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物類品隲

平賀源内の物産学の著作 ウィキペディアから

物類品隲
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物類品隲』(ぶつるいひんしつ[5]異体字: 物類品騭)は、平賀源内本草学物産学分野の著作。源内が開催した物産会の出品物を解説した書物。江戸時代中期、1763年宝暦13年)刊[5]

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国立科学博物館の展示
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「蛮産蛤蚧」(左)と「蛮産鼉龍」(右)
田村藍水が長崎で入手した珍品[1][2]舶来品トッケイヤモリイグアナ[3](またはカロテストカゲ英語版[1])の液浸標本と推定されるが、源内はカイマンクロコダイルと混同している[3]
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製糖法の図。『天工開物』の同様の図に基づく[4][1]

内容

本文4巻・図絵1巻・附録1巻の計6巻からなる[5]

序跋が田村藍水(源内の師)・後藤梨春久保泰享から寄せられている[1]南蘋派画家の宋紫石(楠本雪渓)が図絵[6]中川淳庵らが校閲を担当している[7]

源内や藍水が江戸で開催した物産会「東都薬品会」の第1回(1757年)から第5回(1762年)までの出品物、約2000点のうち、約360点を精選して載せる[8][9]。出品者は源内と藍水をはじめ、青木昆陽杉田玄白吉雄耕牛細川重賢渡辺吉賢中島利兵衛らがいた[10][9]

出品物は多岐にわたり、ランビキで採れる「薔薇露」(紅毛語ローズワアトル)に始まり[1][11]、源内の油絵西洋婦人図』にも使われた顔料ベルリンブルー(ベレインブラーウ)[1]や、のちの「源内焼」に繋がる陶土[1]、その他、石鹸[12][1]古銭[13]木綿[14]蝦夷附子[15]サフラン[1][15]サソリ[1]龍骨[1]スランガステーン[1]・鼉龍[1]ジャコウネズミ[1]などが載っている。

出品物を14種類(水部・土部・金部・玉部・石部・草部・穀部・菜部・果部・木部・蟲部・鱗部・介部・獣部)に分類して、異名・形状・効能・用法・産地などを記す[1][12]。「品隲」という題名通り、出品物について「上・中・下」三品の品評も記す[1][16][17]本草学物産学だけでなく蘭学[18][1]農学園芸学[19]名物学[19][1]方言学[19][1]などの要素も含む。

本草綱目』の分類体系に基づきつつも、『本草綱目』の内容を積極的に批判している[1][4][20]。古今東西の書籍を参照しており[1]宋応星天工開物[21][5]方以智物理小識中国語版[21][5]宮崎安貞農業全書[1]ドドネウス『草木誌』(『紅毛本草』)などを参照している[15][11]

第5巻は、本文中から珍品36点を選んで図示する[5]。西洋の明暗法(キアロスクーロ)を木版画に用いるという試みもされている[22]

第6巻は、朝鮮人参甘蔗サトウキビ)の栽培法と製糖法を記す[5][23]。これらは当時海外輸入に頼っていたため、国産化が画策されており[1][5]徳川吉宗の「享保の改革」の殖産興業政策においても重視されていた[1][16]。源内は「国益」に資するため第6巻を記した[1][4]

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出版・受容

須原屋市兵衛(『解体新書』の版元でもある)などが版元となり[24]、江戸だけでなく上方でも出版された[25][24]

岡元鳳『毛詩品物図攷』(1784年)は『物類品隲』の鼉龍図を襲用している[26]

現代語訳など

  • 松井年行『物類品騭の研究』美巧社、2020年。ISBN 978-4863871175
  • 『日本農書全集 第70巻 学者の農書 2』農山漁村文化協会、1996年。ISBN 9784540960154
  • 『覆刻日本古典全集』現代思潮新社、1978年。ISBN 9784329005489

参考文献

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脚注

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