ハンガリー君主一覧（ハンガリーくんしゅいちらん）では、ハンガリー王国の成立から消滅に至るまでの国王、および王国成立以前の君主である大公、第一次世界大戦後の状況を一覧で示す。
概要
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| ハンガリー国王の即位の儀式。聖イシュトヴァーンの王冠を戴き、白馬にまたがってギャロップで丘に上り、東西南北の天空にサーベルで十字を切る。マジャル人を外敵から守護する決意の象徴である | ||
中世ハンガリーを支配したアールパード朝は、10世紀後半から11世紀前半のゲーザ大公、イシュトヴァーン1世の頃に統一された。その後、王位を巡る内紛が起こって一時衰えたが、11世紀後半のラースロー1世やカールマーン、さらに12世紀後半のベーラ3世の代に対外進出して勢力を拡大し、最盛期を迎えた。
しかしベーラ3世の死後、王位を巡って争いが起こり、国力が衰退し始める。そして王位争いに勝利したアンドラーシュ2世が支持者に所領を分与したことで王権が著しく衰退し、大貴族の台頭を招くことにもなった。ベーラ4世の代にはモンゴル軍の侵攻によって国内が荒廃した。
その後、ラースロー4世が王権強化を図ったが失敗して暗殺された。そして1301年、アンドラーシュ3世の死によりアールパード朝は断絶し、選挙王制へと移行した。その選挙王制のもとでハンガリー王とポーランド王を兼ねたラヨシュ1世は、ハンガリーの「大王」として有名である。
歴代大公
アールパード朝
895年から896年頃、後のハンガリー王国となった地を征服したアールパードは、それ以前の、宗教的指導者（kende）と軍事的指導者（gyula）から成る二大族長制を廃止し、単独の大公となった。死後はアールパードの子孫のみに大公・王位継承権があると定められた王朝がアールパード朝である。997年に大公に即位したイシュトヴァーンは、3年後に王位に即いた。
| 肖像 | 名前 | 在位年 | 付記 |
|---|---|---|---|
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819年 - 895年 |
855年頃 - 895年頃 | |
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845年 - 907年 |
895年頃 - 907年頃 | アールモシュの息子。 |
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896年 - 949年 |
907年頃 - 947年頃 | アールパードの息子。 |
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? - 955年 |
947年頃 - 955年頃 | アールパードの三男ユタシュの息子。 |
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933年 - 971年 |
955年頃 - 972年頃 | ジョルトの息子。 |
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949年頃 - 997年 |
972年頃 - 997年 | タクショニュの息子。 |
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969年頃 - 1038年 |
997年 - 1000年 | ゲーザの息子。 |
アールパードの孫に当たるタクショニュ以前、大公の座を継承するのは、「アールパードの血を引く最年長の男子」とされていたが、キリスト教への改宗と共に、先代の長男が引き継ぐこととなった。そのため、アールパードとタクショニュの間の大公は明白ではなく、特にアールパードの末子でタクショニュの父に当たるジョルトの在位は、キリスト教化を経てからの後付けとも考えられている。
歴代国王
アールパード朝
| 肖像 | 名前 | 在位年 | 付記 |
|---|---|---|---|
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969年頃 - 1038年 |
1000年 - 1038年 | |
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1011年 - 1046年 |
1038年 - 1041年 | イシュトヴァーン1世の甥。 |
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990年 - 1044年 |
1041年 - 1044年 | イシュトヴァーン1世の義兄。 |
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1011年 - 1046年 |
1044年 - 1046年 | |
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1013年 - 1060年 |
1046年 - 1060年 | イシュトヴァーン1世の従甥。 |
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1016年 - 1063年 |
1060年 - 1063年 | アンドラーシュ1世の弟。 |
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1053年 - 1087年 |
1063年 - 1074年 | アンドラーシュ1世の息子。 |
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1044年 - 1077年 |
1074年 - 1077年 | ベーラ1世の長男。 |
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1046年 - 1095年 |
1077年 - 1095年 | ゲーザ1世の弟。 |
 |
1074年 - 1116年 |
1095年 - 1116年 | ゲーザ1世の長男。 |
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1101年 - 1131年 |
1116年 - 1131年 | カールマーンの息子。 |
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1108年 - 1141年 |
1131年 - 1141年 | カールマーンの甥。 |
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1130年 - 1162年 |
1141年 - 1162年 | ベーラ2世の息子。 |
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1147年－1172年 |
1162年 - 1172年 | ゲーザ2世の長男。 |
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1131年 - 1163年 |
1162年 - 1163年 | ゲーザ2世の弟。 |
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1133年 - 1165年 |
1163年 - 1165年 | ラースロー2世の弟。 |
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1148年 - 1196年 |
1172年 - 1196年 | イシュトヴァーン3世の弟。 |
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1174年 - 1204年 |
1196年 - 1204年 | ベーラ3世の長男。 |
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1199年 - 1205年 |
1204年 - 1205年 | イムレの長男。 |
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1177年 - 1235年 |
1205年 - 1235年 | イムレの弟。 |
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1206年 - 1270年 |
1235年 - 1270年 | アンドラーシュ2世の長男。 |
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1239年 - 1272年 |
1270年 - 1272年 | ベーラ4世の長男。 |
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1262年 - 1290年 |
1272年 - 1290年 | イシュトヴァーン5世の息子。 |
 |
1265年 - 1301年 |
1290年 - 1301年 | イシュトヴァーン5世の従弟。 |
空位時代
アンドラーシュ3世の死によってアールパード家が断絶した後、いずれもベーラ4世の血を引くボヘミア・ポーランド王家出身のヴァーツラフ3世、下バイエルン公オットー3世、ナポリ王家出身のカーロイ・ローベルトによって王位が争われた。
プシェミスル朝
ヴィッテルスバッハ朝
選挙王制
1308年以後は選挙王制となり、まずアンジュー家のカーロイ・ローベルト（カーロイ1世）が即位した。
アンジュー朝
ルクセンブルク朝
ハプスブルク朝
ヤゲロー朝
ハプスブルク朝
フニャディ朝
ヤゲロー朝
ハプスブルク君主国
1526年にラヨシュ2世から王位を継承したフェルディナーンド1世（フェルディナント）以降は、オーストリア・ハプスブルク家の当主（オーストリア大公）、またはその嗣子によってハンガリー王位が世襲された。ただし初期に2人、中期に1人の対立王がいた。
ハプスブルク朝
| 肖像 | 名前 | 在位年 | 付記 |
|---|---|---|---|
 |
1503年 - 1564年 |
1526年 - 1564年 | ウラースロー2世の娘婿。 |
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1487年 - 1540年 |
1526年 - 1540年 | |
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1540年 - 1571年 |
1540年 - 1570年 | ヤーノシュ1世の息子。 |
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1527年 - 1576年 |
1564年 - 1576年 | フェルディナーンド1世の長男。ウラースロー2世の孫。 |
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1552年 - 1612年 |
1576年 - 1608年 | ミクシャ1世の次男。 |
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1557年 - 1619年 |
1608年 - 1619年 | ルドルフの弟。 |
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1578年 - 1637年 |
1619年 - 1637年 | マーチャーシュ2世の従弟。 |
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1608年 - 1657年 |
1637年 - 1647年 | フェルディナーンド2世の三男。 |
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1633年 - 1654年 |
1647年 - 1654年 | フェルディナーンド3世の長男。 |
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1640年 - 1705年 |
1655年 - 1705年 | フェルディナーンド4世の弟。 |
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1678年 - 1711年 |
1705年 - 1711年 | リポート1世の長男。 |
 |
1676年 - 1735年 |
1705年 - 1711年 | |
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1685年 - 1740年 |
1711年 - 1740年 | ヨージェフ1世の弟。 |
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1717年－1780年 |
1740年 - 1780年 | カーロイ3世の長女。 |
ハプスブルク＝ロタリンギア朝
| 肖像 | 名前 | 在位年 | 付記 |
|---|---|---|---|
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1741年 - 1790年 |
1780年 - 1790年 | マーリア・テレージアの長男。 |
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1742年 - 1792年 |
1790年 - 1792年 | ヨージェフ2世の弟。 |
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1768年 - 1835年 |
1792年 - 1835年 | リポート2世の長男。 |
 |
1793年 - 1875年 |
1835年 - 1848年 | フェレンツ1世の長男。 |
 |
1830年 - 1916年 |
1848年 - 1916年 | フェルディナーンド5世の甥。 |
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1887年 - 1922年 |
1916年 - 1918年 | フェレンツ・ヨージェフ1世の大甥。 |
第一次世界大戦後
第一次世界大戦末期、ハンガリーはオーストリアから完全に分離独立し、ハンガリー民主共和国、ハンガリー・ソビエト共和国を経て、新たなハンガリー王国が成立した。この「王国」はハプスブルク＝ロタリンギア家傍系のヨーゼフ・アウグスト（ヨージェフ・アーゴシュト）大公を国王に推戴しようとしたが、協商国やルーマニアの支持が得られずに断念し、ソビエト政権打倒に功績のあったオーストリア＝ハンガリー帝国海軍提督ホルティ・ミクローシュが摂政の地位に就き、国王空位のまま独裁体制が敷かれた。この間、別系統の傍系のアルブレヒト・フランツ（アルベルト・フェレンツ）大公も王位請求者として一時活動した。1944年のホルティ失脚後も、1946年にハンガリー第二共和国が成立するまで「王国」は形式上存続した。
一方で、最後の国王であったカーロイ4世（オーストリア皇帝カール1世）は自身の退位を認めず、1921年には王国に復帰しようと試みた（カール1世の復帰運動）。しかしこの動きは小協商諸国やフランス、ホルティらによって阻止され、ハンガリー議会はハプスブルク＝ロタリンギア家の王位継承権を否定する議決を行った。カーロイ自身は翌1922年の死まで退位を認めず、その後も長男オットー（元オーストリア皇太子）が名目上のハンガリー王を名乗った。現在はオットーの長男のカールが名目上の王位請求者である。
ハンガリー王兼オーストリア皇帝およびハンガリー王位請求者関連系図
| フランツ1世 (フェレンツ1世) | カール | ヨーゼフ・アントン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| フェルディナント1世 (フェルディナーンド5世) | フランツ・カール | カール・フェルディナント | エリーザベト・フランツィスカ | ヨーゼフ・カール | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| フランツ・ヨーゼフ1世 (フェレンツ・ヨージェフ1世) | カール・ルートヴィヒ | フリードリヒ | ヨーゼフ・アウグスト (ヨージェフ・アーゴシュト) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| レオポルト バイエルン王子 | ギーゼラ | オットー・フランツ | アルブレヒト・フランツ (アルベルト・フェレンツ) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| アウグステ (ヨーゼフ・アウグスト妃) | カール1世 (カーロイ4世) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| オットー (フェレンツ・ヨージェフ2世) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| カール (カーロイ5世) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
関連項目
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