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北本線

タイの鉄道路線 ウィキペディアから

北本線
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北本線(きたほんせん、タイ語: ทางรถไฟสายเหนือ)は、タイ王国の鉄道でありフアランポーン駅バンコク)とチェンマイ駅間(751.42 km)を結ぶ鉄道路線の通称であり[注釈 2]北部線[1]、あるいは単に北線とも呼ばれる[2]。登記上の正式名称はクルンテープ=チェンマイ線という。

概要 北本線, 基本情報 ...
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当記事ではバーンダーラー分岐駅-サワンカローク駅間(28.83 km)の支線(バーンダーラー=サワンカローク線)も併せて述べる。

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概要

要約
視点

フアランポーン - クルンガオ(1917年アユタヤ駅へ改称[3])間が1897年3月26日に開業した[4][5]。それは同時に、タイにおける官営鉄道の始まりでもあった。

開業時、フアランポーン駅、クルンガオ(アユタヤ)駅に加え、中間駅としてバーンスー分岐駅ラックシー駅ラックホック駅、 クローンランシット駅、チアンラック駅チアンラックノーイ駅バーンパイン駅の7駅が開業した[5]。このうちクローンランシット駅は2020年に廃駅となったが、その付近にはランシット駅1994年に開業している。

東北線(フアランポーン - ナコーンラーチャシーマー)が完成後北線の工事が始まり北に向かい少しずつ延伸し、1922年1月1日にようやくチェンマイまで到達した[6]。(フアランポーン - チェンマイ間の営業開始は1933年4月11日

南半分の区間はチャオプラヤーデルタに通じるタイ中北部の広大な平野部を南北に貫き、車窓には一大穀倉地帯が続く。アユタヤロッブリーナコンサワンピッサヌロークといったタイ中北部の主要都市を通過するため、旅客・貨物ともに需要が多い。タイの行政上の区分ではピッサヌローク県以北がタイ北部とされているが、ウタラディット付近まではほぼ平坦な線形を辿る。一方、北半分の区間は急勾配が連続する山岳鉄道の様を呈する。ウタラディットより先はナーン川本流域からその支流であるヨム川流域、ピン川の支流であるワン川流域、そしてピン川本流域へと、急勾配で峠を越えながら主要河川と交わるように東西に結ぶ。

タイ中部から北部にかけて中核都市を結び、終点のチェンマイがタイ北部を代表する国際観光都市でもあることから、タイ国鉄では最も主要な幹線として位置づけられている。バンコク-チェンマイ間を結ぶ寝台特急「ウトラーウィティー号タイ語版[7] [注釈 3]をはじめ、複数の優等列車が運行している。また豪華ツアー列車のイースタン&オリエンタル・エクスプレスがタイ国内を走行する際はフアランポーン駅に乗り入れ、時にはチェンマイまで走行する姿がみられる。

他に特筆すべき列車として、2015年6月頃まで第13,14寝台特急列車が、西日本旅客鉄道(JR西日本)より譲渡された24系客車列車で運用されていた。現在では同列車は在来客車での運転となっているが、運用上の都合等により24系客車譲渡車が連結されることがしばしばある。なお、同客車は2023年現在は定期運用を持たず、臨時列車やタイ国鉄やタイ国政府観光庁が主催する団体ツアー列車等に使用される。

信号設備面をみても、非自動信号が主流を占めるタイ国鉄の中では近代化が進んでいる。詳細は後述。

複線化事業

2003年7月にバーンパーチー - ロッブリー間が複線化(厳密には単線2線並列化)されて以来、長らくロッブリー駅以北が単線のまま残存されてきたが、ピッサヌローク駅までの複線化が決定し、2016年末頃より第1期事業区間であるロッブリー - パークナムポー間が着工した。

2025年2月現在も、既存路線に並行する形で複線の対を成す新線建設が続いている。ただしロッブリー駅付近は重要な遺跡が多く拡張が困難なため、同市街を大きく迂回するバイパス線を設けることで解決した。バイパス線上には新駅が準備されており[8]、報道ではロッブリー2駅とも呼ばれている[9]。これら複線化事業は2022年に完成予定とされていたが[10]、諸々の理由により延期が相次いだ[注釈 4]。2025年に入り、同年半ばの開通を目指し、5月に試運転を行うと報じられた[9]。同年5月26日、コッククラーティアム - パークナムポー間の複線化の開通式が行われ、同月30日にダイヤ改正された[14]。なお在来のロッブリー駅は近郊列車が、同年12月に開業予定の新駅には長距離列車が停車する予定[9][14]

2022年5月11日、第2期事業区間 パークナムポー - デンチャイ間、延べ280.5 kmの複線化事業について環境アセスメントが承認された[15]

北部新線計画

デンチャイより分岐し、チェンライを経てラオス国境のチエンコーンに至る支線建設が進められている。総延長323 km、総工期6年間[16][17]

西部新線計画

ナコーンサワンより分岐し、ミャンマーと接するターク県へ向かうターク=メーソート支線(仮称)が計画中である。ターク方面への鉄道建設は19世紀の鉄道黎明期より既に構想され、20世紀中にもスパンブリー支線を延長する形で検討されたものの放棄された[18][19][20]。21世紀に入り、ナコーンサワンを起点とする現在の計画が具体化し[21][22]、2022年現在、住民との公聴会が重ねられている段階である[23]

ターミナル駅移転

2021年、並行する電化新線ダークレッドラインバーンスー中央(当時) - ランシット間で開業したことに伴い、当線の長距離列車は基本的に同年12月23日より同線経由で運転されると同時に、フアランポーン駅乗り入れも停止となりバーンスー駅発着に切り替わる計画が公表されていた[24]。しかし諸事情により計画は遅れ[25]、2023年1月19日に長距離優等列車を中心にフアランポーン駅発着列車の大半がクルンテープ・アピワット中央駅発着に変更され、ダークレッドラインと同じ新線を走行するようになった。改正後も一部列車はフワランポーン駅発着で残されている(後述)。

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路線データ

開業の歴史

(アユタヤ駅は1917年までクルンガオ駅と称した[5][3]

複線化の歴史

区間

要約
視点

フアランポーン駅 - チェンマイ駅

ランシット駅 - バーンパーチー分岐駅が3線であり、バーンパーチー分岐駅 - ロッブリー駅複線(2線)であるが[26]、実態はそれぞれ単線が3線、単線が2線並べられた三単線、双単線という表現が適当である。つまりそれぞれの線が独自に上り方面下り方面の列車を走らせることが可能となっている[注釈 5]

2020年頃、貨物輸送能力の強化を目的として、東北本線ケンコーイ駅方面と、当線のバーンパーチー以北を方向転換せずに直通運転可能とするデルタ線(三角線)が設置された。デルタ線および東本線バイパス線の複線化完成により、北本線方面よりケンコーイを経由し、バンコク湾沿岸の一大物流拠点であるレムチャバン港に至る複線貨物輸送ルートが確立した。なお、同デルタ線および東本線バイパス線を経由する定期旅客列車は設定されていない(2024年現在)。

冒頭で述べたように、バンコク都内で本線に隣接する電化新線ダークレッドライン開業ののち、旅客列車はランシット(厳密には旧ラックホック駅付近の接続地点)以南において同高架線経由に切り替えられた。新線区間は大部分が高架化され、複々線を利用した緩急分離運転が開始[注釈 6]。また、定期運転の長距離優等列車はバーンスー分岐駅構内の新線上に設置された高架新駅であるクルンテープ・アピワット中央駅発着に改められている。

その一方で、比較的短距離を走行する普通列車はフアランポーン駅発着を継続している。フアランポーン出発後、列車は複線の地上在来線を北上するが、クルンテープ・アピワットまでの区間には在来線から新線へ移る分岐点がなく[注釈 7]、従来の地上駅(バーンスー分岐駅当時の南本線専用ホーム)に入線する。これは東北本線南本線の列車も同様である。
  • 下表の駅等級は2025年版の資料に従う[27]。他区間も同様。
さらに見る 駅 名, 英語駅名 ...

バーンダーラー分岐駅 - サワンカローク駅

Covid-19蔓延予防処置により支線内の長期運休が続いていたが、2023年7月の運転再開後、サワンカローク - (バーンダーラー分岐駅) - シラアット間の普通列車1往復のみ運行中[30]。2025年2月 現在、下記のような優等列車は時刻表に掲載されていない。

ただし、同区間は2025年2月現在、2024年8月の水害により長期運休となっている[31][32]

過去の運行

長期運休直前において、この支線区間にはバンコク(フアランポーン) - シラアット間を結ぶ特殊な運行形態の昼行特急1往復のみが走行していた。 下り列車である第3特急のみが寄り道する形で支線に入線し、分岐駅のバーンダーラーには2回停車。そのため、当列車でバーンダーラーより先(北)に行く乗客は、支線を往復する分だけ乗車時間が増える。その一方、上り第4列車は支線に入線しない。よって、支線内からバンコク方面への利用には必ず乗り換えを要した。

下り経路: フアランポーン駅→バーンダーラー分岐駅(方向転換)→サワンカローク駅(方向転換)→バーンダーラー分岐駅→シラアット駅(終点)
上り経路: シラアット駅→バーンダーラー分岐駅→フアランポーン駅(終点)
さらに以前には早朝サワンカローク発ピッサヌローク行き、および夕方ピッサヌローク発サワンカローク行きの普通列車も設定されていたが、2007年頃に廃止された。この普通列車廃止に伴い、サワンカローク支線内のクローンラムーン、ワットクローンプ、クローンヤーン、ノーンリエンの4つの停車場が廃止されており、2025年現在、支線内の途中駅はクローンマップラップ駅のみである。
さらに見る 駅 名, 英語駅名 ...
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信号・閉塞方式

フアランポーン - ピッサヌローク間(389.28km)はタイ国鉄の最長連続自動閉塞(CTC)区間であるほか、これに続くピッサヌローク - シラアット間も通票閉塞式よりも技術上精度の高い連査閉塞式が取り入れられている。(2019年11月現在)また、当線の非自動閉塞区間においては全ての交換可能駅が信号取扱駅となっており、信号設備のない閉塞境界型の駅は当線には存在しない。(サワンカローク支線を除く)

  • フアランポーン - ランシット駅間;自動信号(CTC) 2線並列
    • フアランポーン駅構内の信号は全て手動で管理されており、同駅構内北端に位置する国鉄本庁前信号所が構内とCTC区間との境界となっている。そのためフアランポーン駅を発車する半数程度の列車は、同駅プラットホームを発車したのち、CTC区間の始点である同信号所で一旦停止し、CTC区間に乗り入れるための交信と信号待ちを行う。また、国政選挙、国際会議、王室行事等が開催される期間に、深南部の分離独立を要求するイスラム教系過激派によるテロ活動への警戒として、特に南本線の列車を対象に同信号所で鉄道警察による列車内の検問が行われる場合がある。
  • ランシット - バーンパーチー分岐駅間;自動信号(CTC) 3線並列
  • バーンパーチー分岐駅 - ロッブリー間;自動信号(CTC) 2線並列
    • 上記区間は、厳密には複線区間ではなく、あくまで単線2線ないし3線並列という扱いである。そのため各線に上下両方向向きにCTC信号機が設置されている。
  • ロッブリー - ピッサヌローク間;自動信号(CTC) 単線
  • バーンダーラー分岐駅 - サワンカローク間;非自動閉塞(通票閉塞方式)
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主な事件、事故

  • 2012年5月26日 - 午後6時半ごろ、チェンマイからバンコクに向っていた回送列車が、タイ北部ランプーン県内で機関車(4109)を含む7両が脱線。回送列車だったため、乗客はおらず乗務員にも負傷者は出なかった[33]

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

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