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WASP-12b
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WASP-12b は、惑星の通過を観測するスーパーWASPプロジェクトによってWASP-12の周囲を公転しているのが発見された太陽系外惑星であり、ホット・ジュピターである。2008年4月1日に発見が公表された[1]。主星から非常に近い軌道を公転しているため、主星から受け取るエネルギーによって、太陽系外惑星でも特に密度が低くなっているものの一つである。地球が太陽の周りを365日で公転するのと比べ、1日と少しで親星の周りを公転する。親星からの距離は地球と太陽の間の44分の1で、木星とほぼ同じ軌道離心率を持つ。
2017年9月には、ハッブル宇宙望遠鏡を用いて観測を行った研究チームが、WASP-12bは恒星からの光の94%を吸収する、極めて低いアルベドを持つ天体であると発表した。それにより、メディアなどでは、WASP-12bは「アスファルトのように黒い惑星」と表現されている[6][7]。
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特徴

WASP-12から非常に近い軌道にあるため、潮汐力によって惑星は卵形に引き延ばされ、1年に10-7木星質量(18京9000兆t)ずつ大気が主星にはぎ取られている[9]。主星に非常に近いことと、いわゆる潮汐加熱の効果により[要出典]、表面温度は 2500 K 以上になっている。
2010年5月20日、ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、WASP-12bが主星に「飲み込まれつつある」ことが判明した。それ以前にも、惑星が恒星に飲み込まれ得ることは指摘されていたが、はっきりとその現象が確認されたのはWASP-12bが初めてである。WASP-12bは、1000万年後には主星に吸収され完全に消滅するとみられる[10][11][12]。
また、ハッブル宇宙望遠鏡の宇宙起源分光器(COS)を使った、WASP-12bの大気の観測も行われた。この観測結果は、北京大学の李抒璘らによって、2009年2月にネイチャーで発表された。その結果、質量が木星よりも40%大きいにも関わらず、大気は木星半径の3倍にまで膨らんでいることが判明した。
2013年12月3日、ハッブル宇宙望遠鏡を使用した観測に基づき、大気の外層から水蒸気が検出されたという報告がなされた[13][14][15]。2014年7月には、WASP-12b、HD 209458 b、HD 189733 bの3つの太陽系外惑星が、従来考えられていたより大気が乾燥している(水蒸気が少ない)とする観測結果をNASAが発表した[16]。
炭素の含有量
最近の観測で、WASP-12bは炭素と酸素の含有量の比率を表したC/O比における炭素の割合から、炭素に富んだ巨大ガス惑星である事が示されている。その割合は、太陽の割合を有意に超えており、観測によるWASP-12bのC/O比の適合値はおよそ1で、これに対し、太陽は0.54である。C/O比は、炭素に富んだ惑星が、惑星系内に形成された可能性がある事を示唆している[17]。その観測を行った研究者の一人は「酸素よりも炭素が多いと、ダイヤモンドやグラファイトなどの純粋な炭素の岩石を含む」と発言している[18]。
また発表では、「WASP-12bのような炭素に富んだ巨大ガス惑星は他に観測されていないが、理論上では、炭素を主体とする固体惑星では、様々な組成が予測されている。例えば、地球サイズの場合、内部はダイヤモンドやグラファイトに占められ、地球のケイ酸塩組成とは対照的である。」と述べられた[17]。この発言を、メディアに引用され[19]、中には、WASP-12bを「ダイヤモンド惑星」と呼ぶものもある[20][21]。
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衛星の可能性
惑星の光度曲線を研究しているロシアの天文学者は、WASP-12bの周りを、少なくとも1つの太陽系外衛星が公転している事を示す、規則的な光度の変化を捉えたと発表した[23]。
画像
- WASP-12bの想像図。
- WASP-12とWASP-12bの想像図。
関連項目
出典
外部リンク
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