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電話関連の電気通信製品やサービスを利用することで金銭を得る違法な方法。 ウィキペディアから
特殊詐欺(とくしゅさぎ、英語: Phone fraud、ドイツ語: Enkeltrick )とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込その他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪の一種である[1]。オレオレ詐欺が代表的だが、その他にも、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗、架空料金請求詐欺、還付金詐欺、サポート詐欺などの手口がある[1][2]。
振り込め詐欺(ふりこめさぎ)とは、電話やはがきなどの文書などで相手をだまし、金銭の振り込みを要求する犯罪行為。2004年に警察庁が命名した。面識のない不特定多数の者に対し、電話その他の通信手段を用いて、対面することなく被害者をだまし、被害者に現金などを交付させたりする詐欺の一種。
2004年11月まではオレオレ詐欺[3]と呼ばれていたが(由来は後述)、手口の多様化で名称と実態が合わなくなったため、特殊詐欺の内の4つの型(なりすまし詐欺[注釈 1]、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺)を総称して、2004年12月9日に警察庁により統一名称として「振り込め詐欺」と呼ぶことが決定された[6]。当初から長年、“振り込み詐欺”と言われたが、「”振り込み”では納得して自ら振り込む」意味合いとなるため、あくまで「”振り込め”と人から言われている、騙されていないか」など、どの時点でも注意や再考を喚起するように統一を図った経緯がある[7]。
2013年3月、振り込ませるケースが減少し、再び実態に合わなくなったため、警視庁は新たな名称案を募集した[8][注釈 2]。 5月12日に新名称が発表され、「母さん助けて詐欺」が最優秀、「ニセ電話詐欺」・「親心利用詐欺」が優秀作品として選出され、この3作品は主に広報において振り込め詐欺と併用される[11][12]。しかし、最優秀の「母さん助けて詐欺」は被害者が父親であるケースもあるなど実態にそぐわず、また本来の詐欺行為の定義を狭めてしまうことが発表当初より指摘され、選出の理由が疑問視されていた。実際に静岡県警では実態とそぐわないなどの理由から、新名称「母さん助けて詐欺」を使用せず[13]、わかりやすくインパクトのある名前として、福岡県警と茨城県警は「ニセ電話詐欺」を[14]、山口県警[15]と鹿児島県警[16]では「うそ電話詐欺」を、千葉県警では「電話de詐欺」を[17]、長野県警[18]と熊本県警では「電話で『お金』詐欺」を[19]それぞれ採用している。
同時期に、警察当局は「特殊詐欺」の名称を使うようになった。コトバンクの『知恵蔵Mini』の特殊詐欺の説明[20]には「警察庁によると、2014年の特殊詐欺の認知件数は1万3392件…」の記載がある。
なお、この新名称募集は警視庁がTwitter公式アカウントを取得したことのプロモーションも兼ねていた。当時Twitterアカウントの管理をしておりこの公募の担当でもあった元警部・中村健児はTwitterの他にも実際に高齢者にアンケートを取ったり警視庁の記者クラブに所属するマスコミにも名称を募ったりしていた。しかし、これを最終的に決定するのは犯罪抑止対策本部の職員であり、中村はある日出勤した際にどの層にも全く人気のなかった「母さん助けて詐欺」に決定されたことを突然聞かされたという。このことについて、「警察官は(昔から)ネーミングセンスがない」「高齢者もマスコミも『これはいい』と言っていないのに定着するはずがない」と皮肉を込めて振り返っている[21]。
電報や電話を利用した詐欺事件自体は「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」という言葉が登場する前から既に存在した[注釈 3]。
1999年8月頃から2002年12月頃までの間に電話で「俺、俺」と身内を装って11人に銀行口座に振り込ませた事件があり、2003年2月に犯人を検挙した鳥取県警米子署がこの手口を「オレオレ詐欺」と称したのが初出とされている[23][24]。また、「オレオレ詐欺」で架空口座を用いる手の込んだ手口は2003年2月中旬に東京都杉並区の闇金融業者で誕生したのが最初とされている(この詐欺グループは2004年1 - 3月に検挙された)[25]。
当初は詐欺を行う犯人が「俺、俺」と名乗り、もっぱら「1人」(単独)だけで子や孫を演じていたが、後に「債務者」であると装って困窮を訴えるのに加えて「債権者」役の犯人も電話口に出て「至急返済がなされなければ酷い目に遭わせる」など、「2人以上」の組織が共謀し、複数人の犯人が電話に出る形で脅す手口も使われるようになった。一方で、演じる対象を通勤・通学に出た家族をはじめとする親類に拡げて「交通事故」「痴漢」「横領」「傷害事件」「暴行事件」「借金返済」の加害者や債務者に仕立てる手口も使われる。最初に電話を架けた際には金銭問題を直接的に話題にしなかったり、考える時間的余裕を与えないように数分ごとに電話をかけたりするなどで台本を巧みに作成した上で犯行が行われたり、危害を受けた被害者やその関係者、駅員、警察官、弁護士などの役割分担を行って多人数の犯人で演技を行い、さらには背景にサイレンなどの効果音を流すなどの演出も行われることから、劇団型犯罪(または劇場型犯罪)とも呼ばれる[26]。
「振り込め詐欺」という言葉が定着するにつれて、振込み型の詐欺は減少したものの、指定場所へ送付させる・宅配便や郵便で私設私書箱へ送付させる[注釈 4]・バイク便業者や代理人が被害者の自宅近くに受け取りに現れて手渡しをさせるなど多様化している[27][28]。
最近は後述の騙されたフリ作戦を逆手に取った詐欺が急増している。手口は犯人1が電話をかけ、「俺、俺」などという普通の振り込めサギの手口を行うまで同じである。そして次、警察と名乗る犯人2が「先程あなたのお宅に振り込め詐欺の電話がかかってこなかったか? 犯人が自宅の玄関まで向かうと思うので、現金を渡すように。警察が見張りをしているので、お金を盗んだ後にすぐ逮捕する」と嘘の電話をかける。次に玄関の前に犯人1が現れ、そのまま犯人1と犯人2は金を盗み逃走するもので、後述の騙されたフリ作戦を利用したサギである(劇場型犯罪も参照)[29][30][31][32]。
2020年より警察当局では、以下の10の手口に分類している[1][33][34]
息子や孫などの親族またはその上司、あるいは警察官や弁護士などを電話で名乗り、親族が起こした仕事などのトラブルや事故を口実に現金をだまし取る(または脅し取る)手口の類型[34]。
元々の「オレオレ詐欺」であった手口。
主に息子や娘を装い
などと装った電話をかけ、
などの虚偽の急用を訴えて現金を預金口座などに振り込ませたり、宅配便で指定の住所に現金を送付させる、会社の上司や同僚、顧問弁護士、警察官を装う犯人に指定された喫茶店やファミリーレストラン、ホテルのロビー、鉄道駅、被害者宅に訪問・呼び出し、現金や預金通帳、キャッシュカード、クレジットカードを手渡すなどの方法によりだまし取る手口。縁者を装うだけでなく、警察官、駅員、弁護士、交通事故被害者、性犯罪被害者、傷害・暴行事件被害者、暴力団関係者を装う手口もある。
また警察官を名乗る場合は偽の警察手帳を所持していることもあるが、近年では警察手帳がデジタル化してスマホと一体化したと騙るなどまるでSF映画の警察官を名乗るという事例も発生しており、これは偽警察手帳の所持発覚の防止と同時にデジタルに疎い人間を騙す小道具も兼ねる。
また海外から国際電話で警察官や検察官を名乗る人物から、あなたに事件の被疑者として逮捕状が出てると言って、保釈金などをだまし取る手口もある。
警察官や銀行協会職員などを装い、「あなたの口座が犯罪に悪用されているので交換が必要」などと虚偽の事実を通知し、キャッシュカード等をだまし取る(脅し取る)手口である[34]。
有料サイト事業者や法務省(法務局)、裁判所などとかたり、「未払い料金を支払わないと裁判になる」などと虚偽の事実をメールやはがき(封書)などで通知し、金銭等をだまし取る(脅し取る)手口である[34]。
現金を預金口座に振り込ませるなどの方法によりだまし取る手口がほとんどだったが、後の法改正で銀行口座の不正利用に対する罰則が強化され、コンビニエンスストアで購入可能なネット決済専用のプリペイドカードの番号を電子メールやファックスで送付させる被害が急増している。
自治体(市区町村役場)や年金事務所などの職員をかたり、医療費や税金、保険料などの還付金が受け取れるなどと虚偽の事実を言って、携帯電話でATMを操作させて犯人の口座に送金させる(振り込ませる)手口である[34]。
実際には融資しないにもかかわらず、簡単に融資が受けられると信じ込ませ、申込者に対して保証金などを名目に金銭等をだまし取る(脅し取る)手口である[34]。
架空または価値のない未公開株や有価証券などの金融商品、高価な物品などについて虚偽の情報を教えて購入を持ち掛け、儲かると信じ込ませて、金銭等をだまし取る(脅し取る)手口である[34]。
「パチンコ、パチスロの必勝法」、「公営ギャンブルの必勝法」、「宝くじ(特に『ロト6』などの数字選択式)の当選番号」などを教えると持ちかけ、その情報によって当選金や配当金が得られるものと信じ込ませ、情報料などの名目で金銭をだまし取る(脅し取る)手口。
あるいは「パチンコ打ち子募集」などと雑誌に掲載したり、不特定多数に同内容のメールを送り付けて、会員登録した人から登録料や情報料の名目で金銭等をだまし取る(脅し取る)手口である[34]。
「男女紹介」等の案内を雑誌に掲載したり、不特定多数に同内容のメールを送り付けて、会員登録した人から登録料や保証金の名目で金銭等をだまし取る(脅し取る)手口である[34]。
上記の8つの類型に当てはまらない特殊詐欺[34]。なお、特殊詐欺の10類型ではキャッシュカード詐欺盗は窃盗に属するため以上の類型とは区別されている[34]。
警察官や銀行協会、大手百貨店、家電量販店、大手スーパーの従業員を装い、キャッシュカードやクレジットカードが悪用されているなどと言って、キャッシュカードやクレジットカードをすり替えて盗み取る手口である[34]。窃盗であり他の類型とは区別されている[34]。
これらに加え、家電量販店や大手百貨店、大手スーパーの従業員、鉄道会社の駅員を名乗り、あなたのクレジットカードで家電製品や貴金属、商品券、回数券、家庭用ゲーム機、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などを購入しようとした人物がいると言って、訪問にきた警察官や銀行協会の職員と名乗る人物にクレジットカードとキャッシュカードを騙し取る手口もある。
手の込んだ手法として詐欺師が住人のキャッシュカードを玄関で確認し封筒に入れるところまで確認させた後「封印が必要なので印鑑を持ってきてください」と要求した隙に、ダミーの封筒と交換しダミーの封筒を「1週間は開けないでください」などと念を押すことで、キャッシュカードをまんまと盗みだし発覚を遅らせるケースもある[35]。住人からはキャッシュカードは手元にあると思いこむために発覚が遅れる。
警察がまだ把握してない詐欺の例
アプリ、SNSなりすまし広告詐欺
アプリ内で課金をさせるために最初からサクラ(なりすまし)を用意しいかにも流行っていてまたは利用者に有益な情報をもたらすように見せかける。最近ではSNS上から動画サイトのアプリからネット広告への誘導をへて広告審査が甘い分永遠に商品が届かないまたは思ったサービスを受けれないなどがあり違法またはグレーゾーンの場合が多い。また有名人になりすました広告も最近増加し2024年以降プラットホームへ提訴を予定するほど問題になった(2024/04月)[36][37]
マッチングアプリ出会い系詐欺
マッチングアプリなどでマッチングし、甘い言葉を元に信じ込ませ、投資話や家族の不幸などをもとに振り込ませる振り込め詐欺のネット版外国人のふりなど顔が見えないことをいいことに言葉巧みに誘い偽サイトは送金、ネットバンクから振り込ませようとする
詐欺グループ内ではそれぞれ役割分担について、金を要求する電話を掛けて騙す役の人間を「掛け子(架け子)」、振り込ませた金融口座から引き出す役の人間を「出し子」、金融口座を使わずに直接接触して現金を受け取る役の人間を「受け子」などの俗称で呼ばれている[38]。「架け子」がきちんと電話をしているかを管理する「番頭」、「出し子」や「受け子」がだまし取った金銭の持ち逃げを防止するための「見張り役」がいることがある。現金受け取り現場を担う「出し子」や「受け子」の「リクルーター」がいることがある[39]。また、架空名義のレンタル携帯電話や金融機関の架空口座などを提供する「道具屋」[40]、マンションなどの犯行拠点を準備する「代行屋」、だましの電話をかけるための名簿などを準備する「名簿屋」など犯行を手助けする組織と連携したり傘下にあったりする。このように、従来の「単独犯では不可能」であった役割が細分化されている一方で、厳しいノルマやペナルティによってシステム化されているため、詐欺グループは会社組織のようだと形容されることもある[41]。このような細分化およびメンバー間を偽名で呼び合うなどしているため、事件の全体像を知らない末端のメンバーである「出し子」や「受け子」を逮捕しても、(「出し子」「受け子」が本名を知らないため)犯行グループの上層部や主犯格を摘発しにくいという性格を持ってくる[42][43]。
アルバイト感覚で「出し子」や「受け子」として犯行に加担する者もおり、「出し子」や「受け子」の低年齢化が指摘されている[44]。14歳中学男子や中学3年女子が「受け子」として逮捕された事例もあり[45][46]、中には中学2年男子が責任無能力者である13歳時の犯行で「受け子」として補導された事例もある[47]。また、高齢者や主婦がこれらに加担して検挙される事例もある。
金融機関で窓口の職員が特殊詐欺を懸念する水際対策が効果をあげてからは、犯罪組織は電話で自宅に現金(タンス預金)をいくら保管しているのかを巧みに聞き出す「アポ電」をしてから、タンス預金を狙って詐欺に及ぶ事例を見られるようになった。さらに2010年代末になると、電話を行ってから犯行に及ぶ手口は上記の詐欺行為と似ているが、電話で地方自治体職員や金融機関職員等を装って自宅の現金(タンス預金)の保管場所や家族構成や生活のパターンなどを会話から探った上で強盗行為に及ぶ「アポ電強盗」という手口も登場するようになった[48]。
現金等を宅配便や郵便で送付させるタイプの詐欺事件の受け子が「中身を知らなかった」と弁明したことについて詐欺罪に問えるかが争われた裁判では、下級審では判断が分かれていたが、2018年12月に最高裁は「異なる場所で異なる名宛人になりすまして荷物を受け取って直ちに回収役に渡す仕事を複数回繰り返して報酬を得ていたこと」や「自宅に配達される荷物を名宛人になりすまして受け取って直ちに回収役に渡す仕事を複数回繰り返し、多額の報酬を受領していたこと」等の事情があれば詐欺罪の成立を認める判断を下している。
2018年3月22日に最高裁は「現金を要求する直接的な発言がなくても、交付につながる内容であれば詐欺未遂罪は成立する」との初判断を示した[49]。
2022年2月14日に最高裁は「警察官を装って詐欺被害に遭っている旨の嘘電話を架けて対象者にキャッシュカードを準備させた上で、金融庁職員になりすまして封筒に入った偽のカードとすり替えようとしたが、対象者宅の約140メートル手前で警察官の尾行に気付いて計画を中止した場合でも窃盗未遂罪は成立する」との初判断を下した[50]。
警察官が繁華街や駅前などで不似合いな背広姿の人物(着用者は中高生)に対して、職務質問と所持品検査を行ったことがきっかけで、特殊詐欺の受け子や出し子の犯人であることが発覚するケースがある。
暴力団との繋がりを指摘したり、詐取した金が暴力団の資金源になっている、とする報道もある。配下の組員から詐欺で詐取した金が上納されて資金源になっていたとして、指定暴力団の事務所への家宅捜索が行われたこともある(例として2014年6月10日に極東会本部への家宅捜索など)。2021年3月11日に最高裁は指定暴力団住吉会系の組員らによる特殊詐欺事件について被害者が暴力団対策法の使用者責任規定に基づいて暴力団トップである住吉会会長らに損害賠償を求めた訴訟において、暴力団対策法で使用者責任の対象となる「暴力団の威力を利用した資金獲得行為」に当たるとする下級審の判断を確定させている[51]。
日本警察が日本国内において電話を架ける場所の摘発に力を入れたことから、犯罪グループは電話を架ける場所を外国に移転する動きが出ている。移転先の外国の場所として日本との時差が少なく、携帯電話の購入時に個人情報の登録が不要な東南アジアの国が選ばれることが多い。
2023年、警察庁は、首謀者が判然とせず、SNSや匿名通信アプリなどを利用した緩やかな結び付きで「離合集散」を繰り返しながら犯罪に及ぶ、従来の組織犯罪とは異なる形態の犯罪集団を「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)と名付け、新たな脅威として徹底壊滅を目指している[52][53]。
この節の加筆が望まれています。 |
被害者(連絡を受け、直接入金手続きを行った者)は2022年は女性が約7割、65歳以上が全体の約87%[54]。被害者全体に占める65歳以上の割合の推移は、は2011年62.7%、2012年68.8%、2013年77.5%、2014年78.2%[55]。
被害世帯の25分の14近くが、65歳以上の高齢者女性であり、その多くが家族構成が65歳以上だけの『高齢者世帯』であり、2004年以降は主婦の被害が急激に増えている。
被害が多い地域では加害者、被害者、被害金額とも関東(最も多いのが東京都)であり、東京、千葉、神奈川、埼玉の1都3県で半数超[56]、被害額の8割が首都圏で引き出されている[57]。
一方、成りすまし詐欺の被害が少ない地域は大阪府で、その理由として「世話好きな性格から、困窮を装う電話にはことさら詳細な説明を求めようとする大阪人が多く、振り込め詐欺グループにとっては長電話になるうちに話の辻褄が合わなくなることを避けようとするため」とされる[58]。ただし、金の払い戻しを受ける還付金詐欺には弱く、2013年には還付金詐欺の年間ワースト1位は大阪府になっている[59]。
特殊詐欺の被害総額は2009年〜2014年は毎年増加しており、2014年には窃盗の被害総額の3倍以上となった[55]。その後、2015年〜2021年は減少していたが、2022年は8年ぶりに増加した[60]。認知件数の場合は、2021年以降増加傾向である。また特殊詐欺では、暴力団関係者が絡むケースも多い[55]。
年 | 被害額(万円) | 備考 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総額 | 振り込め詐欺 | 振り込め詐欺以外の特殊詐欺 | ||||||||||
なりすまし詐欺 | 架空請求詐欺 | 融資保証金詐欺 | 還付金等詐欺 | 金融商品等取引名目の特殊詐欺 | ギャンブル必勝法情報提供名目の特殊詐欺 | 異性との交際あっせん名目の特殊詐欺 | キャッシュカード詐欺盗 | その他 | ||||
2004 | 283億7,866 | 191億2,873 | 54億533 | 38億4,460 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | 初めて特殊詐欺の統計を開始[55]。 | |
2005 | 251億5,187 | 128億6,201 | 56億592 | 66億8,393 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | ||
2006 | 254億9,330 | 146億7,626 | 48億8,611 | 54億1,604 | 5億1,489 | --- | --- | --- | --- | --- | ||
2007 | 251億4,242 | 145億3,290 | 37億6,576 | 38億5,704 | 29億8,671 | --- | --- | --- | --- | --- | ||
2008 | 275億9,439 | 155億1,928 | 35億8,712 | 37億4,794 | 47億4,004 | --- | --- | --- | --- | --- | ||
2009 | 95億7,912 | 52億266 | 31億8,230 | 9億4,976 | 2億4,440 | --- | --- | --- | --- | --- | ||
2010 | 112億4,728 | 79億1,827 | 17億5,207 | 3億4400 | 7,370 | 7億124 | 3億4,224 | 1億821 | --- | 755 | ||
2011 | 204億431 | 107億503 | 10億3,816 | 7億2,185 | 2億5,397 | 69億4,474 | 5億5,678 | 1億4,427 | --- | 3,952 | ||
2012 | 364億3,611 | 111億9,990 | 30億1,049 | 7億304 | 11億2,767 | 186億1,342 | 11億7,950 | 1億8,204 | --- | 4億2,006 | 財産犯の中で窃盗を上回った[55]。 | |
2013 | 489億4,949 | 171億3,276 | 63億3,902 | 7億688 | 16億8,799 | 178億7,986 | 31億3,966 | 1億362 | --- | 19億5,970 | ||
2014 | 565億5,069 | 174億9,028 | 175億8,141 | 9億1,494 | 19億9,165 | 125億464 | 27億6,805 | 3億2,031 | --- | 29億7,941 | 特殊詐欺は、窃盗や横領などを含めた財産犯被害のほぼ半分を占め、窃盗の3.2倍になった[55]。 | |
2015 | 481億9,798 | 175億905 | 187億5,296 | 5億6,388 | 25億4,599 | 67億3,324 | 13億7,579 | 1億5,924 | --- | 5億5,78万 | ||
2016 | 407億6565 | 167億1,451 | 158億2612 | 7億255 | 42億6,023 | 24億7214 | 4億6,347 | 1億3,304 | --- | 1億9,359 | ||
2017 | 394億7,487 | 207億9,379 | 127億6615 | 6億5,977 | 35億8,543 | 7億2,465 | 4億5,144 | 1億4,043 | --- | 3億5,321 | ||
2018 | 382億8,676 | 188億9,060 | 138億3,978 | 6億2,057 | 22億5,112 | 2億6,515 | 2億3,982 | 1億2,133 | 18億9,248万 | 1億6,591 | 認知件数は前年比で9.4%減少、2014年からの5年間で23.2%増加[61] | |
2019 | 315億8,294 | 117億6,463 | 98億5,916 | 5億3,789 | 30億1,036 | 1億9,335 | 2億6,852 | 2,504 | 59億903 | 1,496 | ||
2020 | 285億2,336 | 67億9,241 | 58億1,941 | 79億7,554 | 3億9,338 | 24億9,151 | 4億1,626 | 2億9,362 | 6,721 | 42億6,378 | 1,024 | |
2021 | 281億9,946 | 90億6,073 | 30億5,807 | 68億762 | 2億6,930 | 45億1,843 | 2億6,550 | 2億1,096 | 5,761 | 39億4,850 | 273 | |
2022 | 370億8,135 | 129億3,360 | 28億8,962 | 101億7,780 | 2億2,381 | 53億6,762 | 4億4,409 | 3億49 | 1,736 | 46億8,625 | 4,069 | |
2023 | 452億5,644 | 133億4,813 | 38億4,636 | 140億3,860 | 2億4,085 | 51億3,151 | 51億8,878 | 5,039 | 1,829 | 29億8,170 | 4億1,181 | |
年 | 総額 | なりすまし詐欺 | 架空請求詐欺 | 融資保証金詐欺 | 還付金等詐欺 | 金融商品等取引名目の特殊詐欺 | ギャンブル必勝法情報提供名目の特殊詐欺 | 異性との交際あっせん名目の特殊詐欺 | キャッシュカード詐欺盗 | その他 | 備考 | |
振り込め詐欺 | 振り込め詐欺以外の特殊詐欺 | |||||||||||
被害額(万円) |
年 | 総額 | 振り込め詐欺 | 振り込め詐欺以外の特殊詐欺 | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
なりすまし詐欺 | 架空請求詐欺 | 融資保証金詐欺 | 還付金等詐欺 | 金融商品等取引 名目の特殊詐欺 | ギャンブル 必勝法情報提供 名目の特殊詐欺 | 異性との 交際あっせん 名目の特殊詐欺 | キャッシュカード 詐欺盗 | その他 | |||||||||||||||||||||||||
認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | ||||
2004 | 25,667 | 1,305 | 5.1 | 14,874 | 954 | 6.4 | 5,101 | 294 | 5.8 | 5,692 | 57 | 1.0 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | |||
2005 | 21,612 | 2,539 | 11.7 | 6,854 | 1,142 | 16.7 | 4,826 | 821 | 17.0 | 9,932 | 576 | 5.8 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | |||
2006 | 19,020 | 2,974 | 15.6 | 7,093 | 975 | 13.7 | 3,614 | 1,123 | 31.1 | 7,831 | 876 | 11.2 | 482 | 0 | 0.0 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | |||
2007 | 17,930 | 3,079 | 17.2 | 6,430 | 820 | 12.8 | 3,007 | 1,252 | 41.6 | 5,922 | 886 | 15.0 | 2,571 | 121 | 4.7 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | |||
2008 | 20,481 | 4,400 | 21.5 | 7,615 | 1,432 | 18.8 | 3,253 | 1,074 | 33.0 | 5,074 | 1,529 | 30.1 | 4,539 | 365 | 8.0 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | |||
2009 | 7,340 | 5,669 | 77.2 | 3,057 | 2,086 | 68.2 | 2,493 | 1,137 | 45.6 | 1,491 | 2,026 | 135.9 | 299 | 420 | 140.5 | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | --- | |||
2010 | 6,888 | 5,189 | 75.3 | 4,418 | 1,742 | 39.4 | 1,774 | 1,607 | 90.6 | 362 | 1,600 | 442.0 | 83 | 240 | 289.2 | 112 | --- | --- | 115 | --- | --- | 17 | - | --- | --- | --- | --- | 7 | --- | --- | |||
2011 | 7,216 | 2,556 | 35.4 | 4,656 | 1,668 | 35.8 | 756 | 706 | 93.4 | 525 | 43 | 8.2 | 296 | 2 | 0.7 | 773 | 73 | 9.4 | 172 | 63 | 36.6 | 25 | 1 | 4.0 | --- | --- | --- | 13 | 0 | 0.0 | |||
2012 | 8,693 | 2,990 | 34.4 | 3,634 | 1,802 | 49.6 | 1,177 | 370 | 31.4 | 404 | 25 | 6.2 | 1,133 | 116 | 10.2 | 1,986 | 647 | 32.6 | 261 | 14 | 5.4 | 43 | 9 | 20.9 | --- | --- | --- | 55 | 7 | 12.7 | |||
2013 | 11,998 | 3,419 | 28.5 | 5,396 | 1,749 | 32.4 | 1,522 | 354 | 23.3 | 469 | 270 | 57.6 | 1,817 | 146 | 8.0 | 1,875 | 797 | 42.5 | 587 | 27 | 4.6 | 53 | 21 | 39.6 | --- | --- | --- | 279 | 55 | 19.7 | |||
2014 | 13,392 | 3,252 | 24.3 | 5,557 | 1,793 | 32.3 | 3,180 | 293 | 9.2 | 591 | 71 | 12.0 | 1,928 | 194 | 10.1 | 1,228 | 741 | 60.3 | 467 | 64 | 13.7 | 53 | 4 | 7.5 | --- | --- | --- | 388 | 92 | 23.7 | |||
2015 | 13,824 | 4,112 | 29.7 | 5,828 | 1,958 | 33.6 | 4,097 | 1,119 | 27.3 | 440 | 65 | 14.8 | 2,376 | 413 | 17.4 | 663 | 429 | 64.7 | 271 | 71 | 26.2 | 47 | 13 | 27.7 | --- | --- | --- | 102 | 44 | 43.1 | |||
2016 | 14,154 | 4,471 | 31.6 | 5,753 | 1,974 | 34.3 | 3,742 | 1,149 | 30.7 | 428 | 56 | 13.1 | 3,682 | 735 | 20.0 | 346 | 411 | 118.8 | 117 | 49 | 41.9 | 26 | 1 | 3.8 | --- | --- | --- | 60 | 96 | 160.0 | |||
2017 | 18,212 | 4,644 | 25.5 | 8,496 | 2,716 | 32.0 | 5,753 | 1,034 | 18.0 | 548 | 123 | 22.4 | 3,129 | 488 | 15.6 | 104 | 188 | 180.8 | 113 | 44 | 38.9 | 21 | 22 | 104.8 | --- | --- | --- | 48 | 29 | 60.4 | |||
2018 | 17,844 | 5,550 | 31.1 | 9,145 | 3,401 | 37.2 | 4,844 | 1,271 | 26.2 | 421 | 167 | 39.7 | 1,904 | 187 | 9.8 | 46 | 40 | 87.0 | 65 | 28 | 43.1 | 44 | 45 | 102.3 | 1,348 | 391 | 29.0 | 27 | 20 | 74.1 | |||
2019 | 16,851 | 6,817 | 40.5 | 6,725 | 3,274 | 48.7 | 3,533 | 1,381 | 39.1 | 348 | 91 | 26.1 | 2,358 | 376 | 15.9 | 27 | 30 | 111.1 | 48 | 14 | 29.2 | 8 | 1 | 12.5 | 3777 | 1,617 | 42.8 | 10 | 33 | 330.0 | |||
2020 | 13,550 | 7,424 | 54.8 | 2,272 | 4,135 | 1,890 | 1,715 | 83.2 | 41.5 | 2,010 | 490 | 24.4 | 295 | 198 | 67.1 | 1,804 | 450 | 24.9 | 58 | 37 | 63.8 | 98 | 35 | 35.7 | 22 | 14 | 63.6 | 2,850 | 2,591 | 90.9 | 6 | 4 | 66.7 |
2021 | 14,498 | 6,600 | 45.5 | 3,085 | 2,431 | 1,460 | 2,128 | 47.3 | 87.5 | 2,117 | 251 | 11.9 | 156 | 30 | 19.2 | 4,004 | 747 | 18.7 | 30 | 10 | 33.3 | 62 | 5 | 8.1 | 7 | 2 | 28.6 | 2,602 | 1,961 | 75.4 | 4 | 6 | 150 |
2022 | 17,570 | 6,640 | 37.8 | 4,287 | 2,363 | 1,771 | 1,425 | 41.3 | 60.3 | 2,992 | 177 | 6.1 | 142 | 37 | 26.1 | 4,679 | 1,061 | 22.7 | 31 | 7 | 22.6 | 50 | 29 | 58.0 | 8 | 0 | 0 | 3,074 | 2,133 | 69.4 | 14 | 0 | 0 |
2023 | 19,038 | 7,212 | 37.9 | 3,955 | 2,754 | 2,126 | 1,724 | 53.8 | 62.6 | 5,198 | 334 | 6.4 | 188 | 23 | 12.2 | 4,185 | 1,057 | 25.3 | 411 | 23 | 5.6 | 19 | 1 | 5.3 | 9 | 5 | 55.6 | 2,217 | 1,916 | 86.4 | 102 | 3 | 2.9 |
年 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | 認知件数 | 検挙件数 | 検挙率 | |||
総額 | なりすまし詐欺 | 架空請求詐欺 | 融資保証金詐欺 | 還付金等詐欺 | 金融商品等取引 名目の特殊詐欺 | ギャンブル 必勝法情報提供 名目の特殊詐欺 | 異性との 交際あっせん 名目の特殊詐欺 | キャッシュカード 詐欺盗 | その他 | ||||||||||||||||||||||||
振り込め詐欺 | 振り込め詐欺以外の特殊詐欺 |
警視庁は2004年度、全国に先駆けて副総監を本部長とする対策本部を設置。その後、各道府県警本部もこれに倣い対策本部を設置し専門の捜査班、技術班を編成し公式ウェブサイト上でも広く市民へ対策を呼びかけている。
後述する電話の録音(常時留守電に設定、通話録音装置の接続など)や不審な電話番号からの電話は出ないなどが有効である。
振り込め詐欺の容疑者相手に対し、販売目的で作った他人名義の口座(架空口座)の作成や取引を禁じる本人確認法、犯罪収益移転防止法やプリペイド式携帯電話販売時の身元確認を厳しくしたり譲渡を禁ずる携帯電話不正利用防止法が制定された。
振り込んでから詐欺と気付いて口座の利用停止を求めた場合、従来は「口座名義人に不便を強いる訳にはいかない」として金融機関が口座利用停止処置を拒み、振り込んだ金が下ろされていくことに全く対処できなかったが、次第に口座利用停止や強制解約の要請に応じるようになり、残った預金からわずかながらの返還を受けられる例も増えている。
口座からの引き出しや振り込みについては、一度にキャッシュカードで現金を引き出せる金額や振り込み金額の上限を設定し、ATMでの多額の振込や現金の引き出しができないようにしたり、金融機関の窓口で本人確認などの手続きの中で、騙されて振り込む(引き出す)ことがないような助言を取り組もうとしている。多額の引き出しの場合、自己宛小切手(預金小切手)の振出しによる方法を勧める場合がある[62][63][64]。
2007年12月14日に振り込め詐欺等の犯人の口座を凍結して、被害金を被害者に返還する法律として、振り込め詐欺救済法が成立した[65]。
もっぱら振り込まないようにしようと警告することが多いが、”振り込まれた側”については対策がほとんどできていない現状があった。後で振り込め詐欺であったことに気づいても、口座からの返金を求めることがほぼ不可能であり、(守秘義務で保護されているのをよいことに)名義人の個人情報の開示、および口座の停止または強制的な解約ができない問題があった。
”振り込まれた側”に関する情報をほとんど引き出せない問題を防ぐため、預金保険機構のウェブサイトにて、振り込め詐欺で利用された(または可能性のある)口座の一覧が公開され、振り込み前に口座を確認できるようになった[要出典][66]。
日本郵便は詐欺において「現金書留でない郵便」(ゆうパック、ゆうメールなど)で現金を送らせる違法な手法について、通信の秘密の侵害を禁じる規定から中身の確認を控えていたが、この手法による詐欺が急増している問題に鑑み、過去に詐欺に使われた住所と照合し、X線検査で現金の封入が確認されれば警察に通報する対策を2014年7月から取ることを発表した[67]。
一方で、銀行の過剰な対策が一般人の批判を受ける場合がある[68]。
2013年3月に東京都では電話会話自動的録音器を、被害に遭いやすい高齢者を中心に1人5千世帯に無料で貸し出す取り組みが行われている。
詐欺に使われる名簿業者(名簿屋)への捜査も行われており、名簿業者が詐欺用の名簿を詐欺グループに売却した詐欺幇助罪で2016年2月に全国で初めて逮捕されている[69]。
また、犯人グループが使用する電話番号に連続して架電し、回線を占有することでその番号を使えないようにする「自動架電システム」の運用を開始している都道府県警も存在し、兵庫県警で初めて導入されている[70]。これは被害者からの届け出や相談を受けた際に入手した犯人グループの電話番号について犯行に使われたものと確認でき次第、警察への出頭を呼びかける音声が流れる警告電話を連続して架け続け、犯人側が着信拒否などの設定をした場合に備え、複数の回線を使うことで、振り込め詐欺の犯行を断念させるものである。なお、振り込め詐欺が刑法上保護に値する業務ではないため、振り込め詐欺に対する自動架電システムについて業務妨害罪は成立しないとされている[71]。
2016年5月に詐欺の通信傍受を可能とする通信傍受法改正案が国会で成立し、12月1日施行された。
また、詐欺に気づいた人の通報により警察官(刑事など)が受け渡し場所に張り込み、現金の授受が行われた瞬間に受け子を現行犯逮捕する手法である「だまされたふり作戦」が2009年に神奈川県警が始め、全国に広がって効果をあげている[72]。
「だまされたふり作戦」について受け子に詐欺未遂罪を問えるかが争われた裁判では、下級審では判断が分かれていたが、2017年12月11日に最高裁は「詐欺未遂罪が成立する」と判断した[73]。
この作戦は不審な電話、詐欺に気付いた人が警察に通報することで初めてできる作戦である。この作戦を逆手に取った前述の偽騙されたフリ作戦も存在しており、こちらは通常の振り込め詐欺の電話をかけた後に警察を名乗る電話をかけて「その電話は詐欺です。犯人と思われる人物にお金を渡してください。我々、警察は見張っていますから安心してください。犯人があなたのお金を取ったと確認したら必ず逮捕します」などと言った嘘の電話をかけるといったものである。
SNS上で「闇バイト」などと称して特殊詐欺の実行役を募集する投稿をきっかけに詐欺行為に加担するケースが多いことから、愛知県警が2019年8月より、Twitterの公式アカウントで警告を返信する初の取り組みを始め、他の県警にも波及している[74]。
手口の多くは電話の着信が端緒となることから、警察や自治体が、電話でお金(現金、キャッシュカード、クレジットカード、暗証番号、還付金、ATM、電子マネーなど)に関する話が出たら、詐欺であることを疑うようアナウンスしている[75][76]。
特殊詐欺でも件数の多いオレオレ詐欺や還付金詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗が電話の着信をきっかけに始まることから、下記のような対策が呼びかけられている。
以下の対策は多機能電話でないと不可能(未だに黒電話を使っている高齢者がいる)。
代金引換ゆうパックや代金引換郵便は受け取ると、郵便法の規定で郵便局からの返金には応じられないので即座に受け取らない事が重要である。
同居している家族あてに代金引換ゆうパックや代金引換郵便が届いた場合は、即座に受領せず、送り状に記されている差出人の住所・氏名(差出人が法人の場合は会社名)・電話番号と内容物・代引金額の表示を確認する。そして受取保留をする。1週間以内(ただし、冷蔵・冷凍便は3日以内)であれば再配達してもらえるので、その間に家族に確認する。全く心当たりのない物であれば受取拒否もできる。
同様に届いた代金引換ゆうパックや代金引換郵便が注文品であるか不明な場合も同様の方法で対処する。全く心当たりがない場合は受取拒否をする。
また、家族で相互に、通信販売・ネットオークション、フリマアプリ等で物品が届く事を伝えておく習慣をつけて、それ以外の心当たりのない代金引換ゆうパックや代金引換郵便は即座に受け取ったり、代金を支払わない様にする。
架空請求メールは無視する[85]。
メールに返信(連絡)してしまった場合、相手に自分の電話やメールアドレスを知られた可能性が高い。知らない番号からの電話に出ないこと、請求メールを無視することを徹底する。メールアドレスを変更する。支払請求には絶対に応じない。消費生活センターに相談する[85]。ただし、簡易裁判所から特別送達郵便で支払督促の通知書を受け取った場合には、2週間以内に異議申し立ての手続きを行う事。
アメリカ合衆国では連邦取引委員会(FTC)が「消費者詐欺」に関する統計をとっているが、これにはインターネットを通じた不正売買、宝くじが当選したと偽って手数料を詐取する詐欺行為なども含まれ、日本でいう「特殊詐欺」よりも範囲が広いとされる[2]。
連邦取引委員会の詐欺被害の統計から、子供や孫、政府機関や金融機関などになりすまして金を詐取するいわゆる「なりすまし詐欺」だけをみると、2021年の被害金額は約23.3億ドルで、詐欺の定義や人口規模に差異があるが、日本の特殊詐欺被害の約10倍に達している[2]。連邦取引委員会が2017年に実施した特別調査によると、2017年の詐欺犯罪(不正販売等も含み日本の特殊詐欺よりも幅広い定義)の被害者は全消費者の9.7%に上る結果となった[2]。
アメリカ合衆国では、高齢者を狙うケースだけでなく、「偽の慈善団体」をかたって振込みを要求する詐欺や、嘘の賞金当せんを知らせて手数料を振り込ませる詐欺なども発生している[92]。アメリカでは、詐欺犯が高齢者の孫を装うことから、孫詐欺と呼ばれている。投資に誘う詐欺も多く、アメリカの65歳以上の高齢者の5人に1人が投資詐欺に遭っているとの調査もある[93]。
アメリカ連邦議会の高齢者特別委員会は2015年からホットラインを設けており、6年間(8402件)の報告を類型化したものによると、以下の順に発生件数が多くなっている[2]。
アメリカの金融業規制機構(FINRA)がスタンフォード大学などと協力して行った、詐欺被害を当局に報告した1,408名を対象とする調査では、件数別ではサポート詐欺、納税詐欺、フィッシング詐欺、インターネット上の不正販売の順に多かった[2]。また、金銭被害率ではインターネット上の不正販売(47%)、サポート詐欺(32%)、偽小切手詐欺(22%)、宝くじ詐欺(15%)、納税詐欺(3%)の順に多く、アメリカでは小切手を決済手段として利用する習慣が残っているため偽小切手詐欺が上位にある特徴がある[2]。
中華人民共和国では、2008年の2か月間の間に2億8,000万円もの被害が出たと報告された[94]。2009年6月には中華人民共和国公安部が、1年間の間に電話や電子メールを使った振り込め詐欺2万8,000件を摘発、容疑者7,000人の拘束を明らかにした[95]。
金融業規制機構(FINRA)がスタンフォード大学などと協力して行った、詐欺被害を当局に報告した1,408名を対象とする調査では、孤独感や疎外感が強かったり、親しい人が周囲にいなかったりする人が被害を受けやすいとしている(必ずしも一人暮らしとは限らない)[2]。この調査では過去二年間に離婚や失業など重大なネガティブ・イベントを経験した人の詐欺被害率が特に高いこともわかっている[2]。また、第三者の介入によって、詐欺犯の指示で送金しようとしていた人の51%が思いとどまったと報告されており、送金時の介入は効果的な抑止方法としてアメリカでも重要視されている[2]。
手紙やメールを使用した国際的詐欺の手口は通称「419事件(ナイジェリアの刑法第419号に抵触する詐欺犯罪)」とも呼ばれており、遺産相続を騙るもの、宝くじの当選を装うもの、マネーロンダリングや投資の協力を持ちかけるもの、結婚詐欺などがあり問題になっている[98]。
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