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ウリ科カボチャ属に属する果菜の総称 ウィキペディアから
カボチャ(南瓜[2])は、ウリ科カボチャ属に属する果菜の総称である。原産は南北アメリカ大陸だが、主要生産地は中国、インド、ウクライナ、アフリカである。皮を含む果実を食用とし、不飽和脂肪酸、ミネラル、たんぱく質、βカロテン、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、これらのビタミンを含む[3]。種には炭水化物と脂肪が含まれる[4]。若葉、茎、花も可食可能である[5]。種は油、カリウム、マグネシウム、カルシウムを含み、パンプキンシードオイルの原料となる。
「カボチャ」は、16世紀にポルトガル船が九州に渡来した際に寄港地のカンボジアからもたらされた野菜と伝えられ[6]、ポルトガル語で「カンボジア」を意味する「Camboja」(カンボジャ)に由来し[2][7]、「カンボジャ瓜」が転じて「カボチャ瓜」「カボチャ」」となった[7]。「柬埔寨瓜(かぼちゃ)」などと記載された[8]。
方言では「ぼうぶら」「ボーボラ」とも呼ばれ、これもポルトガル語で「カボチャ」や「ウリ類」を意味する「abóbora」(アボボラ)に由来する。
江戸時代後期の『和漢三才図会』(1713年)では、ポルトガル船の寄港地であったた中国の南京に由来して「唐茄子(とうなす)」「南京(なんきん)」とも。現代の漢字表記「南瓜」は中国語: 南瓜 (ナングァ; nánguā)による[9]。なお、中国では健康、豊穣の象徴として、「庭園の皇帝」とも呼ばれている[6]。
オックスフォード英語辞典によれば、「pumpkin」は「メロン」を意味する古代ギリシア語「πέπων」に由来するという[10][11]。ラテン語の「peponem」、中期フランス語の「pompon」を経て、初期近代英語の「pompion」に転化した。17世紀、イングランドからやってきた人植者たちが、現在のアメリカ大陸の北東部に到着してまもなくこの植物を発見したのち、「pumpkin」と呼ばれるようになった[10]。
「pumpkin」の語源はマサチューセッツ州の言葉「pôhpukun」で、意味は「丸く育つ」[12]。この言葉は、マサチューセッツ州の「Wôpanâak」の方言を話すワンパノアグ族(Wampanoag)が、現在のマサチューセッツ州プリマス入植地の入植者たちにカボチャを紹介する際の言葉として使われたようである[13]。
英語の「squash」もマサチューセッツ州の言葉に由来し、「askꝏtasquash」[14]、「ashk8tasqash」、ナラガンセット語(Narragansett Language)では「askútasquash」と、様々な表記がある[15]。
「pumpkin」という言葉は、植物学の分野でも科学の分野においても意味が定まっておらず[16]、「Squash」や「Winter Squash」と同じ意味で使われている[17]。アメリカ合衆国とイギリスにおいては「pumpkin」は「クークルビータ・ペポ」(Cucurbita Pepo)に由来するオレンジ色をした丸い品種の「Winter Squash」を指すが、オーストラリアやニュージーランドにおいては「Winter Squash」全般を指す[18]。オーストラリアとニュージーランドにおいては、「pumpkin」も「squash」も同じ意味で使われることが多い[19]。
畑で栽培されるつる性の一年草[9]。葉は大きく突起を持ち、斑模様や裂片をつける。花色は黄色や橙色である。単性花であるため人工授粉が施されることが多い。
ニホンカボチャ(日本カボチャ)の原産地は諸説あり、北アメリカ南部・中央アメリカ地域の原産とする説が有力視されている[7]。一方、セイヨウカボチャ(西洋カボチャ)は、南アメリカ・中央アメリカの高地が起源とされている[7]。また、ペポカボチャは北アメリカ・中央アメリカ起源といわれている[7]。
ヒトがカボチャを栽培した歴史は古く、南アメリカのペルーで紀元前4000 - 3000年頃の出土品、メキシコでは紀元前1440年の出土品がそれぞれ発見されている[7]。1997年には、栽培化が従来の推定よりも数千年早い、8000年から10,000年前にメソアメリカで起きたことを示す新しい証拠が出された[20]。メソアメリカにおける他の主要な食用植物群であるトウモロコシと豆の栽培化よりも、約4000年早かったということになる[21]。21世紀の遺伝子解析による考古学的な植物調査では、北米東部の民族が各々にカボチャ、ヒマワリ、アカザを栽培化したことが示唆されている[22]。
ニホンカボチャは、1492年クリストファー・コロンブスの新大陸発見後、ヨーロッパに持ち帰られて、大航海時代に世界中に広まって東南アジア地域で古くから栽培されるようになり、日本へは1541年頃にポルトガル船によって九州に伝播した[7]。
日本への渡来については諸説あるが、中央アメリカ原産のニホンカボチャ(日本かぼちゃ)は、天文年間(1532年-1555年)[注 1]に豊後国(現在の大分県)に漂着したポルトガル人がカンボジアから持ち込み、当時の豊後国の大名であった大友義鎮(宗麟)に種を献上したという説が有力である[8][23][24]。このカボチャは「宗麟かぼちゃ」と名づけられ大分県などで伝統的に栽培されている[25]ほか、福岡県豊前市三毛門地区で栽培されている三毛門かぼちゃは、宗麟かぼちゃが伝わったものとされており、2018年には豊前市の天然記念物に指定された[26]。また南アメリカ原産のセイヨウカボチャは、1863年(文久3年)にアメリカから日本に渡来し、当初は北海道などの冷涼地を中心に広まり[2][7]、大正時代に関東地方以南でも栽培されるようになった[7]。アイヌの人々もカボチャを栽培しており、北海道での栽培の歴史は古い[27]。なお、形態的に変異の大きいペポカボチャは、明治初年に8品種が日本に導入されたという記録が残されているが、20世紀にはあまり栽培されなかった[7]。ペポ種は中国を経由して来たため、「唐茄子」とも呼ばれる。
1944年2月、東京都は第二次世界大戦の戦局が悪化すると各家庭にカボチャをはじめとした種子と栽培法の小冊子を配布。最低一戸当たりカボチャ一株を箱栽培や路傍栽培で育てるよう奨励を行った[28]。米や麦が十分ではなかった太平洋戦争中および終戦直後の時代は、カボチャは貧困に喘いでいた日本人の食をサツマイモなどの芋類と共に支えた[29][8]。1947年(昭和22年)、小倉建夫と小倉積が初のF1品種「新土佐」(土佐鉄かぶと)を育成し[8]、1964年(昭和39年)にはタキイ種苗により早出し可能な西洋カボチャのF1品種「えびす」の育成に成功した[30]。
栽培されている品種は、C. argyrosperma(ニホンパイカボチャ)、クロダネカボチャ、セイヨウカボチャ、ニホンカボチャ、ペポカボチャの5種とそれらの雑種である[31]。日本で流通しているカボチャは、ニホンカボチャ、セイヨウカボチャ、ペポカボチャの3系統に大別される[32][7]。日本に先に定着した東洋系のニホンカボチャ(日本種)は、黒皮系で縦に溝が入ったゴツゴツとした形のものが多く見受けられ[32]、果肉は粘質で、日本では昔から栽培されているので多くの地方品種がある[33]。またセイヨウカボチャ(西洋種)は、肉質が粉質で、果皮色は黒緑色、白色、赤色があり、日本では栽培されるカボチャの主流になっており、当初は冷涼地向けの品種が多かったが、暖地向きの品種も育成されている[32][7]。ぺポカボチャ(ペポ種)は、若どり用のつるなしカボチャや、外観が色とりどりのものがあり、観賞用に栽培されるものもある[33]。
カボチャの種類によって栽培に適応する性質はそれぞれ特色がある。セイヨウカボチャ(西洋種)は冷涼な気候で乾燥した土地を好み、ニホンカボチャ(日本種)は高温多湿にも耐える性質があって、ペポカボチャ(ペポ種)には耐暑性がある[33]。いずれの種も、土質は中性から中酸性であればそれほど選ばず、痩せていても日当たりの良い広い土地であれば旺盛に生育し、さほど難しくなく育てることができる野菜である[45][33]。水はけが悪いと、茎葉が病気にかかりやすくなるため、土壌の水はけをよくする[33]。
日本での栽培は、一般的に春に播種し、夏から秋にかけて果実を収穫する[45]。栽培適温は17 - 20℃といわれ、連作も可能である[45]。果菜類では最も低温に耐え、夜温7 - 8度以上あれば生育する[40]。株間は1メートル以上空けて植え付け、肥料を控えめにして育てることが重要となる[45]。西洋種と日本種があるが、西洋種のほうが丈夫で摘芯の作業が要らず育てやすい[45]。小型の品種は、支柱を立てて育てることが可能で場所を取らず、コンテナやプランターで栽培もできる[46]。
苗をつくる場合は、種を横向きにして育苗箱に浅くまき、覆土を軽く上から押さえる[47]。発芽適温は28度といわれている[47]。本葉が1枚出てきたら、育苗ポットに移植し、本葉4 - 5枚の苗に仕上げる[40]。
苗の植え付けは春に行い、肥料を控えめに入れた土壌を盛り上げて「くらつき」つくって、その頂部に苗を植える[45]。元肥が多すぎたり、窒素肥料過多の場合、つるばかりが茂って実のつきかたが悪くなる「つるぼけ」になることがある[45]。肥沃な土地や前作の肥料が残っているときは、畑にすき込む元肥を少なくする[47]。初夏につるが伸び出す時期は、つるや実が地面に直接つかないようにするため、つるの生長に応じて藁を敷いておく[46]。西洋種は自然に小づるが伸びていくが、日本種とペポ種は本葉が5 - 10枚程度になったら摘芯をして、子づるを伸ばすようにする[46]。
初夏から夏にかけて花を咲かせるようになると、虫媒花であるが、人工授粉を行うことで確実に実をつけることができる[46]。人工授粉はその日の朝に咲いた午前8 - 9時ごろまでに、花のつけ根に膨らみがある雌花に、雄花の花粉をつけて行う[46]。花粉の発芽力は、早朝が最も高く、日の出ごろにはなくなってくるので、なるべく早朝8時までにする[48]。追肥は実がつき始めたら、株元からやや離れた数十センチメートルの位置に控えめに施す[33]。
夏から秋は収穫期で、セイヨウカボチャは授粉後40 - 45日ほど経って、実の表面の皮がかたくなり、ヘタが縦に細かくひび割れてコルク質になったときが収穫の目安である[46]。ニホンカボチャとペポカボチャは受粉後25 - 30日経って、へたが褐色になって、果皮が特有の色になって、種によっては表面に白い粉がふきだすようになったら収穫適期である[33]。収穫が遅れてしまうと過熟になり、品質を損なってしまう[48]。1アール(100平方メートル)で127キログラム (kg) ほど収穫することができる[49]。セイヨウカボチャは、収穫後1週間ほど風通しの良い場所に置いて乾燥させるキュアリングを行うことで、保存性が高まり、よりおいしさが増す[33]。
土壌病害に強くて育てやすいが、茎葉に発生する疫病には弱く、多湿を嫌うため、畑の排水をよくして栽培する[40]。陽性植物に分類されており、雨量が少なく乾燥気味の天候が続く場合、うどんこ病が悪化しやすくなる[33]。また、水はけが悪い土地で長雨が続いた場合は、疫病が多く発生しやすい[33]。これら疫病を予防するために、株元にポリマルチ[注 2]を施したり、つるや果実の下に敷き藁を行うようにする[33]。うどんこ病が発生したら、初期のうちに防除する[33]。
100 gあたりの栄養価 | |
---|---|
エネルギー | 205 kJ (49 kcal) |
10.9 g | |
食物繊維 | 2.8 g |
0.1 g | |
飽和脂肪酸 | 0.01 g |
多価不飽和 | 0.03 g |
1.6 g | |
ビタミン | |
ビタミンA相当量 |
(8%) 60 µg(6%) 700 µg |
チアミン (B1) |
(6%) 0.07 mg |
リボフラビン (B2) |
(5%) 0.06 mg |
ナイアシン (B3) |
(4%) 0.6 mg |
パントテン酸 (B5) |
(10%) 0.50 mg |
ビタミンB6 |
(9%) 0.12 mg |
葉酸 (B9) |
(20%) 80 µg |
ビタミンC |
(19%) 16 mg |
ビタミンE |
(12%) 1.8 mg |
ビタミンK |
(25%) 26 µg |
ミネラル | |
ナトリウム |
(0%) 1 mg |
カリウム |
(9%) 400 mg |
カルシウム |
(2%) 20 mg |
マグネシウム |
(4%) 15 mg |
リン |
(6%) 42 mg |
鉄分 |
(4%) 0.5 mg |
亜鉛 |
(3%) 0.3 mg |
銅 |
(4%) 0.08 mg |
マンガン |
(5%) 0.10 mg |
他の成分 | |
水分 | 86.7 g |
水溶性食物繊維 | 0.7 g |
不溶性食物繊維 | 2.1 g |
ビオチン(B7) | 1.7 µg |
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[51]。別名: とうなす、ぼうぶら、なんきん 廃棄部位: わた、種子及び両端 | |
| |
%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
食材としての旬は夏場の5 - 9月といわれ、夏野菜の一つに数えられる[52][2]。新鮮でおいしいカボチャの見分け方は、ヘタが良く乾燥していて、その周囲がへこんでいるものが完熟しており、皮がかたく、ずっしりと重みがあるものが良品とされる[52][2]。また、カット品であれば、果肉が厚くて色が濃い物がよく、種がふっくらとしているものが完熟している[52][2]。
ウリ類の中では最も栄養価が高く[36]、β-カロテンがバランス良く含まれているのが特徴で[52]、皮は硬いものの、長時間煮ることで柔らかくして食べることもできる。サツマイモと同様に、カボチャにもデンプンを糖に分解する酵素が含まれているため、貯蔵によって、あるいは、低温でゆっくり加熱することによって甘味が増す。したがって、収穫直後よりも収穫後、約1か月頃が糖化のピークで食べ頃となる。保存性に優れ、常温で数ヵ月の保存が可能な数少ない野菜ではあるものの、保存がきくのは切っていない場合で、切って果肉が空気に触れると数日で腐ってしまう。また、切っていなくても、湿度の高い環境では表面の微細な傷が元で、外皮から腐る場合もある。
種子(パンプキンシード)も食品として流通しており、ナッツとして扱われる。パンや洋菓子のトッピングとして用いられることが多い。メキシコにはカボチャの種子をすりつぶしたソースで肉や野菜を煮込んだ、ピピアン (pipián) と言う伝統料理がある。また、種子から食用油(パンプキンシードオイル)が取れる。
アメリカ合衆国ではシナモンやクローブ、パンプキンパイに用いる香辛料とカボチャを使って醸造したビールが生産されている。日本では北海道での生産量が多い。
同じウリ科のキュウリのように、未熟果を利用する品種もある。代表的なものにズッキーニ(ペポカボチャ系)やエホバク(ニホンカボチャ系)がある。
炭水化物が多く、エネルギーは可食部100グラム (g) あたり西洋カボチャが91 kcal、日本カボチャで49 kcalで、野菜の中でもカロリーは高めである[52][注 3]。
β-カロテンをはじめ、抗酸化作用のあるビタミンC・ビタミンEが突出して多く含まれており、ビタミンB群、カリウム、食物繊維もバランス良く含まれている[52]。β-カロテンは、カロテノイドとよばれるカボチャの黄色い色素成分のひとつで、体内で吸収されるとビタミンAに変換される[52]。ビタミンA・C・Eは、俗に「ビタミンエース」(ビタミンACE)とよばれ、抗酸化作用によって活性酸素を取り除き、免疫機能を高める効果があると言われている[52]。ビタミンCは、俗に「美容ビタミン」とも呼ばれ、皮膚や粘膜を健康に保ち、皮膚のしわやシミを防ぐ効果があり、風邪の予防にもよいといわれる[34][32]。ビタミンEは、俗に「若返りのビタミン」ともいわれ、毛細血管の血流を促し、老化を防ぐ働きがあるといわれている[34]。ミネラルではカリウムが豊富で、ナトリウムを体外へと排出する働きにより血圧を下げる作用がある[29]。カボチャ100gで、ビタミンA・C・Eの1日必要摂取量の約半分を摂ることができ、β-カロテンが多いニンジンと比べても、一度に量を摂取しやすい[52]。カボチャのエネルギー源は糖質であり、葉物野菜の数倍を含み、特にセイヨウカボチャは、果物に匹敵するほどの糖質を含んでいる[29]。カボチャ245gのうち、タンパク質は1.8g、脂肪は0.2g、炭水化物は12g含まれ、そのうち、食物繊維は2.7g含まれるのみであり[53]、糖質の含有量が高い。このため、カボチャは穀類や芋類として分類されることもある[29]。葉物野菜類のビタミンCは長期保存によって減少してしまうが、カボチャの場合、あまり減少しない[29]。カボチャのβ-カロテンやビタミンEは熱に強く、油と合わせて調理すると、より吸収率が高まる[34]。
皮がかたくて切りにくいので、ヘタもまわりから包丁の先を溝に沿って入れて切り分ける[2]。ふつう種とわたは取り除く[7]。煮物を作る際には皮を部分的に剥く[2]。煮物にするときに皮をすべて剥いてしまうと、煮崩れしやすくなる[7]。切り方は、放射状に縦に薄く切った櫛形切りにして天ぷらやソテーに使ったり、太い櫛形切りから細断して角切りにして煮物に使う[2]。
日本かぼちゃは、水分が多くてねっとりした肉質で、煮物に向いており[32]、出し味を利かせ薄味に仕立てると、カボチャ本来の味が生かせる[7]。また、粉質の西洋かぼちゃは「栗かぼちゃ」ともよばれ、加熱すると甘味が強くほっくりした食感がある[32]。
甘みの強い品種は菓子作りにも向いており、パンプキンパイやかぼちゃパン、南アメリカのフランや、タイの「サンカヤー・ファクトン」のようなプリンに加工される。
フランスではスープの材料として使われることが一般だが、南部ではパイやパンに料理される。アルヘンティーナでは中をくりぬいたカボチャをシチューの具材にする。
カボチャは野菜の中でも保存性が高く、貯蔵しておいて冬場に食べることもできる[33]。果実を丸ごと保存するときは、新聞紙で包んで、常温(10℃前後)で風通しの良い場所に置いておくと、1 - 2か月ほど保存できる[34][7]。カットした場合は、内側から傷むため、種とわたを取り除いた後、ラップを密着させて包み冷蔵保存すれば3日 - 1週間程度は持つ[34][2][7]。量が多くて食べきれないときは、加熱して潰してから使う分量に分けてラップで包んで冷凍保存すれば長期保存が利き、すぐにコロッケやスープにして使うことができる[34]。
薬用とする部位は果実と種子で、果実は南瓜(ナンカ)、乾燥した種子は南瓜仁(ナンカニン)と称して生薬とする[9]。果実は胃腸を温めて食欲を増進し、疲労倦怠、食欲不振に効果があるとされる[9]。また種子は条虫、回虫駆除に用いられる[9]。民間療法としては、果実は調理して食べるが、種子は1日量5グラムを600 ccの水で煎じて、3回に分けて服用する用法が知られている[9]。また、種子を炒って殻を取り除いて食べても同様によいとも言われている[9]。
この節の加筆が望まれています。 |
牛や豚の飼料として使われる。大型品種のアトランティックジャイアントは西洋カボチャ系で、ハロウィンの時期にはくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」の顔を作る際にも使われる。
観賞用のオモチャカボチャと呼ばれる品種はペポ種に属し、これは果実の形状や色が様々であるためハロウィンやクリスマスの飾りに利用される。また、アメリカで多く栽培される果実の大きなオレンジ色の品種もペポ種に属し、くりぬいてお化けの顔を掘ったりする。
生産量は北海道が最も多く、次いで鹿児島県、茨城県が続く[36]。一年中出回っているが、露地物の旬は夏である[36]。鹿児島県産は5 - 6月と12月、茨城県産は6 - 7月、青森県・秋田県産が8月、北海道産は8月 - 11月頃に多く出回る[36]。
日本における収穫量上位10都道府県(2016年)[57]
収穫量順位 | 都道府県 | 収穫量(t) | 作付面積(ha) |
---|---|---|---|
1 | 北海道 | 82,900 | 7,400 |
2 | 鹿児島 | 9,130 | 838 |
3 | 茨城 | 8,090 | 493 |
4 | 長野 | 6,430 | 506 |
5 | 宮崎 | 5,150 | 221 |
6 | 長崎 | 4,950 | 526 |
7 | 千葉 | 4,600 | 250 |
8 | 沖縄 | 3,600 | 441 |
9 | 神奈川 | 3,480 | 216 |
10 | 山形 | 2,900 | 297 |
― | 日本計 | 185,300 | 16,000 |
このうちトンガでは、元々カボチャの栽培は行われていなかったが、気候がかぼちゃの生育に最適であることと、日本でカボチャの需要が多いにもかかわらず収穫の出来ない12月頃に収穫期を迎えることに目を付けた日本の商社が、1990年代にカボチャ栽培を持ち込んだ。その後、カボチャはトンガにとって、日本や大韓民国向けの主要輸出品目になり、栽培が推進されていった[58]。 2010年に日本がトンガから輸入した産品の金額は7114万円だったが、そのうちの77.2%%カボチャが占めていた[59]とする文献もあるが、公的な資料である財務省の貿易統計によると2010年のトンガからの輸入額の総額は、6926万1千円でこのうちがぼちゃが5495万2千円で79.3%であった。なお2020年には、総額3930万5千円、うちかぼちゃは478万4千円で12.0%と金額、比率とも大幅に減少している。
日本への輸入量はニュージーランド産が最も多く、その他メキシコ、トンガが多い[36]。海外品は通年輸入され日本市場の半分を占めているが、夏・秋は国産が出回るため、国内生産量が少なくなる11月 - 5月期に輸入品が多く出回る[36]。
世界のカボチャ類(pumpkins, squash and gourds)の収穫量上位10か国(2019年)[60]
国際貿易センターによれば、2019年のカボチャ類輸出量は172万7000トンで、1位がスペインの45万1000トン、2位がメキシコの23万8000トンとなっている[60]。
メキシコは世界のカボチャ類輸出量第2位である(2019年時点)[60]。
1980年代に日本からカボチャの種が導入され、ソノラ州を中心としたカボチャの生産は順調に拡大され、メキシコから日本向けの主要輸出産品の1つになっている[60]。ただし、日本国内でのカボチャ需要が減少傾向にあることから、日本以外の国への輸出の動きが模索されている[60]。
メキシコで商業栽培されているカボチャ類は、以下の5種[60]。
メキシコでは、セイヨウカボチャ種とニホンカボチャ種、その他の種類のカボチャを混在して「カラバサ(calabaza)」と呼称しており、これはメキシコ農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)の統計においても同様である[60]。
ソノラ州のカボチャ類作付面積および生産量のは、メキシコ全土の約83%(2019年)を占める最大のカボチャ類生産州となっている[60]。
メキシコのカボチャ類栽培は、1980年前後より日本の青果物専門商社や卸売業者が、種苗メーカーとともに日本国外の産地開発に乗り出した際に始まったものであり、メキシコで栽培されている主な品種としては、味平、味皇、こふき、えびす、みやこ、くりゆたか7などであり、生産される品種は日本市場に合わせたものとなっている[60]。
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