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済衆院 (小説)
イ・ギウォンの小説作品 ウィキペディアから
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『済衆院』(チェジュンウォン、ハングル: 제중원)は、韓国の脚本家・小説家イ・ギウォンが2009年に発表した小説作品。
作品

旧韓末期、当時の最下層の身分であった白丁出身の主人公ファン・ジョンが、様々な困難を乗り越え済衆院で西洋医学を学び医師となる姿が描かれている。実際に白丁出身で済衆院を卒業し、朝鮮半島初の西洋医学を学んだ医師のひとりとなった朴瑞陽が主人公のモデル[1]。
成立・背景
イ・ギウォンは2007年に『白い巨塔』の脚本を担当、その際執筆の参考にするために医学を学んだ。学びを深めていくうちに済衆院や朴瑞陽の存在を知った[2]。
構想段階から、イ・ギウォンは小説と脚本の両方を書く事を念頭に置いていたという[2]。まず小説の草稿を書き、次に脚本を書きながら新たに浮かんだアイディアを脚本だけでなく小説草稿に加えたり、逆に小説草稿中のエピソードを脚本中に加えたりと、双方の原稿に「追加補完」をして完成させた[2]。完成させるまでに約2年かかったと2012年に行われたインタビューで述べている[3]。
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書誌情報
サムソン出版社刊行、全2巻。
- 『済衆院 1』 ISBN 978-8915071032
- 『済衆院 2』 ISBN 978-8915071049
テレビドラマ
要約
視点
SBS月火ドラマの枠にて2010年1月4日から同年5月4日まで放送された。全36話。制作にあたり延世大学校セブランス病院が協力し、同大教授で当時トンウン医学博物館館長の地位にあった朴瀅雨がアドバイザーとして参加した[4]。
視聴率は同時間帯に他局で放送された『ドラゴン桜』や『パスタ』等に押され10パーセント台となった[5]が、作品自体を高く評価する意見が、脚本家キム・スヒョンを含む複数の方面から提示されている[6][7]。また放送期間中、番組公式サイトを通じてイ・ギウォンや演出を担当したホン・チャンウク、更にはヒロイン、ユ・ソンナン役を演じたハン・ヘジンから「視聴率に一喜一憂しない」という異例の声明がなされたりもしている[8]。
作品
キャスティング
出演者については監督のホン・チャンウクや原作・脚本のイ・ギウォンをはじめとするスタッフ陣で各役ごとに演じさせたい俳優を1位から5位まで決めた後、俳優陣のスケジュールをチェックした上で問題のない俳優にオファーをする形を取った[2]。
ペク・トヤン役のヨン・ジョンフンについてはイ・ギウォンが「『白い巨塔』で主人公を演じたキム・ミョンミンの役割を再現させてほしい」とミーティングの席上で直接依頼、ヨン・ジョンフンは悩んだ末出演を受諾した[9]。『朱蒙』以来3年ぶりに時代劇に出演する事となった[10]ユ・ソンナン役のハン・ヘジンについてはホン・チャンウクが「ソンナンにぴったりだ」と評した[2]。ファン・ジョン役のパク・ヨンウは同作品の企画がある事を知って自ら出演を希望する旨を訴えてきたと、イ・ギウォンがインタビューで明かしている[2]。
オ・チュンファン役を演じたクォン・ヘヒョの出演が一時危ぶまれた。収録中、2008年の狂牛病問題を批判するデモに参加していた事を理由に大韓民国国家情報院がクォン・ヘヒョを出演させないようにとSBSの局長のひとりを通す形で圧力をかけてきた事を、監督だったホン・チャンウクは2017年9月にメディアに明かしている。ホン・チャンウクは「熱心に演技に取り組んでいて、犯罪・スキャンダルに手を染めた訳でもない俳優を理由なく外す事はできない」と主張、この局長と議論を重ねた。最終的にクォン・ヘヒョは同作品に出演する事ができた[11][12]。
- ペク・トヤン役のヨン・ジョンフン
- オ・チュンファン役のクォン・ヘヒョ
ロケーション

以下の施設がロケ地として用いられている:
キャスト
登場人物は、個別に注釈のある場合を除き[16][17][18]に基づく:
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主要人物
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
パク・ヨンウ 子供時代チャ・ジェドル | ソグンゲ/ファン・ジョン | 漢字表記は小斤犬/黄丁(第24話以降は黄正)[19]。マダンゲの息子。本作品の主人公。 |
ヨン・ジョンフン 子供時代シン・ドンギ | ペク・トヤン | 漢字表記は白途陽。両班出身の儒学生ながら西洋医学に並々ならぬ関心を寄せる。ソンナンとは幼馴染。 |
ハン・ヘジン 子供時代ハム・ジェウン | ユ・ソンナン | 漢字表記は柳錫蘭。通訳官ユ・ヒソの娘。英語を流暢に話す。医学を志し済衆院でシャペロン(患者の付添人)を務め、後正式な医生として医学を学び医師となった。 |
ファン・ジョン関連人物
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
チャン・ハンソン | マダンゲ | ファン・ジョンの父親。 |
チャ・ファヨン | ファン・ジョンの母 | マダンゲの妻。結核性肋膜炎を患い、それがファン・ジョンが闇解体に手を染める理由となる。 |
チョン・ソギョン | チャクテ/イ・グァク | ファン・ジョンの親友。漢字表記は李癨。闇解体に手を染めたために追われる身となったファン・ジョンと運命を共にする。ファン・ジョンが済衆院に入学した際は門番として働くようになった。 |
ペク・トヤン関連人物
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
ソ・インソク | ペク・テヒョン | トヤンの父親で刑曹判書。保守的な考えの持ち主でトヤンとは考えを異にしていた。甲申政変時、入宮したところ刺客に襲われ負傷。ファン・ジョンの手当の甲斐なく息を引き取った。 |
イ・ヒョジョン | ペク・キュヒョン | トヤンの叔父で済衆院の主事。ファン・ジョンがテヒョンを殺したと恨み、あの手この手でファン・ジョンを迫害しようとした。 |
クォン・ヘヒョ | オ・チュンファン | トヤンの成均館時代の師匠。後にトヤンの推薦で済衆院の主事となる。原理原則に厳しい姿勢を見せるが、当初はトヤンの側に肩入れしてファン・ジョンを毛嫌いしていた。 |
ユン・ギウォン | ユン・ジェウク | 漢字表記は尹在旭。トヤンの成均館時代からの同期で済衆院でも同期となる。身分が違うファン・ジョンを嫌うだけでなく、トヤンが両班ではないソンナンを愛する事も理解しない。後済衆院を退学し、高級クラブに勤務するようになった。 |
ウォン・ギジュン | チョン捕校 | トヤンの手下。トヤンが違法ながらファン・ジョンに命じた遺体解剖の証拠を消すためにファン・ジョンを殺そうと付け狙う。ファン・ジョンに生命を救われた事で改心し、秘密を守ったまま去っていく。 |
ユ・ソンナン関連人物
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
キム・ガプス | ユ・ヒソ | ソンナンの父親で朝廷に仕える通訳官。外国人との交流関係が広い一方で牛肉を届けるマダンゲとも顔見知りであった。後抗日運動に参加、拷問を受けた末生命を落とした。 |
クム・ボラ | ソンナンの母 | ユ・ヒソの妻。ひとり娘のソンナンがトヤンと結婚する事を願っていたが、娘が医学を志すようになってからは文句を言いつつ応援するようになった。 |
ソ・ヘリン | キム・マクセン | ソンナンの母が結婚する際に共にユ家にやってきた侍女。ソンナンにとっては友人のような存在。27話でモンチョンと結婚。 |
キム・ギュジン | チルポク | ユ家の使用人。 |
済衆院
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
ショーン・リチャード | アレン | 済衆院初代院長。ファン・ジョンを医学の道にいざなった張本人。 |
リッキー・キム | ヘロン | 済衆院2代目院長。原則を重視し当初はファン・ジョンに厳しかったが、後に彼の実力を認める。トヤンに対しても愛情から厳しく接していた[20]。赤痢患者を診察中自らも感染し死去。 |
ファビアン | エビスン | 済衆院4代目院長。ファン・ジョンの実力を認め済衆院の教授に迎えた。 |
キャサリン・ベイリー | ホートン | 済衆院医師でソンナンの医学の師。王室とも親交があった。 |
ト・ギソク | モンチョン | 済衆院の釜焚き人。27話でマクセンと結婚。 |
ユ・ヘジョン | パク小使 | 済衆院医女。未亡人となり婚家から追い出されて路上にいたところ、最初に出会ったキュヒョンに引き取られて済衆院にやってきた。 |
キム・テヒ | ミリョン | 済衆院医女。もともとは妓生だったがトヤンに惹かれて医女に転身した。後にファン・ジョンの医業上の協力者となっていった。 |
シン・ジス | ナンラン | ミリョンの侍女。ミリョンに伴って済衆院にやってきてからはマクセンのもとで下働きをしていた。キム・ドンの策略で済衆院を負われた後天然痘を患い、患者として戻ってきた。後医女として働くようになる。 |
ソン・ヨンギュ | コ・ジャングン | 漢字表記は高長根。もともとは画員だったが家族を養うため済衆院の医生試験を受験。集団実技で同じ組になった事でファン・ジョンと知り合う。入学後はファン・ジョンの親友となった。 |
漢城病院/日本
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
カン・ナムギル | ワタナベ | フルネームは渡辺俊介。自らを「大日本帝国のヒポクラテス」と名乗る日本人医師。漢城病院設立後は院長に就任、済衆院を飛び出したトヤンをスカウトし一時勤務させていた。31話で自らが肺癌に罹患した事を知り、ファン・ジョンの執刀で手術を受けた[20]。 |
チョン・ギュス | 日本公使 | 初代日本公使。済衆院を潰すためにワタナベを刺客として使ってきた。 |
キム・ビョンセ[21] | ミウラ | 第2代日本公使。乙未事変/明成皇后暗殺事件の首謀者。 |
ソク・チニ | スズキ | ワタナベの元で働く看護師。 |
ユン・ソヒョン[22] | ハセガワ[要出典] | ワタナベの手先。朝鮮人医学生キム・ドン(金敦)を名乗って済衆院に入り込み、ニトログリセリンによる爆発事件を起こす。ファン・ジョンに濡れ衣を着せるための工作を偶然目撃したナンランを解雇に追いやるが、天然痘患者として済衆院に連れてこられた彼女の指摘により事が露見した。 |
チェ・ジャヘ | ナオコ | フルネームはコバヤシナオコ。外務大臣の娘でトヤンの婚約者[23]。自らも看護師の資格を持ち漢城病院にて働いていた。 |
朝鮮王室/開化派等
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
チェ・ジョンファン | 高宗 | 李氏朝鮮第26代国王、後大韓帝国初代皇帝。民衆が西洋医学による治療を受けられるよう済衆院を設立してアレンに運営を任せていた。 |
ソ・イスク | 明成皇后 | 高宗の正室。アレンやホートンと親交があり高宗ともども済衆院を陰ながら支援した。27話でミウラの放った刺客により暗殺された。 |
チャン・ヒョンソン | ミン・ヨンイク | 明成皇后の甥。3話で甲申政変に巻き込まれて重傷を負いファン・ジョンとユ・ヒソに助け出され、後アレンの治療により生命をとりとめた。以後済衆院およびファン・ジョンの庇護者となった。 |
ユ・テウン | キム・オッキュン | 開化派のひとり。3話で甲申政変を起こして高宗夫妻を幽閉、ミン・ヨンイクを襲撃して重傷を負わせた。 |
キム・スンウク | ホン・ヨンシク | 開化派のひとり。キム・オッキュンと共に甲申政変を起こすが清国軍に殺害された。彼の家は後に済衆院の施設として利用される事となる。 |
イ・ジョンヨン | イ・ヨンイク | 親露反日派。高宗と王世子を王宮から脱出させロシア公使館へ移動させた。29話でトヤンとファン・ジョンの執刀により手術を受けている。 |
その他
以下は出演形態が明らかにされていないパク・ヨンスを除き全てカメオ出演。
俳優 | 役名 | 作品中の設定等 |
チョン・ウォンジュ | ソンナンの媒婆[24] | |
イ・サンユン | チ・ソギョン | 李氏朝鮮に種痘法を伝えた人物。13話、14話に登場[25]。 |
オ・ジホン | 日本軍兵士 | 17話に登場。ミリョンたちが立ち寄った食堂の客。後述の清国軍兵士と争い大乱闘に発展する原因となった[26]。 |
ユン・ソンホ | 清国軍兵士 | 17話に登場。ミリョンたちが立ち寄った食堂の客。日本軍兵士と諍いを始め、そこから大乱闘が発生した[26]。 |
パク・ノシク | 皮膚病患者 | 19話に登場[24]。 |
カン・ソンボム | 皮膚病患者 | 19話に登場[24]。 |
チョン・ジョンチョル | 宝石の行商人 | 20話に登場。ファン・ジョンがソンナンにプロポーズをする際にこの行商人から指輪を購入した[24]。 |
パク・ヨンス | 兵曹判書 | 後述ヨンイの父。済衆院でヨンイが生命を絶った事でファン・ジョンを逆恨みし、食堂でファン・ジョンの父を手下に襲わせ死に至らしめた。後肺癌に罹患し30、31話でトヤンの執刀により手術を受けた[27]。 |
イ・ジン | ヨンイ | 兵曹判書の娘。結核性胸膜炎を患い、吐血した事がきっかけで患者として済衆院にやってきた。ファン・ジョンが胸腔穿刺を行った事で生命を取り止めたが、見知らぬ男性に身を任せたので自分は穢れたと考え、病舎にて縊死した。22話、23話に登場[28][29]。 |
キ・テヨン | 左議政の息子でヨンイの婚約者。トヤンの成均館時代の同級生で病が篤くなったヨンイを済衆院に連れて行った。22話等に登場[29]。 | |
ソン・ヒョンジュ | ホ・ウィ将軍 | 朝鮮独立軍のリーダー。日本との戦闘で銃弾を受け、ファン・ジョンの治療を受けた。34話に登場[30]。 |
エピソード
エピソードは、個別に注釈がある場合を除き[18][31][32][33]に基づく:
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音楽
反応
1月4日に放送された第1話では15.1パーセント(AGBニールセン)を記録し、同時間帯で地上波3局中1位を記録した[34]が、翌1月5日にはKBS制作の『ドラゴン桜〈韓国版〉』に追い抜かれ2位となった[35]。1月4日に放送開始した4作品(『済衆院』、『ドラゴン桜』、『パスタ』、『星をとって』)中唯一視聴率を下げている[36]。3月に『パスタ』が放送終了してから視聴率は上昇し、3月16日放送の第22話では16.5パーセント(同)を記録したものの以後は視聴率は下がり続け、4月27日放送の第34話では10パーセントを切った[33]。結局視聴率は回復することなく、5月4日放送の最終話では9.9パーセントを記録した[37]。
低視聴率にもかかわらず作品そのものに対する評価は悪いものではなく、インターネットメディアOSENの記者ポン・ジュニョンによる視聴率低下を残念がるコメント[36]がメディア上に登場。続いて夕刊紙アジア経済新聞の記者コ・ジェワンは「しっかりとしたストーリー」を作り上げたイ・ギウォンと俳優陣の演技を評価する旨を記事中に記している[38]。
4月になると脚本家のキム・スヒョンがTwitter上にてファンと語り合う最中に同作品を視聴している事を公表した[39]。キム・スヒョンは作品中で用いられている衣装のカラフルさについては批判的ではあるものの脚本の出来を賞讃し、「何故このドラマをあまり見ないのですか?」と問いかけ、同作品への注目が少ない事への疑問を呈した[6]。結局低視聴率のまま終了したが、放送終了翌日、毎日経済新聞記者のチン・ヒョンヒは「真情性(切ない情感の意)のこもったドラマ」と、同作品を評価する意見を記事中にて表明した[7]。
受賞歴
2010年度SBS演技大賞では賞レースに絡む事は殆どなく、ユ・ソンナン役を演じたハン・ヘジンがプロデューサー賞を受賞したのみであった。
韓国国外での放送
関連商品
DVD・BD
韓国版DVD-BOXは2010年7月にSBSコンテンツハブから全2巻[42][43]、日本版DVD-BOXは2010年9月から11月にかけてワーナー・ホーム・ビデオよりコレクターズ・ボックス版が全3巻で発売された。
CD
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脚注
文献
外部リンク
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