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音楽記号 (Unicodeのブロック)

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音楽記号(おんがくきごう、英語: Musical Symbols)は、Unicodeブロックの一つ。

概要 範囲, 面 ...

解説

楽譜のうち、特に一般的な五線記譜法において音楽音階及びリズムの記述に用いられる音楽記号演奏記号)を収録している。

Unicodeはプレーンテキストでない表現は扱いの対象外としているが、音楽の学術的な研究や理論書、教育書、用語辞典、書誌データベース、テーマ別カタログ、音楽データデータベースの記述において説明のため平文中に多くの音楽記号を登場させる必要性があったため追加の対象となった[1]

ただし、現状Unicode文字内で各音符の音高などを記述することはできず、プレーンテキスト上で楽譜の記述をすることは不可能となっている。これについて元の提案文書では以下のように述べている。

音楽のレイアウトや音高の表現は非常に複雑なため、この提案の範囲外とされる。この提案で定義するのは文字コードのみであり、楽譜を正確に描画するための座標指定や行間指定などは含まれない。これらの文字は、アルファベットなどと同様に音楽データの転送・保存・処理に使用できる基本的単位を提供するものであり、音高情報などは上位プロトコルで扱うことを前提としている[2]

ピッチのエンコードと、その結果得られる音楽構造のレイアウトには、複数の音符の同時的な垂直関係だけでなく、複数の五線譜、楽器パート間の関係など、様々な関係の規定が含まれます。これらの音楽的特徴は、提案されたグラフィック要素を利用する高水準プロトコルで完全に処理されることが期待されます。したがって、ピッチエンコードの欠如は、提案の欠点ではなく、エンコードの必須機能と見なすべきです[1]

すなわち、音高の情報はプレーンテキストではなくより高位のプロトコルに任せるべきであるとしているため、Unicodeの対処範囲外となっている。

通常の西洋音楽における五線譜記譜法の音楽記号のほか、現在の記譜法と連続性を持っている、かつて用いられていた古い記法(計量記譜法ネウマ譜、キエフ記譜法など)のための記号も含まれている。

Unicodeのバージョン3.1において初めて追加された。

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収録文字

要約
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小分類

要約
視点

このブロックの小分類は「縦線」(Bars)、「コーダ」(Codas)、「音型の繰り返し」(Figure repetitions)、「継続と休止」(Holds and pauses)、「譜面用括弧」(Staff brackets)、「譜線」(Staves)、「タブラチュア」(Tablature)、「音部記号」(Clefs)、「休符」(Rest)、「変化記号」(Pitch modifiers)、「拍子記号」(Time signatures)、「オクターブ」(Octaves)、「符頭」(Noteheads)、「音符」(Notes)、「符幹」(Stems)、「トレモロ」(Tremolos)、「付点」(Augmentation dot)、「符尾」(Flags)、「連桁及びスラー」(Beams and slurs)、「アーティキュレーション」(Articulation)、「ダイナミクス」(Dynamics)、「装飾」(Ornaments)、「解析」(Analytics)、「演奏法」(Instrumentation)、「ペダル」(Pedals)、「その他の記号」(Miscellaneous symbols)、「計量記譜法」(Mensural notation)、「計量記譜法の音符」(Mensural notes)、「計量記譜法の休符」(Mensural rests)、「計量記譜法のプロレーション」(Mensural prolations)、「グレゴリオ聖歌記譜法」(Gregorian notation)、「臨時記号」(Accidental)、「キエフ記譜法」(Kievan notation)、「装飾記号」(Ornamentation)、「イラン記譜法」(Iranian notation)、「四分音用の臨時記号」(Accidentals for quarter tones)の36個となっている[6]。本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。また、収録文字が1文字しかない小分類については小分類名が単数形で表現されているが、本記事では単数形か複数形かによる小分類名の表記ゆれについては別の小分類として扱わず、同一の小分類として扱うこととする。また、「計量記譜法」(Mensural notation)、「グレゴリオ聖歌記譜法」(Gregorian notation)、「キエフ記譜法」(Kievan notation)、「イラン記譜法」(Iranian notation)の4つに関しては別の小分類を更に包括するために設けられた項目である。

縦線(Bars

この小分類には小節を区切る縦線類が収録されている。

コーダ(Codas

この小分類には特定の区間を繰り返すことを表す記号(コーダなど)が収録されている。

音型の繰り返し(Figure repetitions

この小分類にはある一定の区間のまとまりを繰り返して演奏することを示す記号が収録されている。

継続と休止(Holds and pauses

この小分類には音を長く演奏したり、休止を伴うことを表すための記号が収録されている。

譜面用括弧(Staff brackets

この小分類には五線譜の外側で同時に演奏される複数のパートを括る括弧類が収録されている。

譜線(Staves

この小分類には五線譜などの音階の指標を表す、複数の水平線からなる譜線が収録されている。

タブラチュア(Tablature

この小分類にはギターベースなどの弦楽器において実際に指で押さえる箇所を示すために用いられるタブラチュア譜の譜線が収録されている。

音部記号(Clefs

この小分類にはト音記号やヘ音記号などの、各パートの全体的な音高を表す音部記号が収録されている。

休符(Rest

この小分類には様々な長さの休符が収録されている。

変化記号(Pitch modifiers

この小分類には臨時記号(accidental)や調号(key signature)などの、指定した五線譜上の音程を変化させる記号(変化記号、pitch modifier; 音程修飾子)が収録されている。

五線譜上に書かれた場合は調号として曲全体に作用し、異なるオクターブの音にも適用され、次の調号があるまで影響が持続する。一方、音符の符頭の左隣に書かれた場合は臨時記号として局所的に作用し、異なるオクターブの音には適用されず、同一小節内または同一小節内で次に現れるナチュラル記号までの区間のみに適用される。なお、臨時記号として用いられる場合、適用先の音が調号の影響を受けていた場合はその作用を無視して臨時記号側の影響のみがその音に適用される。

最も一般的なピッチ修飾子(シャープナチュラルフラット)は、その他の記号ブロックにエンコードされている[6]

拍子記号(Time signatures

この小分類には拍子を表すために用いられる拍子記号が収録されている。

オクターブ(Octaves

この小分類には局所的にオクターブを跨いで演奏される音程を表す記号が収録されている。

符頭(Noteheads

この小分類には音符の玉の部分(符頭[27])に用いられる様々な記号が収録されている。

複数の楽器の演奏を同一のパートで記述する必要のあるドラム譜などではどの楽器を演奏するかを分かりやすくするためしばしば符頭が様々な形で書かれる[3]

音符(Notes

この小分類には様々な長さの音符が収録されている。

基本的に音符の旗(符尾[27])部分を切り替えることで音の長さを表現するが、二分音符以上の長さでは符頭の種類が変化する。本小分類に含まれる記号を用いることで、小分類「符頭(Noteheads)」に含まれる符頭の切り替えをせずに自動的に二分音符以上の長さの場合について符頭の形が切り替わることとなっている。

符幹(Stems

この小分類には音符の棒(符幹[27])部分が収録されている。

トレモロ(Tremolos

この小分類には2和音を表す音符の符幹に付いて、和音を構成する2つの音を高速で繰り返して元の音符の長さ分だけ演奏すること(トレモロ)を示す、文字幅の無い結合記号が収録されている。

付点(Augmentation dot

この小分類には音符の符頭や休符の右側に付き、その長さの1/2の長さを加えた長さで演奏することを示す記号(付点)が収録されている。

符尾(Flags

この小分類には音符の旗(符尾)の部分を表現する、符幹に付けられる結合記号が収録されている。

連桁及びスラー(Beams and slurs

この小分類には8分音符以下の長さの音符が連続した際に音符同士をつなぐ連桁(ビーム)や、小節を跨ぐ音同士を繋いで1つの音として演奏することを表すタイ、音と音を滑らかに連続的に音程を変化させることを示すスラーなどの、隣接する音同士の音程によって字形が変化するものを表現するための不可視の制御文字が収録されている。

アーティキュレーション(Articulation

この小分類にはアーティキュレーションを表す、音符の符頭に結合する文字幅の無い結合記号が収録されている。

ダイナミクス(Dynamics

この小分類には音の強弱を表す強弱法の記号が収録されている。

音の強弱はおおむね音量と近い概念であるが、midiにおけるベロシティに相当し、楽器によっては強弱によって音量だけでなく音色が変化する場合がある。

装飾(Ornaments

この小分類にはゴーストノートトリルなどの装飾的な奏法を表す装飾音記号が収録されている。

解析(Analytics

この小分類には楽曲の解析に用いられる記号が収録されている。

演奏法(Instrumentation

この小分類には楽器固有の奏法を示すための記号が収録されている。

ペダル(Pedals

この小分類にはピアノの演奏において、ペダルを踏んだり離したりするべき箇所を示す記号が収録されている。

その他の記号(Miscellaneous symbols

この小分類にはその他さまざまな目的で用いられる記号が収録されている。

計量記譜法(Mensural notation

この小分類には1280年ごろに発明され17世紀に至るまでかつてヨーロッパで西洋音楽の記述に用いられていた計量記譜法で用いられる記号が収録されている。計量記譜法は現代の音楽記号の祖先となっている。

計量記譜法の音符(Mensural notes

この小分類には計量記譜法で用いられる音符記号が収録されている。

計量記譜法の休符(Mensural rests

この小分類には計量記譜法で用いられる休符記号が収録されている。

計量記譜法のプロレーション(Mensural prolations

この小分類には計量記譜法においてリズムの構造を表していた、プロレーション英語版と呼ばれる記号が収録されている。これは現在における拍子記号に相当するものである。

グレゴリオ聖歌記譜法(Gregorian notation

この小分類には9世紀から10世紀にかけてフランク人の間でグレゴリオ聖歌の記述に用いられたグレゴリオ聖歌記譜法(ネウマ譜)で用いられる記号が収録されている。

音部記号(Clefs

この小分類には各パートの全体的な音高を表す音部記号が収録されている。

臨時記号(Accidental

この小分類には臨時記号として用いられる追加の変化記号が収録されている。

音符(Notes

この小分類には様々な長さの音符が収録されている。

キエフ記譜法(Kievan notation

この小分類には1500年代後半に現在のウクライナで作られ[28]、1660年代にズナメニ聖歌記譜法に置き換わるまでロシア正教会などを中心として聖歌の記述に用いられていた[25]キエフ記譜法で用いられる記号が収録されている。

音部記号(Clefs

この小分類には各パートの全体的な音高を表す音部記号が収録されている。

装飾記号(Ornamentation

この小分類にはキエフ記譜法において楽曲の終わりを表すための記号1文字のみが収録されている。

音符(Notes

この小分類には様々な長さの音符が収録されている。

臨時記号(Accidental

この小分類には臨時記号として用いられる追加の変化記号が収録されている。

イラン記譜法(Iranian notation

この小分類にはイラン音楽で用いられる記号が収録されている。

四分音用の臨時記号(Accidentals for quarter tones

この小分類にはイラン音楽において、微分音の一種である四分音(半音の半分の大きさで変化する音高)を表現するための臨時記号として用いられる追加の変化記号が収録されている。

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文字コード

音楽記号(Musical Symbols)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
 0123456789ABCDEF
U+1D10x 𝄀 𝄁 𝄂 𝄃 𝄄 𝄅 𝄆 𝄇 𝄈 𝄉 𝄊 𝄋 𝄌 𝄍 𝄎 𝄏
U+1D11x 𝄐 𝄑 𝄒 𝄓 𝄔 𝄕 𝄖 𝄗 𝄘 𝄙 𝄚 𝄛 𝄜 𝄝 𝄞 𝄟
U+1D12x 𝄠 𝄡 𝄢 𝄣 𝄤 𝄥 𝄦 𝄩 𝄪 𝄫 𝄬 𝄭 𝄮 𝄯
U+1D13x 𝄰 𝄱 𝄲 𝄳 𝄴 𝄵 𝄶 𝄷 𝄸 𝄹 𝄺 𝄻 𝄼 𝄽 𝄾 𝄿
U+1D14x 𝅀 𝅁 𝅂 𝅃 𝅄 𝅅 𝅆 𝅇 𝅈 𝅉 𝅊 𝅋 𝅌 𝅍 𝅎 𝅏
U+1D15x 𝅐 𝅑 𝅒 𝅓 𝅔 𝅕 𝅖 𝅗 𝅘 𝅙 𝅚 𝅛 𝅜 𝅝 𝅗𝅥 𝅘𝅥
U+1D16x 𝅘𝅥𝅮 𝅘𝅥𝅯 𝅘𝅥𝅰 𝅘𝅥𝅱 𝅘𝅥𝅲 𝅥 𝅦 𝅧 𝅨 𝅩 𝅪 𝅫 𝅬 𝅭 𝅮 𝅯
U+1D17x 𝅰 𝅱 𝅲 𝅳 𝅴 𝅵 𝅶 𝅷 𝅸 𝅹 𝅺 𝅻 𝅼 𝅽 𝅾 𝅿
U+1D18x 𝆀 𝆁 𝆂 𝆃 𝆄 𝆅 𝆆 𝆇 𝆈 𝆉 𝆊 𝆋 𝆌 𝆍 𝆎 𝆏
U+1D19x 𝆐 𝆑 𝆒 𝆓 𝆔 𝆕 𝆖 𝆗 𝆘 𝆙 𝆚 𝆛 𝆜 𝆝 𝆞 𝆟
U+1D1Ax 𝆠 𝆡 𝆢 𝆣 𝆤 𝆥 𝆦 𝆧 𝆨 𝆩 𝆪 𝆫 𝆬 𝆭 𝆮 𝆯
U+1D1Bx 𝆰 𝆱 𝆲 𝆳 𝆴 𝆵 𝆶 𝆷 𝆸 𝆹 𝆺 𝆹𝅥 𝆺𝅥 𝆹𝅥𝅮 𝆺𝅥𝅮 𝆹𝅥𝅯
U+1D1Cx 𝆺𝅥𝅯 𝇁 𝇂 𝇃 𝇄 𝇅 𝇆 𝇇 𝇈 𝇉 𝇊 𝇋 𝇌 𝇍 𝇎 𝇏
U+1D1Dx 𝇐 𝇑 𝇒 𝇓 𝇔 𝇕 𝇖 𝇗 𝇘 𝇙 𝇚 𝇛 𝇜 𝇝 𝇞 𝇟
U+1D1Ex 𝇠 𝇡 𝇢 𝇣 𝇤 𝇥 𝇦 𝇧 𝇨 𝇩 𝇪
U+1D1Fx
注釈
1.^バージョン17.0時点
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履歴

要約
視点

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

さらに見る バージョン, コードポイント ...
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出典

関連項目

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