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LibreOffice

文書作成と編集用のオフィススイート。無料ソフトウェアのコミュニティから派生 ウィキペディアから

LibreOffice
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LibreOffice(リブレオフィス[8][9])は、The Document Foundationが支援する同名プロジェクトが開発しているFOSSオフィスソフトである。商用ソフトであったStarOffice(日本向けはStarSuite)を起源としており、2011年に開発終了したOpenOffice.orgの後継ソフトの一つ。OpenOffice.orgの派生版として2010年に開発が開始された。

概要 開発元, 初版 ...
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LibreOfficeは、Writerワープロ)、Calc表計算)、Impressプレゼンテーション)、Drawベクタードローグラフィック)、Base(データベース)、Math(数式作成)から構成され、117の言語[10]で利用できる。

LibreOfficeが使用する標準ファイル形式は、オープンドキュメント形式(ODF)である。ODFは、構造化情報標準促進協会(OASIS)が文書規格を策定し、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)、日本産業規格(JIS X 4401:2014[11])が認定する国際標準規格である。Microsoft Officeのファイル形式はネイティブファイルとしてはサポートせず、これらと互換性は無いがインポート、エクスポートフィルターを介した変換を伴う読み込みと書き込みができるファイルとしてサポートをする。

LibreOfficeは、Microsoft WindowsmacOSLinuxやモバイルのAndroidiOSといった多様なプラットフォーム[12]の利用に加え、オンライン上で利用できるLibreOffice Onlineも用意されている。主要なLinuxディストリビューションでは標準のオフィススイートとしてインストールされる。また、LibreOfficeは最も活発に開発されているFOSSオフィススイートであり、直系の後継であるApache OpenOffice開発と比較すると活動の活発さは約50倍にも匹敵する[13]

LibreOfficeプロジェクトを発表後、2010年9月28日にベータ版をリリース。最初の安定版リリースの2011年1月から2011年10月までにLibreOfficeは約750万回ダウンロードされた[14]。プロジェクトは、2011年5月から2015年5月までにLinuxディストリビューションのダウンロードを除いて1億2000万のダウンロードがあり、そのうち5500万は2014年5月から2015年5月の間にダウンロードされたと報告している[15]

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構成

LibreOfficeは、以下のコンポーネントから構成される。各コンポーネントの詳細については、それぞれのページを参照。

歴史

2010年1月27日、当時のOpenOffice.org開発元・権利者であったサン・マイクロシステムズが、オラクルに買収された。そもそもOpenOffice.orgがサン・マイクロシステムズのもとにあった頃から、コミュニティメンバーは企業の意向に左右される開発方針に不満を持っており[16][17][18]、一部の開発者はOpenOffice.orgからフォークしたGo-oo(旧Go-Open Office)やNeoOfficeをリリースしていた。オラクルによる買収を機にコミュニティの不満が爆発し、OpenOffice.orgプロジェクトの主要メンバーらによりThe Document Foundationが設立され、OpenOffice.orgの次期バージョン3.3を独自に開発することを構想した。The Document Foundationはオラクルに対してThe Document Foundationへの参加と、プロジェクトにOpenOffice.orgブランドを寄贈するように要請。暫定的にLibreOfficeの名で開発が行われることになった[19][20]。しかし、オラクルからのブランドの寄贈は実現しなかったため、正式にLibreOfficeとして開発が行われることになった[21]。 その結果、LibreOfficeはOpenOffice.orgのバージョン番号を引き継いでいる。

UbuntuOpenSUSERed Hat Enterprise Linuxなどを含む複数のLinuxディストリビューターは、次のバージョン以後はLibreOfficeを使用することを発表し[22]、LibreOfficeがプリインストールされたバージョンがリリースされている。LibreOfficeにはGo-OOなどの派生版の開発成果が取り入れられた[23][24]

2011年1月25日、最初の安定版であるLibreOffice バージョン 3.3がリリースされた[25]。その後は年2回の定期的なリリースを続け、多くの新機能が加わった。LibreOfficeに関わる開発者の数は継続的に増加しており、ソースコードの改善も進んでいる[26]

2022年5月5日、SourceForge上でのソースコードとインストーラーの提供を開始した[27][28]

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StarOfficeとOpenOffice.orgの主な派生品のタイムライン。緑色で示されているのがLibreOfficeである。
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オフィスソフトウェア間の相互運用性

LibreOfficeでは標準ファイル形式としてODFを使用するが、Microsoft Office 97-2003形式やMicrosoft Office 2007以降で利用されるOOXMLのインポートとエクスポートができる。バージョンアップのたびに相互運用性は高められているが、Microsoft Office 97-2003形式、OOXMLODFの間には互換性がなく[29]、インポートとエクスポートはデータ欠落の恐れを含む変換を行うため日常の利用は向かず注意が必要である[30]

また、開発元であるThe Document Foundationは、プロプライエタリソフトで作られ他のソフトでは利用できないバイナリファイルを読み込むためのライブラリ開発を行うDocument Liberation Project[31]も運営し、そこで得られた成果を活用してMicrosoft WorksWordPerfectクラリスワークス/AppleWorks[32]、KeynoteやWordperfect Works[33]Apple Pages[34]Adobe PageMaker[35]QuarkXPress[36]といったソフトウェアで作成されたファイルの読み込みにも対応している。

Apache OpenOfficeとの関係

LibreOfficeの派生元となったOpenOffice.orgは、ソースコードApacheソフトウェア財団に寄贈され、現在は「Apache OpenOffice」として開発が続けられている。LibreOfficeはApache OpenOfficeの成果物の多くを取り込んでおり、また、LibreOffice独自の修正や機能追加がなされている。

一方、LibreOfficeからApache OpenOfficeへのソースコードの移植には注意を要する。それぞれのソフトウェアの内部で使われているソースコードは基本的に異なり、ライセンスも異なる。LibreOfficeはMPL v2.0である一方、Apache OpenOfficeはApacheライセンスであるためMPLと互換性がないためである。

2020年10月13日The Document Foundationは「Apache OpenOffice」に対する公開書簡を送付したと発表した[37][38]。書簡内では「Apache OpenOffice」の開発が滞っていることや、2014年以来一度もメジャーリリースが無いにも関わらずApache OpenOfficeを利用しているユーザーが数多くいることを踏まえ、「2020年に行うべき最も責任のあることは、新しいユーザーを助けることです。多くの人々が必要とする機能を多数備えており、OpenOfficeをベースにした現代的かつ最新、プロによる商用サポートのあるオフィスソフトが存在することを今こそ彼らに気づかせるときです[37]。」と、Apache OpenOffice側にLibreOfficeへの移行を促すよう呼びかけた。

2020年12月9日、LibreOfficeの開発チームは、Apple Silicon搭載のmasOS Big Sur端末において、「Apache OpenOffice」でdocx形式のファイルを開くとアプリケーションがクラッシュするという不具合を指摘し、LibreOfficeに乗り換えるよう呼びかけた[39]。尚、この不具合は翌年2月9日にリリースされた「Apache OpenOffice 4.1.9」で修正されている[40]

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派生版

要約
視点

LibreOffice Portable

リムーバブルメディアUSBスティックメモリーカードなど)から起動し使用することの出来るLibreOfficeである。PortableApps.comで開発されWindows版のみ存在する[41]。インストールを必要とせず、アプリケーションデータがリムーバブルディスクに保存されるためデータがシステムに残らない。

LibreOffice Online

GTKフレームワークとHTML5のcanvasを利用して、ブラウザ内でソフトウェアを動かしオンライン上で利用することが出来るとしている。2011年のLibreOffice Conferenceで開発が発表された。略称としてLOOLが用いられる。2015年12月に開発者向けディストリビューションが公開された[42]

iOS版

タブレットやより小さな端末での使用を目的としたiOS向けの派生版である。現段階では大部分のソースコードのコンパイルには成功しているが、ユーザーインターフェースなどはまだ開発途中である。

LibreOffice Viewer

2015年5月28日にリリースされたAndroidLibreOffice。ドキュメントを表示・閲覧するためのソフトウェアではあるが、編集機能も搭載されている。ただし、この編集機能は実験的であり、業務上重要な作業に利用するにはまだ安定していない。

具体的には、基本的な編集機能、例えば既存の段落の単語を修正、太字や斜体といったフォント形式の変更機能を提供している。編集機能は開発者のコミュニティによって将来的に拡張される予定。

また、LibreOffice ViewerではWindows, macOS, Linux向けのLibreOfficeと同じエンジンを利用している。Firefox for Mobileによる新しいフロントエンドと結合されており、デスクトップ版LibreOfficeと同じようにドキュメントを読み込めるようになっている。

LibreOffice Viewerがサポートするファイル形式
  • Open Document Format(odt, ods, odp)
  • Microsoft Office 2007/2010/2013(docx, xlsx, pptx)
  • Microsoft Office 97/2000/XP/2003(doc, xls, ppt)

Collabora GovOffice

The Document FoundationのAdvisory Boardとして参加している英Collabora社が公共機関向けとしてリリースしている商用の派生ソフトウェア。5年間の長期サポート等が行われる[43]2015年11月には英国政府がCollabora GovOfficeの導入を発表している[44]

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バージョン

要約
視点

LibreOfficeには、最新の機能を含む最新版(Fresh) と、安定性を重視する安定版(Still。旧称はStable)の2つの異なるメジャーバージョンがあり、様々な利用者に対応できるようにしている[45][いつ?]

毎年2月頃と8月頃に新機能を追加したメジャーリリースを行い、その後は脆弱性や不具合の修正および翻訳の改善をするメンテナンスリリースをほぼ毎月行う予定としている。更新予定は公式サイトのリリースプランを参照。

バージョン番号はOpenOffice.orgから引き継いでいるため3.3.0から始まっていたが(歴史参照)[46]、7.6シリーズの次の24.2シリーズ以後はバージョン表記が西暦の下二桁と月に変更された(例:2024年2月の初回配信版はLibreOffice 24.2.0)[47][48]

LibreOfficeは、The Document Foudationより提供されるバージョン7.1より名称に「Community Edition」が加えられるようになった[49]。これは、コミュニティー向けサポートなしバージョンであることを示すためである。なお、Community Editionという名称であっても実は完全な機能を備えている。LibreOfficeのサポートありバージョンはCollabora[50]、CIB[51]などから英語でサポートを受けられる。

さらに見る サポート状況による色分け ...
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採用事例

以下、報道もしくは公表された事例のみ

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地域化

LibreOfficeは100以上の言語に対応している[157]日本でも、2011年平成23年)9月にLibreOffice日本語チームが発足し、主にメーリングリストで協力者とともに翻訳活動を行なっている[158]

Webラジオ

今夜もLBR!!』のタイトルで、LibreOfficeを応援するラジオ番組2014年(平成26年)3月25日から2015年(平成27年)3月24日まで音泉にて配信された。第2、第4火曜日更新。出演は田所あずさ下田麻美丹下桜[159]

LibreOffice Conference

The Document Foundation2011年より年一度のLibreOffice Conferenceを以下のように開催している。

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関連書籍

  • 『実務で使える Libre Office』‐ 2012年10月12日、鎌滝雅久(著)、松井幹彦(著)、松宮哲(著)、翔泳社
  • 『エンジニアのための Libre Office入門』- 2012年1月1日、フォーラムエイト(著)、フォーラムエイトパブリッシング
  • 『はじめてのLibre Office-無料で使える「統合オフィスソフト」を使いこなす!』(I/O BOOKS) - 2013年1月1日、松宮哲(著)、工学社
  • 『すぐわかる LibreOffice 無料で使えるワープロ、表計算、プレゼンソフト』 - 2014年1月31日 、角川アスキー総合研究所
  • 『これ1冊で完全理解 LibreOffice』 (日経BPパソコンベストムック) - 2014年4月9日、日経Linux編集、日経BP社
  • 『LibreOfficeで学ぶ情報リテラシー』 - 2016年5月10日、畔津忠博(著)、吉永敦征(著)、永﨑研宣(著)、東京電機大学出版局
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脚注

関連項目

外部リンク

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