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LMNA

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LMNA
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LMNAは、ヒトではLMNA遺伝子にコードされるタンパク質である。ラミンA/Cとしても知られ[5][6][7]、ラミンAやラミンCはこのLMNA遺伝子から発現する。ラミンA/Cはラミンファミリーに属する。

概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
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機能

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正常細胞でのラミンAの生合成と、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群の患者でみられる成熟ラミンAの形成不全。

核ラミナ核膜の内膜に隣接して存在する、タンパク質による2次元マトリックスである。このマトリックスを構成しているのがラミンファミリーのタンパク質であり、これらのタンパク質は進化の過程で高度に保存されている。有糸分裂の間、ラミンタンパク質がリン酸化されることで、ラミナのマトリックスは可逆的な解体が行われ、核膜は解体される。ラミンタンパク質はの安定性、クロマチン構造や遺伝子発現に関与していると考えられている。脊椎動物のラミンはAとBという2つのタイプからなる。LMNA遺伝子は選択的スプライシングが行われ、複数のA型ラミンのアイソフォームがコードされている[8]

有糸分裂の初期には、核ラミンは特定のセリン残基がリン酸化され、ラミン中間径フィラメントの脱重合が引き起こされる。リン酸化されたラミンB二量体がイソプレニル基を介して核膜に結合したままであるのに対し、ラミンAはイソプレニル基によって核膜へ標的化されるものの、膜に到着した後に切断が行われ、膜への結合は自身やLAP1など他の膜結合タンパク質とのタンパク質間相互作用を介したものであると考えられる[9]

ラミンAはファルネシル化や2段階のタンパク質分解などによるプロセシングが行われるが、ZMPSTE24英語版が欠乏している場合、ラミンのプロセシングの最終段階であるファルネシル化フラグメントの切除が起こらず、そのためファルネシル化プレラミンAが蓄積する。ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群では、プレラミンAに50アミノ酸(アミノ酸607–656番残基)の欠失が生じており、2度目のタンパク質分解による切断部位が除去されている。そのため、成熟したラミンAは形成されず、ファルネシル化変異型プレラミンA(プロジェリン)が細胞内に蓄積する[10]

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臨床的意義

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野生型(左)と変異型(右)のラミンAのIgフォールド。PDB: 1IFR。通常アルギニン527番残基(青)はグルタミン酸537番残基(マゼンタ)と塩橋を形成しているが、R527L置換によってこの相互作用は破壊される(ロイシンは短すぎでグルタミン酸まで到達できない)。表面モデル(上)とリボン図(下)表示[11]

LMNA遺伝子の変異は、エメリー・ドレフュス型筋ジストロフィー家族性部分型リポジストロフィー英語版肢帯型筋ジストロフィー英語版拡張型心筋症英語版シャルコー・マリー・トゥース病拘束性皮膚障害英語版を含む、いくつかの疾患と関係している。切り詰められた形のラミンA変異体は一般にプロジェリンとして知られ、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群を引き起こす[12][13]。これまでに多数のSNPが知られている[14]。これらによって、mRNAスプライシング、またはタンパク質のレベル(Arg471Cys[15]、Arg482Gln[16]、Arg527Leu[17]、Arg527Cys[18]、Ala529Val[19]など)で変化が生じる。

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DNA損傷

DNAの二本鎖損傷は、相同組換え(HR)または非相同末端結合(NHEJ)のいずれかの過程で修復される。LMNAはHRとNHEJに重要な役割を果たすタンパク質のレベルを維持することで、遺伝的安定性を促進する[20][21]。プレラミンAの成熟に欠陥を有するマウス細胞ではDNA損傷と染色体異常が増加し、DNA損傷試薬に対する感受性が上昇する[22]。プロジェリアでは、LMNAの欠陥のためDNA修復が不十分となり、早老の症状が引き起こされる可能性がある(老化のDNA損傷理論英語版を参照)。

相互作用

LMNAは次に挙げる因子と相互作用することが示されている。

出典

関連文献

外部リンク

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