世界ゴルフ殿堂

世界ゴルフ殿堂（せかいゴルフでんどう、World Golf Hall of Fame）は、ゴルフにおいて顕著な活躍をした選手、あるいはゴルフの発展に大きく寄与した人物に対して、その功績を称えるために創設された組織である。1998年まではアメリカ・ノースカロライナ州の名門ゴルフコースのパインハースト・クラブ内にあったが、アメリカ・フロリダ州セントオーガスティンに移転した。1998年の移転までは部門を細分化せずに単に殿堂入りという形で表彰していたが、移転後はPGAツアー・LPGA・国際投票・ベテラン・特別功労の部門別に表彰する形となった。2015年の選考分からは、PGAツアー・LPGA・国際投票部門を廃止し、アメリカ国外のツアーでの競技成績も選考基準とした男女の競技者部門を創設した。これにより現在は、男性競技者・女性競技者・ベテラン・特別功労の4部門で表彰されている。

選考過程

選考方法

• 選考方法
  • すべての殿堂入りメンバーにコメントを求めた上で、選定副委員会がファイナリスト（男女競技者部門は各5名、ベテラン・特別功労部門は各3名）を選定し、ファイナリストの一覧を選定委員会に提出。
  • 選定委員会で議論後、投票を行い、75％以上の得票を得た者が殿堂表彰者となる。

• 各委員会の構成メンバー
  • 選定副委員会は20人で構成され、20人には6人の殿堂入りメンバーが含まれている。
  • 選定委員会は16人で構成され、4人の殿堂入りメンバーが共同議長を務めている。

各部門の選考対象者

男性競技者部門

下記の条件を両方とも満たした者が選考対象者となる。

• 選考開始した年の1月1日時点で40歳、または国際ゴルフ連盟のオリジナルメンバー^{[注 1]}のツアーから退いて5年以上。
• 国際ゴルフ連盟のオリジナルメンバーのツアーで15勝以上、またはマスターズ、ザ・プレーヤーズ選手権、全米オープン、全英オープン、全米プロゴルフ選手権の中で2勝以上。

女性競技者部門

下記の条件を両方とも満たした者が選考対象者となる。

• 選考開始した年の1月1日時点で40歳、または女子世界ゴルフランキングのメンバー^{[注 2]}のツアーから退いて5年以上。
• 女子世界ゴルフランキングのメンバーのツアーで15勝以上、または全米女子オープン、全米女子プロゴルフ選手権、デュモーリエ・クラシック（1979-2000）、全英女子オープン（2001-）、シェブロン選手権、 エビアン選手権、タイトルホルダーズ選手権、女子ウェスタンオープンの中で2勝以上。

ベテラン部門

• 最低勝利といった制限はなく、1980年以前にキャリアの大半をプレーしたプロ・アマチュアの選手。

特別功労部門

• 競技以外でゴルフに貢献があった人物。

殿堂入りリスト

氏名	英語表記	国・地域	選出年	選出部門
パティー・バーグ	Patty Berg	アメリカ合衆国	1951年	部門創設前
ベティー・ジェームソン	Betty Jameson
ルイーズ・サグス	Louise Suggs
ベーブ・ディドリクソン＝ザハリアス	Babe Didrikson Zaharias
ベッツィー・ロールズ	Betsy Rawls		1960年
ミッキー・ライト	Mickey Wright		1964年
ウォルター・ヘーゲン	Walter Hagen		1974年
ベン・ホーガン	Ben Hogan
ボビー・ジョーンズ	Bobby Jones
バイロン・ネルソン	Byron Nelson
ジャック・ニクラス	Jack Nicklaus
フランシス・ウイメット	Francis Ouimet
アーノルド・パーマー	Arnold Palmer
ゲーリー・プレーヤー	Gary Player	南アフリカ共和国
ジーン・サラゼン	Gene Sarazen	アメリカ合衆国
サム・スニード	Sam Snead
ハリー・バードン	Harry Vardon	イングランド
ウィリー・アンダーソン	Willie Anderson	スコットランド	1975年
フレッド・コーコラン（英語版）	Fred Corcoran	アメリカ合衆国
ジョゼフ・デイ（英語版）	Joseph Dey
チック・エバンス（英語版）	Chick Evans
トム・モリス・ジュニア	Young Tom Morris	スコットランド
ジョン・ヘンリー・テイラー（英語版）	John Henry Taylor	イングランド
グレナ・コレット＝ベア	Glenna Collett-Vare	アメリカ合衆国
ジョイス・ウェザーレッド（英語版）	Joyce Wethered	イングランド
キャシー・ウィットワース	Kathy Whitworth	アメリカ合衆国
トミー・アーマー（英語版）	Tommy Armour	スコットランド アメリカ合衆国	1976年
ジェームス・ブレイド（英語版）	James Braid	スコットランド
トム・モリス・シニア	Tom Morris Sr.
ジェローム・トラバーズ（英語版）	Jerome Travers	アメリカ合衆国
ジョン・ボール（英語版）	John Ball	イングランド	1977年
ハーブ・グラフィス（英語版）	Herb Graffis	アメリカ合衆国
サンドラ・ヘイニー	Sandra Haynie
ボビー・ロック（英語版）	Bobby Locke	南アフリカ共和国
キャロル・マン	Carol Mann	アメリカ合衆国
ドナルド・ロス（英語版）	Donald Ross	スコットランド
ドロシー・キャンベル	Dorothy Campbell	イングランド	1978年
ビリー・キャスパー	Billy Casper	アメリカ合衆国
ビング・クロスビー	Bing Crosby
ハロルド・ヒルトン（英語版）	Harold Hilton	イングランド
クリフォード・ロバーツ（英語版）	Clifford Roberts	アメリカ合衆国
ウォルター・トラビス（英語版）	Walter Travis	オーストラリア	1979年
ヘンリー・コットン（英語版）	Henry Cotton	イングランド	1980年
ローソン・リトル（英語版）	Lawson Little	アメリカ合衆国
ラルフ・ガルダール（英語版）	Ralph Guldahl		1981年
リー・トレビノ	Lee Trevino
ジュリアス・ボロス（英語版）	Julius Boros		1982年
ジョアン・カーナー	JoAnne Carner
ジミー・デマレット（英語版）	Jimmy Demaret		1983年
ボブ・ホープ	Bob Hope
ケリー・ミドルコフ	Cary Middlecoff		1986年
ロバート・トレント・ジョーンズ（英語版）	Robert Trent Jones	イングランド	1987年
ナンシー・ロペス	Nancy Lopez	アメリカ合衆国
ボブ・ハーロー（英語版）	Bob Harlow		1988年
ピーター・トムソン	Peter Thomson	オーストラリア
トム・ワトソン	Tom Watson	アメリカ合衆国
ジム・バーンズ（英語版）	Jim Barnes	イングランド	1989年
ロベルト・デ・ビセンゾ（英語版）	Roberto De Vicenzo	アルゼンチン
レイモンド・フロイド（英語版）	Raymond Floyd	アメリカ合衆国
ウィリアム・カマック・キャンベル	William C. Campbell		1990年
ジーン・リトラー（英語版）	Gene Littler
ポール・ラニアン	Paul Runyan
ホートン・スミス	Horton Smith
パット・ブラッドリー	Pat Bradley		1991年
ハリー・クーパー（英語版）	Harry Cooper	イングランド	1992年
ヘール・アーウィン	Hale S Irwin	アメリカ合衆国
チチ・ロドリゲス（英語版）	Chi-Chi Rodriguez
リチャード・タフト（英語版）	Richard Tufts
パティ・シーハン	Patty Sheehan		1993年
ダイナ・ショア	Dinah Shore		1994年
ベッツィ・キング	Betsy King		1995年
ニック・ファルド	Nick Faldo	イングランド	1998年	国際投票
ジョニー・ミラー	John Laurence Miller	アメリカ合衆国		PGAツアー
エイミー・オルコット	Amy Alcott		1999年	LPGA
セベ・バレステロス	Seve Ballesteros	スペイン		国際投票
ロイド・マングラム（英語版）	Lloyd Mangrum	アメリカ合衆国		PGAツアー
ディーン・ビーマン（英語版）	Deane Beman		2000年	特別功労
マイケル・ボナラック（英語版）	Michael Bonallack	イングランド
ジャック・バーク・ジュニア（英語版）	Jack Burke, Jr.	アメリカ合衆国		ベテラン
ニール・コールズ（英語版）	Neil Coles	イングランド		特別功労
ベス・ダニエル	Beth Daniel	アメリカ合衆国		LPGA
ジュリ・インクスター	Juli Inkster
ジョン・ジェイコブス（英語版）	John Jacobs	イングランド		特別功労
ジュディ・ランキン	Judy Rankin	アメリカ合衆国		ベテラン
ジュディー・ベル（英語版）	Judy Bell		2001年	特別功労
ドナ・カポニ	Donna Caponi			ベテラン
グレグ・ノーマン	Greg Norman	オーストラリア		PGAツアー
アラン・ロバートソン	Allan Robertson	スコットランド		ベテラン
カーステン・ソルハイム（英語版）	Karsten Solheim	ノルウェー		特別功労
ペイン・スチュワート	Payne Stewart	アメリカ合衆国		PGAツアー
トミー・ボルト	Tommy Bolt		2002年	ベテラン
ベン・クレンシャー（英語版）	Ben Crenshaw			PGAツアー
マリーン・ヘギー	Marlene Hagge			ベテラン
トニー・ジャックリン（英語版）	Tony Jacklin			国際投票
ベルンハルト・ランガー	Bernhard Langer	ドイツ
ハーベイ・ペニック（英語版）	Harvey Penick	アメリカ合衆国		特別功労
レオ・ディエゲル（英語版）	Leo Diegel		2003年	ベテラン
樋口久子	Hisako Higuchi	日本		特別功労
ニック・プライス	Nick Price	ジンバブエ		PGAツアー
アニカ・ソレンスタム	Annika Sorenstam	スウェーデン		LPGA
青木功	Isao Aoki	日本	2004年	国際投票
トム・カイト（英語版）	Tom Kite	アメリカ合衆国		PGAツアー
チャーリー・シフォード（英語版）	Charlie Sifford			特別功労
マーリン・ストレート（英語版）	Marlene Streit	カナダ		ベテラン
バーナード・ダーウィン（英語版）	Bernard Darwin	イングランド	2005年	特別功労
アリスター・マッケンジー	Alister MacKenzie
岡本綾子	Ayako Okamoto	日本		国際投票
ウィリー・パーク・シニア（英語版）	Willie Park, Sr.	スコットランド		ベテラン
カリー・ウェブ	Karrie Webb	オーストラリア		LPGA
マーク・マコーマック（英語版）	Mark McCormack	アメリカ合衆国	2006年	特別功労
ラリー・ネルソン	Larry Nelson			PGAツアー
ヘンリー・ピカード（英語版）	Henry Picard			ベテラン
ビジェイ・シン	Vijay Singh	フィジー		PGAツアー
マリリン・スミス	Marilynn Smith	アメリカ合衆国		特別功労
ジョー・カー（英語版）	Joe Carr	アイルランド	2007年
ヒューバート・グリーン	Hubert Green	アメリカ合衆国		ベテラン
チャールズ・B・マクドナルド	Charles B. Macdonald	カナダ		特別功労
ケル・ナグル（英語版）	Kel Nagle	オーストラリア		ベテラン
朴セリ	Se-ri Pak	韓国		LPGA
カーティス・ストレンジ	Curtis Strange	アメリカ合衆国		PGAツアー
ボブ・チャールズ	Bob Charles	ニュージーランド	2008年	ベテラン
ピート・ダイ（英語版）	Pete Dye	アメリカ合衆国		特別功労
キャロル・センプル（英語版）	Carol Semple
デニー・シュート（英語版）	Denny Shute			ベテラン
ハーバート・ワーレン・ウィンド（英語版）	Herbert Warren Wind			特別功労
クレイグ・ウッド（英語版）	Craig Wood			PGAツアー
ドワイト・D・アイゼンハワー	Dwight David Eisenhower		2009年	特別功労
クリスティ・オコナー・シニア（英語版）	Christy O'Connor Snr	アイルランド		ベテラン
ホセ・マリア・オラサバル	Jose Maria Olazabal	スペイン		国際投票
ラニー・ワドキンス	Lanny Wadkins	アメリカ合衆国		PGAツアー
ジョージ・H・W・ブッシュ	George Herbert Walker Bush		2011年	特別功労
フランク・チャーキニアン（英語版）	Frank Chirkinian
アーニー・エルス	Ernie Els	南アフリカ共和国		PGAツアー
ダグ・フォード（英語版）	Doug Ford	アメリカ合衆国		ベテラン
ジョック・ハッチソン（英語版）	Jock Hutchison	スコットランド アメリカ合衆国
尾崎将司	Masashi Ozaki	日本		国際投票
ピーター・アリス（英語版）	Peter Alliss	イングランド	2012年	特別功労
ダン・ジェンキンス（英語版）	Dan Jenkins	アメリカ合衆国
サンディ・ライル	Sandy Lyle	スコットランド		国際投票
フィル・ミケルソン	Phil Mickelson	アメリカ合衆国		PGAツアー
ホリス・ステーシー	Hollis Stacy			ベテラン
フレッド・カプルス	Fred Couples		2013年	PGAツアー
コリン・モンゴメリー	Colin Montgomerie	スコットランド		国際投票
ウィリー・パークス・ジュニア（英語版）	Willie Park, Jr.			ベテラン
ケン・スコフィールド（英語版）	Ken Schofield			特別功労
ケン・ベンチュリ（英語版）	Ken Venturi	アメリカ合衆国
ローラ・デービース	Laura Davies	イングランド	2015年	女性競技者
デビッド・グラハム（英語版）	David Graham	オーストラリア		男性競技者
マーク・オメーラ	Mark O'Meara	アメリカ合衆国
A・W・ティリングハースト	A. W. Tillinghast			特別功労
デービス・ラブ3世	Davis Love III		2017年	男性競技者
イアン・ウーズナム	Ian Woosnam	ウェールズ
メグ・マローン	Meg Mallon	アメリカ合衆国		女性競技者
ロレーナ・オチョア	Lorena Ochoa	メキシコ
ヘンリー・ロングハースト（英語版）	Henry Longhurst	イングランド		特別功労
レティーフ・グーセン	Retief Goosen	南アフリカ共和国	2019年	男性競技者
ジャン・スティーブンソン	Jan Stephenson	オーストラリア		女性競技者
ウィリアム・ポーター・ペイン（英語版）	William Porter Payne	アメリカ合衆国		特別功労
デニス・ウォルターズ（英語版）	Dennis Walters
ペギー・カーク・ベル	Peggy Kirk Bell
タイガー・ウッズ	Tiger Woods		2022年	男性競技者
スージー・バーニング	Susie Berning			女性競技者
ティム・フィンケム（英語版）	Tim Finchem			特別功労
マリオン・ホリンズ（英語版）	Marion Hollins			特別功労

2014年までの選考基準

PGAツアー部門

チャンピオンズツアーも含めたPGAツアーで好成績を挙げた人物を対象とした部門である。

• 必須条件

1. 40歳以上
2. 65%以上の得票率

• 次の条件のうちいずれかを満たす

1. 　
   • 10年以上ツアーメンバーである
   • ツアー10勝またはマスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロゴルフ選手権、ザ・プレーヤーズ選手権の中で2勝
2. 　
   • チャンピオンズツアーで5年以上ツアーメンバーである
   • PGA・チャンピオンズ両ツアーで20勝以上
   • マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロゴルフ選手権、ザ・プレーヤーズ選手権、全米シニアオープン、ザ・トラディション、全米プロシニア選手権、シニア・プレーヤーズ選手権の中で5勝以上

ベテラン部門

1974年以前にキャリアの大半をプレーしたプロ・アマチュアの選手で、上記の基準を満たせない選手に対して、毎年世界ゴルフ殿堂の諮問委員会（世界の26のゴルフ組織の代表からなる）によって指名され、世界ゴルフ殿堂理事会により選出される。

LPGA部門

現役選手

（1999年2月以降は以下の規準をすべて満たす必要がある）

• ツアー参加10年（参加していない期間は含まず）
• LPGAメジャー大会で1勝あるいはベアトロフィー（年間最少打数賞）またはロレックス・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得
• 世界ゴルフ殿堂が以下に定めるポイントで27ポイント以上を獲得
  • 2ポイント LPGAメジャー大会1勝
  • 1ポイント LPGAツアー1勝、ベアトロフィー、ロレックス・プレーヤー・オブ・ザ・イヤー

引退選手

以下の基準を満たし、諮問委員会で2/3以上の得票を得て指名され、LPGAツアー選手の75%以上の得票を得なければならない。

• ツアー参加10年（参加していない期間は含まず）
• 引退して5年以上経過
• LPGAメジャー大会で1勝あるいはベアトロフィー（年間最少打数賞）またはロレックス・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーを獲得
• LPGAツアーの発展に対して顕著な貢献があった者

国際投票部門

• 65%以上の得票率
• 40歳以上
• 男性の場合PGAツアー・チャンピオンズツアー部門、女性の場合LPGA部門の基準を満たしていない
• 世界ゴルフ殿堂が以下に定めるポイントで50ポイント以上を獲得
  • 6ポイント 男女四大メジャー勝利
  • 4ポイント ザ・プレーヤーズ選手権、上記以外のアメリカLPGA勝利
  • 3ポイント PGAツアー、欧州PGAツアー勝利
  • 2ポイント （男子）日本・南アフリカ・オーストラリアツアー、（女子）日本・欧州ツアー勝利
  • 1ポイント その他の国内選手権勝利、ライダーカップ・プレジデントカップ・ソルハイムカップ参加

特別功労部門

国際投票により指名を行い、理事会で選出する。

外部リンク

• 世界ゴルフ殿堂（英語）
• 世界ゴルフ殿堂入りゴルファー一覧