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頭部に感じる痛みのうち、表面痛でないもの ウィキペディアから
頭痛(ずつう)とは、頭部に感じる痛みのうち、表面痛でないもの。様々なタイプの痛みを含んだ幅の広い症状概念である。ありふれた症状である一方、これを主症状とする致命的疾患もあり、他方で原因が特定できないことも多いという、症候学上非常に重要な症状。
頭痛はありふれた症状で、外来初診患者の約10%が頭痛を主訴とする[要出典]。
日本人の3 - 4人に1人(約3000万人)が「頭痛持ち」である。そのうち2200万人が緊張性頭痛、840万人が片頭痛[1]、1万人が群発頭痛といわれる。クモ膜下出血・脳腫瘍による頭痛は、毎年約1万人 - 3万人に発生する。
日常生活に支障ある頭痛を、世界中で最低40%の人が経験する[要出典]。
男性よりも女性のほうが頭痛の症状を訴えることが多く、筋緊張性頭痛の6割、片頭痛の8割が女性である。[要出典]
女性が訴えることが多い頭痛の1つに生理時に伴うものがあるが、これは生理中にエストロゲンが血中から減少し、それがセロトニンに何等かの影響を与えて片頭痛を引き起こしやすくなるからではないかとも考えられている[要出典]。
心因性などを原因とする例は、下記参照。
頭痛は、緊急に集中治療を施さなければ死に至る疾患の表徴であることがある。その疾患とはクモ膜下出血、髄膜炎、大きな脳出血の3つである。脳腫瘍も放置すれば確実に死に至るが、緊急度では前3者には遠く及ばない。また、重度の緑内障発作であった場合には、生命には影響しないが失明の危険が大きく、緊急度は高い。
それらの疾患を示唆する徴候は以下の通りである[要出典]:
プライマリ・ケアにおいて頭痛を診療する医療従事者は、以上の徴候を見逃さないことが防衛医療の上でも重要である。特に急速に増悪する頭痛、病歴のつじつまが合わない、以前と違う、神経局在所見、睡眠から覚醒させるほどの頭痛がある場合は頭部CTが施行される場合が多い。危険な二次性頭痛を疑う兆候としてはSNOOPというものが提唱されている[要出典]。
SNOOP | 内容 |
---|---|
Systematic symptoms | 全身性症状(発熱、倦怠、るいそう、筋痛)、全身性疾患(悪性疾患やAIDS) |
Neurological | 神経欠落症状 |
Onset abrupt | 突然の発症、雷鳴頭痛、急速に悪化 |
Older | 40歳以上の新規発症 |
Pattern change | 以前と異なる頭痛(頻度、持続、性状、重症度) |
頭痛は大きく、基礎疾患のない一次性頭痛と、別の原因疾患による二次性頭痛に分けられる[3]。一次性頭痛の場合、一次性頭痛の1つが単独で起こっている場合もあれば、2つ以上が合併して起こっている場合もある。
一次性頭痛は慢性・反復性のため、多くの場合、患者が「いつもの頭痛」と心得ており、医療機関を受診しないことが多い。受診時はたいてい、「ふだん経験したことのない頭痛」として受診する。
緊張型頭痛が発症する原因としては、精神的・身体的ストレスや筋肉の緊張などが複雑に絡み合っていると考えられている。この種の頭痛に関係すると考えられる項目は次の通りである。
いずれも女性に多く、数日持続する。緩徐に進行し、典型的には、頭をとりまくはちまき状に痛む。うつや精神的なストレスによって起こり、主に頚部・側頭部の異常な筋収縮に起因する。
治療は、NSAIDs[4]・筋弛緩薬やチエノジアゼピン系、抑うつ症状に三環系抗うつ薬などが使われる。低い枕で寝ることも有効。
「片頭痛」は「偏頭痛」とも書き、「へんずつう」または「へんとうつう」と呼ぶ。朝、目が覚めて起きた時から頭痛として感じる場合や、太陽の光などを頭や目に受けて頭痛が起こった場合は片頭痛の可能性が高い。激しい運動後や緊張が解けてほっとした時、休日などにも起こりやすい。片頭痛患者の1割前後で、前兆がみられる。片頭痛の発生メカニズムについてはまだ解明されていない部分もあるが、有力な説としては「セロトニン説」と「神経血管説」の2つがある。また、遺伝の要因もあるとも考えられている。
片頭痛は血管による拍動性の痛みで、若い女性に多く、しばしば家族性である。片頭痛の前は食欲が旺盛になる、甘いものが食べたくなる、眠気をさすなどと言われているが、実際に発作を予知することは不可能である。悪心嘔吐・羞明・めまい・圧痛・食欲不振・多幸感などを伴うこともある。前兆を伴うタイプもあり、視覚暗点・閃輝暗点(ギラギラ輝く歯車のようなものが見える)・一過性半盲(視界の一部が一時的に欠けて見えなくなる)・片麻痺・片側性感覚障害(痛みと半盲の出ている側の手の痺れ)・言語障害(舌のもつれ)などが前兆としてみられる。
睡眠で軽快することが多いが、起床で始まることも多い。ただし、睡眠中に呼吸が無意識のうちに止まってしまうという「睡眠時無呼吸症候群」が原因となっていることもある。口呼吸する習慣のある人・肥満気味の人は要注意である。
軽症ではNSAIDs、中等症以上ではトリプタン系薬物が用いられる。エルゴタミン製剤も有効な場合がある。またカフェインも効果的[5]である。
発症のメカニズムについては未だ明らかにされていない点が多いが、頭部の血管の拡張が関わっているのではないかと考えられている。 飛行機の着陸時に耳を何某かのもので塞いでいたら、この痛みが出たというケースもある。
群発頭痛の最大の特徴は1年から3 - 4年に数回程度、1か月から3か月に渡る「群発期」に毎日のように決まった時間に発症する場合が多い(近年は薬の副作用なのか、時間だけがずれて群発発作が起きる人が多い)。 群発地震のようにある時期に固まって起きることから、群発頭痛と言われている。
日本では、偏頭痛や三叉神経痛と間違われる場合が多く、この病名を知らない医療関係者も多いと考えられる。 人により発作が来る時間は様々だが、睡眠中に発作が来ると激痛で目が覚める。 これにより睡眠に恐怖を感じるケースも多い。痛みは数ある頭痛の中でも群を抜き、「スプーンで目玉をエグられる程」と例えられる。 また、火山がマグマを噴出す感じが「痛みを現す」状態に似ている、と例えられる。 あのマグマのような群発発作は「急激」に襲って来て、こんなに痛くて何故死なないのか不思議なほどと言われる。
お産などよりも痛いとされ、心筋梗塞、尿路結石、と並び生きているうちに味わえる三大痛の一つとされ、別名「自殺頭痛」とまで呼ばれている。 目の後ろを通る血管が拡張して炎症を引き起こすため、目の奥の痛みを自覚するようである。また、この血管を取り巻いて、涙腺のはたらきや瞳孔の大きさをコントロールしている自律神経が刺激されて、涙・鼻水が出る、瞳孔が小さくなるといった症状を伴うともいわれる。吐き気を伴う場合もある。
現在の治療法は、イミグラン(3mg)の注射と純酸素吸入が効果的である。英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、経鼻トリプタン[4]と酸素[4]を勧告している。
治療薬は、トリプタン系の「イミグラン」などが使われるが、作用には個人差も大きいため、必ず医師の診察をうけること。酒石酸エルゴタミンを使用した「カフェルゴット(平成20年3月末日で販売中止)」「クリアミン(S錠・A錠)」などが使われることもある。また、酒石酸エルゴタミン系とトリプタン系の薬は併用禁止で、薬は、必ず24時間あけなければならないため服用には充分注意すること。 トリプタン系(イミグランなど)の薬は、閉経後の女性、心疾患の危険因子を有する患者には慎重に投与する必要があるとされる。
群発頭痛の海外での一般的な治療法は、イミグランの自己注射だったのだが、最近まで日本では頭痛に対しての自己注射療法が認められていなかったために即効性のある効果的な治療が困難であった。しかし2008年4月より保険適用にてイミグランを自己注射して群発頭痛を治療することが可能となっている。予防薬に関しては実際にはSSRI(パキシル等)・ステロイドなどが処方されているが、保険適応とはなっていない。 カルバマゼピンとガバペンチンが新薬として注目されているとされる。(2011年現在)外部リンク:大阪大学医学部附属病院疼痛医療センター参照のこと。
群発頭痛は激痛のため、トリプタン系の薬(イミグランなど)の多量服用は慎重にしなければならない。とは言え「我慢の限界」を超えた痛みであることは経験者にしかわからないので、周囲から誤解を受けることもしばしばである。 また、「群発期」中にアルコールを摂取してしまうと、薬の効果が薄くなり即座に激痛に襲われることもある。
プレドニンやデカドロンなどのステロイド療法もあるが、副作用のリバウンドで苦しむこともあり注意が必要である[要出典]。 また、重症の場合は『慢性の群発頭痛』に至ることがある。 『慢性の群発頭痛』とは、痛みの最大値を10段階で表すと、常にレベル3 - 5の痛みが「とれない」状態が続くものを言う。群発発作期と群発発作期の間も常にレベル3 - 5の痛みがあり、発作時の痛みはレベル10(max)が1 - 2時間続きその中に群発的に10段階の痛みが襲ってくる耐え難いものであると言われる。
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アルコール飲料を飲み過ぎた場合に起こる頭痛で、二日酔いの代表的な症状としてもよく言われる。二日酔いの頭痛の原因については様々なものが複雑に絡み合っていることもあり一概に断言はできないが、主なものをあげると以下のものがある。
なお、どのアルコール飲料をどの程度飲めば頭痛が起こるということには個人差があるようだが、同一量を飲むと想定した場合、アルコール代謝能力が低い人ほど、アルコール度数が高い飲料ほど頭痛を起こしやすいとも言える。なお赤ワインは、チラミンを含有するぶんだけ頭痛を起こしやすい。
基本的に頭痛の治療は薬物などによる対症療法が行われることが多いが、脳の疾患がある場合はその原因を取り除く治療も行われる。また、頭痛を引き起こす原因が生活習慣に存在する場合は、それを改善し取り除くことも推奨される。以下、主に対症療法で使用される薬物等を紹介するが、薬の服用や生活習慣の改善を行っても症状が緩和しないなどの場合は素人判断せず、脳外科などの専門医で相談する方が望ましい。
なお、これら薬物を長期に渡って常用すると体が薬に慣れてしまって効きにくくなったり、「薬の効果が切れる → 薬を飲む」という悪循環に陥って「薬物乱用頭痛」と言われる症状が起こることがある。また、頭痛治療薬服用中にアルコール飲料を飲むことは、胃をあらす原因になったり、薬剤によっては体内で毒性の高い物質に変化するなどの弊害を起こすことがある。
片頭痛の予防薬として「バルプロ酸ナトリウム」「カルシウム拮抗薬(きっこうやく)」「β遮断薬(ベータしゃだんやく)」などの服用がなされる。
主に「痛みを引き起こす物質の合成を抑える」「痛みを感じる中枢をブロックする」の2タイプに分けられる。
英国国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは、アセトアミノフェン・アスピリン・NSAIDを単独または併用の服用が、月に15日以上ある状態が3ヶ月以上続く場合、薬物乱用性頭痛の可能性が疑われるとしている[6]。NICEは急性期の頭痛患者に対して薬物乱用頭痛のリスクを説明することを勧告している[4]。
片頭痛を伴うミトコンドリア病 (ミトコンドリア脳筋症)の場合は、ナイアシン (ビタミンB3)、ビタミンB1、ビタミンB2、リポ酸や、コエンザイムQ10の補給が行われている[7]。これらはミトコンドリア内のクエン酸回路および電子伝達系を回すために必要となる栄養素である。また、慢性片頭痛は、反復性片頭痛よりもビタミンB2 (リボフラビン)やコエンザイムQ10の欠乏が多いとする研究が存在する[8]ものの、これらのサプリメントが片頭痛を予防するかはまだ分かっていない[8]。ビタミンB2はレバーに、コエンザイムQ10はハツに多く含まれている。
また、ミトコンドリア病の治療において、タウリンの補給も試みられている[9][10]。ミトコンドリアでのタンパク質合成にはタウリンが必要となるものの、ミトコンドリア病の一種であるMELASおよびMERRFの患者ではタウリンと転移RNA (tRNA) の結合減少が指摘されており、その解明が進んでいる[11][12]。なお、片頭痛患者は、片頭痛に伴い血漿および脳脊髄液にタウリンが放出されるとする研究がある[13][14]ものの、原因は不明。
また、筑波大学の研究によれば、アミノ酸のグリシンは、老化による後天性ミトコンドリア呼吸欠損を回復するとしている[15]ものの、グリシンが頭痛に効くかは不明。片頭痛患者は、脳脊髄液のグリシン量が健常者よりも多いとされる[13]。
レスベラトロールはミトコンドリア機能を改善するとされる[16][17]が、頭痛に効くかは不明。逆に、レスベラトロールの副作用によって頭痛が起こる場合もある[17]。ミトコンドリアは褐色脂肪細胞に多く含まれているが、マウス実験において褐色脂肪細胞はSIRT1の活性化により増えるとされており[18]、レスベラトロールはそのSIRT1を直接活性化するとみられていたが、後にその直接的な活性化は間違いであり、蛍光分子の導入により起きていたことが判明した[19]。レスベラトロールはイタドリに多く含まれている。
クエン酸回路の燃料となるアセチル-CoAを生成するための解糖系及びβ酸化 (脂肪酸代謝) も重要となる。
補酵素A (CoA) は解糖系および脂肪酸代謝の両方において必須となっているが、その補酵素Aの合成にはパントテン酸が必要となる。パントテン酸欠乏症でも頭痛が起きるとされる[20]。
また、脂肪酸代謝ではL-カルニチンが必要となる (カルニチン#役割)ほか、解糖系ではグルコースのリン酸化にマグネシウムイオンが必要となる。酵素欠乏によるカルニチンレベル低下は片頭痛の原因となりうるとの報告がある[21]。また、L-カルニチンおよびマグネシウムの摂取は偏頭痛に効果のある可能性がある[22]。
ミトコンドリアの好気的呼吸には酸素が必要となるため、酸素欠乏症や高山病などにより酸欠状態になることによっても頭痛が起こる。この場合、酸素吸入などが行われる。酸素吸入は群発頭痛の治療にも使われている[24]ほか、片頭痛や緊張性頭痛などの他の頭痛にも効果のある可能性がある[25][26][27]。
また、酸素を運ぶ赤血球が減って貧血になることでも、頭痛が起こりうる[28][29]。鉄欠乏性貧血の場合、鉄分や鉄分の吸収を助けるビタミンCの補給が行われている。悪性貧血の場合、ビタミンB12の補給が行われる。
なお、セリアック病などによる消化器官の損傷も、長期的に鉄欠乏性貧血や悪性貧血を引き起こしうる。セリアック病の場合は、グルテンフリー食品への切り替えが行われている。
血液の流れが阻害されて酸素の供給が滞ることでも頭痛が起こりうる。例えば、多血症は赤血球が多くなることで血流を鈍くし、その結果頭痛を起こす[30]。脱水によっても相対的多血症が起き[30]、頭痛が起こりうる[31]。脱水の場合は、水分と電解質の摂取が行われる。なお、逆に水分過剰の場合でも頭痛が起こりうる (#頭蓋内圧の上昇)。
頭蓋内圧上昇の原因の一つとして低ナトリウム血症がある[33]。低ナトリウム血症には、様々な要因によるナトリウム欠乏や、水中毒 (水分過剰) などがある。水分過剰の場合は水分の摂取を控える必要が有る。ナトリウム欠乏の場合は塩化ナトリウムの補給が行われている。
また、脳虚血は神経細胞を守るためにヒスタミン放出を促し[34]、ヒスタミンは脳浮腫を誘導して[34]頭蓋内圧を上昇させる。そのため、脳虚血は群発頭痛 (別名ヒスタミン頭痛) を引き起こす。群発頭痛の場合は酸素吸入が行われている[24]。
ヒスタミン頭痛はヒスタミン食中毒のようなヒスタミンの直接摂取でも起こりうる。ヒスタミンを含有する食品の摂食は注意が必要となる。
片頭痛患者は三叉神経の髄鞘 (別名ミエリン鞘。神経の被膜部分) に異常があるとの報告が存在する[35]。
髄鞘の構成要素にはセラミドとホスファチジルコリンより合成されるスフィンゴミエリンが存在するが、エピソード性片頭痛患者は血清中の全セラミド量及びジヒドロセラミド量が少ないとの報告がある[36]。セラミドはDe novo経路により、パルミトイル-CoAとL-セリンなどから合成される。また、マウス線維芽細胞でのin vitroの実験によれば、ホスファチジルセリンもセラミド合成に使われるとされる[37]。しかし、L-セリンやホスファチジルセリンの摂取が頭痛を防ぐかは分かっていない。関係は不明だが、ホスファチジルセリンとホスファチジン酸を含むレシチンの摂取に、(しばしば頭痛を伴う)月経前症候群 (PMS) への効果があるとする研究がある[38]。
また、ネルボン酸も髄鞘の構成要素となっている。ネルボン酸の摂取は脱髄を予防できる可能性があり[39][40]、(頭痛を伴うこともある)脱髄疾患に有益な可能性がある[40]。その他、高血圧の片頭痛患者は突発性難聴になりやすいとされる[41]が、突発性難聴のリスク因子にはネルボン酸やコエンザイムQ10の低レベルがあるとする研究がある[42]。しかし、ネルボン酸の摂取が片頭痛や片頭痛に関連する突発性難聴を防ぐかは分かっていない。
重金属中毒によって神経等が冒された場合も頭痛が起こりうる。例えば、鉛中毒になった場合[43]、気化した金属水銀を吸い込んで水銀中毒になった場合[44]、カドミウムを吸引してカドミウム中毒になった場合などに頭痛が起こりうる[45]。水銀体温計や蛍光灯が割れた場合は、水銀を吸い込まないように注意が必要となる。
また、頭痛の一つに頭部神経痛があり、これは頭部の末梢神経障害 (ニューロパチー) による疼痛となっている。末梢神経障害の原因の一つに、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12レベルの低下が存在する[46] (栄養障害ニューロパチー)。この場合、これらビタミンの補給が行われる。
糖尿病でも末梢神経障害の起こる可能性があり[46] (糖尿病性神経障害)、それによっても頭部神経痛が起こりうるという報告がある[47]。糖尿病では、ビオチン (ビタミンB7) と三価クロムの同時補給に血糖値を下げる効果のある可能性がある[48]。なお、糖尿病の治療では砂糖や炭水化物などの糖質を控えたり (糖尿病の食事療法)、薬を使ったりによって血糖値を下げることが行われているが、これによって低血糖症になることでも頭痛が起こりうる (#アセチル-CoA不足)。
還元型グルタチオン (GSH) は脳における酸化ストレスの保護に重要となっている[47][49][50]が、関係は不明なものの、還元型グルタチオンレベルの低下は片頭痛の重さに相関するいう報告がある[51]。グルタチオンはL-グルタミン酸、L-システイン、グリシンより構成されており、グルタチオンの赤血球濃度はL-システイン及びグリシンの経口補給によって上げることができるとされる[52]ものの、それらの摂取が頭痛に効くかは不明。
ライム病は頭痛の原因の一つであるが、ライム病を引き起こすボレリア・ブルグドルフェリ菌は、L-システインを吸収することにより増殖率が上がり[53]、また、宿主のL-システインを減らすことで宿主のグルタチオンレベルを低下させる可能性がある[54]。
アレルギー性鼻炎も頭痛の原因の一つである[55]が、ラットでの実験によればアレルギー性鼻炎はグルタチオンレベルを低下させる[56]とされ、実際のアレルギー性鼻炎患者もグルタチオンレベルが低いとの報告がある[57]。アレルギー性鼻炎はアラキドン酸-5-リポキシゲナーゼによるアラキドン酸からのロイコトリエンA4合成を促し[58][59]、ロイコトリエンC4シンセターゼがグルタチオンを消費してロイコトリエンA4からシステイニルロイコトリエンを生成する[58][60]。
一酸化窒素 (NO) は頭痛を引き起こすと見られている (NO誘発性片頭痛)[63]が、体内において一酸化窒素は一酸化窒素合成酵素によってL-アルギニンから生成される。
アルギニンの生合成は尿素回路で行われているが、関係は不明なものの、慢性尿素回路障害の症状にも頭痛が存在する[64]。また、頭痛を持つ非高アンモニア血症のオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症患者は、頭痛を持たない同病患者よりもNOx及びアルギニンレベルが低いという報告が存在する[64]。
ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群 (MELAS) においては、L-アルギニンの摂取が(頭痛を含む)その症状を改善するとされる[65]。
アレルギー性鼻炎は頭痛の原因の一つである[55]が、アレルギー性鼻炎では鼻粘膜においてL-アルギニン分解酵素であるアルギナーゼの発現レベルが上昇しているという報告がある[66]。関連は不明だが、L-アルギニンとL-グルタミンの組み合わせが肥満細胞におけるロイコトリエンC4の遊離を防ぐというin vitroな研究が存在する[67]。しかし、L-アルギニンの摂取は、逆にアレルギー反応を引き起こす可能性がある[68]。
また、体内の細菌には、宿主のアルギニンやその代謝物を減らして、自らのエネルギー源とするものが存在する[69]。歯周病は片頭痛の原因の一つとして疑われている[70]が、関連は不明なものの、主な歯周病の病原菌であるポルフィロモナス・ジンジバリスは、他の口腔細菌と異なりペプチジル-アルギニンデイミナーゼによってタンパク質-アルギニンの代謝を行っている[71]。高気圧酸素治療は歯周病にも効果があるとされる (ただし、スケーリング・ルートプレーニングと組み合わせた方が効果的とされる)[72]。
急性副鼻腔炎からくる頭痛の場合、主要な原因はウイルスにあるため、原因ウイルスによってはHSPA5を阻害する没食子酸エピガロカテキン (EGCG)に効果のある可能性がある。没食子酸エピガロカテキンは緑茶に多く含まれている。
また、上咽頭炎でも咽頭痛と共に頭痛が起こるという報告がある[73]。
後部尿道炎と(頭痛を伴うこともある)神経衰弱に関係があるとする古い報告も存在する[74]。
ナイアシン欠乏によって起こるペラグラも頭痛を引き起こす[75]。ナイアシン (ビタミンB3)は粘膜の健康に保つために必要であり、ナイアシンの摂取はペラグラ患者の粘膜の痛みを緩和する[76]。またナイアシンは、作用機序が不明ながら一部の頭痛に効果があったという報告がある[77]。
ビタミンA過剰症も頭痛を引き起こす[78]。ビタミンA過剰症は皮膚や粘膜を乾燥させ[78]口角炎などを引き起こす[79]。ビタミンA過剰症の場合、ビタミンAの摂取を控える必要がある。一方、ビタミンA欠乏については、粘膜の上皮化生を起こすという報告がある[78]ものの、頭痛との関係は報告されていない。
ビタミンD欠乏を伴う片頭痛も存在する[8]。頭痛との関係は不明だが、ビタミンDには慢性炎症を抑制する効果があるとされる[80][81]。
抗酸化物質のアスタキサンチンは眼精疲労に効くとされており[82]、眼精疲労に伴う緊張性頭痛にも効く可能性がある (なお、アスタキサンチンは酸化ストレスを下げミトコンドリア機能を改善する効果があるとされ[83]、また、カルニチンによる筋肉内の脂質代謝を促すとされる[84])。アスタキサンチンは鮭などに多く含まれている。
そのほか、ビタミンB12の補給に頭痛軽減の効果のある可能性がある。
頭痛の分野からは、やや外れるが、神経痛とはいえ頭痛との区別がつきにくい場合がある。 次に代表するものは鎮痛剤よりも坑てんかん薬などの使用が望ましい。
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