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ハイブリッド

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ハイブリッド: hybrid英語発音: [ˈhaibrid])は、

概説

Oxford Dictionariesの説明でまず挙げられているのは「種や品種が異なる植物や動物から生まれた子孫。例えばラバのようなものである。そして2番目に挙げられている意味が「ふたつの要素を組み合わせて作られたひとつのもの」とある。広辞苑でも同様の説明で、1番目に「雑種」、2番目に「異種のものを組み合わせたもの」としている。

そもそものhybridの語源ラテン語の「hybrida ヒュブリダ」(=豚とイノシシから生まれた子孫)である。Oxford Dictionariesによると、17世紀初頭から英語のhybridが使われるようになり、例えば「自由人奴隷の間に生まれた子」を呼ぶような場合に使われはじめたという。

現在の日本語では音写した「ハイブリッド」で通用するが、和語漢字漢語)表現では「かけあわせ」、「交配」、「雑種」、「混血」、「まぜあわせ」、「混成」などとなる。

工学、技術の分野で、2種の要素を組み合わせた製品がさかんに作られている。

言語におけるハイブリッドには、異種の言葉の組み合わせ、というものがある。

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生物

前述の通り、イノブタを意味するヒュブリダを語源とするが、転じて広義の交雑種(Hybrid)または雑種を指し、生物学、生理学的な種内雑種から種間雑種まで広い範囲が含まれる。

種内雑種は稔性があり、ハイブリッドの語源となったイノブタアイガモのような家畜家禽などがある。エンドウの種内雑種に関するグレゴール・ヨハン・メンデルの論文はVersuche über Pflanzen-Hybriden(普通、『雑種植物の研究』と訳される)である。

種間雑種としては、自然界でも交雑が見られるモウセンゴケウマロバの交配によるラバハイブリッドイグアナレオポン細胞融合組織培養等のバイオテクノロジーによって作出されたポマトオレタチ等がある。個体の形成まで至らないが、細胞融合によって作出されたハイブリッドの細胞まで指す事がある。詳細は各項目参照。

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語彙

異なる言語の要素を組み合わせた語彙をハイブリッドと言う。たとえばtelevision(テレビジョン)という用語は、もともとギリシア語の「tele テレ」(離れて、離れた)と、ラテン語のvisio「見る」(を名詞形にしたvision)を組み合わせた言葉(造語)である[1]。英語の基礎語彙の「beautiful(フランス語“beauté”+英語接尾辞“-ful”)」もそうである。

英語などの例
  • automobile オートモービル(自動車) - ギリシャ語 auto (αυτό、「自分で」) + ラテン語 mobilis(「移動できる」)
  • chloroform クロロフォルム - ギリシア語 χλωρός (khlōros) 「暗い緑色」 + ラテン語 formica (この場合、formic acidを指していてつまりギ酸
  • genocide ジェノサイド - ギリシア語γένος (genos)ゲノス「人種、人々」+ ラテン語 cīdere シーデレ 「殺す」
  • heterosexual ヘテロセクシュアル(異性愛) - ギリシア語ἕτερος (heteros)「異なった」 + ラテン語 sexus「性」
  • hexadecimal ヘクサデシマル(十六進数) - ギリシア語ἕξ (hex)「六の」+ ラテン語 decimus 「十代の」
  • homosexual ホモセクシャル(同性愛)- ギリシア語 ὁμός (homos) 「同一の」 + ラテン語 sexus 「性」
  • metadata メタデータ - ギリシア語μετά (meta) + ラテン語 data (dare「与える」からの派生語「与えられたもの」)
  • Minneapolis ミネアポリス - ダコタ語 mini(mine)「水」+ πόλις (pólis) 「都市」 
  • sociologyソシオロジー(社会学) - ラテン語 socius 「社会」や「人の交流」 + ギリシア語λόγος (lógos) -logy
日本語におけるハイブリッドの例
  • 高層ビル - 「高層」という漢字表現(中国語寄りの表現) + 英語のbuildingのカタカナ表記「ビルディング」の短縮形(ちなみにハイブリッドしない表現は「高層建築」)
  • コーヒー牛乳 - 英語の「coffeeコーヒー」 + 日本語の「牛乳」(ちなみにハイブリッドしない表現は、「ミルクコーヒー」あるいは「カフェオレ」)
  • 写メ - 日本語の「写真」 + 英語の「mail メール
  • 自動車レース - 日本語の「自動車」 + 英語の「race レース(競走)」

科学技術、工業製品

要約
視点

電子工学、計算機工学、情報技術

放送技術

動力

交通機関の場合は、複数の動力源を組み合わせた場合に、ハイブリッドと呼称する場合が見られる。

このほか、船舶、飛行機などにおいて、実験段階ではあるが複数動力併用の可能性が模索されている。

二輪車では人力とのハイブリッドとして電動アシスト自転車モペッドが利用されている。

システム工学、環境、エネルギー

ハイブリッド発電の例。風車とソーラーパネルがセットになっている。

  • ハイブリッドイメージ (Hybrid image)
    2007年マサチューセッツ工科大学 (MIT) が発表した人間の視覚的錯覚をもとにした一つの画像が見る距離によって違った2通りに見える画像。全く違う2つの画像を、一つは輪郭のはっきりした画像とし、もう1つはぼかした画像とし、その2つの異なった画像を重ね合わせた画像をハイブリッドイメージと呼ぶ。これを見た場合に近距離では前者が、遠距離では後者が見えるもの[8]
  • コンバインドサイクル発電
    火力発電と蒸気発電(余剰蒸気の利用)を組み合わせたもの。火力発電の余熱でタービンを回し熱効率エネルギー効率が極めて高いので資源を無駄なく使える。
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金融

  • ハイブリッド証券 - 証券取引の分野では、社債と株式の中間的特性を備えた証をハイブリッド証券と呼ぶ。劣後債、永久債、優先出資証券、利益参加社債など。日本では金融機関が多数発行してきた。通常の株式発行に対し、一株あたり利益の希薄化や新株主による経営参加のリスクを防ぐことが出来るほか、通常の債権発行に対し財務の柔軟性を高めることが出来る。一般に通常の有利子負債よりも調達金利が高くなるとされる。

「ハイブリッド」を冠する固有の商品、サービス名、アルバム名など

製品名・サービス名

バンド名・名称・タイトル名

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日本のエレクトロニクス分野での使われ始めの経緯

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表面にオレンジ色エポキシ樹脂浸漬塗りし密封されたハイブリッド集積回路を立てて搭載した プリント基板。塗布された集積回路内の各種の構成部品が凹凸を呈しているのが判る。

英語のhybridを漢字表現に翻訳せずそのまま「ハイブリッド」とカタカナ表現にする形で使われ始めたのはかなり遅く、ようやく1960年から1970年代のハイブリッド計算機日本でも欧米を追い商品化された時代からで、一部の関係者はこの言葉を使った[9][10]。また1964年IBM が開発、販売した汎用コンピュータであるSystem/360の基本ハードウェアに「hybrid integrated circuit」も使われた(参照:System/360#基本ハードウェア部品)。当時流行したアマチュア無線機においては、真空管とトランジスターを併用した機種をハイブリッドと称した。

一方、コンピュータ分野とは別に1970年当初頃から混成集積回路(後のハイブリッド集積回路)が新たに作られ、これが電子部品として多数、また多くの分野で広く活用され始めたのは1980年代となってからであった。混成集積回路が新たに作られた時代にハイブリッド計算機は既に有り、米国では「hybrid integrated circuit」とも言われたが、日本ではハイブリッドとは呼ばず、初期には日本語の「混成」を冠した言い方が多かった[11][7]。その後は混成集積回路もまた他の分野でも次第にカタカナのハイブリッドを冠するものが現われ、言葉として広く定着してきた。

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脚注

関連項目

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