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樋浦勉

日本の俳優、男性声優 (1943-) ウィキペディアから

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樋浦 勉(ひうら べん、1943年昭和18年〉1月25日[3][1] - )は、日本俳優声優東京府(現:東京都)出身[3][1]劇団青年座所属[4]

概要 ひうら べん 樋浦 勉, 本名 ...

娘に声優の樋浦茜子がいる。

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来歴・人物

要約
視点

玉川学園高等部卒業[5]劇団俳優座養成所出身[6]。劇団俳優座、劇団自由劇場、黒テント、六月劇場[7]、境事務所[1]を経て、2004年から劇団青年座所属[4]

昭和18年(1943年)の戦時下に生まれる。当時はまだ戦乱の最中にあり、父が台湾から復員するまで新潟に疎開していたが、樋浦自身は乳幼児であったため、自身の記憶には残っていない。後に台北へ移住した後、3歳になる直前に終戦となる。約1年後には台北から帰国する一番最後の船に乗船するものの、はしけが怖くて降りられず泣き出していたところを見知らぬ男性が抱えて降ろしてくれたといい、その頃から記憶があると述べている[8]

終戦の記憶については「田舎でしたから、終戦らしい記憶はないですね」と語っている。その後は貧しい生活ではなかったものの、父が帰ってくるまでは母子で祖母の家に居候しており、封建的な地域だったことから嫁は女中よりも下に見られる風潮が根強かったため、母は苦労したという[8]

父との再会後、一家で札幌に移住する。後に父が東京に転勤になり、一家で吉祥寺に在住する。その後も引越しをしたが自身に物心がついて東京人になったと実感したのは、玉川中学校で寄宿舎に入ってからだとしている[8]

子供の頃は幾度も引越しを経験したものの、中学校1年から単身寄宿舎に入ったことの方が、引越しよりも精神的での自身の人格形成に影響が大きかったと述べており、「当時は早く大人になりたいと誰しもが思っていたんですよ。『ガキっぽいのは嫌だ』『早くヒゲが生えてほしい』という感じでしたから、背伸びしてたんじゃないですかね。中学でガラッと変わりました」と当時の価値観について振り返った[8]

俳優として

演劇は中学時代から経験し、俳優座養成所を経て、俳優座に入る前に劇団自由劇場を立ち上げている。

玉川中学校時代は演劇が盛んであったことから、中学生から演劇部に入り、移動演劇などを経験する。トラックに乗り暗幕を張りながら『泣いた赤鬼』などを上演していたという。 当時はまだ同校に芸術学部が創設される以前であり、指導者はその後、芸術学部の部長、玉川大学名誉教授となった岡田陽であった。 演劇部を選んだ理由については「演劇というのは、お絵描きしたり、おママゴトしたりというように、本能的に人間の中にあるんですよね。憑依するというのかな、遊びみたいな感じで。入ってみて、好きで続けたわけですけれど、ただ、その後は悲惨でしたね。勉強なんかしやしない。そんな感じで大学1年生になりました。大学でも演劇ばかりやって、このままじゃロクな人間になれないと感じまして、本気で演劇をやってみようかと俳優座の養成所を受けました。そしたら、運良く受かりまして」と回想している。演劇部では井上孝雄田中信夫と共に芝居を経験した[8]

苦学生もいる中で自身は余裕があったため、「大学を出る22歳くらいまでは、親が面倒をみて当然」とアルバイトはせず、貧乏生活は当たり前、と考え生活をしていたところ、卒業したら仕事のオファーが届いたことで、母から仕送りを終える旨を告げられる。約2年後、演劇集団「黒テント[注釈 1]」にて活動を始めるも、こちらでも苦労の連続だった[8]

樋浦は俳優座養成所の14期であるが、仲間内に後に自由劇場を立ち上げる佐藤信串田和美吉田日出子などの面々がいたことから前後にあたる13期、15期と並んで派手だったという。当時は1964年東京オリンピックが開会した直後であり、六本木で高速道路や地下鉄を掘る仕事をしながら、養成所の示す方向性とは別に仲間内でも教室にて芝居を行うことで、その延長線で自分たちでも劇団を立ち上げ、やって行けるんじゃないかと考える。しかし見通しは立たず、3月で養成所卒業を控える時期となったことで、各々好きなところを受けてみようということになり解散する。後ろ髪をひかれる中、様々なオーディションを受ける。樋浦自身が最も志望していた俳優座には落選したものの、劇団雲に合格する。同劇団へは、先輩の高橋昌也に認められ、その縁で入団する。今後研究生を育てていくという志向のもと、新宿区箪笥町に良質な劇場を持っていた中で福田恆存が上手く立ち回り、政治家からの支援を受けながら財団法人「現代演劇協会」を立ち上げる。同協会はアメリカ大使館の横にある立派な建物であったが、当時は劇団間での役者の移り変わりが激しい時代であり、樋浦も劇団雲を3~4年で退団している[8]

退団後、養成所のようなものを自分たちでやれないかと準備を進めるも「勝手なことするな」と釘を刺され戸惑っていたところ、前述の俳優座養成所で仲間内だった佐藤信に誘われる形で米倉斉加年福田善之らが所属する劇団「青芸」に入団する。佐藤は青芸の演出部であり、同じく俳優座養成所の同期の清水紘治も所属していた。しかし青芸が解散することとなり、今度こそ劇団を作るべく、佐藤、清水と共に文学座の同期だった串田和美吉田日出子らに交渉し、劇団自由劇場を立ち上げることに成功した[8]

養成所時代に映像デビューを果たしており、養成所の2年生の頃には1965年山本薩夫監督の大映作品『証人の椅子』に出演する。程なくして映画『血と砂』にはトランペットを吹く少年楽団兵の一人として出演した[8]。その時の少年楽団兵のほとんどは同年、夏木陽介主演の『青春とはなんだ』の高校生役としてレギュラー出演することになり、樋浦もラグビー部のキャプテン土井役として出演した。この役を始め、青年期は朴訥だが生真面目な役柄が多かったが、次第に主人公に楯突く役が増え、2時間ドラマなどでは、被害者役を演じることもあった。出演映画では『楢山節考』や『八甲田山』にていずれも悲惨な最後を遂げる役柄を演じている。北野武監督、主演の『座頭市』では、気弱な飯屋のおやじの姿とは裏腹に真の黒幕であるヤクザの頭領役を演じた。

京田尚子はこれまで共演した中で特に上手いと思った役者として、佐々木勝彦と共に樋浦を挙げており「両者とも、本当に素晴らしかった」と評している[9]

声優として

声優としても活動しており、正義の味方から悪役まで幅広い役柄をこなす。洋画の吹き替えでは、ブルース・ウィリスをはじめ、リチャード・ドレイファスジョン・マルコヴィッチジョー・ペシロバート・デ・ニーロダニー・デヴィートゲイリー・ビジージョン・リスゴーロビン・ウィリアムズなどを担当している。

担当俳優について

ブルース・ウィリスを他の吹替声優と比較して最も多く担当しており、「ウィリスのフィックス」とも評される定番声優となっている[10][11][12]。後年には吹替60周年を記念したムービープラスの5か月連続企画「吹替王国」において「ブルース・ウィリスの吹替えでお馴染み」と評されるほどに定着した[13]。2000年に缶コーヒージョージアのCMにウィリスが半年間出演した際にも吹き替えを担当。ウィリスの代表作である『ダイ・ハード』シリーズのジョン・マクレーン役の吹き替えを日本で初めて担当し、その後も全シリーズに渡って[注釈 2]演じている唯一の人物としても知られ、「史上最もジョン・マクレーンを演じた男」と紹介されることもあった[14][15][8]。また、後に本シリーズがテレビ朝日の『日曜洋画劇場』で放映される際にマクレーン役を務めることになる野沢那智も、樋浦の吹替を視聴した際には「俺にはこういう市井の労働者っぽい雰囲気は出せない」と樋浦の演技と"はまり役"ぶりを高く評価していたと同時に、自身が吹き替えを務める際に参考にしたと息子の野沢聡が語っている[16]。2012年にバンダイナムコゲームスバンプレストレーベルから発売されたクロスオーバー作品であるニンテンドー3DSシミュレーションRPGソフト『PROJECT X ZONE』では『ダイ・ハード』をモデルにしたゲーム『ダイナマイト刑事』からジョン・マクレーンを演じるウィリスをモデルにしたキャラクター、ブルーノ・デリンジャー警部補[注釈 3]が登場し、樋浦がその声を担当した。樋浦によるウィリスの吹き替えはビデオソフト収録版の担当が中心であったが、テレビ放送版(主に上述の『日曜洋画劇場』)を中心に担当していた野沢の療養中に吹替が製作された『ホステージ』ではテレビ朝日版の吹き替えを野沢に代わり担当した。同作の演出を務めた鍛治谷功は、他にも様々な声優がウィリスを演じてきた中で樋浦が演じるウィリスの魅力について問われた際には「(ウィリスの吹き替えは)皆さんそれぞれ味があって大好きなのですが、樋浦さんはどんなにやさぐれていても根っこに人間味を感じさせるタイプだと思います。今回の役(ジェフ・タリー)にもピッタリだったと思います」と評している[17]

樋浦はウィリスについて、『こちらブルームーン探偵社』にゲストで声の出演をした際から認知しており「彼は、実はなかなかの名優。コメディっぽいときもあるし、『シン・シティ』みたいに根暗なおじさんみたいなときもあるしね。俺たちが声でちょこっとやったくらいで簡単に追い付けるものではないです」と格上の俳優として尊敬していると述べており[18][19]、二枚目役からアクション映画における軽快な役まで巧みに演じ分ける姿に感心したという[8]。「どんな役どころもこなせる、魅力ある俳優さん。結構、リアリストかも…」とも語った[20]。これまでに演じたウィリスの作品の中でも特に気に入っている役柄として『シン・シティ』のジョン・ハーティガン役[20]と『ラスト・ボーイスカウト』のジョー・ハレンベック役を挙げ、前者に関しては「俺が年取ってからの仕事だったからそれなりに自分らしく、ブルース・ウィリス風ではなくてハーティガン風になれればいいなと思ってやれた」と話し、後者については「『ダイ・ハード』を捉えて作ってるみたいなやさぐれた感じがすごく良い。シークレットサービスでそれに失敗したかなんかで私立探偵になって女房にも逃げられみたいな。それが『ダイ・ハード』の役(ジョン・マクレーン)に似てて、演じててすごく面白かった」と振り返っている[15]

ウィリスを初めて演じた『ダイ・ハード』の1作目は練習用のビデオテープを貰ったのち、映画館でも鑑賞したことで「エンターテインメントとして最高の凄い映画だ!」と思い、嬉々として演じることが出来たと同時に、同作については「アクション映画でこの作品を超える作品は未だに少ないと思います。アクション映画に括れない。『ダイ・ハード』という1つのジャンルになってますよね。」と絶賛しており、他のアクション映画と比較した上でも別格の存在だと感じたという[15][8][18]。劇場公開直後に制作された機内上映版の吹替が初担当であり、演出の福永莞爾の起用であった。主人公のジョン・マクレーンについて樋浦は「とっつぁん」もしくは「はぐれデカ」という捉え方で演じたといい、「彼はニューヨーク警察署で、皆から尊敬されているような人物じゃないんですよ。離婚しかかってるし、もしかしたらチンピラをカツアゲてるかもしれないような。『ラスト・ボーイスカウト』(前述)ほどじゃないですけれど、そんな人だったんですよね。正義感に燃えてじゃなくて、仕方なくやっている。で、そこに妻がいてという、そういった人間の内面も面白かった」と語った[15][8]。最初に担当した機内上映版での演技が業界で好評となったことで同作のソフト版にもマクレーン役で続投。ソフト版の演出の伊達康将は「福永さんがキャスティングした樋浦勉を使わせてもらった」と明かした[8]。“3大マクレーン俳優”(樋浦、野沢那智村野武範)の中で最も好きと語るファンも多かったことで、2015年発売の5作目『ダイ・ハード/ラスト・デイ』の『コレクターズ・ブルーレイBOX』には樋浦版マクレーンによる新録音版が制作された[8]。また、ソフト未収録の機内上映版については2023年6月3日にスターチャンネルにてテレビ初放送となった[11]。同バージョンは2023年10月13日には樋浦を迎えてノーカット追録を行った版も放送された[21][22]

未知との遭遇』や『ジョーズ』で、長年担当したリチャード・ドレイファスについて樋浦は「すごくはまりやすかった」としており[15]、「このしゃべり方をしたら次はこう動くな」と画面を見れば次にドレイファスがどう動くか予測がつくと語っている[23]。ドレイファスを吹き替えた作品の中でもVHS・DVD版、BD新録版、日本テレビ(金曜ロードショー)版の3バージョン全てで担当した『オールウェイズ』のピート・サンディッチ役は自身の代表作であるとも述べた[20]。また、養成所での樋浦の後輩にあたる中田譲治は『グッバイガール』を好きな映画作品の一つに挙げており、樋浦がドレイファスを担当した吹替版(1982年2月22日にTBSの『月曜ロードショー』枠にて『グッバイガール 泣かないで!この感動をあなたに…』のタイトルで初放送。演出は佐藤敏夫、翻訳は宇津木道子)も印象に残っているといい、同音源のDVDへの吹替収録を熱望している[24]

ドレイファスと同様にやりやすい俳優としてジョン・マルコヴィッチを挙げており、「『ワー』とか『ギャー』とかいろんな声を使っていい役だと思うから、自分でもやってて楽しいですね。百面相みたいな顔してやるんだよ」と語り、マルコヴィッチ自身の容姿については「ひょっとこみたいな顔」と評した[18]。特に『コン・エアー』での役を面白かった役として挙げている[8]。2010年の映画『RED/レッド』はウィリス、ドレイファス、マルコヴィッチの共演作であり、樋浦はこの作品においてはマルコヴィッチの声を担当している。本作のマルコヴィッチの役(マーヴィン・ボッグス)については「やってて楽しい。だけどね、ハチャメチャな役を演じるっていうのは、結構難しい。そこは、外れない範疇で自分がうんと羽ばたくみたいな感じで思いっきりやらせてもらっています」と述べている[18]。後のインタビューで本作における持ち役三名の内、誰を演じたかったかと問われた際には「正直なところ、僕は全部やってみたかったね。今思うと、一番やってみたかったのはドレイファスだったのかな」と語りつつも、本作でウィリスを演じた磯部勉は二枚目として適任であったと評している[16]

また『アルマゲドン』はBSテレ東での放映時に新録吹替を制作する企画があったが、権利元の都合により実現しなかった。ウィリス演ずるハリー・スタンパー役には樋浦が候補の一人として上がっていたという[25]

今後声を担当してみたい俳優について問われた際には、ジョニー・デップを挙げている[20]

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出演(俳優)

テレビドラマ

映画

舞台

  • 太平洋序曲(新国立劇場 米国公演、2003年)
  • LOOT薔薇と棺桶(2006年)
  • コリオレイナス(埼玉芸術劇場 英国公演、2007年)

Vシネマ

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出演(声優)

要約
視点

太字はメインキャラクター。

テレビアニメ

1978年
1999年
2009年
2011年
2013年
2014年
2015年
2016年
2017年
2018年
2020年
2021年

ラジオドラマ

OVA

ゲーム

吹き替え

担当俳優

アル・パチーノ
ゲイリー・ビジー
ジャック・ニコルソン
ジョー・ペシ
ジョン・ヴォイト
ジョン・マルコヴィッチ
ジョン・リスゴー
ステラン・スカルスガルド
ダニー・グローヴァー
ダニー・デヴィート
チーチ・マリン
ブルース・ウィリス
ボブ・ホスキンス
マイケル・ルーカー
リチャード・ドレイファス
ルトガー・ハウアー
ロバート・デ・ニーロ
ロビン・ウィリアムズ

映画(吹き替え)

ドラマ

アニメ

人形劇

特撮

人形劇

CM

その他

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受賞歴

2015年度

脚注

参考文献

外部リンク

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