2013年世界陸上競技選手権大会・男子100m

2013年世界陸上競技選手権大会・男子100m（2013ねんせかいりくじょうきょうぎせんしゅけんたいかい・だんし100メートル）は、2013年世界陸上競技選手権大会の種目の一つ。2013年8月10日から8月11日までロシア・モスクワのルジニキ・スタジアムで行われた。

2013年世界陸上競技選手権大会 男子100m
会場	ルジニキ・スタジアム
開催日	8月10日 – 11日
参加選手数	56か国 74人
スコア	9秒77
メダリスト
ウサイン・ボルト   ジャマイカ   ジャスティン・ガトリン   アメリカ合衆国   ネスタ・カーター   ジャマイカ
« 2011 大邱	2015 北京 »

公式映像

2つの国家記録が今大会で誕生した。中国代表の張培萌は、予選で自身の持つ中国記録と同タイムを出し、準決勝では10秒00の中国新記録をマークしたが、同タイムのクリストフ・ルメートルに着差ありで敗れ5着となり、決勝進出を阻まれた。ジャマイカ代表の4選手は全員決勝へ進出した^[1]。日本勢は桐生祥秀と山縣亮太が予選に出場したが、それぞれの組で4位となり、準決勝進出はならなかった^[2]。

超人的な活躍を見せるウサイン・ボルトの戦績は好ましいものであった。前回の覇者ヨハン・ブレークが故障で出場しない中、ジャスティン・ガトリンがボルトに最も近いライバルとなった。 ガトリンは2013年シーズンの序盤でボルトに勝利していた。決勝は暴風雨の中行われた。ガトリンが1番に飛び出したが、ボルトとは1mほどしか離れておらず、次第に距離を縮められ、追い抜かれた。ボルトが勝利を手にした瞬間、空には稲妻が走り、それを捉えた写真が注目を浴びた^[3]。ネスタ・カーターは2人に続いて3着でゴールした^[4]。こうした悪条件下で、決勝よりも条件の良かった準決勝での記録より良いタイムを出したのは、ボルトらメダリストだけであった^[5]。

今大会まで、ロシアの陸上競技場で記録された100mの最速記録は10秒03であった^[6]が、予選で3選手がこの記録を破った。まず1組のケマー・ベイリー＝コールが10秒02で記録を達成すると、10分もたたぬ間に3組のガトリンが9秒99を記録し、15分後には6組のマイク・ロジャースが9秒98でゴールした。ガトリンは準決勝1組で9秒94をマークし再びロシアでの記録を塗り替え、2組のニッケル・アシュミードが9秒90を出して更に更新した^[7]。最終的にはボルトが9秒77で優勝し、記録に名を残した。

記録

大会前の記録は次の通りである^[8]

世界記録	ウサイン・ボルト (JAM)	9.58	ドイツベルリン	2009年8月16日
大会記録
今季最高記録	タイソン・ゲイ (USA)	9.75	アメリカ合衆国デモイン	2013年6月21日
アフリカ記録	オルソジ・ファスバ (NGR)	9.85	カタールドーハ	2006年5月12日
アジア記録	サミュエル・フランシス (QAT)	9.99	ヨルダンアンマン	2007年7月26日
北中米・カリブ海記録	ウサイン・ボルト (JAM)	9.58	ドイツベルリン	2009年8月16日
南アメリカ記録	ロブソン・ダ・シルバ (BRA)	10.00A	メキシコメキシコシティ	1988年7月22日
ヨーロッパ記録	フランシス・オビクウェル (POR)	9.86	ギリシャアテネ	2004年8月22日
オセアニア記録	パトリック・ジョンソン (AUS)	9.93	日本 水戸	2003年5月5日

参加標準記録

A [9]	B
10.15	10.21

日程

日	時	ラウンド
2013年8月10日	10:10	予備予選
	20:15	予選
2013年8月11日	19:05	準決勝
	21:50	決勝

すべてモスクワ時間（UTC+4、JST-5）

結果

予備予選

通過条件：各組上位2着（Q）+記録上位3着（q）^[10][11]

風速：1組=-0.4 m/s、2組=+0.3 m/s、3組=-0.5 m/s、4組=-0.4 m/s

順位	組	レーン	選手	国籍	記録	備考
1	3	2	バラカト・アル＝ハルティ	オマーン	10.47	Q
2	2	2	Aleksandr Brednev	ロシア	10.49	Q
3	1	5	ダニエル・ベイリー	アンティグア・バーブーダ	10.51	Q
4	2	8	Innocent Bologo	ブルキナファソ	10.51	Q
5	4	2	江利龍（英語版）	シンガポール	10.52	Q, PB
6	3	3	Ratu Banuve Tabakaucoro	フィジー	10.53	Q, SB
7	3	5	イドリッサ・アダム	カメルーン	10.56	q
8	1	6	ホルダー・ダ・シルバ	ギニアビサウ	10.59	Q
9	4	7	Shernyl Burns	モントセラト	10.63	Q
10	4	9	Ifrish Alberg	スリナム	10.70	q
11	2	4	Sapwaturrahman Sapwaturrahman	インドネシア	10.75	q, SB
12	4	3	Devilert Arsene Kimbembe	コンゴ共和国	10.77	SB
13	2	6	Kieron Rogers	アンギラ	10.80
14	4	4	Mohammed Abukhousa	パレスチナ	10.87	NR
15	4	5	Denielsan Martins	カーボベルデ	10.92	NR
16	4	6	Siueni Filimone	トンガ	10.93
17	1	2	Riste Pandev	北マケドニア	10.97
18	3	6	Hugues Tshiyinga Mafo	コンゴ民主共和国	11.11	PB
19	1	7	Faresa Kapisi	アメリカ領サモア	11.21	PB
20	3	8	Masbah Ahmmed	バングラデシュ	11.23
21	1	8	Mikel de Sa	アンドラ	11.24	SB
22	3	7	Michael Alicto	グアム	11.39	PB
23	1	4	Daniel Philimon	バヌアツ	11.53	PB
24	3	4	オキラニ・ティニラウ	ツバル	11.57	SB
25	2	3	Jesus T. Iguel	北マリアナ諸島	11.65	PB
26	2	9	ロマン・クレス	マーシャル諸島	11.65	SB
27	4	8	Masoud Azizi	アフガニスタン	11.78
28	1	3	Christopher Lima da Costa	サントメ・プリンシペ	11.79	SB
29	2	5	Gauthier Okawe	ガボン	11.83	PB
30	2	7	McCaffrey Gilmete	ミクロネシア連邦	11.86	PB

WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高（当該シーズン中）

| Q 順位による通過| q 記録による通過| DNS 棄権| DNF 途中棄権| DSQ・DNQ 失格| FS フライング

予選

ウサイン・ボルトの出場した予選7組

通過条件：各組上位3着（Q）+記録上位3着（q）^[12]

風速：1組=−0.2 m/s、2組=−0.4 m/s、3組=−0.3 m/s、4組=−0.2 m/s、5組=−0.1 m/s、6組=−0.1 m/s、7組=−0.4 m/s

順位	組	選手	国籍	記録	備考
1	6	マイク・ロジャース	アメリカ合衆国	9.98	Q
2	3	ジャスティン・ガトリン	アメリカ合衆国	9.99	Q
3	3	キーストン・ブレドマン	トリニダード・トバゴ	10.02	Q
3	1	ケマー・ベイリー＝コール	ジャマイカ	10.02	Q
5	4	張培萌	中国	10.04	Q, NR
6	5	ジミー・ヴィコ	フランス	10.06	Q
7	7	ウサイン・ボルト	ジャマイカ	10.07	Q
8	2	ネスタ・カーター	ジャマイカ	10.11	Q
9	6	ニッケル・アシュミード	ジャマイカ	10.12	Q
9	1	クリストフ・ルメートル	フランス	10.12	Q
11	3	ドウェイン・チェンバース	イギリス	10.14	Q
11	4	リチャード・トンプソン	トリニダード・トバゴ	10.14	Q
13	5	アーロン・ブラウン	カナダ	10.15	Q
14	6	ハリー・アイキネス＝アリエティ	イギリス	10.16	Q
14	6	蘇炳添	中国	10.16	q
16	7	アナソ・ジョボドワナ	南アフリカ共和国	10.17	Q
16	2	チュランディ・マルティナ	オランダ	10.17	Q
18	3	アントワーヌ・アダムス	セントクリストファー・ネイビス	10.18	q
19	7	ラモン・ギテンス	バルバドス	10.19	Q
19	4	ジェイソン・ロジャーズ	セントクリストファー・ネイビス	10.19	Q
21	4	ジェームズ・ダサオル	イギリス	10.20	q
22	5	サミュエル・フランシス	カタール	10.21	Q
22	3	サム・エファ（英語版）	カナダ	10.21
22	7	山縣亮太	日本	10.21
25	5	アンヘル・ダビド・ロドリゲス	スペイン	10.23
26	7	ロンデル・ソリロ	トリニダード・トバゴ	10.25
27	6	オゴ＝オゲネ・エグウェロ	ナイジェリア	10.26
28	4	ユリアン・ロイス	ドイツ	10.27
29	1	ガブリエル・ムブムブレ	ジンバブエ	10.28	Q
30	4	デニス・ディミトロフ（Denis Dimitrov）	ブルガリア	10.29
31	1	アダム・ハリス（英語版）	ガイアナ	10.30
31	2	ガヴィン・スメリー（英語版）	カナダ	10.30	Q
33	2	桐生祥秀	日本	10.31
34	1	マルティン・ケラー	ドイツ	10.32
35	5	チャールズ・シルモン	アメリカ合衆国	10.34
36	3	Shavez Hart	バハマ	10.36
37	2	Andrew Hinds	バルバドス	10.38
37	3	アカニ・シンビネ	南アフリカ共和国	10.38
39	7	ウア・ウィルフリード・コッフィ	コートジボワール	10.40
40	6	ダニエル・ベイリー	アンティグア・バーブーダ	10.45
41	5	レザ・ガセミ	イラン	10.46
41	1	スワイボウ・サネ	ガンビア	10.46
41	2	Adam Zavacký	スロバキア	10.46
44	2	アレックス・キニョネス	エクアドル	10.50
45	5	Aleksandr Brednev	ロシア	10.52
46	4	バラカト・アル＝ハルティ	オマーン	10.53
46	6	Ratu Banuve Tabakaucoro	フィジー	10.53
48	1	Innocent Bologo	ブルキナファソ	10.57
48	6	ハッサン・タフティアン	イラン	10.57
50	1	江利龙（英語版）	シンガポール	10.66
51	4	Shernyl Burns	モントセラト	10.69
52	3	イドリッサ・アダム	カメルーン	10.70
52	5	ホルダー・ダ・シルバ	ギニアビサウ	10.70
54	7	Sapwaturrahman Sapwaturrahman	インドネシア	10.89
55	2	Ifrish Alberg	スリナム	99.98 DNF
56	7	ケマー・ハイマン	ケイマン諸島	99.99 DSQ	FS

WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高（当該シーズン中）

| Q 順位による通過| q 記録による通過| DNS 棄権| DNF 途中棄権| DSQ・DNQ 失格| FS フライング

準決勝

通過条件：各組上位2着（Q）+記録上位2着（q）^[13]。

風速：
1組=-0.2 m/s、2組=+0.4 m/s、3組=+0.1 m/s

順位	組	レーン	選手	国籍	記録	備考
1	2	6	ニッケル・アシュミード	ジャマイカ	9.90	Q, PB
2	3	5	ウサイン・ボルト	ジャマイカ	9.92	Q
3	2	4	ケマー・ベイリー＝コール	ジャマイカ	9.93	Q, PB
4	3	4	マイク・ロジャース	アメリカ合衆国	9.93	Q, SB
5	1	4	ジャスティン・ガトリン	アメリカ合衆国	9.94	Q
6	1	5	ネスタ・カーター	ジャマイカ	9.97	Q
7	2	3	ジェームズ・ダサオル	イギリス	9.97	q
8	2	7	クリストフ・ルメートル	フランス	10.00	q
9	2	5	張培萌	中国	10.00	NR
10	1	7	ジミー・ヴィコ	フランス	10.01
11	3	7	キーストン・ブレドマン	トリニダード・トバゴ	10.08
12	3	9	チュランディ・マルティナ	オランダ	10.09
13	3	6	アーロン・ブラウン	カナダ	10.15
14	2	9	ドウェイン・チェンバース	イギリス	10.15
15	2	8	ジェイソン・ロジャーズ	セントクリストファー・ネイビス	10.15
16	3	3	アントワーヌ・アダムス	セントクリストファー・ネイビス	10.17
17	1	8	アナソ・ジョボドワナ	南アフリカ共和国	10.17
18	1	6	リチャード・トンプソン	トリニダード・トバゴ	10.19
19	1	3	ガブリエル・ムブムブレ	ジンバブエ	10.21
20	2	2	ガヴィン・スメリー	カナダ	10.30
21	3	8	ラモン・ギテンス	バルバドス	10.31
22	1	9	ハリー・アイキネス＝アリエティ	イギリス	10.34
23	1	2	蘇炳添	中国	99.98 DSQ
24	3	2	サミュエル・フランシス	カタール	99.99 DNS

決勝

風速：-0.3 m/s^[14]

順位	レーン	選手	国籍	記録	備考
1	6	ウサイン・ボルト	ジャマイカ	9.77	SB
2	5	ジャスティン・ガトリン	アメリカ合衆国	9.85	SB
3	8	ネスタ・カーター	ジャマイカ	9.95
4	7	ケマー・ベイリー＝コール	ジャマイカ	9.98
5	4	ニッケル・アシュミード	ジャマイカ	9.98
6	9	マイク・ロジャース	アメリカ合衆国	10.04
7	3	クリストフ・ルメートル	フランス	10.06
8	2	ジェームズ・ダサオル	イギリス	10.21