Loading AI tools
チャイヨー・プロダクションの映画作品 ウィキペディアから
『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』(ウルトラろくきょうだいたいかいじゅうぐんだん、タイ語原題:หนุมาน พบ 7 ยอดมนุษย์=Hanuman pob Jed Yodmanud)は、1974年に制作された円谷プロダクション、チャイヨー・プロダクション合作の劇場映画[1]。
ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団 | |
---|---|
หนุมานพบ 7 ยอดมนุษย์ | |
監督 | 東條昭平 |
脚本 |
若槻文三 淡豊明 ソンポート・シングデァンチャイ |
製作 |
ソンポート・シングデァンチャイ 伊藤久夫 |
ナレーター | 木原正二郎(日本語版) |
出演者 |
コ・ガオデンディ アナン・プリーチャー ヨーチャイ・メクスワン パワナー・チャナチット |
音楽 | 冬木透 |
主題歌 |
佐々木いさお コロムビアゆりかご会 「ぼくらのウルトラマン」(日本語版) |
撮影 |
町田敏行 佐藤貞夫(特撮) |
編集 |
柳川義博 小林煕昌 |
制作会社 |
円谷プロダクション チャイヨー・プロダクション |
配給 | 富士映画 |
公開 |
1974年11月29日 1979年3月17日[注釈 1] 1975年6月27日 |
製作国 |
タイ 日本 |
言語 | タイ語 |
1979年3月17日[注釈 1]に松竹洋画系で公開された[注釈 2]。タイでは1974年11月29日に初公開された[注釈 3]後、2001年には劇中音楽の差し替えや再アフレコを施し、リバイバル公開された。
仏像泥棒に殺害されたコチャン少年が、ウルトラの母の導きでインド神話に登場する白猿ハヌマーンとして復活し、ウルトラ6兄弟(ゾフィーからウルトラマンタロウまでの6人)とともにタイに出現した怪獣軍団と戦う[3]。日本版タイトルにある「ウルトラ6兄弟」の通りポスターも彼らが前面に描かれている[3]が、物語の主役はハヌマーンであり、ウルトラ6兄弟が参戦するのは終盤からである。
など、当時の日本の子供向け特撮作品には向かない過激な映像描写も含め、タイの文化を下地にして製作されていたこともあり、日本公開当時も異色の作品であった。
1970年代半ば、タイで日本の漫画やアニメ、そしてヒーローが人気を博していた。本作品は、タイのチャイヨープロの社長ソンポート・シングデァンチャイが、かつて日本の東宝撮影所に留学して円谷英二や円谷皐らと親交を深めていた[4]縁で製作された。原題は『ハヌマーンと7人のウルトラマン』を意味しており[5]、ウルトラの母も含まれている。これはタイ語では「6」の発音が「転ぶ」を意味する単語と同じであり、あまり縁起の良い数字と考えられていないため、縁起をかついで「7人」としているためである。一方、『ファンタスティックコレクションNo.10 ウルトラマンII』(朝日ソノラマ・1978年発行)では、原題が「白猿ハヌマーン&ウルトラ6兄弟」と記載されている[2]。
円谷プロとの合作は『ジャンボーグA&ジャイアント』に続く2作目[1]である。また、本作品の終了後は東映の仮面ライダーと共演した『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』[注釈 4]や、本作品と『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』の映像を組み合わせて再編集した『ハヌマーンと11人のウルトラマン』(英題:SPACE WARRIORS 2000)、『ジャンボーグA&ジャイアント』のフィルムを流用した『エリマケトカゲ一人旅』も製作された。
インド神話に起源を発し、孫悟空のモデルともなった怪力で忠孝なハヌマーンは、タイの人気者である。芝居などでもオチに困ると脈絡なくハヌマーンが登場し、その度に大喝采となる。いわゆるデウス・エクス・マキナ、または日本の講談などでの加藤清正や源義経のような扱いである。そういった経緯もあり、本作品はハヌマーンがウルトラ戦士と共闘する娯楽作品となった。
BGMは『ウルトラセブン』からの流用が多いが、『ウルトラマンタロウ』からも流用されている[6]。
制作当時は日本での公開は未定となっていたが、1970年代後半のウルトラブームを受け、急遽タイからネガを取り寄せて公開された[1]。一部地域では、『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』や『ウルトラマンレオ レオ兄弟対怪獣兄弟』と併映された[2]。
しかし、本作品の日本国内興業権の支払いに窮した円谷プロが、チャイヨープロに『ウルトラマンタロウ』以前のウルトラシリーズの海外使用権を譲渡する契約を交わす(チャイヨープロ側の主張)契機ともなった。そのため、本契約を巡って裁判が起こり、日本ではビデオやDVDの発売、雑誌掲載が行われない状態にある。
2008年当初の時点では、チャイヨープロは本作品の著作権を主張しており、円谷プロはそれを否定も肯定もしていないとみられていたため、「合作」と主張する当事者はいなくなっていた[7]。日本の著作権法では両者の権利は消滅しないため、共同制作物のままである。一方、タイにおいては2008年2月の最高裁判所の判決により、円谷プロのみが著作権を持つことで決着している[8]。それ以外の国では2008年12月24日にチャイヨープロからユーエム社へ利用権が譲渡されているが、1998年にチャイヨープロからバンダイへ利用権行使の権利が売却されていたことが2011年に発覚したため[9]、それぞれの国の司法においてチャイヨーの権利が有効であったとしても、ユーエム社はバンダイの許可なく利用権を行使できないうえ、円谷プロの権利が有効であるならばユーエム社に利用権はない。
1万年以上前からタイの平和を守ってきた風神ラマヤーナの子で[3]、風の女神サワハによって誕生した[注釈 8]。3人組の仏像泥棒に殺害された、勇気ある少年・コチャンにウルトラの母が白猿ハヌマーンの命を与えた[3]。両手を胸の前で合わせて祈ると変身する。常に猿のように跳ねており、踊っているようにも見える。劇中でゴモラ率いる怪獣軍団を相手にウルトラ6兄弟と共闘する際には、タイ式ボクシングも披露している。身長、体重は共に不明。
叙事詩『ラーマーヤナ』においてハヌマーンは風神ヴァーユと、猿王ケーシャーリーの妻アンジャナーとの子となっている。また、友人ラックサナが矢に打たれた、という話も原典では叙事詩の主人公ラーマ王子(ラックサナはその弟)であり、時間稼ぎに諭した相手は太陽ではなく月だった。なお、タイに一般的に流布している『ラーマーヤナ』の伝本は、インドで一般的なヴァールミキ版ではなく、ラーマ1世による『欽定版ラーマキエン』と呼ばれる伝本やその流れを汲むもので、タイ独自の要素を多く含んでいる。尻尾の形状や体色の異なる兄弟が数人存在する。
なお、タイのウルトラ戦士と称しているメディアも存在する[6]。
ハヌマーンのデザインはタイの現地スタッフによるものであり、それを基に日本国内で着ぐるみが製作されている[12]。特撮美術に関わっていた山田順啓が生前に自身のTwitterで証言したところによると、ハヌマーンの着ぐるみは2000年代前半頃まで九州・熊本県のウルトラマンランドの倉庫にあったらしいが、不用品として細かく刻んで廃棄処分されたという[13]。
詳細は各リンク先を参照。
※括弧内は日本語吹き替え
前述の通り、円谷プロとチャイヨープロがウルトラマンの権利を巡って国際裁判が行われるなど関係が悪化した以降、日本国内での映像ソフト化は中止されている。それ以前にはVHSやLD(1986年に日本コロムビアより発売)が存在した[16]。当時は多くのレンタルビデオ店でも本作品のVHSが扱われていたが、ビデオテープの損耗による撤去やレンタル媒体がVHSからDVDに移行したことにより、後年ではほとんど流通していない。一方、タイではビデオやDVDが発売されているため、PAL規格を再生可能な機器で視聴できる(ただし、2001年リバイバル公開版あるいはこれの再編集版)。
『ハヌマーンと11人のウルトラマン』(タイ語原題:หนุมาน พบ 11 ยอดมนุษย์=Hanuman pob Sibed Yodmanud)は、チャイヨー・プロダクションが1984年に『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』を再編集し、製作した映画。タイで放映された[17][18]後、アメリカ合衆国で『SPACE WARRIORS 2000 (The Year of the Monkey Wrench) 』のタイトルで放映されたとされる[19]。日本では未放映で、長らく謎の作品として扱われてきた[17]。
『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』にウルトラの父、ウルトラの母、ウルトラマンレオ、アストラ、ウルトラマンキング、ウルトラマン80、ユリアンの出演シーンを追加したといい[20]、実際には『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』に『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』の映像を組み合わせたものとされる[19]。
タイの裁判所における円谷プロとの裁判(ウルトラマン訴訟)では、『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』と同じ作品(再編集版)として扱われている[18][20]。
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.