形容動詞
十分 (じゅうぶん)
- 不足している、欠けているところのない様。
- しかし、人間二十五、六歳まで教育を受ければそれで十分だという理窟はどこにもない。(寺田寅彦『猫の穴掘り』)〔1934年〕[1]
- それについては、まだ理論的にも実せん的にも、十分な、明確な解決がなされていない。(黒島傳治『農民文学の問題』)〔1931年〕[2]
活用
活用と結合例
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各活用形の基礎的な結合例
意味 | 語形 | 結合 |
推量・意志 | 十分だろう | 未然形 + う |
過去・完了 | 十分だった | 連用形 + た |
否定形 | 十分でない | 連用形 + ない |
自動詞化 | 十分になる | 連用形 + なる |
言い切り | 十分だ | 終止形のみ |
名詞化 | 十分なこと | 連体形 + こと |
仮定条件 | 十分ならば | 仮定形 + ば |
様態 | 十分そうだ | 語幹 + そうだ |
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発音
- (東京式) じゅうぶん [jùúbúꜜǹ] (中高型 – [3])
- IPA(?): [d͡ʑɨᵝːbɯ̟̃ᵝɴ]
副詞
十分 (じゅうぶん)
- 不足や欠けるところなく。
- したがって、始めての事でもあるしこれほど御集りになった諸君の御厚意に対してもなるべく御満足の行くように、十分面白い講演をして帰りたいのは山々であるけれども(...)(夏目漱石『文芸と道徳』)〔1911年〕[3]
- 三年生になった時、主将にされたので、対校試合の悲壮感は十分味わった。(中谷宇吉郎『猫の穴掘り』)〔1951年〕[4]
発音
- (東京式) じゅうぶん [jùúbúꜜǹ] (中高型 – [3])
- IPA(?): [d͡ʑɨᵝːbɯ̟̃ᵝɴ]
名詞
十分 (じゅうぶん 又は じっぷん 又は じゅっぷん)
- (じゅうぶん)十個に等分したもの。
- この稿は劇研究會の追憶としても「青空」の記録としてもその十分の一も完全ではない。(梶井基次郎「『青空』のことなど」)〔1928年〕[5]
- (じっぷん、じゅっぷん) (時間) 一分の十倍の時間。
- 僕は十分とたたないうちにひとり又往来を歩いて行つた。(芥川龍之介『歯車』)〔1927年〕[6]
- それがこの頃は五分になり、十分になり、今では十五分以上も息を止めていても平気なのだ(蘭郁二郎『息を止める男』)〔1931年〕[7]
発音
- (東京式) じゅうぶん [jùúbúń] (平板型 – [0])
- IPA(?): [d͡ʑɨᵝːbɯ̟̃ᵝɴ]
- (東京式) じっぷん [jíꜜppùǹ] (頭高型 – [1])
- IPA(?): [d͡ʑip̚pɯ̟̃ᵝɴ]
- (東京式) じゅっぷん [júꜜppùǹ] (頭高型 – [1])
- IPA(?): [d͡ʑɨᵝp̚pɯ̟̃ᵝɴ]