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国民精神文化研究所

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国民精神文化研究所
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国民精神文化研究所(こくみんせいしんぶんかけんきゅうしょ、略称: 精研、英語: National Spiritual Culture Research Institute[1][2])は、戦前期に東京市品川区上大崎に設置された文部省直轄の研究所。「皇国教学ノ指導者トシテノ信念ト識見トノ醇化」を指導方針とする教師の養成機関[3]終戦後、GHQから超国家主義組織として解散させられ、講師陣は公職追放された[3]

概要 設立者, 設立 ...

沿革

要約
視点

第一次世界大戦ののち、ドイツ植民地帝国膠州湾租借地から追放された多くのドイツ人は、漢口(現在の武漢市)や上海香港などに移住して再びコミュニティを形成していたが、1931年ごろからナチス党アジアの各ドイツ人コミュニティに党支部を創設して政治活動を始めていたという事情があった[注釈 1]

日本政府は1930年にロンドン海軍軍縮条約を締結したが、フリードリヒ・ハックなどのドイツ人貿易家は日本で兵器の貿易を行っており、帝国弁護士会や軍人南雲忠一など軍拡派の活動もあった。

略史
  • 1932年 - 1932年5月5日、文部省の諮問機関である学生思想問題調査委員会(会長は文部大臣鳩山一郎。設立時期不明。)が、「今日の教育は国体観念に関する教育が不徹底である」旨を述べ[5]、また、「学生生徒左傾」への対策として「我が国体、国民精神の原理を闡明し、国民文化を発揚し、外来思想を批判し、マルキシズムに対抗するに足る理論体系の建設を目的とする、有力なる研究機関を設くる」べきことを答申した[6][7]。これら答申に基づき8月22日、国民精神文化研究所官制(昭和7年勅令233号)が発せられた[8]。8月25日、海軍軍人であり総理大臣の斎藤実が「国民精神の作興」を強調して帝国議会で演説した[9]。機関は当初は文部省内で、まもなく神田一ツ橋の仮庁舎で活動した。
  • 1933年 - 品川区上大崎の新庁舎に新築移転。
  • 1934年 - 初代所長に関屋龍吉が就任(それまでは、革新官僚粟屋謙伊東延吉が代行)。東京と横浜にナチス党支部が創設された[注釈 2]。日本政府はロンドン海軍軍縮条約を脱退し条約を無効化したため、先進国間で軍拡競争が開始された。
  • 1935年 - 青年学校令学校教育法の前身)により、旧制学校と併存していた実業補習学校(12才以上)と青年訓練所(16才以上)が統合され、青年学校が創設。
  • 1936年 - 『国体の本義』編纂委員に所員から紀平正美哲学)、井上孚麿法律)、吉田熊次教育)が参加[10]日独防共協定が締結される[注釈 3]
  • 1938年 - 11月、日独文化協定が締結され、学校教員の任命がナチスドイツと連帯しての国策事案となった[11]アンシュルスの影響で国家総動員法が可決した。
  • 1941年 - 2代所長に伊東延吉が就任。第3次近衛内閣内閣参議・無任所国務大臣平沼騏一郎が『臣民の道』を出版。
  • 1942年 - 1月24日、国民錬成所官制(昭和17年勅令第28号)により、小金井町に91,000坪敷地を持つ国民錬成所が設置される[注釈 4]。開設にあたり、紀元二千六百年式典の式殿であった光華殿が、明治神宮外苑競技場から移築された[13][14]
  • 1943年11月1日 - 教学錬成所官制(昭和18年勅令第814号)により国民錬成所と統合して消滅し、教学錬成所となる[15]
  • 1945年10月15日 - 教育研修所官制(昭和20年10月15日勅令第572号)により、教学錬成所が廃止され、教育研修所(のち、国立教育研究所に改組、現在の国立教育政策研究所)となる[注釈 5]
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組織

研究部

所員・研究嘱託・助手の役職を置く。

事業部

  • 教員研究科 - 中等教員の教育。
  • 研究生指導科 - 左傾学生の再教育。
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歴代所長

国民精神文化研究所長

  • (兼務)粟屋謙:1932年8月23日 - 1934年5月29日
  • 関屋龍吉:1934年5月29日 - 1941年6月14日
  • 伊東延吉:1941年6月14日 - 1943年11月1日

教学錬成所長

  • 伊東延吉:1943年11月1日 - 1944年2月7日(死去)
  • 橋田邦彦:1944年3月1日 - 1945年9月14日(死去)

研究職員

歴史科(史学・国史)

国文学科(国文学・国語学)

芸術科(芸術学・芸術史)

哲学科(哲学・道義・神道・儒教・仏教)

教育科(教育学・教育史)

法政科(法律学・政治学・社会学)

経済科(経済学・経済史)

自然科学科(生物学・物理学)

思想科(思想問題・思想運動)

  • 岡田恒輔
  • 米原穣
  • 藤田勲
  • 小川義章
  • 田中久二
  • 岡野徳右エ門
  • 三木勲
  • 利根川東洋
  • 森昌也
  • 中山幸

教員研究科嘱託講師

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主な刊行物

関連項目

脚注

参考文献

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