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セメダイン株式会社 (Cemedine Co., Ltd.) は、日本の大手接着剤メーカーである。日本初の合成接着剤を開発した。東京都品川区に本社を置く。
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | |
本社所在地 |
日本 〒141-8620 東京都品川区大崎一丁目11番1号 ゲートシティ大崎イーストタワー |
設立 | 1948年4月22日(創業1923年11月19日) |
業種 | 化学 |
法人番号 | 1010701005270 |
代表者 |
代表取締役会長 松本有祐 代表取締役社長 天知秀介 |
資本金 | 30億5,037万5千円 |
売上高 |
259億6,300万円 (2024年3月期)[1] |
営業利益 |
8億6,800万円 (2024年3月期)[1] |
経常利益 |
15億2,600万円 (2024年3月期)[1] |
純利益 |
13億3,400万円 (2024年3月期)[1] |
純資産 |
146億5,200万円 (2024年3月期)[1] |
総資産 |
235億9,900万円 (2024年3月期)[1] |
従業員数 |
連結:549人 単独:345人 (2022年3月31日現在) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 | 株式会社カネカ 100% |
主要子会社 | セメダイン販売株式会社 100% |
関係する人物 | 今村善次郎(創業者) |
外部リンク | https://www.cemedine.co.jp/ |
社名は、創業者の今村善次郎(1890年生[2])が接着剤の商品名として考案した造語で、結合材を意味する「セメント」("CEMENT")と力の単位である「ダイン」 ("DYNE")の変形を組み合わせたものだが、そのほかに、創業当時日本の接着剤市場を席巻していたイギリス製の接着剤『メンダイン』(MENDINE)を市場から「攻め」出すということから、「攻め出せ、メンダイン」という意味が込められているとも言われている[3]。
「セメダイン」という語は戦前から既に一般名化して「接着剤」といった意味に使われていた[4]。また、セメダイン社製品や接着剤一般のことを「セメンダイン」と誤記されることがある[5](「セメン」はセメント(接着剤)の略称[6])。
なお、当社は「当時はまだ『接着剤』という言葉はありませんでした」「この『接着剤』という言葉も、今村善次郎が創った言葉」だと主張している[3]が、誤りである。「接着剤」という言葉は明治30年(1897年)以前に既に存在していた[7][8]。ただ、慣用語ではなく[C 1]:28、一般化させたのは今村のようだ[C 1]:28という仮説である。また、今村は「接着材」ではなく「接着剤」という字を選んだ[C 1]:28が、「剤」という字も以前から「接合剤(劑)」[9]、「膠着剤(劑)」[10]のように使われていたから、今村の発明というわけではない。
同じ商品名であっても時期によって成分や外形は異なる。同じ成分の物を複数の名称で呼ぶこともある。
「セメダインC」はニトロセルロース接着剤[C 1]:31。別名:CEMEDINE C、C號、C号、C。 木、紙、布の接着用[11]。プラモデル(一般的なスチロール樹脂製のもの)の接着には不適当で、変形する可能性がある[12]。
1938年発売[C 1]:31だが、同一商品名であっても時期によって溶剤成分などの変更を複数回おこなっている[13]。
セメダインCは1963年頃の一般消費者向け主力だった[C 1]:111が、他製品発売により売上内比率は低下したものの、1992年度でも1%を占め年間約250万本(容量不明)生産していた[17]。
2013年にセメダインCは日本初の合成接着剤として国立科学博物館が選定する重要科学技術史資料 § 第6回(2013年)(未来技術遺産)に登録された[C 3]。登録されたのは「製作年1975年頃」のバージョンである[C 3]。
工業用製品「321」は本品とほぼ同等品[18]。
当社は2018年頃から「セメダイン」の後に続く「C」部分のみが社内で言う「商品名」にあたることを強調しだした[19]。 あわせて従来「CEMEDINE C」あるいは「セメダインC」となっていたホームページ商品ページ [20] を「C」に変更した[21]。しかし製品への印刷名、カタログ等の商品名[22]、製品名[15][14]はいずれも「セメダインC」としている。
「プラモデル用セメダイン」という商品名であっても、チューブ入り品とビン入り品では成分比率が違う。 一時期、当社ホームページから除外されていた[23]。
「プラスチックモデル用」という商品名の製品は1962年発売[C 1]:79。スチロール樹脂製プラモデル用接着剤[24]。ポリスチレン樹脂溶剤系。セメダインCと類似のチューブ色(黄色)、接着剤色(無色透明)だが成分は異なる。
スチロール樹脂製プラモデル用接着剤[24]。ポリスチレン樹脂溶剤系。「プラモデル用セメダイン(チューブ入り)」と商品名は類似しているが成分比率は異なる。
クロロプレンゴム系[28]のコンタクト式接着剤。1963年発売[C 1]:79。2005年時点ホームページ商品ページには不掲載[29]。
1960年発売[C 1]:79。 セメダインコンタクトと同じ用途[31]、同じ使用方法のコンタクト接着タイプの接着剤[32]。コンタクトとの違いは不記載。チューブは赤ラベル。2005年時点ホームページ商品ページには不掲載[29]。
1972年発売[C 1]:79。
資料年 | 2007頃 | 1972 |
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資料名 | 大学病院医療情報ネットワーク[33] | |
主成分 |
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印刷名 |
創業者となる今村善次郎は1910年代に自分で製造した家具用ワックスや靴墨、およびイギリス製の接着剤「メンダイン」(MENDINE)を販売していた[C 1]:15。メンダインは膠系(ニカワけい)のチューブ入り接着剤である[34]:712。
今村は輸入接着剤を模倣[C 1]:27したチューブ詰めの化学のりの自社開発を試み、大正11年(1923年)[C 1]:19に製造に成功した。この膠系接着剤[C 1]:33を「セメダイン」という商品名で販売するのだが、発売年について当社作成の社史である『セメダイン五十年史』は二説が錯綜している:
科学博物館は1923年説を採用せず、「昭和10年頃までに『セメダインA』などを販売」(=1935年頃)としている[C 4]:396。実際に1932年(昭和7年)までには販売されていた[36]。 いずれにせよ、少なくとも商品名表示としては"CEMEDINE"("A"の字なし)[35][37]と、"CEMEDINE A"("A"の字あり)[C 1]:36という別々の商品が存在する。
チューブ入り接着剤。別名:セメダインA号、セメダインA、A號、A号。 発売年は、『セメダイン五十年史』によれば1927-1931年[C 1]:27,29,202、科学博物館によれば1935年頃までに[C 4]:396。
セメダインAの成分は蛋白質系[38](蛋白質系とは、膠系、カゼイン系、アルブミン系、大豆タンパク質系などの総称[C 4]:369)。包装には「高級剤配合のコロイド状」[C 5]としか記載されていない。
後の工業用製品名No. 341はセメダインAと同等品[38]。
1931年に"CEMEDINE"の英文字をかたどったロゴマークを商標登録している。この商標登録の商品区分は「ニベ糊とカゼインとの合成糊」[39]に限定されていた。ニベ糊とは魚膠(うおニカワ。魚から作った膠)。しかし『セメダイン五十年史』には膠とカゼインを混合した接着剤製品の言及はない。 当社は「セメダイン」を登録商標0226905で取得したとしている[C 1]:203が、実際には英文字だけで、カタカナの「セメダイン」はない[39]。
『セメダイン五十年史』によれば、「セメダインA号」が耐水性に欠けるのを改善すべくミルクカゼイン系接着剤を開発[C 1]:28。「桜のり」、「セメダインA号」に続く第三の接着剤商品として発売した[C 1]:28とあるが、時期・商品名は不明([C 1]に記載なし)。
従来商品より耐水性、耐熱性、耐油性に優れたニトロセルロース系の接着剤である「セメダインC」を1938年に発売[C 1]:31。開発者は佐藤十三[C 1]:31。チューブ入り。模型、家庭修繕のほか、工業用としてプロペラ製造や自動車用途にも使えるとしている[40]。『セメダインC』は、第二次世界大戦前・戦中の模型航空教育、模型飛行機ブームに乗って需要が急増した[C 1]:51。学校工作用接着剤の配給対象にもなった[41]。
チューブ入り接着剤。1940年(昭和15年)[C 1]:46発売、つまりCEMEDINE Cよりも後。 『セメダイン五十年史』によれば、セメダインBは加硫ゴムをベースにしたゴム系[C 1]:46、工業用版は「セメテックスB」、開発者は羽生龍郎ら[C 1]:46。しかし後に、ミルクカゼイン系接着剤がセメダインB[C 2]かもしれないという異説が出ている。さらに別説として「B、C品はクレヤラッカーが主成分」[42]、つまりセメダインCと主成分は同じという書籍もある。
耐水、耐酸、耐震、絶縁性 が特長[C 6]。品種によっては耐加里、不凍性[C 7]もうたっている。用途で特徴的なのがゴム、金属、エボナイト、ベークライト等の接着[C 6]。これらの特徴は「セメテックスB」と共通である[C 1]:36。
セメダイン以外のブランドでも各種商品を販売した。
「桜のり」(デキストリン系糊[C 1]:27)は1927年に発売[C 1]:202。商品名は、
と、表記がまちまちである。
同時代の他社商品に、田丸化学工業製造の「サクラ糊」[43]という接着剤[40]や、六桜社製で小西六が販売した「さくら写真糊」[44]があってまぎらわしい。
1935年時点までに「河馬印 コロイドゴム糊」[35]、「河馬印 セロファン専用糊」[35]、「ホームセメダイン」(アラビアゴム糊)、接着剤以外も含めて十品目以上の商品があった[C 1]:30。マスコミ宣伝を重視し、会社規模の割には大きな広告宣伝費をかけてきた[C 1]:22。
戦時中には、軍需用途の接着剤需要増加と、模型飛行機ブームによるセメダインCの需要増加により、戦時中でありながら販売は好調だったが原料入手と社員の出征による減少に苦慮した[C 1]:54。今村は接着剤業界代表の一員となっていた[2]。
戦後はプラスチックモデル(プラモデル)用の接着剤(1962年発売[C 1]:79)も普及した。1963年頃の一般消費者向け主力はセメダインCと#セメダインコンタクト[C 1]:111だった。セメダインA号・B号は終戦後もしばらく販売されていた[45]ものの終了して久しいが、2020年にCEMEDINE Bの現物が再発見された[46]。
同社の全売上高のうち一般消費者向けは1963年時点で34%[C 1]:111、2020年3月期時点では17%である[47]。現在[いつ?]は、木工用、金属用、工業用の他に建築用にもシーラントなどの防水用接着剤やシリコーン系の接着剤など様々な接着剤を販売している。また、DIYショップなどが普及したため、同社が販売していたプロ用の接着剤も容易に入手できるようにもなった。
1967年頃から社会問題となったボンド遊び問題で「セメダイン」という品名も挙がった。当社製品のことなのか、単に一般名化した「有機溶剤系接着剤」のことなのか判然としないケースが多いが、当社の「セメダインコンタクト」と判明している事例もある[26]。
ボンド遊び問題に対しては行政が1973年に毒物及び劇物取締法改正(俗称「シンナー規制法」)、接着剤メーカ各社は接着剤成分変更するという対策がされた。セメダイン社も1975年頃までに成分変更を実施した[49]。
1987年にシリコーンシーリング材メーカー11社が独占禁止法違反の価格協定したとして、1988年に公正取引委員会から勧告審決を受けた[53]。
労務分野で「セメダイン事件」(2001年判決)と呼ばれている、労働組合関連の判例がある(労働組合法 § 定義)[54][55]。
2004年の労働安全衛生法改正により接着剤への石綿(アスベスト)含有率の規制値が厳しくなった(石綿重量比1%超の製品の製造禁止)が、翌年2005年に、接着剤メーカ複数社が法改正後も規制値を超える製品を製造していることが発覚した[56]。 セメダイン社は当初「1998年までに全製品で石綿の配合を全面廃止している」という主旨の説明をしていた[57] が、結局4品種(No 190、No 195、No 199、業務用コンクリメントA)が該当することが判明し、自主回収を行なった[58]。後に製品を改良対策した[59]。
2016年に、ビンが割れる危険性があるとして自主回収(リコール)を実施した[60][61]。 対象商品は「プラモデル用 30ml」ビン入りのうちの特定日製造分(キャラクター入りの特別品)。
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