トップQs
タイムライン
チャット
視点

1985年のワールドシリーズ

メジャーリーグベースボールの第82回優勝決定シリーズ ウィキペディアから

1985年のワールドシリーズ
Remove ads

1985年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第82回ワールドシリーズ英語: 82nd World Series)は、10月19日から27日にかけて計7試合が開催された。その結果、カンザスシティ・ロイヤルズアメリカンリーグ)がセントルイス・カージナルスナショナルリーグ)を4勝3敗で下し、球団創設17年目で初の優勝を果たした。

概要

両チームの対戦はシリーズ史上初めて。ミズーリ州を本拠地とする球団どうしの対戦となったため、両本拠地都市を結ぶ州間高速道路70号線(Interstate 70)になぞらえた "I-70シリーズ" や、州の愛称「疑い深い州」(The Show-Me State)を冠した "ショー・ミー・シリーズ" という呼び名がつけられた[3]。カージナルス優勝決定まであと1イニングという第6戦の9回裏、ロイヤルズ先頭打者ホルヘ・オータの一ゴロを一塁塁審ドン・デンキンガーがセーフと誤審し、そこからロイヤルズが逆転優勝を果たしたことで物議を醸したシリーズでもある[4]シリーズMVPには、最終第7戦で完封勝利を挙げるなど、2試合18.0イニングで2勝0敗・防御率0.50という成績を残したロイヤルズのブレット・セイバーヘイゲンが選出された。

ワールドシリーズでは1976年から指名打者(DH)制度が導入され、今シリーズまでの10年間は、偶数年は全試合で採用、奇数年は全試合で不採用とされていた。翌1986年からは規則が変更され、年度にかかわらずアメリカンリーグ球団の本拠地では採用、ナショナルリーグ球団の本拠地では不採用となった[5]。この方式が現在も続いているため、全試合DHなしで開催されたワールドシリーズは現時点では今シリーズが最後である。

Remove ads

試合結果

要約
視点

1985年のワールドシリーズは10月19日に開幕し、途中に移動日を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。

さらに見る 日付, 試合 ...

第1戦 10月19日

さらに見る R, H ...
  1. 勝利ジョン・テューダー(1勝)  
  2. セーブトッド・ウォーレル(1S)  
  3. 敗戦ダニー・ジャクソン(1敗)  
  4. 審判
    [球審]ドン・デンキンガー(AL)
    [塁審]一塁: ビル・ウィリアムズ(NL)、二塁: ジム・マッキーン(AL)、三塁: ボブ・エンゲル(NL)
    [外審]左翼: ジョン・シュロック(AL)、右翼: ジム・クイック(NL)
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時30分 試合時間: 2時間48分 観客: 4万1650人 気温: 50°F(10°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
さらに見る セントルイス・カージナルス, カンザスシティ・ロイヤルズ ...

第2戦 10月20日

概要 映像外部リンク ...
さらに見る R, H ...
  1. 勝利ケン・デイリー(1勝)  
  2. セーブジェフ・ラハティ(1S)  
  3. 敗戦チャーリー・リーブラント(1敗)  
  4. 審判
    [球審]ビル・ウィリアムズ(NL)
    [塁審]一塁: ジム・マッキーン(AL)、二塁: ボブ・エンゲル(NL)、三塁: ジョン・シュロック(AL)
    [外審]左翼: ジム・クイック(NL)、右翼: ドン・デンキンガー(AL)
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時35分 試合時間: 2時間44分 観客: 4万1656人 気温: 60°F(15.6°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
さらに見る セントルイス・カージナルス, カンザスシティ・ロイヤルズ ...

第3戦 10月22日

さらに見る R, H ...
  1. 勝利ブレット・セイバーヘイゲン(1勝)  
  2. 敗戦ウォーキーン・アンドゥハー(1敗)  
  3. 本塁打
    KC:フランク・ホワイト1号2ラン
  4. 審判
    [球審]ジム・マッキーン(AL)
    [塁審]一塁: ボブ・エンゲル(NL)、二塁: ジョン・シュロック(AL)、三塁: ジム・クイック(NL)
    [外審]左翼: ドン・デンキンガー(AL)、右翼: ビル・ウィリアムズ(NL)
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時35分 試合時間: 2時間59分 観客: 5万3634人 気温: 65°F(18.3°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
さらに見る カンザスシティ・ロイヤルズ, セントルイス・カージナルス ...

第4戦 10月23日

さらに見る R, H ...
  1. 勝利ジョン・テューダー(2勝)  
  2. 敗戦バド・ブラック(1敗)  
  3. 本塁打
    STL:ティト・ランドラム1号ソロ、ウィリー・マギー1号ソロ
  4. 審判
    [球審]ボブ・エンゲル(NL)
    [塁審]一塁: ジョン・シュロック(AL)、二塁: ジム・クイック(NL)、三塁: ドン・デンキンガー(AL)
    [外審]左翼: ビル・ウィリアムズ(NL)、右翼: ジム・マッキーン(AL)
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時15分 試合時間: 2時間19分 観客: 5万3634人 気温: 73°F(22.8°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
さらに見る カンザスシティ・ロイヤルズ, セントルイス・カージナルス ...

第5戦 10月24日

さらに見る R, H ...
  1. 勝利ダニー・ジャクソン(1勝1敗)  
  2. 敗戦ボブ・フォーシュ(1敗)  
  3. 審判
    [球審]ジョン・シュロック(AL)
    [塁審]一塁: ジム・クイック(NL)、二塁: ドン・デンキンガー(AL)、三塁: ビル・ウィリアムズ(NL)
    [外審]左翼: ジム・マッキーン(AL)、右翼: ボブ・エンゲル(NL)
  4. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時15分 試合時間: 2時間52分 観客: 5万3634人 気温: 70°F(21.1°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
さらに見る カンザスシティ・ロイヤルズ, セントルイス・カージナルス ...

第6戦 10月26日

さらに見る R, H ...
  1. 勝利ダン・クイゼンベリー(1勝)  
  2. 敗戦トッド・ウォーレル(1敗1S)  
  3. 審判
    [球審]ジム・クイック(NL)
    [塁審]一塁: ドン・デンキンガー(AL)、二塁: ビル・ウィリアムズ(NL)、三塁: ジム・マッキーン(AL)
    [外審]左翼: ボブ・エンゲル(NL)、右翼: ジョン・シュロック(AL)
  4. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時30分 試合時間: 2時間47分 観客: 4万1628人 気温: 68°F(20°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
さらに見る セントルイス・カージナルス, カンザスシティ・ロイヤルズ ...

第6戦の先発投手は、ロイヤルズがチャーリー・リーブラント、カージナルスがダニー・コックス。この試合では両先発による投手戦が展開され、7回終了時点で両チームとも無得点のまま。8回表、カージナルスは二死一・二塁の好機で9番コックスに打順がまわったため、代打ブライアン・ハーパーを起用する。このハーパーがリーブラントから中前打を放ち、二塁走者テリー・ペンドルトンが生還してカージナルスが1点を先制した。その裏、2番手ケン・デイリーが無失点に抑え、カージナルスは3年ぶりの優勝まで残り1イニングとした。

9回裏、カージナルスは3番手トッド・ウォーレルが登板する。先頭打者ホルヘ・オータ打球は一塁方向へのゴロとなり、一塁手ジャック・クラークベースカバーのウォーレルへトスで送球した。アウトと思われたが、一塁塁審ドン・デンキンガーはセーフの判定を下した。カージナルスが抗議したものの、判定は覆らず。テレビ中継ではリプレイが流され、解説のジム・パーマーは「アウトに見えますね」、実況のアル・マイケルズも「アウトであることに疑いの余地はないように思えます」と話していた[6]。その後ロイヤルズは一死満塁の好機を作り、9番・投手ダン・クイゼンベリーの打順で代打にデーン・オージを起用した。オージはウォーレルの2球目を右前へ運び、三塁走者オニクス・コンセプシオンと二塁走者ジム・サンドバーグが相次いで生還、ロイヤルズが土壇場での逆転サヨナラ勝利によりシリーズの行方を最終第7戦へもつれ込ませた。デンキンガーは判定に自信を持っており、試合終了後にコミッショナーピーター・ユベロスに「正しかったよな?」と確認したが、ユベロスはただ首を横に振って否定したという[7]

2014年、MLBでは塁上のセーフ/アウトの判定にビデオ判定が行われるようになった。そしてロイヤルズが、この1985年以来29年ぶりのワールドシリーズ進出を果たした。デンキンガーは「ビデオ判定の導入には大賛成。あのときビデオ判定があったら、自分の名前なんて誰にも知られることはなかったんじゃないか」と話した[6]。また、ウォーレルの捕球を音で確認しようとしたが球場の大歓声にかき消されて聴こえなかったといい、判定を下したときの自身の位置取りについて「近すぎた。もうちょっと離れたところから足と捕球を一目に見ていれば、正しい判定を下す可能性が高くなってたと思う」とも振り返っている[7]

第7戦 10月27日

さらに見る R, H ...
  1. 勝利ブレット・セイバーヘイゲン(2勝)  
  2. 敗戦ジョン・テューダー(2勝1敗)  
  3. 本塁打
    KC:ダリル・モトリー1号2ラン
  4. 審判
    [球審]ドン・デンキンガー(AL)
    [塁審]一塁: ビル・ウィリアムズ(NL)、二塁: ジム・マッキーン(AL)、三塁: ボブ・エンゲル(NL)
    [外審]左翼: ジョン・シュロック(AL)、右翼: ジム・クイック(NL)
  5. 試合開始時刻: 中部夏時間UTC-5)午後7時25分 試合時間: 2時間46分 観客: 4万1658人 気温: 62°F(16.7°C)
    詳細: MLB.com Gameday / Baseball-Reference.com
さらに見る セントルイス・カージナルス, カンザスシティ・ロイヤルズ ...

最終第7戦の先発投手は、ロイヤルズがブレット・セイバーヘイゲン、カージナルスがジョン・テューダー。このふたりはともに、この年のレギュラーシーズンでは20勝を挙げている。7戦4勝制のワールドシリーズが3勝3敗のタイにもつれ、最終戦でその年の20勝投手どうしが先発として投げ合うのは、1962年以来23年ぶり史上5度目である[8]。ワールドシリーズでは審判が時計回りにローテーションするため、ドン・デンキンガーが前日の一塁塁審からこの日は球審に移った。試合は2回裏、ダリル・モトリーがテューダーから2点本塁打を放ち、ロイヤルズが先制する。3回裏にも、一死満塁からジム・サンドバーグが押し出し四球を選び、3点目を挙げてテューダーを降板に追い込む。さらに代わって登板したビル・キャンベルからも、スティーブ・バルボニの左前打で2点を奪い5-0とした。ロイヤルズが試合を優位に進める一方、カージナルス打線はセイバーヘイゲンの前に沈黙し、最初の6イニングでは二塁を踏むこともできなかった。

5回裏にもロイヤルズが6点を加え、試合は11-0となる。このイニング途中、カージナルスの監督ホワイティ・ハーゾグと5番手投手ウォーキーン・アンドゥハーがデンキンガーから退場処分を受けた。二死一・二塁の場面でアンドゥハーがサンドバーグに対し内角球を投じ、これをデンキンガーがボールと判定するとアンドゥハーは激昂、これを受けてまずハーゾグがダグアウトから出てきてデンキンガーに抗議し、退場させられた。このときハーゾグが前夜のデンキンガーの誤審を「もしあれがなければこの試合は必要なかった」と蒸し返したため、デンキンガーは「あんたのチームの打者がもうちょっと打ってりゃこの試合は必要なかった」と言い返したという[注 2][9]。再開後、次の球をアンドゥハーは再び内角に投げ、これをデンキンガーも再びボールと判定し、アンドゥハーがリアクションをとったところでデンキンガーが退場処分を下した。ワールドシリーズでの退場処分は、1976年ニューヨーク・ヤンキース監督のビリー・マーチンが受けて以来9年ぶりである[10]

試合はそのまま11-0で終了し、ロイヤルズが優勝を決めた。シリーズ終了後、アイオワ州にあるデンキンガーの自宅に殺害予告などの脅迫や抗議の手紙が寄せられ、警察が警備にあたる騒ぎとなった[7]。この事態に対し、コミッショナーピーター・ユベロスは「野球には最初から人間的要素が組み込まれている」と誤審を暗に認めつつも、カージナルスによる誤審場面ポスターの販売計画を差し止めるなどして、デンキンガーをかばった[4]。しかしその誤審は人々の印象に強く残り、時が経つにつれて「誤審は第7戦の9回裏二死で起きた」「デンキンガーはこの誤審によって引退させられた」など、事実とは異なる話が広まっていった[注 3][6]

Remove ads

脚注

外部リンク

Loading related searches...

Wikiwand - on

Seamless Wikipedia browsing. On steroids.

Remove ads