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『スターダスト』(原題:Stardust)は、ニール・ゲイマンのファンタジー小説(挿絵:チャールズ・ヴェス)。及びそれを原作とした映画。1998年出版。N・ゲイマンの初めての単独での著書である。
ヴィクトリア朝時代のイギリス。ロンドンから馬車で一晩かかる距離にある村ウォール。村の東には村の名の由来になる高い壁がどこまでも続いており、その向こう側に入ることは普段禁じられている。9年に一度、その禁が解かれ壁の向こう側で市が開かれる日が近付くと、あらゆる人種の人々が市を目当てに遠くから村に集まってくる。その市では不思議や驚異といったものが売られており、毛むくじゃらで言葉を話す生き物や魔法使いが店を開いている。ウォール村は魔法の国、妖精国と壁を隔てているのであった。
ウォール村で生まれ育ったダンスタンは市で不思議な女性と出会い、一晩を共にする。後に幼馴染と結婚するが、しばらくの後「トリストラン・ソーン」と名付けられた赤ん坊が壁の向こう側から送られてくる。 成長したトリストランは理由も分からないまま母に愛されず妹に虐められ、壁向こうの市にも行けずに寂しい少年時代を過ごしていた。村一番の美少女ヴィクトリアに片想いをするトリストランはある日、二人でピクニックをしている時に見た流れ星を取ってきたら結婚するとヴィクトリアに約束し、妖精国へと旅にでる。
一方、妖精国にある国の一つストームホールド国では現王が死の淵に瀕していた。7人の息子たちのうち生きている3人と死んだ4人の王子たちを集めて、「ストームホールドの力」と呼ばれるトパーズを手にしたものが次の国王となると言い、宝石を空高く投げた。宝石は星のように輝いたあと流れ星として落ちる。ストームホールド国の王たちは代々兄弟たちで殺し合って地位を手に入れており、まだ生き残っている王子たちはトパーズをいち早く手にするために策謀を巡らす。
妖精国のとある森には三姉妹の魔女が住んでいた。彼女らは流れ星を捕まえてその輝く心臓を食べ、美貌と寿命を長らえている魔女の女王リリムであった。もう何百年も前にすっかり年老いきってしまった彼女たちは流れ星が落ちたのを見て、最も年長のリリムが僅かに残った星の心臓を食べて魔法の力を取り戻し、流れ星の捕獲に向かった。
彼らが見ていた流れ星が落ちた地点に当たる森。そこには美しい金髪の青い絹の服を纏った女性が倒れていた。ポケットにトパーズを入れて。
名前 | 備考 | |
---|---|---|
セプティマス | 第七王子 | 最も若く最も狡猾。毒を用いた暗殺を得意とする。 |
プライマス | 第一王子 | 長男。他の兄弟とは違って情け深い性格。 |
ターシアス | 第三王子 | セプティマスに毒入りワインを飲まされ死亡。 |
セカンダス | 第二王子 | 既に他の兄弟に殺されている。 |
セクスタス | 第四王子 | 既に他の兄弟に殺されている。 |
クオータス | 第五王子 | 既に他の兄弟に殺されている。 |
クインタス | 第六王子 | 既に他の兄弟に殺されている。 |
スターダスト | |
---|---|
Stardust | |
監督 | マシュー・ヴォーン |
脚本 |
マシュー・ヴォーン ジェーン・ゴールドマン |
原作 | ニール・ゲイマン |
製作 |
マシュー・ヴォーン ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ マイケル・ドライヤー ニール・ゲイマン |
製作総指揮 |
デヴィッド・ウォマーク クリス・サイキエル ピーター・モートン スティーヴン・マークス |
出演者 |
クレア・デインズ チャーリー・コックス シエナ・ミラー ベン・バーンズ ミシェル・ファイファー ロバート・デ・ニーロ |
音楽 | アイラン・エシュケリ |
主題歌 |
「ルール・ザ・ワールド」 テイク・ザット |
撮影 | ベン・デイヴィス |
編集 | ジョン・ハリス |
配給 | パラマウント |
公開 |
2007年8月10日 2007年10月27日 |
上映時間 | 128分 |
製作国 |
イギリス アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $70,000,000[1] |
興行収入 | $135,560,026[1] |
イギリス・アメリカ合作で映画化。アメリカでは2007年8月10日に、日本では10月27日に公開。上映時間128分。
マシュー・ヴォーン監督初のメジャースタジオ配給作品。
※括弧内は日本語吹替
1998年から1999年の一年間、原作はミラマックスが映画化権を所有していた。ニール・ゲイマンによると映画は「不満足なまま終了に至った」とされ、彼は権利を取り戻すことになる[2]。結局再び映画化についての話し合いがゲイマンと、映画監督テリー・ギリアムとマシュー・ヴォーンの三者で行われることになった。ギリアムが『ブラザーズ・グリム』の製作に入るため外れ、ヴォーンも『レイヤー・ケーキ』の監督になり話し合いは一旦途切れる。2005年1月に『X-MEN:ファイナル ディシジョン』の監督を引き受けるのを断ったヴォーンとゲイマンの話し合いは再開され、2005年1月にヴォーンが映画化権を取得する[3]。2005年10月、パラマウント・ピクチャーズとの交渉の結果最終的に7000万ドルの製作費が与えられることになった [4]。
脚本はマシュー・ヴォーンと脚本家ジェーン・ゴールドマンの二人によって書かれた。原作から映画に対してどんなインスピレーションを受けたのかを尋ねられ、ヴォーンは「『プリンセス・ブライド・ストーリー』と『ミッドナイト・ラン』を足したような感じにしたい」と答えている[5]。原作からの移行の難しさの一つが、内容がセックスと暴力を含んだ大人のお伽話であったことである。変更の結果ウィットに飛んだユーモアの要素を増やし、ニール・ゲイマンからも好意的に受け止められた。
ゲイマンは観客が映画を原作の忠実な実写版であり、そしてそれに失敗したのだと思って見ることを望んでいなかった[6]。原作のオーディオブック版が10時間以上の作品となってしまったことを踏まえ、小説の映画化というのは圧縮されて当然であり、現在(2006年)に使える特殊効果技術までで考えなければいけないをゲイマンは思い知ったという[2]。
ヴォーンとゴールドマンは古い魔術書からリリムたちの名前を選び付けている[7]。
2006年3月、スタジオはロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、クレア・デインズ、チャーリー・コックス、シエナ・ミラーを起用。製作はイギリスとアイスランドで始まり、ほとんどの撮影をイギリス国内で行った[8]。デインズ、コックス、ファイファーの三人はマシュー・ヴォーン監督自身が配役した。またヴォーンはキャプテン・シェイクスピアをデ・ニーロもしくはジャック・ニコルソンに演じてもらいたいと考えていた。スティーヴン・フライも候補に上がっていたが、最終的にデ・ニーロが演じることになった[9]。イヴェイン役にはサラ・ミシェル・ゲラーも候補として上がっていたが、夫フレディ・プリンゼ・ジュニアと過ごす時間を増やしたいという本人の希望により出演は叶わなかった[10]。
クインタスは当初コメディアンのノエル・フィールディングが演じていたが、健康上の理由によりアダム・バクストンに変更されている[11]。またサルも当初はビリー・ホワイトロウが演じていたが、初日撮影日にメラニー・ヒルに変更されている[12]。
2006年4月半ば、ロンドンのパインウッド・スタジオで撮影は始まった。ロケーション撮影はスコットランド高地のウェスター・ロスで開始し[13]、すぐにスカイ島に移った。アイスランドでの撮影も行われた。
ハートフォードシャーのビジネススクールやバッキンガムシャーの学校でも行われ、イギリス空軍所有のオックスフォードシャーのビスター飛行場は乗馬シーンに必要な広いスペースがあったため使用された[14]。
ノリッジのエルム・ヒルでも撮影が行われた。この地域はチューダー様式と11世紀風の古めかしい建物が残り、その一角をストームホールド国の街並みとして使用した。ブリトンズ・アームズ・ティーハウスは「虐殺王子の宿」という名の宿屋として外装も内装も新しくされ、建物の所有者がそれを気に入って地方自治体に保存を求めたが却下されている。
北米2540館で封切られ、公開初週末に916万9779ドルを稼いだ。全世界合計の興行収入は1億3555万3769ドル[1]。
好意的な批評が多く見られる。Metacriticでは33の批評のうち66%が好意的であり[15]、Rotten Tomatoesでも76%が好意的な評価を下した[16]。
2008年2月20日にDVDが発売[17]。
特典として
を収録。
2010年9月7日にアメリカとカナダでブルーレイ盤が発売されたが日本盤は未発売[18]。
アイラン・エシュケリによるサウンドトラックが2007年9月11日に発売された。ただしエンディング曲であるイングランドのボーイバンドテイク・ザットの「ルール・ザ・ワールド」は未収録である[19]。
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