タイ・カダイ語族 (タイ・カダイごぞく、Tai-Kadai languages)またはクラ・ダイ語族 (クラ・ダイごぞく、Kra-Dai languages)は、東南アジア (タイ 、ラオス 、ベトナム )から中国 南部で話される言語 の語族 であり、代表的なものとしてタイ語 、ラーオ語 があり、その他多数の少数民族 の言語を含む。
概要 タイ・カダイ語族, 話される地域 ...
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タイ・カダイ諸語(カム・タイ語群 とも)をシナ・チベット語族 のシナ語派 およびチベット・ビルマ語派 、ならびにミャオ・ヤオ諸語(ミャオ・ヤオ語族 )と合わせて、シナ・チベット諸語と呼ぶこともある[1] [2] 。
中国南東部で特に多様性があり、この付近が故地と考えられる。タイ・ラオスには歴史時代に入ってから雲南省 方面から住民が移住したのであり、それまでこの付近はオーストロアジア語族 住民で占められていた。
基本的に単音節的孤立語 で声調言語 であり、語順はSVO型 で、修飾語 は被修飾語のあとにつくのが普通である。これらの性質は中国から東南アジア大陸部の広い範囲の言語と共通するが、これは系統的な性質というより、地域特性(言語連合 )と考えられる。
ベトナム語 も似た性質を持っているが、基本的にはオーストロアジア語族 である(タイ・カダイ語族の強い影響を受けて変化した [ 要出典 ] )と考えられている[ 誰? ] 。
Edmondson & Solnit(1997)による分類を以下に掲げるが、確定した分類ではない。
黎語派 (英語版 ) (Hlai)
加茂語 (英語版 ) (Jiamao) - (海南島 )
黎語 (Hlai) - (海南島)
カダイ語派 Geyang languages
夜郎語 (Yelang) - (中国、夜郎 )
仡佬語 (英語版 ) (Gelao) - (中国、ベトナム)
拉基語 (英語版 ) (Lachi) - (ベトナム)
White Lachi (ベトナム)
布央語 Buyang (中国)
村語 Cun (海南島)
En (ベトナム)
普標語 (英語版 ) (Qabiao) - (ベトナム)
Laqua (ベトナム)
Laha (ベトナム)
カム・タイ語派Kam-Tai languages
Be-Tai languages
臨高語 (Ong Be) - (海南島)
タイ・チワン諸語
チワン語
タイ族 諸言語
北部タイ諸語 (英語版 )
中央タイ諸語 (英語版 )
南西タイ諸語 (英語版 )
南タイ語
Chiang Saen languages
Lao–Phutai languages
Northwestern Tai languages
セック語Saek (ラオス)
Lakkia-Kam-Sui languages
Lakkia-Biao languages (中国)
カム・スイ諸語 (英語版 ) (中国)
錦語 Ai-Cham
草苗語 Cao Miao
北トン(侗)語 Northern Dong
南トン(侗)語 Southern Dong
Kang
莫語 Mak
ムーラオ(ムーラム・仫佬)語 Mulam
マオナン(毛南)語 Maonan
水語 (英語版 ) (Sui)
佯僙語 T’en
さらに見る 言語名, 話者数 ...
言語名 話者数 備考
タイ語 (泰語)4600–5000万人 方言:北タイ語 600万人
ラーオ語 (寮語)約3180万人
チワン語 (壮語)1800万人
シャン語 (撣語)330万人
プイ語 (布依語)265万人
トン語 (侗語)150万人
タイー語 (岱依語)148万人
リー語 (黎語)70万人
黒タイ語 またはタイ・ダム語 (傣擔語)(en )約70万人
タイ・ルー語 (傣仂語)(en )67万人
オンベ語 (臨高語)(en )60万人
タイ・ヌア語 (傣哪語)(en )36万人
スイ語 (水語)(en )34万6千人
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タイ・カダイ語族の逆移住起源の仮説 (ロジャー・ベンチ (英語版 ) , 2018)[3]
オーストロ・タイ語族
複数の学者によってオーストロネシア語族 との関連性が提示されている[4] 。両語族の核となる語彙には、同根語 がある。Ostapirat (2013)は両者は姉妹語であるとし[5] 、ロジャー・ベンチ (英語版 ) (2018) はオーストロネシア語族話者が台湾 やフィリピン から大陸に逆移住したことでタイ・カダイ語族を生じたとしている[3] 。
シナ・タイ語族
タイ・カダイ語族はかつては、語彙の多くが類似していることから、シナ・チベット語族 の一員と考えられていた。しかし、それらに基礎語彙は含まれず、タイ・カダイ語族の全ての系統で見いだせるわけではないため、古い借用語 と考えられている[6] 。
モン・ミエン語族
Kosaka (2002)はタイ・カダイ語族とモン・ミエン語族 の関連性を論じた。加えて、オーストロネシア語族 との関連性や、さらに古い祖先(東アジア祖語 )についても論じた[7] 。
日本語族
Vovin (2014)は日本語族 の原郷 を中国南部に想定した。Vovinは、日本祖語 が単音節のSVO構文であり、タイ・カダイ語と同様の孤立語 であった可能性を示す類型論 的証拠を示した。ただし、これらの共通特徴は遺伝的関係 ではなく、激しい言語接触 によるものとしている[8] 。
『講座 言語 第6巻 世界の言語』北村甫編、橋本萬太郎 ら共著(大修館書店)
『世界の言語と国のハンドブック』下宮忠雄 (大学書林)
Ostapirat, Weera (2013). Austro-Tai revisited . Paper presented at the 23rd Annual Meeting of the Southeast Asian Linguistics Society, 29-31 May 2013, Chulalongkorn University.
Ostapirat, Weera. (2005). "Kra–Dai and Austronesian: Notes on phonological correspondences and vocabulary distribution", pp. 107–131 in Sagart, Laurent, Blench, Roger & Sanchez-Mazas, Alicia (eds.), The Peopling of East Asia: Putting Together Archaeology, Linguistics and Genetics. London/New York: Routledge-Curzon.