふいのちは母父がため | 万葉集 | 防人歌 |
24 | 尾張浜主 | 翁とてわびやは居らむ草も木も栄ゆる時に出でて舞ひてむ | 続日本後紀 | |
25 | 菅原道真 | 海ならずたたへる水の底までも清き心は月ぞ照らさむ | 新古今和歌集 | |
26 | 大中臣輔親 | 山のごと坂田の稲を抜き積みて君が千歳の初穂にぞ舂く | 栄花物語 | |
27 | 成尋阿闍梨母 | もろこしも天の下にぞ有りと聞く照る日の本を忘れざらなむ | 新古今和歌集 | |
28 | 源経信 | 君が代はつきじとぞ思ふ神かぜやみもすそ川のすまん限は | 後拾遺和歌集 | |
29 | 源俊頼 | 君が代は松の上葉におく露のつもりて四方の海となるまで | 金葉和歌集 | |
30 | 藤原範兼 | 君が代にあへるは誰も嬉しきを花は色にもいでにけるかな | 新古今和歌集 | |
31 | 源頼政 | みやま木のその梢とも見えざりし桜は花にあらはれにけり | 詞花和歌集 | |
32 | 西行法師 | 宮柱したつ岩根にしき立ててつゆも曇らぬ日の御影かな | 新古今和歌集 | |
33 | 藤原俊成 | 君が代は千代ともささじ天の戸や出づる月日のかぎりなければ | 新古今和歌集 | |
34 | 藤原良経 | 昔たれかかる桜の花を植ゑて吉野を春の山となしけむ | 新勅撰和歌集 | |
35 | 源実朝 | 山は裂け海はあせなむ世なりとも君にふた心わがあらめやも | 新勅撰和歌集 | |
36 | 藤原定家 | 曇りなきみどりの空を仰ぎても君が八千代をまづ祈るかな | 拾遺愚草 | |
37 | 宏覚禅師 | 末の世の末の末まで我が国はよろづの国にすぐれたる国 | 元冦祈願文 | |
38 | 中臣祐春 | 西の海よせくる波も心せよ神の守れるやまと島根ぞ | 祐春詠草 | |
39 | 藤原為氏 | 勅として祈るしるしの神風に寄せくる浪はかつ砕けつつ | 増鏡 | |
40 | 源致雄 | 命をば軽きになして武士の道よりおもき道あらめやは | 風雅和歌集 | |
41 | 藤原為定 | 限りなき恵みを四方にしき島の大和島根は今さかゆなり | 風雅和歌集 | |
42 | 藤原師賢 | 思ひかね入りにし山を立ち出でて迷ふうき世もただ君の為 | 新葉和歌集 | |
43 | 津守国貴 | 君をいのるみちにいそげば神垣にはや時つげて鶏も鳴くなり | 新葉和歌集 | |
44 | 菊池武時 | もののふの上矢のかぶら一筋に思ふ心は神ぞ知るらむ | | |
45 | 楠木正行 | かへらじとかねて思へば梓弓なき数に入る名をぞとどむる | 太平記 | |
46 | 北畠親房 | 鶏の音になほぞおどろくつかふとて心のたゆむひまはなけれど | 臨永和歌集 | |
47 | 森迫親正 | いのちより名こそ惜しけれもののふの道にかふべき道しなければ | 常山紀談 | |
48 | 三条西実隆 | あふぎ来てもろこし人も住みつくやげに日の本の光なるらむ | 雪玉集 | |
49 | 新納忠元 | あぢきなやもろこしまでもおくれじと思ひしことは昔なりけり | 西藩野史 | |
50 | 下河辺長流 | 富士の嶺に登りて見れば天地はまだいくほどもわかれざりけり | 晩華和歌集 | |
51 | 徳川光圀 | 行く川の清き流れにおのづから心の水もかよひてぞ澄む | 常山詠草 | |
52 | 荷田春満 | 踏みわけよ日本にはあらぬ唐鳥の跡をみるのみ人の道かは | 春葉集 | |
53 | 賀茂真淵 | 大御田のみなわも泥もかきたれてとるや早苗は我が君の為 | 賀茂翁家集 | |
54 | 田安宗武 | もののふの兜に立つる鍬形のながめかしはは見れどあかずけり | 天降言 | |
55 | 楫取魚彦 | すめ神の天降りましける日向なる高千穂の嶽やまづ霞むらむ | 楫取魚彦家集 | |
56 | 橘枝直 | 天の原てる日にちかき富士の嶺に今も神代の雪は残れり | あづま歌 | 自撰家集 |
57 | 林子平 | 千代ふりし書もしるさず海の国の守りの道は我ひとり見き | 六無齋遺詠 | |
58 | 高山彦九郎 | 我を我としろしめすかやすべらぎの玉のみ声のかかる嬉しさ | | |
59 | 小沢蘆庵 | あし原やこの国ぶりの言の葉に栄ゆる御代の声ぞ聞ゆる | 六帖詠草 | |
60 | 本居宣長 | しきしまの大和ごころを人問はば朝日に匂ふ山ざくら花 | 六十一歳自画自賛像 | 神風特攻隊の諸部隊名にも使用された。 |
61 | 荒木田久老 | 初春の初日かがよふ神国の神のみかげをあふげもろもろ | 五十槻園集 | |
62 | 橘千蔭 | 八束穂の瑞穂の上に千五百秋国の秀見せて照れる月かも | うけらが花 | |
63 | 上田秋成 | 香具山の尾の上に立ちて見渡せば大和国原早苗とるなり | 藻屑 | |
64 | 蒲生君平 | 遠つ祖の身によろひたる緋縅の面影うかぶ木々のもみぢ葉 | 岡廼屋歌集 | |
65 | 栗田土満 | かけまくもあやに畏きすめらぎの神のみ民とあるが楽しさ | 國民歌集 | |
66 | 賀茂季鷹 | 大日本神代ゆかけてつたへつる雄々しき道ぞたゆみあらすな | 雲錦集 | |
67 | 平田篤胤 | 青海原潮の八百重の八十国につぎてひろめよこの正道を | 氣吹廼舎歌集 | |
68 | 香川景樹 | ひとかたに靡きそろひて花すすき風吹く時ぞみだれざりける | 桂園一枝 | |
69 | 大倉鷲夫 | やすみししわが大君のしきませる御国ゆたかに春は来にけり | | |
70 | 藤田東湖 | かきくらすあめりか人に天つ日のかがやく邦のてぶり見せばや | 東湖遺文 | |
71 | 足代弘訓 | わが国はいともたふとし天地の神の祭をまつりごとにて | 海士囀 | |
72 | 加納諸平 | 君がため花と散りにしますらをに見せばやと思ふ御代の春かな | 柿園詠草 | |
73 | 鹿持雅澄 | 大君の宮敷きましし橿原のうねびの山の古おもほゆ | | |
74 | 僧月照 | 大君のためには何か惜しからむ薩摩の瀬戸に身は沈むとも | | |
75 | 石川依平 | 大君の御贄のまけと魚すらも神世よりこそ仕へきにけれ | 柳園詠草 | |
76 | 梅田雲浜 | 君が代を思ふ心のひとすぢに吾が身ありともおもはざりけり | | |
77 | 吉田松陰 | 身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留め置かまし日本魂 | 留魂録 | |
78 | 有村次左衛門 | 岩が根も砕かざらめや武士の国の為にと思ひきる太刀 | | |
79 | 高橋多一郎 | 鹿島なるふつの霊の御剣をこころに磨ぎて行くはこの旅 | 殉難後草拾遺 | |
80 | 佐久良東雄 | 天皇に仕へまつれと我を生みし我がたらちねぞ尊かりける | 薑園歌集 | |
81 | 徳川斉昭 | 天ざかる蝦夷をわが住む家として並ぶ千島のまもりともがな | 景山公歌集 | |
82 | 有馬新七 | 朝廷辺に死ぬべきいのちながらへて帰る旅路の憤ろしも | 都日記 | |
83 | 田中河内介 | 大君の御旗の下に死してこそ人と生れし甲斐はありけれ | | |
84 | 児島草臣 | しづたまき数ならぬ身も時を得て天皇がみ為に死なむとぞ思ふ | 歎涕和歌集 | |
85 | 松本奎堂 | 君がためいのち死にきと世の人に語り継ぎてよ峰の松風 | 殉難遺草 | |
86 | 鈴木重胤 | 天皇の御楯となりて死なむ身の心は常に楽しくありけり | 橿の本つ集 | |
87 | 吉村寅太郎 | 曇りなき月を見るにも思ふかな明日はかばねの上に照るやと | 殉難遺草 | |
88 | 伴林光平 | 君が代はいはほと共に動かねば砕けてかへれ沖つしら波 | 光平先生辭世歌碑 | |
89 | 渋谷伊與作 | ますらをが思ひこめにし一筋は七生かふとも何たわむべき | | |
90 | 佐久間象山 | みちのくのそとなる蝦夷のそとを漕ぐ舟より遠くものをこそ思へ | | |
91 | 久坂玄瑞 | 取り佩ける太刀の光はもののふの常に見れどもいやめづらしも | 紅月齋遺集 | |
92 | 津田愛之助 | 大君の御楯となりて捨つる身と思へば軽きわが命かな | 殉難録稿 | |
93 | 平野国臣 | 青雲のむかふす極すめらぎの御稜威かがやく御代になしてむ | | |
94 | 真木和泉 | 大山の峰の岩根に埋めにけりわが年月の日本だましひ | | |
95 | 武田耕雲斎 | 片敷きて寝ぬる鎧の袖の上に思ひぞつもる越の白雪 | | |
96 | 平賀元義 | 武夫のたけき鏡と天の原あふぎ尊め丈夫のとも | | |
97 | 高杉晋作 | 後れても後れてもまた君たちに誓ひしことをわれ忘れめや | | |
98 | 野村望東尼 | 武士のやまと心をより合はせただひとすぢの大綱にせよ | 向陵集 | |
99 | 大隈言道 | 男山今日の行幸の畏きも命あればぞをろがみにける | | |
100 | 橘曙覧 | 春にあけてまづみる書も天地のはじめの時と読み出づるかな | 志濃夫廼舎歌集 | |