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水岡不二雄
日本の経済学者 (1951-) ウィキペディアから
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水岡 不二雄(みずおか ふじお、1951年1月[1] - )は、日本の経済学者。専門は、経済地理学。一橋大学名誉教授。
人物
青森県出身。一橋大学大学院社会学研究科では竹内啓一に師事[2]。1980年代に米国に留学して批判的社会・経済地理学の新しい潮流を学び、デヴィッド・ハーヴェイならびにA・J・スコットによる空間編成・建造環境・産業空間の理論を日本に紹介した。経済地理学の理論を、経済・社会が原初的空間を包摂することによる人為的な異質的空間の生産過程として、弁証法的に体系化した。
この経済地理学の研究は、英国植民地時代の香港地域研究に、応用されている。この研究は、香港の自由放任が、英国人がその植民地支配を達成するため人為的に空間などの希少化を図り、かつ地下鉄や公営住宅などの建造環境整備による人為的な空間編成の生産をすることにより作り出されたとする、「人為的自由放任」の考え方に基づくものである。
最近は、児童相談所問題にも関心を広げ、日本の福祉政策が、新自由主義の下で官僚と利権集団の自己利益極大化の手段となり、その結果子どもの権力的拉致と長期拘禁、そして家族破壊という人権侵害がなされていることを指摘している。この社会的活動の一環として水岡は「児相被害を撲滅する会」を組織してその代表となり、国連の人権関係委員会にしばしば出向いて、告発活動を行っている。2019年の国連子どもの権利委員会では、日本の児童相談所の人権侵害について、「一時保護」の際の司法審査欠如、そして児童相談所行政が強い経済的インセンティブで活動している疑惑があるなど、数々の事実認定と勧告を勝ち取ることに成功した。
一橋大学における教育活動では、ほぼ毎年、学生と海外巡検に赴いていた[3]。そこでは、グローバル化、国境の透過性、土地と民族との自生的結びつき[4]、建造環境の固着性など、経済・社会地理学の主要なテーマを現場における直接の経験の中から学生に体得させる活動を行った。水岡の思想を解釈するには弁証法的アプローチが必要である。
かつては経済地理学会で活躍し、大学院生だった1979年から長く役員(幹事)を務めていた[5]。学会が日本の批判地理学の伝統を蔑ろにしているとして離れた後は、論文やウェブ上などで経済地理学会を厳しく批判し続けている[6][7][8]。
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経歴
学歴
- 1969年 3月 東京教育大学附属駒場高等学校卒業
- 1975年 3月 立命館大学経済学部卒業
- 1977年 4月 一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了
- 1982年 4月 同博士後期課程単位取得
- 1983年 8月 クラーク大学地理学部大学院入学(フルブライト・プログラムによる)
- 1986年 5月 同よりPh.D.(地理学)学位取得
職歴
- 1979年 11月 香港大学文学部地理及地質学系客員講師(国際交流基金専門家、1981年7月まで)
- 1985年 2月 ジョンズ・ホプキンス大学Visiting Fellow(1985年4月まで)
- 1985年 9月 クラーク大学地理学部 Departmental Assistant(1986年4月まで)
- 1987年 4月 一橋大学経済学部助教授(経済地理学部門)
- 1992年 4月 一橋大学経済学部教授(同、1996年4月より現代経済部門)
- 1993年 7月 香港大学地理及地質学系兼任客員教授(1993年10月まで)
- 1998年 4月 一橋大学大学院経済学研究科教授(2003年4月より、経済地理部門所属)
- 2014年 3月 定年退職
- 2014年 4月 一橋大学特任教授
- 2016年4月 一橋大学名誉教授
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著書
単著
- 『経済地理学―空間の社会への包摂』(青木書店、1992年)
- 『グローバリズム』(八朔社、2006年)
- Contrived Laissez-Faireism:The Politico-Economic Structure of British Colonialism in Hong Kong(Springer, 2018)
- Subsumption of Space: A Theory of Marxist Geography (Springer, 2024)
編著
共著
- 『児相利権―「子ども虐待防止」の名でなされる児童相談所の人権蹂躙と国民統制』(八朔社、2016年)
共訳書
- マイヤー、ペスラー、ルッペルト、シャッファー『社会地理学』(古今書院、1982年)
- デヴィッド・ハーヴェイ『空間編成の経済理論―資本の限界(上・下)』(大明堂、1989年-1990年)
- D・ハーヴェイ『都市の資本論―都市空間形成の歴史と理論』(青木書店、1991年)
- A・J・スコット『メトロポリス―分業から都市形態へ』(古今書院、1996年)
出典
関連項目
外部リンク
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