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大同江ビール
朝鮮のビール ウィキペディアから
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大同江ビール(テドンガンビール、大同江麦酒、대동강맥주)は、朝鮮半島のビール。北側(朝鮮民主主義人民共和国)だけでなく南側(大韓民国)でも愛飲されていた[1]が、2010年の5.24制裁措置によって輸出が中止された[2]。朝鮮半島北部最大級の川である大同江が流れる平壌市に、大同江ビールの工場がある。大同江ビールは、平壌市に200店舗(2005年)ある「大同江ビアホール」(大同江ビール工場直営)に置いている他、平壌高麗ホテル[3]、玉流館、ソウル市の飲食店[4]などに置いている。市民に上質のビールをという、金正日総書記の思い入れがある、別名「『アツい』ビール」[5]。
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概要
要約
視点
工場設備買収
2000年、イギリスのアッシャーズビール工場(en:Ushers of Trowbridge)は、不採算性を理由としてオーナーにより閉鎖され、設備がマーケットに売り出されていた。一方で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、金正日総書記の意向により、買収可能なビール工場の設備をドイツのエージェントに相談。 エージェントはアッシャーズビール工場のオーナーに話を持ちかけた。同年、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)はアッシャーズビール工場の設備を買収。[6]工場建設には、資金管理をしている張成沢第1副部長の指示があった[7]。


工場建設
2001年1月15日、平壌市の寺洞区域(사동구역 サドン=グヨク en:Sadong-guyŏk)で、大同江ビール工場着工[8]。
2001年3月、朝鮮中央放送は、大同江ビール工場の建設が順調と報道[9]。
2001年7月、洪成南(홍성남 ホン・ソンナム en:Hong Song-nam)総理参加の平壌市民大会(於: 金日成広場)で、翌年の金日成主席生誕90周年を迎えるにあたり、大同江ビール工場建設に力を入れる呼びかけがあった[10]。
2001年8月、金正日総書記は、ロシア最大手のビール会社のバルチカ(バルティカ)ビール社(ru:ОАО ≪Пивоваренная компания Балтика≫; en:≪Baltika Breweries≫)の工場を視察。それを端緒に、大同江ビール工場の技術者たちは、バルチカビール社と2度の技術交流を持った[11]。
2001年10月、大同江ビール工場建設が最終段階に入り、それに伴い平壌市内に約200店舗の飲料店開設を予定する[12]。
生産開始
2002年4月、大同江ビール工場は本格的生産を開始、設備はオーストラリア製[13]。醸造所は、イギリスから移築したアッシャーズビール工場[14]。国内産の麦から麦芽を作る設備は施工中で、暫定的にオーストラリア産の麦芽を輸入[15]。
金正日総書記による大同江ビール工場視察後
2002年6月、金正日総書記が大同江ビール工場を視察、朝鮮式ビール生産の先進技術導入を指示[16]、金正日総書記の指導を受けた大同江ビール工場の副技師長は、青島ビール(中国)、ドイツ、イギリス、スウェーデンなどに研修に行く[1]。同月、平壌市内を中心として数百カ所のビアホールがオープンしており、大同江ビール工場が生ビールを供給[17]。
2004年4月、ドイツ製の最先端コンピューター醸造システムの使用が明らかに。ビール醸造の技術者は、全職員が国際基準の品質への努力をしていると話す。[18]
2005年3月、平壌で大同江ビールの直営店「大同江ビアホール」約150店舗が運営され、平日は15時から19時、日曜日は12時から営業し、勤労者や市民達で混雑している[19]。同月、テレビ朝日が入手した映像によると、大同江ビール工場のビールサーバーは日本製を使用(中身は大同江ビール)[20]。
2005年9月、METI所管法人ERINAによる市場での価格交渉では、大同江ビールの原麦汁濃度11°のボトルは850から950ウォン(2004年8月は660ウォン)。ただし、平壌の市民間での価格とは違う可能性があるという。[21]
2005年10月、オープンから3年が経った大同江ビール工場と、200店舗の直営店が、既に運営されている。工場は敷地10万ha、建坪2万ha。設備はオートメーション化されている。アルコール度数5.6%の生ビールの年産は7万kl(1時間に1万本、1日に8万本)。直営店「大同江ビアホール」では生ビール1Lで50ウォン。ホップの原料は両江道、麦は両江道と黄海道のものを使用。[1]
2008年3月、大同江ビール工場は、品質向上のために著名ビールと比較、分析し、よりよいビール造りに努めている。鮮度保持のために生産ラインは24時間体制である。同時節、金日成主席生誕祝いの「太陽節(ko:태양절)」に向けての「大同江黒ビール」(黒生ビール)生産に注力。「大同江黒ビール」は、国民的祝日だけの限定生産で、前年(2007年)の生産は1回のみ。[5]
2008年5月、アメリカ合衆国・ニューヨークの、「平壌焼酎(평양소주 Pyongyang Soju)」のアメリカへの輸入を手がけている「米州朝鮮平壌貿易会社(KPT USA)」(アメリカでの販売は「タンス・リカー(Tang's Liquor Wholesale)」による)は大同江ビールの輸入推進を明言した[22]。
2008年11月、ソウルで開催されたソウル国際食品産業展「FOOD WEEK 2008」で、北側(朝鮮民主主義人民共和国)の民族経済協力連合会は、大同江ビールを出品した[23]。
2009年7月、以前に大同江ビール工場建設の進捗状況を報道した朝鮮中央放送により、白米を原料に使用[脚注 1]しているとして大同江ビールの本格的なTVコマーシャルが放送されている。朝鮮中央放送は、7月2日20時のニュース後に大同江ビールのコマーシャル[24]を放送した。簡単な静止画によるコマーシャルでない、動画のコマーシャル放送は異例で、初の試みという[25]。7月2日以降も大同江ビールのTVコマーシャルを断続的に放送している[26]。同時期の大同江ビールの相場は、平壌のホテルで外国人向け販売価格が1本約1.5ドル[14]。
2009年8月、大同江ビールに始まった各TVコマーシャル(他に、高麗人参、ヘアピン、玉流館のウズラ料理)は中止され、大同江ビールは7月の初放送以来、計3回の放送で中止している[27]。
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味覚および風味のデータ
- 朝鮮新報は、少しツーンとするホップが、「南側(大韓民国)ではとても受けている」(大同江ビール工場の副技師長の話)とし、また、「アサヒスーパードライなどにも遜色ない味に向上」(同副技師長)していると報じている[1]。
- 韓国食文化研究所の所長は、十分なボリュームの泡立ちがある、少し強いホップがはっきり出ていて、好みである、と叙述している[3]。
- 公益財団法人環日本海経済研究所(ERINA)は、味に特色があって楽しめると報告している[28]。
- ロイター通信は、「非常に優れた味」という品評をしている[29]。
- FNNクアラルンプール支局は、「けっこうコクがあってなかなかの味。日本人好みかも」と分析している[4]。
- 藤本健二は、金正日総書記が後味のすっきりしない感じを気にしていたことをFNNの取材で回想している[30]。
- 2009年、朝鮮中央放送は「クリアですっきりした味」と、TVコマーシャルの中でPRしている[31]。
- 新発売(2003年当時)の大同江黒ビールに関して、「あっさりして飲みやすかった」と、日本在住の朝鮮大学校学部生による祖国朝鮮民主主義人民共和国(北側)滞在時の体験談として、朝鮮新報の紹介がある[32]。
- 朝鮮新報が独自にミックスした大同江ビール(生)と大同江黒ビール(黒生)の「ハーフ&ハーフ」に関して、同紙は平壌の景観を例に、青空を想起するさわやかさでいっぱいと表現している[1]。
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商品構成
![]() | この節は更新が必要とされています。 (2024年4月) |
- 大同江ビールは、アルコール度数の違う複数の商品がある。
- 3.5% - 『ネナラ』ニュース調べ
- 4% - 『ネナラ』ニュース調べ
- 5% - 『ネナラ』ニュース調べ
- 5.6% - 朝鮮新報調べ
- 黒ビール(흑맥주) - ハングルは朝鮮中央通信による表記[33]
- ※ 限定生産。
- 白米ビール(흰쌀맥주) - ハングルは朝鮮中央通信による表記[33]
- ※ 2009年、朝鮮中央放送により、白米の使用がテレビで宣伝された。
販売商品
大同江ビールは7種類あると言われる[34]。
- 大同江ビール①
- 原材料:大麦麦芽(100%)、ホップ
- アルコール分:4%
- 大同江ビール②
- 原材料:大麦麦芽、米(30%)、ホップ
- アルコール分:4.5%
- 「大同江ビール」と言ったら②のことを指すことが多い。真贋のほどは定かではないが、北朝鮮以外でも販売されている[35]。なお、日本への輸入は外為法で禁止されるため、密輸された本品はインターネットオークションなどで「幻のビール」として高値で取引されている[36]。
- ③以下のものは旅行者向けの売店では販売されていない。およそ北朝鮮国籍若しくは永住権を取得しないと味わえない、よりプレミアムなものになる。
- 大同江ビール③ (麦芽50%、米50%)
- 大同江ビール④ (麦芽30%、米70%)
- 大同江ビール⑤ (米100%)
- 大同江ビール⑥ 黒ビール、コーヒーのような味。
- 大同江ビール⑦ 黒ビール、チョコレートのような味。
- 大同江ビール、2019年9月撮影
- 大同江ビール
- 大同江ビール
- 大同江ビール
大同江ビール祭り
2016年8月、大同江ビール工場による第1回ビールフェスティバルが平壌市内で開催。約1カ月間で平壌市民や外国人観光客など約45,000人が訪れたと伝えられている。2017年も、旅行社などを通じて7月28日からビール祭りが開催されることがアナウンスされていたが、直前になって中止された[37]。
関連項目
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脚注
- コメのビールに関して
- 北側(朝鮮民主主義人民共和国)の龍城ビール(リョンソンビール)も白米を使用している。
- 南側(大韓民国)では「米ビール(コメビール)」を開発しており、2007年、国税庁技術研究所が開発した「米ビール」を、中央日報は報道した[ext]。
※ アメリカのビールも「米ビール(ベイビール)」と表現されるが、意味が異なる。 - スイスではCOOPが「FINE FOOD」シリーズとしてBIRRA DI RISO TICINESE(イタリア語。読み方はビーラ・ディ・リーゾ・ティチネーゼ。直訳すると「コメのビール、ティチーノの」)というコメのビールを販売している。
- イタリアではRISO SCOTTI S.p.A.(リーゾ・スコッティ株式会社)がBIRRA AL RISO(ビーラ・アル・リーゾ。直訳は「コメによるビール」)を特別品として生産している。
- 台湾では台湾菸酒公司が蓬萊米を使った台湾ビールを作っている。
- 日本では
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参考文献
外部リンク
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