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TRAPPIST-1e
太陽系外惑星 ウィキペディアから
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TRAPPIST-1eは、地球から見てみずがめ座の方向に約40光年離れた位置にある超低温矮星 TRAPPIST-1 を公転している太陽系外惑星の一つである。地球よりも小さな岩石惑星とみられ、TRAPPIST-1 系のハビタブルゾーン内に位置しているとみられている。
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発見
2016年5月、ベルギーのリエージュ大学内に設置されている天文物理地質研究所に所属する天文学者であるミカエル・ギヨン (Michaël Gillon) らによる研究チームは、チリのアタカマ砂漠にあるラ・シヤ天文台に設置されているTRAPPIST望遠鏡 (Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope)[10] を用いたトランジット法で、みずがめ座の方向にある超低温矮星を観測し、その周囲を公転している太陽系外惑星の捜索を行った。その結果、3個の地球規模の惑星が存在していることが確かめられ、TRAPPIST望遠鏡による観測から新たに太陽系外惑星が発見された最初の惑星系であったことから、主星はTRAPPIST-1、発見された惑星はTRAPPIST-1b・TRAPPIST-1c・TRAPPIST-1dと命名された[10][11]。
さらに、2016年9月19日から9月20日にかけて行われたスピッツァー宇宙望遠鏡による TRAPPIST-1 の観測から、さらに外側に4個の惑星が発見されたと2017年2月に公表され、TRAPPIST-1eはそのうちの一つであった[2][12]。2016年に3個の惑星が最初に発見された際、最も外側を公転していた TRAPPIST-1d の公転周期などの軌道要素は確定されていなかったが、この観測によって2016年に発見が公表された「TRAPPIST-1d」が現在の TRAPPIST-1d および TRAPPIST-1e、TRAPPIST-1f、TRAPPIST-1gの4個の惑星によるものだった事が判明した[2]。
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特徴
TRAPPIST-1eは地球の約 92% の半径を持つ地球型惑星である[2][3]。質量は地球の約 69% と半径と推定されており、表面の重力加速度は地球の約 82% に相当する約 8.01 m/s2 と計算されている[3]。主星の TRAPPIST-1 からは約 0.029 au(約 438万 km)しか離れておらず、これは太陽から水星までの距離(約 0.387 au[13])の約13分の1しかない。しかし、主星のTRAPPIST-1が超低温矮星と呼ばれる赤色矮星の中でも特に小型で暗い恒星であるため、受ける放射エネルギー量はむしろ地球よりも少なく、地球の約 65% 程度となっている[3]。公転周期は6日余りで、TRAPPIST-1 系の他の惑星の公転周期との比が簡単な整数比に近い状態で表せる軌道共鳴に近い関係となっており、一つ内側を公転する TRAPPIST-1d とは 2:3 、一つ外側を公転する TRAPPIST-1f とも 2:3 、最も内側を公転している TRAPPIST-1b とは 1:4 に近い状態になっている。これは TRAPPIST-1 系の惑星が現在よりも外側で形成され、原始惑星系円盤内で他の惑星と相互作用を起こしたことで現在の軌道へ移動してきたことを示すものと考えられている[2][14]。
TRAPPIST-1e は TRAPPIST-1 のハビタブルゾーン内に位置している可能性があるとされ[12]、大気による温室効果の影響を考慮しない平衡温度は 249.7 K(-23.5 ℃)と推定されている[6]。地球の様な温室効果、もしくはアルベドの値による大気中の雲の量によっては表面に液体の水が存在する可能性がある。また、自転と公転の同期(潮汐固定)が発生しているとすると、惑星の片面は常に恒星にさらされるため、氷が解けて海を形成しているかもしれない。しかし、自転と公転が同期していれば、惑星全体で昼側から夜側への強風が吹き、地球とは環境が大きく異っている可能性もある[12]。地球に特性がどれほど似ているかを示す指標である地球類似性指標 (ESI) の値は 0.85 である[15]。
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大気
2025年にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡 (JWST) に搭載されている近赤外線分光器 NIRSpec を用いた TRAPPIST-1e の4回のトランジット観測が行われたが、この研究では大気の存在を裏付ける決定的な証拠も、否定する決定的な証拠も見つからなかったと発表された。この分析の結果から、得られた観測データを十分に説明できる2つのモデルが示された。1つ目は TRAPPIST-1e が大気を殆ど持っていないか、あるいは高く厚い雲層に完全に隠された未知の種類の大気を持っているという可能性で、2つ目のモデルは窒素を主成分とする大気を持つという可能性である。後者の窒素に富む大気を持つモデルを考慮すると、この観測データでは TRAPPIST-1e の大気内に微量のメタン(CH4)が混入していることを示す「暫定的な傾向」が見られると主張されている。すでにジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で15回の追加観測を行う新たな観測プログラムが進行中であり、このプログラムでは、TRAPPIST-1e と既に殆ど大気を持っていないと考えられている最も内側の惑星 TRAPPIST-1b の連続したトランジットを観測し、TRAPPIST-1b のトランジットのデータを使って主星の TRAPPIST-1 自体の恒星活動の影響を補正することで、TRAPPIST-1e に大気があるかどうかが求められるかもしれないと期待されている[8][16]。
画像
- TRAPPIST-1系の7つの惑星の想像図
- TRAPPIST-1系の惑星と太陽系の岩石惑星を比較した図
脚注
関連項目
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