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CentOS

フリーのLinuxディストリビューション ウィキペディアから

CentOS
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CentOS(セントオーエス[5][6][注釈 2]Community Enterprise Operating System[7])は、Red Hat Enterprise Linux(以下「RHEL」と呼ぶ)と機能的に互換性があることを目指した[8]フリーのLinuxディストリビューションである。2014年1月、CentOSはレッドハットと公式に提携することを発表したが、RHELから独立したままであることを維持した[9]。これは新しいCentOS運営委員会の下で発表された[10][11]

概要 開発者, OSの系統 ...

2004年5月にリリースされた最初のCentOS(CentOSバージョン2)は、RHELバージョン2.1ASからフォークされたものである[1]。バージョン8以降、CentOSは公式にx86-64ARM64POWER8アーキテクチャをサポートしており、バージョン6までのリリースではIA-32アーキテクチャもサポートされていた。2015年12月 (2015-12)現在、CentOS 7のAltArchリリースはIA-32、Power ISA英語版、ARMバリアントであるARMv7hlとAArch64向けに提供されている[12][13]。CentOS 8は2019年9月24日にリリースされた[14]

2020年12月、Red Hatは一方的にCentOSの開発を終了した[15][16][17][18]。これはRHELのアップストリームに位置するディストリビューションであるCentOS Stream 9を推進するためである[19]。これに対し、2021年3月、CloudLinux(CloudLinux OSの開発元)はRHEL派生AlmaLinuxをリリースした[20]。その後2021年5月、CentOSの創設者の一人であるグレゴリー・カーツァーは、CentOSの元々の使命を継承するために競合プロジェクトであるRocky Linuxを立ち上げた[21]

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歴史

要約
視点

CentOSは、2002年にグレゴリー・カーツァーによって開始されたRPMベースのLinuxディストリビューションCAOS Linuxのビルドとして起源を持つ[22][23][24]。InfiscaleはそのGravityOSを「Caosの小規模なフットプリントを含む」と表現し[25]、一定の影響を示唆した。

2006年6月、Tao Linux(別のRHELクローン)の主要開発者であるデイヴィッド・パースリーは、Tao Linuxの廃止とCentOS開発への統合を発表した。Taoのユーザーはyum updateを介してCentOSリリースへ移行した[26]

2009年7月、CentOSプロジェクトのウェブサイト上での公開書簡において、CentOSの創設者の一人であるランス・デイヴィスが2008年に姿を消したと報告された。デイヴィスはプロジェクトへの貢献を停止していたが、CentOSのドメインおよびPayPalアカウントの登録は保持していた。2009年8月、CentOSチームはデイヴィスと連絡を取り、centos.infoおよびcentos.orgのドメインを取得したとされる[27]

2010年7月、CentOSはDebianを上回り、ウェブサーバ向けの最も人気のあるLinuxディストリビューションとなり、全Linuxウェブサーバーのほぼ30%がCentOSを使用していた[28]。しかし、Debianは2012年1月に再び首位を取り戻した[29]

2014年1月、レッドハットはCentOSプロジェクトを支援すると発表し、「オペレーティングシステム周辺の技術を統合するオープンソース開発者のニーズに適したプラットフォームの確立を支援する」と述べた[30]。これに伴い、CentOS商標の所有権はレッドハットに移転された[31]。現在、CentOSの主要開発者の多くはレッドハットに雇用されているが、RHELチームとは別に、レッドハットのオープンソースおよび標準化チームの一員として活動している[9]。新たなCentOS運営委員会も設立された[10]

2020年12月8日、CentOSプロジェクトは、CentOS Streamに注力するため、2021年末にCentOSディストリビューションを終了すると発表した[32]。この発表に対するコミュニティの反応は圧倒的に否定的であった。間もなく、グレゴリー・カーツァー(CentOSの創設者の一人)は、元のCentOSの方針を継続する新たなプロジェクトを発表し、これはRocky Linuxとして知られるようになった[21]。CloudLinuxは、CentOS Linuxのコミュニティ支援型後継となるAlmaLinuxを創設し、現行RHELバージョンとのバイナリ互換性を目指した[33]。AlmaLinuxのベータ版は2021年2月1日に初めてリリースされ[34]、最初の安定版は2021年3月30日に公開された[35]。Rocky Linuxのベータ版は2021年4月30日にリリースされ[36]、その後2021年6月21日にRocky Linux 8.4の安定版が公開された[37]

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デザイン

レッドハットはRed Hat Enterprise Linuxに含まれているソフトウェアソースコードオープンソースライセンスに基づき無償公開している。CentOSはこれをもとに、商標や商用パッケージ等を除去したものをリビルドしている。このようなものはWhite Box Enterprise LinuxScientific Linux等を含めて、一般に「RHELクローン」と呼ばれることもある。ただしCentOSプロジェクトのFAQでは"CentOS Linux is NOT a clone of Red Hat® Enterprise Linux."[38] と明記されておりRHELのクローンではないとしている。 RHELに由来するソースコードは変更されないように意図されている[39]が、CentOS独自の追加機能を提供するリポジトリを提供している[40]。技術サポートは主に公式メーリングリスト、ウェブフォーラム、チャットルームを通じてコミュニティによって提供される。

CentOSプロジェクトはレッドハットに関連しているが、より高い公開性、開放性、包括性を目指している。レッドハットはCentOSの主要な開発者のほとんどを雇用しているが、CentOSプロジェクト自体はユーザーや組織のスポンサーからの寄付に依存している[9]

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ターゲット

ターゲットはRHELと同様に企業のサーバデスクトップ環境の構築[41]としている。サポートが必要な場合にはレッドハットの製品を勧めるとしている[42]。デスクトップも想定されていることから、高機能なGUI環境も標準で提供されている。LibreOfficeOracle VM VirtualBoxなどのパッケージや後述のサードパーティーリポジトリを用いてビジネスソフト、デスクトップ仮想化ソフト、GPUや周辺機器のデバイスドライバセキュリティソフトデジタルコンテンツ制作ツール、メディアプレーヤー、ビデオコーデックなどをインストールすれば、本格的なデスクトップOSとして使用することが可能である。

バージョニングとリリース

要約
視点

CentOSのリリース

CentOSのバージョン番号は、7.0以前のリリースでは2つの部分から成り、メジャーバージョンとマイナーバージョンで構成される。これは特定のCentOSリリースのビルドに用いられるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のメジャーバージョンおよびアップデートセットに対応する。例えば、CentOS 6.5はRHEL 6アップデート5(RHELバージョン6.5とも呼ばれる)のソースパッケージからビルドされており、これはRHEL 6のいわゆる「ポイントリリース」である[43]

バージョン7.0以降、CentOSのバージョン番号にはベースとなるソースコードが発表された月を示す第三の部分が加わった。例えば、バージョン番号7.0-1406は、このCentOSリリースがRHEL 7の初期アップデートセットに対応することを示し、「1406」は基となるソースコードが2014年6月のものであることを示す。これを使用することで、関連するベースリリースバージョンとの関係を維持しながら、(2014年7月 (2014-07)現在)今後のコンテナおよびクラウドリリース向けにインストールイメージを再発行できる[44]

2006年中頃以降、RHELバージョン4.4(正式名称Red Hat Enterprise Linux 4.0 update 4)から始まり、レッドハットはCentOSと同一のバージョン命名規則を採用している(例:RHEL 4.5またはRHEL 6.5)[45]

2019年9月10日、CentOSはCentOS 8.1の作業をCentOS 7.7に延期した。これはCentOS 7.xが本番運用中で、CentOS 8.xが本番運用されていなかったためである。CentOS 7.7のリリース後、リソースはCentOS 8.0に戻された。

2019年9月24日、CentOSは公式にCentOSバージョン8.0をリリースした。CentOSは2021年末に廃止されたため、その最終リリースはバージョン8.5(2021-11-16)である。対照的に、そのRHEL版はバージョン8.10まで継続している(2024年9月時点)。

サポート終了スケジュール

Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のライフサイクルによれば[46]、CentOS 5、6、7はRHELを基にしているため「最大10年間メンテナンスされる」[47]。以前はCentOS 4は7年間サポートされていた[48]

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旧バージョンの情報

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CentOSバージョン7
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最新バージョン

CentOSバージョン8
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AltArchリリース

AltArchリリースは、CentOSリリースでサポートされていないアーキテクチャを支援するため、Alternative Architecture Special Interest Group(AltArch SIG)によってリリースされる。

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アドオンリリース

Software Collections(SCL)は、CentOSのリポジトリであり、一連のプログラミング言語データベースサーバおよび関連する各種パッケージを提供する。提供されるソフトウェアのバージョンは、ベースのCentOSディストリビューションに含まれる同等のバージョンよりも新しいもの、または初めて公式CentOSパッケージとして提供されるものとなっている[168]。(また、CentOSリポジトリの一覧は以下を参照。)

SCLから提供されるパッケージは、CentOSに付属するデフォルトのシステムツールを置き換えるものではない。代わりに、並列のツールセットが/optディレクトリにインストールされ、提供されるsclユーティリティを使用してアプリケーションごとに任意で有効化できる。例えば、PerlMySQLのデフォルトバージョンはベースのCentOSインストールで提供されるものが引き続き使用される[168]

さらに見る アドオン名, アーキテクチャ ...

アップストリームに相当するリリースが存在しないリリース

CentOSプロジェクトがリリースするISOイメージの中には、アップストリームに相当するリリースが存在しないものがある。これらはLive CDの提供や、サイズを縮小したインストールメディアの提供など、特定の目的のために作成される。以下に記載されたものに加え、直接的な上流に相当するリリースが存在しないAltArchリリースも存在する。

LiveCDおよびLiveDVDイメージは、起動可能な圧縮ファイルシステムを含んでおり、カスタムスクリプト[173]によって作成され、Kickstart英語版設定ファイルを使用する[174]。これらのライブイメージはハードディスクにインストールすることも可能であり、完全なCentOSインストール環境を得ることができる。ハードディスクへのインストール時には、CD/DVD上のイメージを単純にハードディスクへ転送するため、インストール時にインストールされるパッケージ群を調整することはできない。ハードディスクから起動後は、yumを使用してパッケージの追加や削除が可能である[175]

MinimalCDイメージは、機能的なインストールに必要な最小限のパッケージを含み、セキュリティやネットワークの使用性に妥協はない。これらの最小イメージは、通常のCentOSインストーラーを使用し、パッケージ選択のみを除外した形で提供される。インストール完了後にyumを使用してパッケージの追加や削除が可能である[176][177]

さらに見る リリース名, アーキテクチャ ...
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Special interest groups

Special interest groups(SIG)は、CentOSコミュニティの組織化された一部であり、特定の要件を満たすCentOSの専門的なバリアントを構築する道を開くものである。SIGは、より先進的なソフトウェアの追加、要件に応じた既存パッケージの再構築、代替デスクトップ環境の提供、またはCentOSを通常サポートされないアーキテクチャで利用可能にするなど、CentOSを様々な方法で修正・強化する自由を有する[199]

アーキテクチャ

バージョン8以降、CentOSはx86-64POWER8、64ビットのARMアーキテクチャを完全にサポートする[200]。以下のアーキテクチャは現在サポートされていない。

2015年12月 (2015-12)現在、CentOS 7のAltArchリリースはARMアーキテクチャのARMv7hlおよびAArch64バリアント向けに提供されている[13]。他のARMバリアントのサポート計画も存在する。ARMのサポートはAltArch SIGを通じたコミュニティの取り組みである[13][201]。CentOS 7のAltArchリリースはIA-32アーキテクチャおよびPower ISA英語版POWER7POWER8チップ)向けにも提供されている[12]

CentOSのLive CD版はmirror.centos.orgで入手可能である。CentOSのブータブルLive USBイメージは手動またはUNetbootinで作成可能である。

CentOSのイメージはAmazon EC2クラウド上でも提供されており、事前ビルド済みで公開されているAmazon マシンイメージ(AMI)の形で利用可能である[202][203]

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リポジトリ

要約
視点

CentOSには、ディストリビューションを構成するソフトウェアパッケージを含む三つの主要なリポジトリ(チャンネルとも呼ばれる)が存在する[204]

  • base: CentOSのポイントリリースを構成するパッケージを含み、ISOイメージ形式で正式にポイントリリースが提供される際に更新される。
  • updates: セキュリティ、バグ修正、または機能強化の更新パッケージを含み、ポイントリリース用の定期更新セットの間に提供される。こうしたバグ修正および機能強化の更新は、以下に記述するCentOS-Fasttrackリポジトリを通じて提供するのに適さないものに限られる[205][206]
  • addons: メインのCentOSディストリビューションを構成するパッケージの構築に必要なパッケージを提供するが、アップストリームから提供されないものを含む[注釈 6]

CentOSプロジェクトは、デフォルトのbaseupdatesリポジトリに含まれないソフトウェアパッケージを含む追加のリポジトリを提供している。これらのリポジトリには以下が含まれる[207]

  • CentOS Extras: CentOSのアップストリーム互換性を損なうことなく、追加機能を提供するパッケージを含む。
  • CentOSPlus: 一部の基本的なCentOSコンポーネントを実際にアップグレードするパッケージを含み、CentOSをアップストリーム提供者の内容とは完全に同一でないものにする。
  • CentOS-Testing: CentOSPlusおよびCentOS Extrasに向けたパッケージの検証場を提供する。提供されるパッケージはコアCentOSパッケージを置き換える場合もあり、正常に動作する保証はない。
  • CentOS-Fasttrack: ポイントリリース用の定期更新セットの間に、不定期に提供されるバグ修正および機能強化の更新パッケージを含む。この方法で提供されるパッケージは次のポイントリリースに含まれる候補である。セキュリティ更新は提供せず、ポイントリリースに不確定な形で含まれることが不適切なパッケージは含まない[205][206][208]
  • CR(Continuous Release): 次のポイントリリースで登場する予定のパッケージを一般公開する。これらのパッケージは、正式にISOイメージ形式でポイントリリースが提供されるまで、テストおよびホットフィックスの形で提供される[209]
  • debuginfo: プライマリパッケージビルド時に生成されたデバッグシンボルを含むパッケージ。
  • contrib: CentOSユーザーによって提供され、コアディストリビューションパッケージと重複しないパッケージ。
  • Software Collections: ベースディストリビューションより新しいバージョンのソフトウェアを提供する。

これらに加えて、Fedora提供のepel (Extra Packages for Enterprise Linux) やサードパーティーのNux Dextop リポジトリ[210]やRPM Fusion[211], ELRepo[212], Les RPM de Remi[213], RPMForge[214], JPackage[215]なども使用される。CentOS Plusはデフォルトで無効化されている。RPMForge及びRemiに関しても、オリジナルのパッケージを上書きしてしまう可能性があるとしてインストール後はOFFにして運用することが一般的である。

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CentOS Stream

CentOS Streamは、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) の開発よりやや先行する継続的配信型ディストリビューションであり、FedoraとRHELの中間に位置する[216]。また「RHELエコシステムに参加し協力することに興味がある者向け」に設計されている[216]

以前のCentOSリリースはRHELから直接派生していたため(RHELは実質的にCentOSのアップストリームであった)、Streamは以前のCentOSリリースからの変更を表し、Fedoraでのアップストリーム開発とRHELのダウンストリーム開発の間に位置する。とはいえ、CentOS Stream 9とRHEL 9は同一のコードベースから開始された[217]ため、CentOS StreamはFedoraよりもRHELに「近い」と見なすことができる。

最初のリリースであるCentOS Stream 8は、2019年9月24日にCentOS 8と同時にリリースされた[218]。CentOS 8のサポート終了に伴い、The CentOS ProjectはCentOS Linux 8からCentOS Stream 8への簡単な移行方法を提供した[219]

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派生

CentOS/RHEL派生

Thumb
Red Hat 系統樹

CentOS/RHEL派生版一覧に掲載され、パッケージ管理等が同様のもの

さらに見る 配布版, 説明 ...

その他

  • NuOnce Networks CentOS / BlueQuartz CD
  • BlueOnyx
  • Openfiler
  • Trixbox, a PBX solution
  • XenEnterprise
  • PBX in a Flash
  • FreePBX Distro

脚注

外部リンク

関連項目

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