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System z

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System z
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IBM zSeries(IBMぜっとしりーず)、IBM System z(IBMしすてむぜっと)、IBM zEnterprise(IBMぜっとえんたーぷらいず)、IBM z System(IBMぜっとしすてむ)、IBM Z(IBMぜっと)は、IBMが開発・販売するメインフレームコンピュータ2000年以降のブランド名。またIBM LinuxOne(IBMりなっくすわん)は2015年以降のLinux専用モデル[2][3]

概要 開発元, 最新版 ...
概要 開発元, 最新版 ...
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IBM Z15の1フレーム、最大4フレーム。扉にZ15は青色、LinuxONE IIIはオレンジ色のアクセント。
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IBM z14。扉にZ14は青色、LinuxONE IIIはオレンジ色のアクセント。
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左はIBM z13、右はLinuxONE (Rockhopper)。
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IBM zEnterprise。左からEC12、BC12、Bladecenter Extension。
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扉を開けた状態のIBM zEnterprise EC12。多数のパーツが見える。
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IBM zSeries 800 2066

1964年System/360からの上位互換性を持ち、64ビットアーキテクチャz/Architectureに基づいて設計されている。サポートされるオペレーティングシステムは、z/OSz/VMz/VSEz/TPFLinuxなど(ただしIBM LinuxOneはLinux, z/VMのみ)[4]2010年の zEnterprise よりオプションのzBX上で分散サーバーの同時稼働をサポート[5][6][7]。最新版は2022年発表の z16 [1]

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名称

IBMのメインフレームのブランド名で、「z」は「ダウンタイム ゼロ(Zero)」(高可用性)を意味する。

  • IBM eServer zSeries - 2000年以降。pSeriesiSeriesxSeries等と、IBMサーバ全体のブランド名「IBM eServer」を構成する。
  • IBM System z - 2005年以降。System pSystem iSystem x等と、IBMサーバ全体のブランド名「IBM Systems」を構成する。
  • IBM zEnterprise System - 2010年以降。
  • IBM z System - 2015年以降。(他のサーバーはPower Systems等。)
  • IBM z - 2017年以降。

概要

zSeries、System z、zEnterprise、z System、IBM Zは、IBM System/360System/370の直系の子孫であり、上位互換性を持つ。System/360用に書かれた24ビットのアプリケーション(バイナリーの実行モジュール)は、40年を隔てた最新のSystem zでも、一部の例外を除き修正なしで動作する。

1990年代より各種オープン標準TCP/IPWebサーバLinuxなど)、2000年には64ビットアドレッシングをサポートした。IBMは「IBMのメインフレームはレガシーでは無い」「世界的にはニューワークロード(Web、ERPなどの用途)が50%を超えている」と主張している。

高い信頼性・可用性が求められる業務、過去の資産(プログラム、運用管理など)を継続したい場合、多数のサーバを統合したい場合などに使われている。

筐体の色は、eServer以降はThinkPadと合わせてベースは黒、アクセントは赤に統一された。しかしz10からはグリーンコンピューティング(環境負荷が低い)を意識して、アクセントは緑に変更された。

System zの主な特徴は以下である。

  • z/Architectureに基づいている(64ビットの物理空間と仮想空間)。
  • 多数のプロセッサユニット(PU)を搭載し、広域クラスタを構成可能
  • オペレーティングシステムとして、Linux on System z, z/OS, z/VM, z/VSE, z/TPFを使用可能
  • システム/390 の 31ビットアプリケーションはz/Architecture上で完全互換

zEnterprise では、従来からのz/Architectureプロセッサーに加え、POWERおよびx86プロセッサーも搭載可能となり、全体を統合資源管理ソフトウェアでワークロード管理可能となった。

2015年1月 z13 発表時に、ブランド名称が IBM z System に変更された。

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仕様

S/390以降の主な製品の型番(TYPE-MODEL)と仕様は以下の通り。

  • S/390 G5,G6
    • プロセッサー数:1〜12 (CMOS G5,G6)
  • S/390 Multiprise 3000
    • プロセッサー数:1〜2 (CMOS G5)
  • zSeries 900 (2064-xxx)
    • プロセッサー数:1〜16
  • zSeries 800 (2066-xxx)
    • プロセッサー数:1〜4
  • zSeries 990 (2084-xxx)
    • プロセッサー数:1〜32
  • zSeries 890 (2086-xxx)
    • プロセッサー数:1〜4
  • System z9 EC (2094-S08〜S54)
    • 総PU: 1.4GHz x 12〜64
    • メモリー: 16〜512GB
    • 最大チャネル数: 960〜1024
  • System z9 BC (2096-R07/S07)
    • 総PU: 1.4GHz x 8
    • メモリー: 8〜64GB
    • 最大チャネル数(ESCONの場合): 240〜420
  • System z10 EC (2097-E12/E26/E40/E56/E64)
    • 総PU: 4.4GHz x 17〜77
    • メモリー: 16〜512GB
    • 最大チャネル数:1024
  • System z10 BC (2098-E10)
    • 総PU:3.5GHz x 12
    • メモリー:4〜128GB
    • 最大チャネル数:480
  • z System z13 [8]
    • 最大コア数: 141 (111,556MIPS)
    • 最大メモリー: 10テラバイト
    • 最大稼動仮想サーバー: 8,000
  • z14[9]
  • z15[10]
  • z16[1]
    • 7nm, 5.2GHz
    • 16コア/ソケット
    • IBM Telumプロセッサー、オンチップのAIアクセラレーター
    • 耐量子暗号[11]

System z9 EC (2094-S54)の場合、ブックあたり最大64個のPU(プロセッサ・ユニット)を搭載し、1秒間に約186億6千万回の命令を実行できるとされている。1台の S54 は1日に10億以上のトランザクションを処理できる。64個のPUのうち2個はスペアPUとして使用され、2個のPUがI/O、暗号化、メモリ制御などのプロセッサとして使用される。結果的に54個のPUをユーザーが決定した役割に設定でき、Central Processor(CP)英語版としても、それ以外(z Application Assist Processor(zAAP)英語版Integrated Facility for Linux (IFL)英語版Internal Coupling Facility (ICF)英語版)の用途にも使うことができる。System z10 EC(E64)の場合77個のPUを搭載し64個のPUをユーザーが決定した役割に設定できる。

冗長性と信頼性

System z9 EC (2094-S54)の場合、PU内部の命令実行回路は二重化されており、全ての命令はふたつの回路で並行して実行される。このふたつの回路の命令実行結果が異なってしまった場合、再度命令を試行してそれでも結果が異なる場合は、そのPUで実行していたタスクを自動的に別のPUに移動させる。そのときスペアのPUが空いていればそれを使うこともできる。システムは自動的にIBMのサービスに連絡(RSF)をして、サービスエンジニアが代わりのプロセッサ・ブックを持ってきて交換を行う。このとき、システムを停止させることなく、動作したままでかまわない。このように、PUのハードウェア的な冗長性をベースとした高信頼システムが構築されている。

同じことは、メモリにもI/Oにも電源にも冷却機構にも言える。ほとんど考えられる全ての部品が冗長化されている。そして、この機能はハードウェアとマイクロコードで実現されているため、アプリケーションが特別なコードを使う必要はない。同じコンセプトはクラスタ構成にも適用される。

System zは確かに高価であるが、信頼性の高さがTCO削減となって効果を発揮する。このため政府、金融機関、商業、工業などあらゆる場面で使われている。

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歴史

要約
視点

zSeries以前

IBM System z は、IBM System/360の直系の子孫である。

1964年 System/360シリーズを発表し、大ヒットとなる。24ビットアドレッシングであった。

1970年 後継のSystem/370シリーズを発表。仮想記憶を実現。更に後継は、大型の30x0(303x、308x、3090)、中型の4300、小型の9370となった。

1983年 System/370-XAアーキテクチャを発表。31ビットアドレッシングや動的チャネルサブシステムを実現。

1988年 ESA/370アーキテクチャを発表。64ビットのデータ空間であるハイパー空間などを実現。

1990年 ES/9000シリーズと、ESA/390アーキテクチャを発表。エンタープライズサーバー(ES)としてサーバー機能を強化した。また同時に従来の3090、4300、9370は「ES/3090、ES/4300、ES/9370」に改称され、後にES/9000(ES/9021、ES/9121、ES/9221)に移行した。

1994年 S/390 並列エンタープライズサーバーを発表。CMOSプロセッサへの移行、クラスタリングである並列シスプレックスが採用された。また小型のIBM Multiprise 2000、3000も発売された。

zSeries

2000年10月 ブランド名称を「IBM eServer zSeries」に変更。同時に64ビットアドレッシングのアーキテクチャであるz/Architectureと、最上位のzSeries 900(z900、型番は2064)を発表。

  • 2002年2月 z900の中型版であるzSeries 800(z800、型番は2066)を発表。
  • 2003年3月 最上位(z900後継)のzSeries 990(z990、型番は2084)を発表。
  • 2004年5月 中型(z800後継)のzSeries 890(z890、型番は2086)を発表。

2005年7月 ブランド名を「IBM System z」に変更。同時に最上位のSystem z9 109(型番は2094)を発表。

  • 2006年4月 z9 109をz9 Enterprise Class (z9 EC)と名称変更し、中型のz9 Business Class (z9 BC、型番は2096)を発表。
  • 2008年2月 最上位(z9 EC後継)のSystem z10 Enterprise Class (z10 EC、型番は2097)を発表。
  • 2008年10月 中型(z9 BC後継)のz10 Business Class (z10 BC、型番は2098)を発表。

最上位機種(EC)が出た1,2年度後にそのモデルアップ反映した中型機種(BC)が発表されている

zEnterprise

  • 2010年7月 ブランド名称を「IBM zEnterprise」に変更。主なハードウェアは本体である zEnterprise 196(z196) と、zEnterprise BladeCenter Extension(zBX)。z196は、5.2GHzのz/Architectureプロセッサを96個搭載できる。zBXはPOWER7などのプロセッサを搭載したブレードサーバを搭載できる。このハイブリッド環境をソフトウェアの zEnterprise Unified Resource Manager(URM)で一元管理できる。
  • 2012年8月 「IBM zEnterprise EC12」(zEC12)を発表)[12]「12」は「12世代」を意味する[13]。z196の後継で、32ナノ・プロセス、5.5GHz のプロセッサ・コアを1筐体当たり最大120搭載可能。

z Systems, LinuxOne

  • 2015年1月 ブランド名称を「IBM z System」に変更。z13およびLinuxOne(Rockhopper)を発表[8]

IBM Z, LinuxOne II/III

  • 2017年7月 ブランド名称を「IBM Z」に変更。z14およびLinuxOne IIを発表を発表[9]
  • 2019年9月 z15およびLinuxOne IIIを発表[10]。全方位型暗号化技術、Data Privacy Passports技術など。
  • 2022年4月 z16を発表[1]。AI推論機能を提供。
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参照

関連項目

外部リンク

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